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son59の海外旅行記

もっと遠くまで行きたい

201708クングスレーデン 感想

2017年11月02日 | 201708クングスレーデン
 北極圏の風景を見たくて6泊7日でクングスレーデンを歩き倒した。道を間違えたり、ケブネカイゼに登ったので歩いた距離170km。冷たい雨に降られたこと、ぬかるんだ湿地帯を歩いて靴の中がびしょ濡れになったこと、足裏の痛みや重い荷物に耐えながら歩いたこと、浸水するテントの中で一晩過ごしたのも、今となっては楽しい思い出である。









 クングスレーデンで見た景色は儚い無常の世界だった。太陽の光を浴びた大地は壮大で美しかった。しかし変わりやすい天気でその風景は暗く絶望的とも思える悲しい風景に一変した。冷たい雨と風の中、自分が感じたのは広大な土地に放り込まれたちっぽけな自分という悲しい構図だった。その風景は今も目に焼き付いている。
 単に軟弱なだけかもしれない。北極圏の風景にほれ込む人は少なくないが、今すぐ戻りたいと思えない世界だった。だからかもしれないが、そんな場所に住む人々が何を考えて生きてるのか、本当に幸せなのか? この土地をどう思って生きているのか、そういう興味は強くなった。
 クングスレーデンの魅力は雄大な風景、自由など色々だが最大の魅力は人だと思う。クングスレーデンにやってくる人間は総じて英語ペラペラなので会話できたのがよかった。誰もかれもが他人に興味をもち話しかけたり困ってる人を助けたりとか、普通のことを普通にしていた。そういうことがクングスレーデンの魅力なのかもしれない。
 そんなスウェーデン人トレッカーによく聞かれたのが、どうしてクングスレーデンに来たのか? わざわざ遠方からスウェーデンの僻地で一週間もトレッキングするのが奇妙に思えたのだろう。旅先で出会ったスウェーデン人に教えてもらったと答えたが、実はこの質問に対する答えは自分にも分かっていない。クングスレーデン前のトレーニングのときもクングスレーデンでしんどい状態になったときも、北極圏の風景を見たいだけなのになんで一週間も歩いているのだろうと自問自答した。その答えは結局分からなかった。
 何もわからないまま旅行後に残ったのは歩き続けてボロボロになった肉体だった…。残暑のせいかなかなか疲れがとれない。そして猛烈なクングスレーデンロスという現象に襲われた。旅の後は多かれ少なかれロス現象に陥るのだが、今回は一週間も歩いたからか情が移ってしまったのかもしれない。クングスレーデンの冷たい風は今も体に巻き付いている。
 今年の夏は熱い夏だった。

11日目 ストックホルム~帰国

2017年09月28日 | 201708クングスレーデン
 この日は午前中ストックホルムを散策して、午後に帰国の途についた。
 目が覚めると雨の音が聞こえた。最後の最後まで天気には恵まれない旅となってしまった。出歩く気にならないが散策へ。12:30前には空港へ行かないといけないので時間はあまりない。
 王宮へ向かうと衛兵の交代の儀式を見ることができた。北欧のような天気がコロコロ変わる寒い国で衛兵をやるのは大変だろう。

 続いてヒョートリエットというマーケットへ。大雨と時間が早いので店は準備中でお客さんはいない。花屋やベリー系の果物、キノコ、野菜などが売物だった。魚や肉と市場の賑わいを見たかった。



 中央駅を経由し市庁舎へ。市庁舎は中央駅から橋を渡ったちょっと辺鄙な場所に建っているが、市庁舎から見る対岸の景色は晴れてれば美しそうだった。ちょうど見学ツアー開始直前だったので参加することに。ここはガイド付きツアーでないと見学できない。
 青の間にする予定だったのに赤い間のまま終了したり、屋根は建設途中段階で気に入ったので建設途中で終了したとか、内装を途中で切り上げた建物だった。元々の設計や仕事がよかったから、こういう決断ができるのだろう。





 金のモザイクで埋め尽くされた黄金の間は見事。中央の女神と東西のバランスをとる様子の絵がよかった。見学ツアーなので自分のペースでゆっくり見れなかったのが残念。



 1時間の市庁舎ツアーの後はガムラスタンを散策。ようやく雨が止んだのに間もなく空港へ行かないといけないのが悲しい。スウェーデンの登山用品店を見学したかったが、時間がないのが残念。
 空港へは中央駅から空港バスFlygbussarnaで移動した。チェックインは普通だったが、セキュリティと出国審査は混んでいた。セキュリティの長い列に並びながら、再びスウェーデンにやってくることはあるのだろうかとセンチメンタルな気分になった。
 長いフライトを経て帰国した。

