『 うさぎの言霊 』 Rabbit's Kotodama 

宇宙の謎、神と悪魔と人とは?

《 第二章 》 〈 第一話 〉 正邪の進軍 ( 前 編 )

2019年02月02日 16時34分15秒 | 小説



       《 キャラクター&キャスト 》

    ( 天神七代神 )

 初  代  元無極躰主王大御神( 創造主 = 主神 スシン ) 北大路 欣〇

 天神六代  国万造主大神( 大黒天=破壊・再生・生殖の最高神 シバァ )
                      西田  敏〇

 天神七代  天御光太陽貴王日大光日大神

      ( 天照日 アマテルヒ 大神 )
       東京 「神の光玉」 守護神  中村  雅〇 



   直径一キロとしていますが、ちょっと小さいので、
   直径三キロでお願い致します。
   でないと、800万の神々は収まらないと思ったからです。

   

    《 天神七代神専用 浮遊議長席 》

  下書きで未完成です。でも雰囲気は掴めますよね。

この細部を描いて彩色するのは、時間が掛かり過ぎるのでやりません。
どうか、どうか御了承くださいませ。


更に、この「正邪の進軍」のお話は、あまりにも長文なので、
二分割と致しますので御了承ください。


さて、正邪の最終決戦の火蓋は切って落とされました!
常人には予測不能! 理解不能? 驚愕の展開が待っておりますよ!

 神の光玉の群衆達は、裁きの天使から流星火矢を受け、
 生と死に直面し、動揺を隠せません。

翻弄される人間がこの窮地を、どう脱していくのか?

 そして、主神が封印していた霊的な力が解き放たれていきますが、
 その力をどう使うのか?

  愛と憎悪の力が両極端に作用していく様を、
  想像しながら御覧ください!



          《 推奨BGM 》

       アントニン・ドヴォルザーク作曲

   交響曲第九番ホ短調 作品九十五 『 新世界より 』 第一楽章 

       ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 
       ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団   
   


  


( 執筆当時の作者時間 ) 二〇〇九年七月八日(水) 午前二時 


    二〇 X X 年十二月十九日(金)午前7時 ジャスト
          カウントダウン ( 72:00 )



   正神軍司令部の大神様はじめ四大天使の皆様は完全武装され、
   その魂と御目からは轟々と燃える闘気が溢れ出ております。

   場内には、只ならぬ緊張の糸が張り巡らされているようです。

    勿論、幾多の野鳥や昆虫等は羽根を休め、
    息を押し殺しているのでしょうから姿は見えません。

      軍配を右手に持たれ、大黒天様が神々に対し、
      開戦の宣言をなされるようです。



      《 正神軍の皆様、いよいよ時が来ました。 

            この時が!

         狂おしい程の怒りを抑えるのに、
      皆様も御苦労なされた事は良く存じております。

    そして、あの主神様の長くて太くて強い堪忍袋の緒も、
           とうとう切れました。

       この場からでも、その極限のお悲しみ、
      お苦しみが我が胸に突き刺さって来るのです。

  全く許し難い行為を、邪神軍と我が神の子人は積み重ねてきました。

        ・・・ さあ、もう時間です。

    我等は主神様の愛と悲しみが、どんなものであるかを、 
        邪神軍と人間達に誇示すると共に、
     醜く堕落した不逞の輩を拘束断罪するのです!!


    大黒天様は深呼吸をされると、
    軍配を高々と上げられ、一気に振り下ろされました。


 《 陣太鼓を打ち鳴らせぇーい! ラッパを吹き鳴らせぇーい!
   裁きの天使達よ、火矢を番え狙いを定めよおおぉーっ! 》



     ああ、太鼓とラッパの音霊が聞こえます。

    それに見上げると確認出来ます。
   有り得ない光景。不気味な程、
  暗い雲の下に無数の赤い星のような光が ・・・

  私、息が詰まって血が凍り付きながらも、
   目は血走っているような気が致します。

    そして、武者震いが ・・・ これが戦慄というものでしょう。


      叡智晶には深紅の弓に火矢を番えた
      天使の映像が映し出されました。

     その火矢とは赤い光りの束に見えます。
    その紅の火矢を、天使がギリギリと引き絞っています。


  《 とうとう始まる、始まるぞ~! 》 チュウ、チュウ~~!


    駒沢公園の皆様も黙想を解かれて、
   雲下の星に気付き戦慄で体が硬直しているようです。
  どよめく声ばかりが辺りを支配しています。

 クオォ~~~ン ・・・ クウオォ~~~~~ン ・・・

  翼を広げた鳳凰の鳴き声が響いています。 

   恐らく全次元に ・・・

     大黒天様は頭上の鳳凰と大神様方を見つめられた後、
       全身全霊から炎の神気を放出されました。


      《 只今より正神軍は進軍を開始する。
        邪神軍よ思い知るがいい!

