乾酪庵 Cottage de fromage

スピブログとして発足しましたが、ただの日記になりつつあります。
最近は芸人さんの話題が多いです。

Ⅹ.家族論としての『TIGER&BUNNY』.おやすみバニー

2024-05-13 18:00:00 | TIGER & BUNNY

TIGER&BUNNY、感想最終話です。良かった聖闘士星矢感想みたいにエタらなくて

もう一度言いますが、こちらより先に本編ご覧になることをお奨めします。まぁもう遅いと思いますが 

 

 

 

そして最終回間際。信頼が常に失望に帰着するこの物語の中で初めての展開が待っている。

ルナティックは親に絶望してるので、意外と一歩退いて物事を見てるんだけど、バーナビーは親を亡くした年齢が幼すぎるのと、両親の綺麗な面しか知らないのでそれができない。親に対する期待を捨てられない。

あと多分、ルナティックはタイガーに父性を見るほど彼に依存してないからな。

と、思ってたけど~、Rising で~。(゚∀゚)ノ ひゃは~ 楽しそう

 

タイガーは再びバニーの信頼を取り戻そうとする。彼は父になるためのイニシエーションとして、または贖罪の儀式として、一度バニーにそうさせる必要があった。

すなわち『罰せられる』必要が。

過去に息子を裏切り続けた父親たちの罪をも一身に背負うがごとく。

 

ああ、これカノンとミロのエピソードにも通じるな。

しかしオスカルやミロと違って自らの意思でそうしたわけではないバニーは大変ショックを受ける。

タイガーにしがみつきながら、チャーハンがどうたらと泣き叫ぶバニーはまるで幼子のようです。

両親を亡くしたトラウマが刺激されている、つまりそれだけ虎徹のことを両親と同一視してるんだと思います。

 

一方のタイガーも、この土壇場で実娘(じつじょう、って読むらしい)である楓よりバニーを優先させてるように見える。

まぁ実はタイガーはこの時バニーほど切羽詰まってなかったのでそのせいもあるとは思いますが。

あー、楓ちゃんが娘である必要性も分かった。息子だったらバニーとの関係がブレるもんな。

 

当初状況的に大人にならざるを得なかったタイガーはやがて自ら父になることを選び、その儀式の実行者としてバニーを選んだ。

子ども時代が終わっていないバーナビーは、追い込まれてその役割を果たすのだけど(痛々しい…)、それがタイガーへの赦しになったことに気づいて力を得る。

これはバニーにとっても通過儀礼であったのだ。

 

ここで、父(罪人)であることから逃がれようとする者と、そこから決して逃すまいとする者  が登場するわけですね。

 

いずれにせよ、タイガーとバニーは、その信頼を取り戻しても尚、一度離れる必要があったのだと思う。結婚した友達と疎遠になるようなものだ。(そうなの?)

要は、大人と子供で、生きるステージが違ってしまったのだから。

ただそれは、再び同じステージに立つための準備期間。

 

かくして、またストーリーは始まるのです。

 

 

 写真AC
ウサギとトラ (トラ?)

 

長々とご清聴ありがとうございました。

TIGER&BUNNY 感想、完

…からの~?

この後『劇場版 Rising』の感想を書くよ~ 


Ⅸ.家族論としての『TIGER&BUNNY』.父の罪と息子の裁き

2024-05-12 10:00:00 | TIGER & BUNNY

今年の連休は結局これにかかりきりだった、ちょっとは出かけましたけど。

TIGER&BUNNY、9話目です。

ネタバレしないことは不可能なので、私も開き直ってます。笑

 

 

ここまで、タイガーにとっての Mr.レジェンド、ルナティックにとっての Mr.レジェンド、バーナビーにとってのあの人(別に言ったっていいんだけどなぜか抵抗ある)、と3本の柱が倒れるのを見てまいりました。

打ち砕けマンモスピラー、海底神殿は目の前だ。

というわけで、さて、この場合のメインブレドウィナとは誰にとっての何だと思いますか。てゆうかこの例え分かりづらいですかすみません。
関係ないけどブレドウィナって不自然な言葉だなぁとずっと思ってたらそういうことだったの

てゆうかもう大体分かったと思いますが。

 

 写真AC
おめでたい画像だが展開はシリアス。

 

バーナビーは冷静なようで意外と思い込みの激しいところがあるキャラだと思います。

前半はなぜそこまでというぐらいタイガーのことを毛嫌いしてくる。

一旦心を許すと今度は逆にただの失敗や違和感を、あなたは優しいからわざと~、とか全部好意的にとらえてしまう。

バニーにとある隠し事がある虎徹(と視聴者)は、内心そんなお前の優しさが怖いよと小さな石鹼をカタカタ鳴らす。また分かりづらいですか。若い読者さん置いてけぼりだな。(つ 神田川

 

考え方が極端というか、ある意味素直なのだとも思う。両親を早くに亡くしたバーナビーは、他人に警戒心をいだきつつも心の拠り所を欲していたとしても不思議ではない。

 