10日目 キルナ ~ ストックホルム

2017年09月28日 | 201708クングスレーデン
 この日はキルナからストックホルムへ移動し散策した。
 朝からキルナ市内を散策。大した見どころがない街なので正直散策するのも困った。
 空港バスの時間になったのでバス乗場へ。バスは時刻表より10分も早くやってきた。あぶねー。出発までしばらく待機していたので大丈夫だったろうがかなり焦った。ちなみに空港バスはフライトに合わせて時刻表が組まれていた。



 キルナ空港からストックホルム空港へ。ストックホルム空港の空港バス乗場は大行列ができていたので、ローカルバスで市内へ移動することにした。空港インフォメーションで切符を購入するとアクセス方法のメモ書きを渡された。メモ書きの通り、バス583に乗車。43SKR。




 バスは現地の人だらけで結構混んでいた。バスの終点?のMarsta stationでCommuter trainに乗換え。乗継が良すぎて電車へダッシュした。そのおかげか空港からストックホルム中央駅まで1:15と思ったより早かった。
 ガムラスタンのホテルにチェックインして街の散策へ。王宮近くを通り、ガムラスタン島の北側へ。海?川?沿いではお祭りが開催されていて賑やかだった。
 橋を渡りシェップスホルメン島の現代美術館 Moderna Museetへ。無料の常設展だけ見学した。ダリやピカソは数点のみ。聞いたことがない日本の芸術家の作品やソ連のポスターもあった。コレクションとしてまとまりがあまり感じられなかった。例えばエルミタージュ美術館はエカテリーナ二世の私的なコレクションだが、この美術館の目的はなんなのかよく分からなかった。







 シェップスホルメン島を一周して周りの景色を楽しむ。やはりというか大きな船が多い。町並みは美しいは美しいのだが、緑が少なく感じるのはクングスレーデンの後だからか。

 ガムラスタンを経由してセーデルマルム島の繁華街へ。こちらは飲み屋街やカフェが多く賑わっていた。高台から夜景を眺めた。クングスレーデンでは真っ暗な夜を体験できなかったので久々に夜を体験できた。なかなかの夜景で暗くなるというのもいいもんだな、と思えた。夜のガムラスタンも細い路地がいい雰囲気。



クングスレーデントレッキングについて 覚書

2017年09月28日 | 201708クングスレーデン
 クングスレーデンはアビスコからNikkaluoktaへ南下するか、Nikkaluoktaからアビスコへ北上するかどちらかで歩くこととなる。スタート前にアビスコで食料を調達したかったこと(キルナで買う時間があるか分からなかった)、ケブネカイゼはレストランがある立派な施設と聞いたのでトレッキング終盤にしっかり食料を調達できるだろうと考え、アビスコからNikkaluoktaへ南下した。
 しかし南下より北上のほうがよかったと思う。これは、北上すれば逆光でないため景色がよさそう、日数が余ったらアビスコ国立公園をふらつくなど日数調整が上手くいきそう、食料はどこの小屋でも購入できるので食料面で南下するメリットはないこと、北上のほうが僻地へ向かっているという高揚感があり気分的に盛り上がるなどから北上のほうがよかったのではないか。アップダウン的にはどちらも大差ないと思う。

