秋霖 (９月１５日 金曜日)

　　　　　　秋霖や駅へと急ぐ傘の列

 

　　　　　　秋の雨多色の傘の通学子

 

　　　　　　灯の点る職員室に虫の声

蘆の花 (９月１４日 木曜日)

　　　　　　そぼ降りて水際の蘆の花清し

 

　　　　　　掃除の子火照りし顔を秋風に

 

　　　　　　虫の音を聞きつつ湯船に身を浸す

秋雨 (９月１３日 水曜日)

　　　　　　毬剥けば色艶やかな栗三つ

 

　　　　　　秋雨や止まりし烏の濡れ羽色

 

　　　　　　秋の雨白糸の如く降りにけり

二百二十日 (９月１２日 火曜日)

　　　　　　遠近に閃光二百二十日かな

 

　　　　　　二百二十日田に雷神の入り来る

 

　　　　　　秋時雨旧街道に下駄の音

猫じゃらし (９月１１日 月曜日)

　　　　　　秋風に鉄橋渡る電車の音

 

　　　　　　秋空に蜻蛉の如きアンテナ群

 

　　　　　　猫じゃらし堤の夕日を撫でており

桜もみじ (９月１０日 日曜日)

　　　　　　老い朝に桜もみじをそっと掃き

 

　　　　　　背伸びしてぐいと押し上げ梨もぐ児

 

　　　　　　堤行く我虫の音に包まれて

銀杏 (９月９日 土曜日)

　　　　　　スケッチをする児の傍へ秋の蝶

 

　　　　　　秋風や校庭駆け行く白帽子

 

　　　　　　街路樹の銀杏の葉っぱ色付いて

黄葉 (９月８日 金曜日)

　　　　　　ちらほらとさくら通りに黄葉舞い

 

　　　　　　秋風に子らの歌声流れ来る

 

　　　　　　秋風に群れて啄ばむ雀かな

 

　　　　　　　〔閏七月チャット句会〕

 

　　　　　　こおろぎを捕りし男子のダイヤの眼

 

　　　　　　孫の来て団欒弾む夜長かな

 

　　　　　　無月の夜ガタゴト音立て電車行く

 

 

秋半ば (９月７日 木曜日)

　　　　　　日の本の光明九月六日かな

 

　　　　　　秋半ば花・実の観察子らがして

 

　　　　　　台風期濡れし治水の顕彰碑

かまきり (９月６日 水曜日)

　　　　　　身構えるかまきりの真似児の真顔

 

　　　　　　校庭の真上にドームの秋の空

 

　　　　　　雑踏の都会の秋の夕茜

虫 (９月５日 火曜日)

　　　　　　天高くなり行く秋空増す青さ

 

　　　　　　叢の虫追う児らの声弾み

 

　　　　　　得意顔児の手にしっかと青い虫

栗 (９月４日 月曜日)

　　　　　　深川や芭蕉翁像に栗二つ

 

　　　　　　深川の芭蕉の句碑に蜻蛉来て　

 

　　　　　　九月場所ふんどし姿自転車に

秋の空 (９月３日 日曜日)

　　　　　　ふらここを漕ぎて蹴り上ぐ秋の空

 

　　　　　　風に乗り川面をすいすい蜻蛉飛ぶ

 

　　　　　　散歩道こんなところに秋の草

休暇明け (９月２日 土曜日)

　　　　　　宿題を持って登校休暇明け

 

　　　　　　一回り大きくなった児休暇明け

 

　　　　　　真っ直ぐに透き通りたる蜻蛉道

震災忌 (９月１日 金曜日)

　　　　　　震災忌市民避難し校庭へ

 

　　　　　　震災忌各町会の幟立つ

 

　　　　　　炊き出しの煙幾筋震災忌

 

　　　　　　きびきびと救助活動震災忌

 

　　　　　　校庭に自衛隊来る震災忌

 

　　　　　　食料と水の配給震災忌

 

　　　　　　震災忌支援物資の次々と

 

　　　　　　震災忌電話も風呂も用意され