■次期総裁しいては次期総理が確定している安部官房長官の重要課題は「憲法改正」「教育改革」であるようだ。それにしても、現在の日本には憲法改正よりも、もっと重大な問題が(年金問題・少子化・格差社会)山積しており、憲法改正が一番の重要課題とするような主張は完全なピントはずれとしか言いようが無い。
― 「自主憲法制定」が結党以来の目標 ― とあるように、自民党がもつ願望をただ一人よがりで言っているだけに見える。
■安部氏は、総理になる可能性が一番高いから、問題にならないように、当たり障りの無い(自民党内で総論賛成的な)「憲法改正」や「教育改革」を唱えているのだろうか。これらの態度を見ると間違いなく、候補者の中で一番「戦う政治家」でないのは安部氏ではないだろうか。
■安部氏の態度はどうであれ、「憲法改正」について考えると、憲法改正を主張する人々のもっとも改正したい条項は、「第九条」であり、特に戦力不保持を謳った九条第二項である事は、彼らの言説から明らかである。
九条については、日本国憲法の眼目であり、特に九条二項は最も特長的な条文である。自民党新憲法草案の説明をする場合に、桝添氏が、「九条一項は残す」。とはいっているが、二項があるから、軍備縮小や、最低限の軍事力に抑える動機になるのであって、二項を削除すれば、平和主義は完全に死滅する事になる。
■私は、憲法改正の必要性をまったく感じない。環境権やプライバシー権等の追加はありえるかも知れないが、それ以外は、変更する必要は無いと考えている。あえて言うならば、前文に、憲法は統治機関を統制するために国民によって制定するものであると明確に記述する事と、条文もその事が明確に分かる言い回しには変えるぐらいだ。
■「9条は現実的ではない」。という話はよく聞かれるが、憲法は本来、非現実的(制定当時は)なものであり、現実性を求めるのは短絡的であると思う。憲法は、「これから国家として何を目指すか」という努力目標であって、現時点で達成不可能であるから、即改正とするなら、憲法の権利に関する条項は、殆んど達成されていない「非現実的」な条項として削除されるべきものなのだろうか。
■日本は9条がある現在でも自衛隊や日米安保同盟が存在するのだから、まったくの無防備ではない。これ以上の実力としての安全保障としては、戦力投射能力を自衛隊が持つ事や核武装があるが国家戦略として、その選択がいいのかどうかはもう一度考える必要があり、私としてはこちらの選択の方が「非現実的」ではないかと思う。
■― 「教育バウチャー(教育利用券)」制度の導入や「公」の意識を養う教育改革も憲法改正と並ぶ大きな柱にすえる方針 ― や ― 教育改革では、継続審議となった教育基本法改正案を早期に成立させ、家族や地域、国を大切にする教育改革を目指す。― を見ると、諸問題の原因を教育に見ているのも、あまり納得できるものではない。
教育が悪いから、家族や地域を大切にしないのではなく、社会の変化によって、家族や地域の概念が曖昧になっているのだから、それを解消せずに教育ばかりしても、現実味の無い空論を教える事になるだろう。「教育しないから」ではなく「教育しても」であるのだから、いくら「教育しないから」論を前提に教育改革をしても、砂漠に水をかけるような状態になるのではないか。(続く)
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― 以下参考記事 ―
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060821-00000005-mai-pol
<自民総裁選>安倍長官の政権構想固まる 改憲へ2段構え
自民党総裁選で、安倍晋三官房長官が9月1日の正式出馬表明時に発表する政権構想の骨格が固まった。憲法改正について、現行憲法のまま解釈変更により集団的自衛権の行使を容認したうえで、全面改正を目指す2段構えで臨む。また、「教育バウチャー(教育利用券)」制度の導入や「公」の意識を養う教育改革も憲法改正と並ぶ大きな柱にすえる方針で、保守色の濃い内容となる。
総裁選は9月20日の投開票まで1カ月となり、21日に麻生太郎外相が正式に出馬表明するなど候補の政見も近くそろう。 安倍氏は「自衛軍」保持を明記した昨年の自民党新憲法草案をもとに、「自主憲法制定」が結党以来の目標として、9条と前文を含めた全面的改正を目指す。その前段階として、現在の政府解釈では行使を認めていない集団的自衛権について、解釈変更による行使容認を盛り込む。 ただ、実際の憲法改正には衆参各院3分の2以上の賛成などの発議条件がある。安倍氏は「高いハードルで国民的議論が必要」と認めており、具体的改正時期には踏み込まない方針だ。
教育改革では、継続審議となった教育基本法改正案を早期に成立させ、家族や地域、国を大切にする教育改革を目指す。教育バウチャー制度は、国や自治体が成績などを基準に生徒らに教育利用券を発行し、利用券を使えば公費による学費援助が受けられる仕組み。金銭的な問題を解消することで、学校選択の幅拡大につなげたい考えだ。また、全国的な学力調査を実施し、結果が悪い学校を支援する制度を創設し学力向上も図る。
外交では、日米同盟を機軸にインドやオーストラリアなどとの連携強化を打ち出す。中国に対しては、政治的関係と経済交流の拡大を切り離す「政経分離の原則」の確認を提唱。自身の靖国参拝については、政治・外交問題化を避けるためとして触れない考えだ。 また小泉改革路線の継承を訴える一方、「再チャレンジ可能な社会作り」を打ち出し、改革の「負」の側面に配慮する。経済政策では、経済成長戦略と歳出削減を優先し、消費税の引き上げ時期や幅には言及しない。【犬飼直幸】 (毎日新聞) - 8月21日3時5分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060822-00000405-yom-pol
安倍氏「新しい憲法書いていく」…政権構想に盛る意向
安倍官房長官は22日昼、横浜市内で開かれた自民党の再チャレンジ支援議員連盟の会合で講演し、次期政権で憲法を全面改正すべきだとの考えを示したうえ、9月の総裁選に向けた自らの政権構想に憲法の全面改正を盛り込む意向を表明した。 安倍氏は、「21世紀にふさわしい新しい日本の創造に向け、私たちの手で新しい憲法を作っていく気持ちを持たなければならない。
既に自民党は憲法草案を作っており、次のリーダーはこの新しい憲法を政治スケジュールに乗せていくリーダーシップを発揮しなければならない」と述べた。 また、「新しい憲法を書いていく。その精神こそが新しい時代を作っていくことにつながる」とも強調した。 (読売新聞) - 8月22日13時47分更新