 クングスレーデンでは角の大きな野生の鹿を見たかったが、遠くからしか見れなかった。オーロラも8月末に見たという情報を得ていたので少なからず期待してたが、雲が多かったことや夜中に目が覚めるたびに明るかったことから、見れそうにないと諦めてしまった。そもそもトレッキングで疲れ果てて毎晩爆睡していた。体力ない人間にはオーロラ鑑賞とトレッキングを同時に満たせないと痛感した。ちなみにオーロラという発光現象は一年中昼夜問わず発生していて真っ暗になり雲さえなければいつでも見ることができるらしい。
 その他
・地図は現地で購入するか地図アプリを入れておくべき。
・濡らさない対策は必須。雨などで衣類が濡れるとほとんど乾かない。帰国後の蒸し暑い日本はなんでもすぐ乾いてちょっと感動した。
・湿地帯が多く泥だらけになるのでガーターはあると便利。
・8月中旬は日本の夜のように真っ暗にはならなかった…はず。白夜の時期ではなかったが、北のほうに太陽が残っていた。夜中に何度も目が覚めたが、いつも明るかった。
・北極圏は虻がすごい、と聞いていたが、クングスレーデンでもすごかった。歩いているときや風があるときは問題ないが、立ち止まって景色を見ているときやテントを張っているときなどはまとわりついてきてイラついた。またテントの中にも入ってくるので、寝る前は虻を全滅させてから寝た。
・水場はたくさんある。流れてる水からとること。
・テントはアビスコ国立公園の外ではどこでも張れる。ただし湿地帯が多いので、どこにでもというわけではない。また強風にも注意が必要。トイレはどこでもご自由にとのことだった。
・トレッキング後半は小屋の近くにテントを張ったが、気にいった風景の場所に張って大自然を体験すればよかった。
・サウナに入るなら水着を持参すべき。川や池での沐浴は水が冷たすぎるのでお勧めできない。
・事故の時は各山小屋でヘリコプターを呼ぶことができるらしい。もちろん有料。

・小屋の売物は小屋により異なる。自分が見た限り肉を売ってたのはサイカだけ、パンを売ってたのはケブネカイゼだけだった。ちなみに野菜、果物、カップ麺はどこの小屋でも売ってなかった。
・ケブネカイゼとアビスコの小屋には給湯器があった。カップ麺を持ってけばよかった。
・ガスを売ってる小屋は多かった。アビスコかNikkaluoktaどちらでも購入できる。

・アビスコにはスーパーがある。Nikkaluoktaにはなさそう。
・Fjällräven Classicはお盆休みの時期に開催される? こういうイベントと日程が被るとキルナ行きの飛行機が取りにくくなるので注意。

クングスレーデン7日目: Kebnekaise ~ Nikkaluokta

2017年09月28日 | 201708クングスレーデン
 この日はトレッキング最終日。KebnekaiseからゴールのNikkaluoktaまで歩いた。
 雨は寝ていた間も降り続けていた。テントの底がかなり湿っていてマットの裏はびしょ濡れだった。よくこんな状態で一晩過ごした。テントの外に出ると晴間が見えたので、雨の心配はなさそうだ。
 この日は16:30のキルナ行バスに間に合えばいい。Nikkaluoktaまで20kmだから7時間もあれば十分だろうと、Kebnekaiseでのんびりして出発。

 標高が下がったせいか背の高い木々が現れ展望がなくなってしまった。そしてKebnekaiseへの電線が見えるのは悲しい。ひたすら歩くだけ、という面白みがないトレッキングで気持ちも冷めてしまった。
 ボート乗場。詳しいことは分からないがNikkaluokta方面からボートでやってくることもできるようだ。
 途中で晴間が出て気温が上がってきた。時間にゆとりがあるので休憩がてら、昨夜濡れてしまったダウンジャケットとマットレスを干してみたが少しすると曇ってしまって全然乾かなかった。ここの人は洗濯どうしてるのだろう?
 さらに進むとボート乗場兼レストランが現れた。鹿肉のハンバーガーがあるようだ。



 ここからNikkaluoktaへは砂利が敷かれていて整備度が高い。そんなところを2時間ほど歩き続けた。
 そして迎えたゴール。三角のゲート。ちょうどスタートする女性の団体がいた。おどけて両手を上げてゴールしたら祝福してくれた。

 女性の団体がスタートして姿が見えなくなり静かになると、もう一度ゴールの余韻を味わった。ようやく終わったという思いともっとやりたかったという思いが交差する。けど体はボロボロだし食料はないので帰るしかない。

 16:30のキルナ行バスに乗車。バスはトレッカーでいっぱい。1時間ほどでキルナに到着した。

 キルナのバスターミナル到着。まずは観光案内所へ。地図を入手しとスーパー、テン場、食事などの場所を教えてもらった。
 まずは空腹なのでコスパがいいと勧められた店へ向かった。食事は脂っこいがなんでも食べれる。

