王建欣、李凤云琴埙合奏《南风歌》,丝弦宋代古琴"南风"
はるか昔。
私は幼児であった。
昭和。
高度成長期。
魚津市の山あい。
にぎやかな
リゾート温泉があった。
坪野鉱泉である。
おそらく
私は幼稚園にも入っていない年頃であった。
温水プールがあった。
そこに行くのを楽しみにしていた。
ある日。
母と一緒に暖かなプールに逍遥していた。
温かな優しい
美しい母であった。
刹那。
私は柔らかな母の手をすり抜けて
より柔らかな深淵に惹かれた。
それは
大きな排水口であった。
何故かは分からない。
安定を棄て
危険なリスクをとる
男の子の危うい衝動。
もしくは
より原初の柔弱へ回帰せんとした
母胎回帰願望であった。
大きな排水口に引き込まれ
私の意識は遠のく。
真っ暗闇。
突然
視界が開けた。
川岸に
白、黄、桃、朱色の花々が
咲き誇る。
壮麗で光に満ち溢れた世界。
私の現世は短かかったが
罪をおかすことは少なかった。
ために
煉獄の火の浄めを免れ
天国、浄土に直行した。
私は
この世の母から天の聖母の手に
渡された。
私は闇を知ることなく
光から光へと招かれた。
おわり
高橋作(これは伝説を元にしたフィクションです)