そしてとうとうその隠し事がバレ、虎徹の方も疲れてたのかブチ切れてしまい、ふたりは決定的に決裂する。

話しが前後するが、この時点ではまだ3本目の柱は健在だった。タイガーを信頼し始めていたバーナビーはこの決裂にショックを受け、その柱の下(もと)へ駆け寄ると…。

 

こっからはもう怒涛の展開なわけだが、つづきは本編にてどうぞ。

 

 

さて、この辺からがまたベルばらぽいなぁと思うんですが。

ベルばらって、娘であったアントワネットが、やがて国母となり実際に母にもなって、娘のままでいるオスカルに離反される物語なのですよね。

6/27 追記:この場合の『国母』は誤用だなと後から思ったのですが、例えとして分りやすいのでこのままにします。

ご丁寧なことに『娘』じゃなくなったオスカル自身もその二日後に…。
…てゆう話でしたよね。最後に視てからだいぶ経ってるので。多分原作とアニメで多少展開が違うし。

 

虎徹はメインキャラの中では唯一子持ちであることが確定してます。子どもを助けたり、他人の赤子を一晩預かったりして子どもに関するエピソードが多いし。え、もしかして虎徹と絡む子ども楓ちゃん以外ほとんど男の子じゃない? 気のせい?

息子として父に対する葛藤も見せながら自らも不器用ながらも父になろうとするのです。

 

しかしこの世界において父親は常に裏切りの罪を犯す者。裁きの鉄槌を下すのはルナティックか、それとも。

 

今回最終話のつもりで書き始めましたがやっぱり無理だったよ想定内だけど笑

つづく 今度こそ最終話の予定 


Ⅷ.家族論としての『TIGER&BUNNY』.母の不在

2024-05-11 11:06:09 | TIGER & BUNNY

TIGER&BUNNY、8話目。バーナビーの話、のつづきの前にちょっと寄り道。

 

ここまでずっと父親の話しをしておりますけど。

では他方で母親は何してるのさって話しですが、これことごとく何もしてない…、は、言い過ぎですが、役に立ってないというか頼りにならないというか

 

登場する母親キャラが、年寄り、病弱、メンヘラ、なんかぽわぽわしてる、遠くに住んでる上にいらんもんを押し付けてくる、もう死んでるとかばっかり。

いや、言い過ぎなのは分かってます。わざと極端に言ってます。すみません。

 

人間というものは男性でも女性でも基本的にマザコンなので、特に現代日本ではそうですね、父親は仕事一筋で家庭では存在感がない。

マザコンのキャラっていうのは枚挙にいとまがない感じです。例えば白鳥座あたりとか。

母親を理想化とか神聖視してる作品と言うのは多いですが、タイバニではさり気に落としてくる。

究極はサマンサおばさん。バーナビーが幼い頃面倒を見てくれた家政婦さんで、母親じゃないけど母親的なキャラです。

何も悪いことしてないのにあんな事になってしまって気の毒としか言いようがない。

 

 写真AC

 

これ、意外とジブリもそうなのでちょっと観察してみると面白いですよ。

ジブリじゃないけどハイジの時代からそうなので筋金入りですな。笑(ハイジは制作・権利関係がよく分からない)

聞けば宮崎監督はお母さまを幼くして喪ってらっしゃるのでそういうのも関係あるのかもしれないです。ハイジは宮崎じゃなくて高畑作品ですが。

 

さて。

そんな感じで、信頼していた父親的人物から裏切られ、生きてきた時間をほぼ丸ごとひっくり返されてもうぐっちゃぐちゃになるバニーちゃん。視聴者の情緒もぐちゃぐちゃですが、まだ本丸が残ってた。ここからさらに落としてくるぞ。

そして追い詰められる虎徹 さぁ盛り上がってまいりました ドSですなこの制作者。

つづく


Ⅶ.家族論としての『TIGER&BUNNY』.ウサギ一匹

2024-05-10 18:00:00 | TIGER & BUNNY

タイトルの “ウサギ一匹”。ウサギって一羽二羽って数えるんじゃないの?って思われた方、鋭い。

これは元々獣の肉食が禁じられてた時代、『ウサギは飛ぶから鳥です獣じゃありませんという屁理屈を言い出した人がいて、そこから“羽”って数えるようになったらしいんですよね。

なのでウサギを食料として数える時は “一羽二羽”、ですが、それ以外の時は “一匹二匹”、でいいみたいです。とは言え各自好きに呼べばいいと思うよ。

 

TIGER&BUNNY、7話目です。今回がっつりネタバレします。

 

 

私もね、これが聖闘士星矢とかだったらそこまで言わないんですけど、TIGER&BUNNY の場合は本当に事前知識なしで先に本編視た方がいいですよマジで

とは言えこの辺境ブログまでたどり着いたからにはまぁ知識のある方だと思っていいでしょうか。分からないけど苦情は受け付けられないです。

 

私はこのシリーズの3話目で “とにかくしつこい父親” って言ったんですけど(そんな言い方はしてない)。その辺ちょっと整理します。

まず第一の父子的関係は虎徹と Mr.レジェンド。

第二はユーリと Mr.レジェンド、です(こちらは実親子)。

今回はバーナビーのターンです。

 