 街中は特に見どころもないのでテント場へ向かった。キャンプ代を聞くと3000円くらいと高額だった。ダメ元でタダでテント張れる場所を聞いてみた。すると「森の中ならタダだ」と教えてくれた。森の中でテント貼るのは自由、というスウェーデンの法律があるらしい。
 地図を見せてキャンプリパンの周りのスノーモビル道沿いははどうと聞いてみたら、いい場所があるよとのこと。早速この場所へ向かうと遊歩道という感じで犬の散歩やランニングしてる人がいた。テント張り終えても通行人が通ったが何も言われなかった。まあ大丈夫だろうとテントに入り横になる。遠くで木を切り倒してるのか不気味なモーター音が聞こえた。
 空がきれいな夕日色になっていた。

クングスレーデン6日目 Kebnekaise登山

2017年09月28日 | 201708クングスレーデン
 この日はトレッキング6日目。スウェーデン最高峰Kebnekaiseを登頂した。
 朝7時前。テントの外に出ると快晴。青空が美しい。午後に天気は崩れるという予報だったので、早々と支度をしてテントを出発した。テントはテント場に設営したまま、アタックザックに貴重品と水と食料だけ持って出発。
 登山ルートは写真の通り緑のラインの一般的な登山道Vastraleden。赤線はガチの登山ルートなので装備やガイドなしでは歩けない。

 登りはそんな辛くない。今日は荷物が軽いのでスイスイだ。谷間を流れる川のそばを登ってゆく。この辺りは植物も豊富だった。振り返って上から見下ろす景色もいい。

 やがて橋が見えてきた。以降は岩だらけのガレ場となった。毎年数件ほど事故が起きてるから気をつけて、とスウェーデン人トレッカーに注意されたのを思い出した。

 ガレ場を抜けても登りが続く。隣の山肌には雪が目立っていた。自分の足元に残雪が現れ始めた。

 登り終えるとケルンだらけの場所でまだまだ先があるようだ。登りきると山頂と思ってたのでガッカリ。そして雲とガスで薄っすら暗くなった。

 ケルンだらけの場所からは下りになった。さっきの登りを返しておくれという気持ちになってしまう。岩だらけでところどころ雪が残っているので慎重にゆっくり下った。

 その後は再び登りとなり、登るにつれて足元の雪が増え、風や雨が強まってきた。1時間ほど登ると小屋が見えてきた。この辺りは登山者が減り始めてだんだん心配になってきた。まだ歩けるし何人も追い抜いたから大丈夫だろうと前進する。

 2つ目の小屋を過ぎるとほぼ雪だらけの風景となった。岩石の先端だけが見えるという感じ。さらに進むと雪が増し、最後はスキー場のように雪一面となった。しかもガスと風で視界が悪く足元の足跡しか見えない。もちろん誰もいないのでこの足跡だけが頼り。途中、ピッケルロープ、ハーネスなど重装備の人に追い抜かれた。必死についていったが、すぐに見えなくなった。

 緯度が高いデナリは第4の極地と言われている。ケブネカイゼも同じように緯度が高いから、標高2000m程度とはいえ厳しい環境だろうと予想してたが、まさか真夏にこんな雪だらけになるとは…。
 雪の中を進むと幸運にも人に会えた。オランダからの登山客と先ほど追い抜いていった重装備の人だった。重装備の人はレンジャーで後から登ってくる団体のためにロープを張っていた。オランダからの登山客は、頂上は先だが悪天候だから引返すとのこと。これ以上は風と雪で寒いうえに、道もほとんど見えなくてやばい。登頂できないのは残念だが引返そうと、オランダ登山者と一緒に雪道を下山を始めた。
 少し下ると犬を連れたスウェーデン人4人組が登ってきた。彼らに聞くと頂上まであと5分とのこと。5分で一緒に登ってくれる人がいれば大丈夫だろうと彼らに続いて、再度登頂を目指した。
 登った先はさきほど重装備の人がロープを張っていた場所だった。すると4人組がスウェーデンの旗を取り出し記念撮影を始めた。別のスウェーデン人の団体がやってきて、山頂!と大喜びしてる。山頂の看板はない。本当に山頂? 一国の最高峰がこれでいいの?と唖然とした。

