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ならおうは穏やかに語る

Fly Fishingを中心に難しい話からヨタ話まで支離滅裂な雑文。
(09/08/23カウンターを付けました。)

ハイオクは灯油に近いんだ

2005-01-09 20:28:08 | クルマ
ハイオクを入れるとパワーアップすると思っている人が多いがハイオクを入れてもパワーは上がらない。
1)ハイオクはレギュラーよりも灯油に近く、引火温度が高い。
2)レギュラーの方が着火しやすい。
レギュラー仕様のエンジンにハイオクを入れてもパワーアップはしないこと。しかし、ハイオクには次の効能がある。
3)エンジン清浄剤を混合しているので、キャブや燃料噴射装置のガムを落とす。
つまり、目詰まりを落とすってことだ。結果的にメンテナンスしていることになる。

だが「ハイオク限定」のハイパワー車の存在は「高出力にはハイオクが要る」事を間接証明していると勘違いしている人が多い。

同じ排気量のエンジンで出力を向上するためには
A)熱効率を向上させる。
B)単位時間あたりの爆発回数を増やす(高回転にする)。
しかない。B)は高回転でわかりやすいだろう。

A)の熱効率を向上させるためには圧縮率を高める必要がある。高圧縮率は点火直前が高圧力になっていることは自明だ。圧縮率比が10という事は吸気した混合気を1/10まで圧縮して圧力を10倍にするということだ。圧縮率が高い=高圧ではガソリン分子と酸素分子の距離が近いので燃えやすいのだ。

ここで断熱圧縮という言葉を聞いたことがあれば話は楽だが、断熱圧縮によって混合気は一気に温度が上がる。(自転車の空気入れを使うと空気入れが熱くなるのも摩擦熱よりも断熱圧縮によるものだ。)

ところがこの圧縮工程の断熱圧縮で混合気が高温になるとどうなるか?点火前着火が生じる。最悪なのは上死点前着火だ。上昇途上のピストンに点火前着火による燃焼爆発で上昇と逆方向のブレーキがかかる。そしてコンロッド破損やメタル焼き付きを起こすわけだ。

次にノッキングの恐ろしさもある。上死点前着火を逃れて上手く点火したとしよう。点火プラグ周囲から混合気は燃えながら燃焼ガスとなり体積が膨張する(爆発工程)。混合気は燃焼ガスに触れた界面から燃焼していくが、界面から離れたピストンに近い混合気(生ガス)は一気に押し込められて加圧される。そして断熱膨張によってピストン近傍で自己着火する。これがノッキングだ。この瞬間ピストン表面は劣化する。

通常シリンダーやピストンヘッドに接した生ガスは燃えることなく(熱を奪われるので燃えにくい)、燃焼ガスがシリンダーやヘッドを痛めないクッションの役割を果たすのだが、その効果を無くしたらエンジン内部は一気に劣化する。
この自己着火を防ぐためには「点火しにくいガソリン=ハイオク」を使えばよい。

他にはシリンダー内部の加熱を防ぐために混合比を高め(ガソリンリッチ)、ガソリンの気化熱を使う方法もあるし、ガソリン以外に水噴射するシステムもある。(※外気の湿度が高いとノッキングしにくい。これは湿度が高いと燃えにくいからだろう)

最近のエンジンは後者のノッキングを防止するため、点火タイミングを自動で調整している。ノッキングの「キン」という音をセンサーで拾うと点火タイミングを遅らせるのだ。ピストンは下がっている最中なので生ガスが高圧になることは抑制される。

だが、上死点から遅れて点火するとパワーダウンするのは目に見えている。燃焼途上に下死点に達してバルブが開くわけだから爆発燃焼パワーは一気に低下する。

もう判ったとおもうが、ハイパワーを得るために圧縮率を高める。するとノッキングしやすくなるので燃えにくいハイオクを入れるってことだ。ハイオクを入れてもパワーは上がらないのだ。

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