早緑の庭に明るし躑躅花
躑躅花五弁の上部に紅を引く
ほくほくと湯気立つ新じゃが口の中
草刈やあとの堤のさっぱりと
緑陰の下のスケッチ白きシャツ
葉ざくらやあの寅さんの草だんご
柴又や緑雨そぼ降る帝釈天
緑雨止み寅さんの像の光増す
花弁を重ねて深き紅き薔薇
朝未だき緑雨の樹々に鳥の声
老い母の胸あかあかとカーネーション
夏燕江戸川堤の普請かな
新緑の並木道行く郵便車
ミニトマト小さき星の花付けし
本殿に点る灯篭青葉冷
黒き畑列なし伸び行く夏野菜
保育園色とりどりのポピー揺れ
篝火に新緑の色濃く淡く
主なき廃屋の庭草茂る
栗の花年輪重ねなお青春
早緑の庭に紫紺のあやめ咲く
揚羽蝶街の花屋の店先に
新緑や先ずパレットにみどり置く
薔薇生けてアットホームな教室に
通学路欅若葉を屋根にして
若葉風紙飛行機の悠々と
新緑の川辺倉庫の赤煉瓦
田植機の動きし後に苗の列
ザリガニを釣り上げ童の心持つ
若葉風流るる笹舟速さ増し
土くれの色黒々と田水張る
田植する老いの手元の水光る
若葉風キャッチボールの音軽く
夏来る光御空に満ち溢る
えんどうのみどりのさやのふくらめる
白き絮新緑吹ける風まかせ
こどもの日小さき孫と折る兜
鯉のぼり空を吸い込む泳ぎして
爺と孫男同士の菖蒲風呂
乳飲み子の丸々と吹くしゃぼん玉
子ら遊ぶせせらぎ清し蜆蝶
若葉して御空の青の和らげる
水面にも色濃く映す藤の花
天と地にあお満ち憲法記念の日
花々へ舞い飛ぶ揚羽ここ都会