 4人組が下山を始めた。本当に山頂なのか、と腑に落ちないまま4人組と一緒に下山を始めた。
 相変わらずガスと雪で視界が悪いので団体と歩いたほうが確実、と図々しく4人組と一緒に下山させてもらった。少し道に迷ったが小屋に到着。小屋の中はゴミだらけだった。1時間休憩してからのんびり下山。
 冷たい雨が降っていた。寒さには慣れてきたのかさほどつらくはない。しかし下山するにつれ雨足が強まった。雨水がテントに浸水してなければいいが。
 ようやくケブネカイゼに到着し、4人組と別れてテントに戻った。雨水が土に入り込み、その土がテントの底を濡らしていた。自分もびしょ濡れでズボンは泥だらけ。こういうときにテントに入るのは憂鬱だ。早々と着替え、寝袋に包まり暖を取ってたらそのまま寝てしまった。

クングスレーデン5日目 Salka ~Kebnekaise

2017年09月28日 | 201708クングスレーデン
 この日はトレッキング5日目。SalkaからKebnekaiseまで歩いた。
 天気はイマイチ。7時頃トレッキング開始。Salkaから見えた山の上のほうが真っ白け。クングスレーデンはもうこんな季節なのだ。

 振り返ると景色が素晴らしい。しかし雨が降り始めて、またもや暗い雰囲気の風景になってしまった。
 Singi小屋へ向かう看板を到着。Singi小屋はKebnekaiseへの最短ルートから離れた場所に建っている。スルーしてKebnekaise方面へ。
 途中シカの群れが遠くに見えた。あいにくシカは自分から遠ざかっていった。野生のシカに近づくのは難しそうだ。

 谷間に入る。急峻な崖を見ながら歩く。こういうところは力強い特徴的な風景だった。ところどころ水が流れていて滝のようになっている。あのように岩は削れてゆくのだろう。

湿地帯。

 ビューポイントからの景色は絶品。近くにテント張ってる人もいる。自分も設営したいが翌日のケプネカイゼ登山向けにいい場所に張りたいので進むことにした。
 アンテナが見えてきた。あれがゴールだろう。しかし全然近づかない。ゆっくりと歩いていくとケプネカイセから下山するトレッカーに出会い、図らずも登山口を見つけることができたのは幸運だった。
 ようやくケプネカイセ小屋に到着。テント場所を捜索。明日はケブネカイゼ登山中テントを張りっぱなし。前日に強風吹き荒れる風景を見てしまったので風を遮る場所に張りたかった。木々は多いものの風をよけられる場所は先行者に占拠されていた。少し微妙な場所にテントを設営。大き目の石でペグを固定した。

 ケブネカイゼ登山の情報収集のためケブネカイゼの小屋へ向かった。中に入ると多くのトレッカーや観光客?で賑わっていた。バーやくつろぐスペースもあるしwifiが飛んでいる。トイレも普通の水洗トイレだったし給湯器まである。山の中だが都会にいるような感じがした。



 翌日の天気予報とケブネカイゼの雪の状態を聞いてみると登れそうで一安心。明日のケブネカイゼ登山に向けて就寝した。

クングスレーデン4日目 Alesjaure ~ Tjaktja ~ Salka

2017年09月28日 | 201708クングスレーデン
 この日はトレッキング4日目。Alesjaureから、Tjaktjaを経由しSalkaまで歩いた。
 この日の夜は強風と雨音が気になって眠れなかった。天気は回復するだろうか? 

 朝7時行動開始。テントを片付けトイレへ。トイレ前は列になっていた。長く待ってると小雨が降り始めてテンションが下がる一方に。
 スタート時は小雨で薄暗い。暗黒北極圏の風景となった。小屋のそばの湖に流れ込むであろう川のそばを進んだ。しばらくすると雨脚が増して向かい風が冷たかった。

 途中で虹を見ることができた。こんな早い時間の虹は初めてかもしれない。クングスレーデンの虹はきれいなアーチ状の虹ではなかった。

 さらに進むと雨と強風による寒さで感覚がなくなってきた。こりゃしんどい。なんで8月にこんな寒い思いをしなきゃいけないんだ。
 Tjaktja小屋までは遠かった。山を越え川を越えという感じ。天気は一向に回復しない。ようやくTjaktja小屋が見えてきた。中で暖をとりたかったが、川の向こうに建っていて距離があるのでめんどくさくてスルー。すでに寒さと荷物の重みででかなり消耗していた。しかしここはまだ中間地点。先に進むしかない。

