Stanfordに来てすぐに「絶対に会うべき」と紹介されたクリス*の新作の上映と討論会が開かれた。彼女はカラスに注目して都市で構築された新しい生態系を自らの作品_Tokyo Waka_に描いた。興味深かったのは、アメリカで賛美される手つかずの自然ではなく、都市化に伴って新たに生成した二次的な自然を、彼女の住むアメリカではなく、東京をモチーフに提示しているところだ。合わせてカラスについての様々な人の声を集めることで、貴族によって表象され、日本人のそれとされてきた花鳥風月的な自然観に対して、人々の日常にかいま見られるもう一つの自然観がうまく描かれている。
刻々と変化するその表情から、東京を生き物になぞらえてその変化をメタボリズムと語る人の声を拾ったのはこのドキュメンタリーに諸行無常という一貫性を観る側に意識させる上で効果的だと思った。
*クリスティン・サミュエルソン(Kristine Samuelson)はStanfordの教授でドキュメンタリー制作者。
11月17日@カミングス講堂