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Freedom

Personal ZINE

懐かしむこと

2018-09-03 23:48:02 | 考えてみた

今日は久しぶりにプールに泳ぎに行った。


 一番近いプールまで自転車で30分。慣れ親しんだ道を自転車でゆっくり進んでいく。この道は3歳からの親友と何度も通った道。幸いなことに私たちが通っていた時からほとんど景色は変わらない。なので、毎回通る度に懐かしい気持ちになる。二人で水泳教室をサボった公園、時々昇級テストの後に立ち寄った銭湯、やたらと待ち時間の長いボタン式信号機、それに今では無くなってしまったが昇級試験の度に訪れていたラーメン屋。一つ一つに深くは無いがしっかり思い出される小さなストーリーがいくつもあり、しみじみ眺めながら通り過ぎていく。そうしてくねくねと曲がりながら進んでいくと、プールの近くまで一直線に続く道に出る。最初は住宅に囲まれているが徐々にそれらは少なくなり、次第に田んぼが増えてくる。いつからあるのだろうか、とても古い学校もある。見るたびいつも2人で古いなぁと当たり前のことを言い合う。車に気をつけながら漕ぎ進めると遠くからでもわかるほど大きなドームが見えてくる。それが目的地のプールがあるドームだ。ここで運命の分かれ道に出る。実際そんな大したことはないのだが、いつもどっちに行けばいいか忘れてしまい、当て推量で進んでは間違える。地図を見ればいいのだが、何故だか見たくない。意味もなく自分を信じたくなる。引き返して正解の道を行くとやっとプールに到着。

 30分も自転車を漕いだのでじんわり汗をかいている。早くプールに入りたいと足早に入場券を売っている券売機へ向かう。価格は昔に比べて少し上がっている。やはり経営が厳しいのだろうか、どこのプールに行っても軒並み値上がりしている。今でこそ気にせず払えるが、通っていた小学生の時はとても高くここのプールに入ることは一大イベントであった。それだけに高揚感も大きくワクワクしながら入ったことを覚えている。少しリッチな気分になりながらロッカールームに入る。どこのロッカーを利用しようか。私はこういう時決まって奥にあるものを使う。これはどんなことでもそうで、教室の座席も一番後ろの奥が好きだった。298番のロッカーを開けようとするとなぜか扉に鍵が刺さっている。まぁ、普通のことなのだが、実は以前は暗証番号式の鍵だったのである。細かい変化に驚きながら着替えをすませルーティーンの体重チェックをしようとしたが体重計が無い。前はあったのに!このことにすごくショックを受けた。特別体重を気にしなければならないわけでは無いが、常に体重を一定に保ちたいのでこういう時に測定していた。測定結果を友達と教えあい、お前太ったなぁ、そういうお前は全然変わらないなぁなどと小さな笑みが溢れるイベントだったのに。それが無い。ここにきて初めて変わることの悲しさを実感した。ただ、無いものはない。せっかくここまで来たのだし気を取り直して泳ごうとシャワーへ向かった。

 ここのシャワーは通り抜けるものを感知して自動で降ってくる代物だ。しかし、昔から反応が悪い。何度通っても反応しないと思ったら、後から来た人は普通に浴びて行ってしまった。シャワーも人を選ぶんだなぁ。今度は一言挨拶して通り抜けよう、としょうもないことを考えながらシャワーの下でバタバタ動いているとやっと水を掛けてくれた。シャワーを抜けるとやっとプールとご対面。手前に25mレーンが6つ、2つが初心者・中級者用で残りが上級者コース、奥にもう1面25mプールがありこれはコースどこかの団体が貸切で利用していた。私は誰もいないコースの前で体操を始めた。こうすることで、このコースは今から私が使いますよとアピールするのである。ついでに上手い人がやっていそうな体操をしてこの人早いから別のコースで泳ごうと誘導する作戦を実行する。入って来たら特に気にせず一緒に泳ぐのだが、出来れば自分のペースで泳ぎたいのでついついやってしまう。長距離操業ですでに筋肉はほぐれているので、体操は程々に入水した。丁度いい冷たさだ。夏に保冷剤を頬っぺたに当てたような気持ち良さを全身に感じながら、いよいよ泳ぎだす。

 やっぱりプールは最高だ。周りの音は無く、ただ自分が泳ぐ音が体に響くだけ。雑念が消え思考はクリアになり、頭も冴えわたる。色々な考えが頭の中を駆け巡った。その中で一番心に残ったのが、次は親友と来たいなぁということだ。水泳は個人競技である。団体戦もあるが、結局1人ずつ代わりばんこに泳ぐので協力するような場面は無い。練習でも同じで自分との戦いになる。しかし、一緒に泳ぐとどうしてか楽しいのだ。この気持ちは競泳経験者にしかわからないだろう。ああ、次は絶対に誘おう。そんなことを考えながら、泳ぎ終わっていよいよジャグジー。こういったプールには大体サウナとジャグジーが備えられていて、これが1つの楽しみとなっている。ゆっくり浸かりながら帰りは何を買って食べようかなぁなどと考えるのが最高だ。ジャグジーに1人だったのでプヒーッなどと特に意味もなく言ってしまった。体もあったまったのでロッカーに戻った。

 着替えを終え外に出ると、夜風がすごく気持ちい。プール上がりはどうしてこうも気持ちいいのか。程よい疲れを全身に感じながら、少しの睡魔に襲われながら感じる風は格別である。しかも、帰りはダラダラ帰るのが通だ。来た道を行きの倍近くかけて帰る。道中いつも訪れる100円ショップに入る。中はしっかりとクーラーが効いており、気持ちよさがさらに増す。ここまできたらもうキモティだ。パッとアイスを買って外のベンチに腰掛け、これまたダラダラアイスを頬張る。贅沢の極みである。今度は昼間に行って帰りにたこ焼きを買って帰ろうと思った。


 全てが懐かしい1日だった。変わってしまっていた部分もあるが、ほとんど昔そのまま。ノスタルジーとはこのことと言った感じである。


 私はこうやってノスタルジーを感じることが好きである。通学路だった道を散歩したり、昔通いつめていたお店に久々に言って行ってみたりする。でも、こればっかりじゃダメだよなぁと最近思う。やめる気は無いが割合が多すぎる。ノスタルジーは程々にして、前に進みたい。今はそんな気持ちである。