 この日は北上するFjällräven Classicの参加者と多くすれ違った。自分にとっては向かい風だが、北上する参加者にとっては追い風だろう。北上ルートにすればよかったとぼやきたくなる。登りが続き避難小屋が現れた。中は登山客でいっぱい。
 避難小屋からは下り。幸いに風雨は弱まってきた。ようやく岩に座ってのんびり休憩できる。

 川沿いを歩く。川の反対側の険しい崖の上にはトナカイの群れが見えた。もっと近くで見たい。AlesjaureのSTFスタッフは小声でFjällräven Classicの参加者が多すぎて臆病なトナカイは遠くへ逃げてしまったなんて言ってたが、トナカイを間近で見るチャンスはあるのかもしれない。

 山の上の方は雪で真っ白だった。数日後のケブネカイゼ登山は大丈夫だろうか、不安になる。湿地帯に入ると再び雨が降り始めた。もう勘弁してほしい…。容赦ない冷たい雨にうんざりした。

 こんな移り変わりが激しい天気を体験していると、無常という言葉が頭に浮かんだ。無常というと吉田兼好だが、この土地のほうが無常をより深く掘り下げた文学があるのではないかという気分になる。帰国後に調べてみたが、そういう文学作品はないようだ。 スウェーデン人と無常について語り合ってみたい。
 Saikaの小屋に到着。雨が強いのでとりあえず小屋に入ると多くのトレッカーが雨宿りしていた。ゆっくり落ち着けるような雰囲気ではなかった。
 しばらくして外に出てみると雨は弱まったもののテントが吹っ飛ぶんじゃないかと思えるほどの強風になっていた。この小屋の周りも木々がなく強風を遮るものがなかった。疲れと寒さから早くテントを設営して寝袋にこもりたいが、これではテントの設営もできない。

 しばらく様子を見てると、隣で同じように様子を見ていたトレッカーが小屋のスタッフと話をして、小屋の後ろにテントを張る許可をもらった。スペースが余ってたので自分も便乗して、小屋の裏にテントを張り始めた。
 すると昨日一緒にAlesjaureまで歩いた学生二人組がやってきて「手伝おうか」、と声をかけてくれた。自分がテントを張っている姿をたまたま小屋の中から見ていて応援に来てくれたようだ。これにはさすがに嬉しかった。また再会できたことも、助けようという心意気も嬉しかった。スウェーデンには熱い人がいるもんだ。
 あとでサウナで、とのことなので少し落ち着いたらサウナに向かった。
 ここのサウナではエストニアのトレッカーがエストニア風サウナを披露してくれた。サウナでは水を焼石にかけて蒸気にするが、缶ビールを持ってきて少しビールを混ぜた水を焼石にかけた。するとビールの匂いがサウナ室に充満し、独特な空間となった。そして余ったビールはサウナ室にいるトレッカーで回し飲み! なんとも粋で熱いサウナを体験できた。

クングスレーデン3日目 Cunojavri湖畔 ~ Unna Allaks~ Alesjaure

2017年09月28日 | 201708クングスレーデン
 この日はトレッキング3日目。Cunojavri湖畔を散策後、Unna Allaksを経由しAlesjaureまで歩いた。
 早朝にCunojavri湖沿いを散歩。池に映る雲や山が美しい。雪が多いのは標高高いからだろう。しかし歩いて10minほどで渡渉ポイント到着。川幅は狭いものの深い川だった。いきなりで面倒くさいがサンダルにはきかえて渡渉。朝の川は冷たく一気に目が覚めた。



 道はしっかり整備されているのでさらに歩くと遠くに家屋が見えた。あそこに人は住んでいるのだろうか。どんな暮らしをしてるのか、興味があるので進んだ。しかし無情にも目の前に川幅の広い川が現れた。さすがにもう一度渡渉はしたくない。もう一時間ほど歩いたし、景色も楽しんだのでテントに戻ることにした。

 テントを片づけて、Unna Allaksへ戻る。東に向かうので日差しがまぶしい。復路では素直にUnna Allaksへ戻れた。

 小屋でトイレ休憩。前日にこの小屋で出会ったグループは10時という時間なのにのんびりしていた。忙しなく歩いてる自分はなんなのだろう?
 Alesjaureへの道を歩く。昨日歩いたAlesjaureへの道なので正直テンション下がる。この日は天気がよかったので気持ちよく風景を楽しみながら歩けた。太陽の光を浴びたクングスレーデンは本当に美しい。