以前ちょっと触れたんですが、バーナビーの両親はすでに他界してます。

それも何者かによって殺害されている。犯人は捕まっておらず、バーナビーはずっと手がかりを捜している。

幼かったバーナビーはさる人物に引き取られ、ヒーローになるための筋道をつけてもらう。

その人物は社会的地位もあり、虎徹も、俺たちのお父さんみたい、とか言うとても分りやすい伏線を張ってくれる(もう配信終わってるのでこれは正確な台詞ではありません)

 

 写真AC(一部加工)
加工が下手なのは自覚はあるが力尽きた。

 

えー、ここまで見てきておわかりのように、この作品の構造はとにかく、

  • 父親を信頼する  失望する

を繰り返すんですよね。敵とかゲストキャラとかじゃなくて、メインキャラの精神的支柱になってる人物をいきなり外してくる。全然安心できない。

要は世界観、舞台装置からひっくり返してくるわけで、まさにどんでん返しの語源を具体化してくる。どんでん返しと言うのは歌舞伎の舞台転換からきています。

 

ここまでを読み返して分かってきたけど、まぁ繰り返しになるんですけど。

多くのヒーローアニメでは、親、大人社会を象徴してるのは敵キャラ、敵組織なんですが、パーマンでは味方キャラ(バードマン)で、それがとても稀有なのですよね。

(一般的博士キャラも父親的ではあるけど、あの人たちは前線で戦ったりしないからまたちょっと違う気がする)

タイバニの初期では親を象徴してるのがタイガーの精神的支えだった Mr.レジェンド、つまり味方だったので、私としては共通項を感じたのだなと改めて思うなど。

それをまぁひっくり返して来るわけだ。

 つづく 


Ⅵ.家族論としての『TIGER&BUNNY』.息子ふたり

2024-05-09 18:00:00 | TIGER & BUNNY

TIGER&BUNNY、ルナティックの話、つづきです。引き続きネタバレあります。

 

 

ユーリは元々は父に対して敬慕の念を持っていたと思います。それが憎悪と軽蔑の対象に堕ち、そこに葛藤が生じる。

一方で虎徹ですけど、こちらも詳細は分からないまでも、人伝にレジェンドに裏の顔があったらしいことを知らされる。ひたすら憧憬の対象だったレジェンドも無謬な存在ではなかったことを知ってしまう。

まぁ、虎徹は大人なんで、ショックではあってもどこかで折り合いはつけられるだろうと思うんです。ただユーリは少年の心で、その葛藤を抱えたままルナティック――狂気のヒーローとしての途を歩み始める。

 

レジェンドの方で一度会っただけの虎徹を覚えているかは分かりませんが、物語の中では虎徹とユーリはレジェンドをはさんで対称性が高い。息子が二人いるように見える。

見方を変えれば、虎徹とユーリはひとりの人間の別の面をふたりで分担してるとも考えられるのだ。

親からの暴力に耐え兼ねた少年がかつてのように純粋な気持ちに戻りたいと願った時、そこに現れたのがタイガーだったのかもしれないぞ。

 

で、この辺が私がこれベルばらぽい、と思った所以なんですけど。

タイバニでは子ども(息子)だったが、ベルばらでは逆に親(母親)がふたりのキャラに分けられている。すなわち母親の善性がオーストリアの実母、マリア・テレジアで、魔の面が義祖母にあたるデュ・バリー夫人である。

娘であるマリー・アントワネットはデュ・バリーを攻撃することで、自分を政争の具にした実母に対しての怒りと寂しさを癒してるんですよね。

これあくまでキャラクターとしてのマリー・アントワネットの話しで、歴史上の彼女がどうだったかって話しじゃないですよ、当たり前ですけど。

あとベルばらに関しては、私の考えではなく昔読んだある本に書いてあったものです。手許に無いのが悔やまれますわ。あの本で今の考え方の基礎ができた。

 

タイガーの方でもルナティックを意識してるシーンは多い気がする。

このふたり状況的にもっと対立していいと思うんだが、ルナティックは決して必要以上にタイガーを攻撃しようとしない。場合によっては守ろうとさえする。

(これを書いた頃、私はまだ『Rising』鑑賞前でした。)

一人の男の正義の体面を保ち、脆弱な素顔を否定するためにユーリは虎徹を必要とした。

虎徹は父親に憧れた幼い日の自分自身だから。

ユーリが虎徹を守ることで真に守りたいのは今や自分の心の中にしかいない正義のヒーローなのだと思う。

 

 イラストAC

 

これを書くので色々ネサフして知ったのですが、ユーリは当初タイガーの元相棒として設定されてたらしい。それ知ってなんかすごいすっきりしました

一方のバーナビーは、当初ルナティックがウロボロスの関係者と目してた頃以外はその他の犯罪者のひとりって感じ。あまり執着してる様子が見られない。

てかぶっちゃけ、バーナビーって両親と虎徹さん以外の人間に関心ないよね。2では幼なじみとか出てくるけどね。

まぁバーナビーの話は次回以降。 

つづく