 Unna Allaksに泊まったスウェーデン人学生二人組に追い抜かれた。彼らは純粋に馬力が違う。先行した彼らは道が不明瞭だからか迷っているようだ。自分は昨日歩いているので、おおよその道は分かるのだがなかなか追いつかない。彼らが休むたびに追いつくを繰り返した。休憩中に彼らにコーヒーをご馳走してもらった。ありがたい。40近いオッサンが20代の学生にコーヒーをご馳走してもらうなんて、あっていいのだろうか?
 前日の渡渉ポイントに到着。サンダルに履き替えて渡渉。相変わらず川の水は冷たかった。川を渡った後の登りで学生さんに再び追いついた。ランチをとっているので自分も食事をしつつ雑談。
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 その後の道は道が分かりにくいだけでさほど辛くなかった。先行している学生さんが前方遠くから道を示してくれた。下りに入る辺りでまたもコーヒーをご馳走してくれた。

 最後は下り。晴天で素晴らしい展望。ようやくAlesjaure小屋の近くの集落が見えてきた。

 Alesjaureに向かうとFjällräven Classicの参加者がわんさかいる。静かだった登山道が賑やかになった。
 小屋の手前にテントを設営。強い風が吹いていたので風を避けられる場所がよかったが、Alesjaureの周りに樹木はない。なかなかいいポイントがないのである程度妥協してテントを設営。
 この日はサウナへ。サウナは更衣室、シャワー室、サウナ室という順番に部屋があった。更衣室で水着に着替え。シャワー室では桶からお湯と水をとり、手桶で自分の身体にかけるスタイル。お湯が少ないので温度調整が難しい。体を一通り洗うとサウナ室へ。
 サウナ室内は社交場のような感じ。世界中から集まったFjällräven Classicの参加者が雑談してる。コーヒーをご馳走してくれたスウェーデン人学生二人もいた。彼らは一通り温まると川に飛び込みにいった。自分はそんなことは無理なのでシャワー室の冷水でクールダウン。
 登山中のサウナなんてもちろん初めてだが、正直温泉のほうがいい。大量のお湯で汗を洗い流したい。とはいえサウナが北欧スタイル。これもいい経験。
 サウナを出るとAlesjaureの周りはFjällräven Classicの参加者でテントだらけとなった。紅葉時期の涸沢はこんな風景だろうか。


クングスレーデン2日目 Abiscojaureから15km地点 ~ Unna Allaks ~ Cunojavri湖畔

2017年09月28日 | 201708クングスレーデン
 この日はトレッキング2日目。Abiscojaureから15km地点からUnna Allaksを経由しノルウェーのCunojavri湖畔まで歩いた。
 何度か目が覚めたが、目が覚める度に明るかった。白夜の時期を過ぎているので白夜ではないはず。テントの外に出ると、雨はやんで朝日に映し出された風景が見事だった。クングスレーデンすげえ。

 天気も良いので気持ちよく歩き出した。風は少し冷たいくらい。道は相変わらず湿地帯でぬかるみだらけだったが、少し進むと遊歩道っぽくなった。遠くに湖が見え、その近くにテントを張っている人もいるようだ。しばらく歩くと湖沿いに出た。

 しばらく歩くと川幅がある川渡りあり。これが初の渡渉ポイント。川の水は想像以上に冷たかった。

 10キロ歩くと遠くに小屋が見えてきた。ようやく目的地が見えてきたので元気が出る。快調に足を進めると看板が現れた。看板にはUnna Allaks12キロとある。Unna Allaks目指して歩いていたのになんで残り12キロもあるの? どういうこと? 状況整理のため、小屋へ向かうことに。

 クングスレーデンの地図の前で、ここはどこ?とSTFスタッフに聞くとAllsjaureと書かれた場所を指した。Unna Allaksじゃないの?と聞くともっと西の方を指差した。どうやら道を間違えて、西に向かってるはずが南へ歩いてしまったようだ。写真の看板どおりに歩いたはずなのにどうして?

 さてこれからどうしよう? 完全に計画が狂ってしまった。AllsjaureからUnna Allaksへ行くと、明日は同じ道を戻ってこなくてはならない。それはさすがにつまらない。しかしゴールを目指しても後々時間を潰すのに困る。ということで時間も余力もあるので15km先のUnna Allaksを目指すことにした。STFスタッフにUnna Allaksへの道を聞いて歩き出した。
 Unna Allaksへはまずは登り。水が流れる場所の脇を登ってゆく。晴れの時間帯で暑い。この辺りは植物も豊富で花がきれいに咲いていた。

 登ってゆくとガレ場になり一気に植物は減った。と同時に雲が出始めて暗くなり、遠くに雪渓が見えた。標高1000mほどで雪が残ってるとはさすが北極圏、と妙なことに感心した。雪渓をいくつか登ると、風が冷たくなり体が冷えてきた。そして最後の雪渓を登ると、道が消えてしまった。

 踏み跡が全くない岩石地帯を先に進むが、こんなところが登山道なはずがない。幸い岩陰で休憩している二人組が遠くに見えてそちらのほうへ進むことに。近づいてゆくと食事しているのが見えた。食事中に話しかけるのは迷惑かなとためらったが、挨拶をして道を聞いてみるとノルディック用のサインを目印に歩けばいいと教えてくれた。なるほど、そういうことか。
 食事を片づけて歩き始めたが、自分のほうが早いので先行する。ガレ場を進むと坂の下に川が見えた。ここが聞いていた靴を脱がないといけない川だろう。周りは雪だらけ、この雪解け水が流れているのだろう。



 サンダルに履き替えて川渡り。川の水は冷たく川は藻で滑りやすかった。
 川の先は砂利地帯と湿地帯の繰り返しだった。しばらく歩くと雨が振り始めて風も強くなってきた。道はあってないようなもので目的地に向かっているのか心細い。雨でずぶ濡れになり、暗い雲と見渡す限りなにもない原野を歩いていると、絶望的な気持ちになってきた。



 道は再び登りとなった。ようやく登りが終わりゴールの小屋が見えるかと期待したが、それらしきものは見当たらない。時間的にはそろそろゴールが見えてもよさそうなのにどういうこと?とイライラしながら進むしかない。1時間ほど追加で歩いても小屋は現れず心細くなっきたところ、ようやく小屋が見えた。さすがにホッとした。

 Unna Allaks到着は16:15。小屋到着と同時に雨脚が一段と強まった。別ルートから到着したトレッカーと一緒に小屋の中へ。
 ノルウェーへの登山道情報を入手したいがSTFスタッフが散歩に出かけてるらしく不在だった。小屋にはスウェーデン人が3組いた。彼らは小屋に宿泊するので料理を始めたり、竈に薪と火をくべたりと泊まる準備を始めた。薪割りで出た木くずをホウキとチリトリでしっかり後片付けをしたり、調理後にキッチンを異様なほど丁寧に掃除していたのには驚いた。スウェーデンの人間は予想以上にしっかりしている。アジアで適当な人間を見慣れてるせいか新鮮に見えた。
 19時前にSTFスタッフが戻ってきた。この辺でタダでテント張っていい場所ないか?と聞くと、1時間ほど歩いた場所にあるノルウェーの湖沿いのビーチがおすすめとのこと。だいぶ休んで体力は回復したし雨も止んだ。さっそくノルウェーに行くことに。
 西日に映し出されたUnna Allaks の風景は本当に美しかった。美しさに見とれたからかUnna Allaksを出発してわずか5分で道を見失ってしまった。しばらく進むが湿地帯でぬかるみだらけの場所に出てしまった。これはヤバいとGPSを見て正規の道に戻った。

 しばらく歩くとノルウェーとの国境に到達した。スウェーデン側とノルウェー側にそれぞれケルンがある。国境監視小屋みたいなものだろうか、遠くにオレンジ色のちょっと大きな建造物が見えた。

 ノルウェー側に入るとGPSの地図アプリが使えなくなった。スウェーデン側の地図は事前にダウンロードしたが、ノルウェーの地図はダウンロードすることなんて考えもしなかった。地図があれば道に迷ってもなんとかなるが、これでは無茶はできない。
 道なりに進むとCunojavri湖沿いの砂浜に到着。今日も長く歩いてヘトヘトだ。早速テントを設営するが、水辺だからか虻がまとわりついて困った。

 テント設営が終わり風景を楽しむ。周りは誰もいない。こんな素敵な場所に一人きりでテント泊なんて最高だ。しかも場所はノルウェー! 頑張って歩いてよかった。
 テント内に戻ると、テントに入り込んできた虻との戦いになった。こんなにいたら眠れないので全匹潰してから横になった。