       流星火矢を放てぇーーい!!! 》
 



     全世界の神の光玉内の人が、今何をしているのか?・・・
    恐らくそれは、私と同じく上空を見上げていることでしょう。

  流星火矢は一気に降り注ぐと思いきや、
  緩やかに落ちる光のシャワーの如くに、我等が頭上に迫っています。

 裁かれるという真実を知らぬ当人達は、
 皆と一緒にうっとりと天空に描かれる神の絵画に見蕩れています。

  ただ何事か気付いた憑依霊やその他の邪霊達は、
  ジタバタと足掻き始めました。
   無数の悲鳴も聞こえます。

     もう遅い、逃げ隠れする事等は出来ないのに ・・・


《 当然だ。流星火矢は魂に照準を合わせれば、
 自動的に魂を追って貫くのだから、外しようが無いのじゃ。

  故に速度は関係無い。

  人間の兵器で言う、
  レーダー誘導や赤外線誘導ミサイルのようなものじゃ。》

   チュウ!


「 これは、恐るべき兵器で御座いますね。」

《 じゃから、余程の事がない限り使用許可は下りんのじゃ。》


 あああ、とうとう火矢の第一波がぁ~、地上に到達致しましたぁ~。   
 うわっ、既に第二、第三波と次々に絶え間なく放たれている。

  あっ、バタバタと場内の人達が倒れてゆきます。
  逃げ惑う邪霊達も断末魔の悲鳴を上げています。

   この場内は、幾千万に及ぶであろう
   邪霊のもがき苦しむ姿で溢れ、見苦しいのなんの。

  ただ、憐れでなりません。
  こうなることは分かっていた筈なのですが ・・・

 今頃、神に詫びている者もおります。
 がしかし、その祈りも空しく火矢が命中しました。

  解せないことに、目の前には一風変わった光景が広がっています。

 急に倒れた家族や隣人を目の当たりにして、
 現実を理解出来ずにいる者が殆どですが ・・・
 そうでない者も。

  全員に火矢は当たっているのに、
  苦しまずに倒れて心臓の鼓動がしない者と、
  恍惚の表情で歓喜の声を上げる者がいるのですから ・・・

   ああ、分かった。

  そうか、人の醜い魂と憑依霊、
  その他の邪霊に火矢が打ち込まれた訳だから、
  元々魂が綺麗な者は、憑依霊の呪縛から解き放たれ、
  そりゃあ痛快軽快爽快といったところでしょう。


《 気付くのが~、遅~い。》  トロ~イ。

「 も、申し訳ございません。」


   あ、剣三郎が動きました。 ただ、涙を堪えています。


「 皆さん、落ち着いてお聞き下さい。

只今、黒須様から通信がありました。
それによると、光玉内で幾多の人が亡くなっておりますが ・・・
それは神様の御都合でそうなった事でありますから、
あまり嘆かないで下さい。

その方は救いの死を与えられたという事で御座います。
つまりは、魂は抜けてもその場で祈る事が出来る訳です。

どうか ・・・ 心を乱さずに、
これからの祈りに集中して頂きたいと思います。」


  これは、止むを得ない嘘で御座います。
  その場で祈ることができる条件は、
  あくまで魂が規定の範囲内の美しさがなければなりません。

 邪念邪欲に惑わされ、邪道に流され惰性で生きる者が、
 この聖域に留まることはできないのです。
 聖者補佐役の剣三郎が嘘をついたのは方便でしかありません。
 つまりは亡くなった遺族の志気を下げない為のものです。

  あれっ、火矢を受けた霊達が、
  まるで汚れた絨毯が引き摺られるように、
  南西の方角に向かっている。

 しかも、北東側からも絶え間なく、どんどん押し寄せて来ている。

  うわ、こっち見ないでくれ。 気ぃ~持ち悪いですねぇ。
  この火矢を打ち込まれた霊達は、
  神の光玉外に出される訳ですが、その後どうなるのだろう?


《 それはな、三日間激痛を存分に味わう以外は何も出来ない。

それと火矢を受けた魂は、
光玉の中心から放射線状に退場させられるのじゃ。

 さっきの高木や、その仲間の魂も流されて行ったわい。
 この者達は兵力にはならん。
 邪神軍も読んではいただろうが ・・・ ただ、情けないのお。》 

   チュウ。


「 絶望と激痛以外にない道ですか ・・・
 そんな道を歩む者が、無数にいるのですね。
 その姿を、主神様は見続けなければならないとは、
 それも想像出来ない苦しみですね。」


《 おぬしの言う通りじゃな。主神様が一番お辛いのじゃ。
 だが後に引けぬ者は、意地と誇りを掛けて反撃に出る。
 その霊眼でも分からんじゃろうが、
 横浜の港付近に邪気が充満してきておる。
 直に、そのおぞましい姿が物質化するであろう。》


「 横浜ですか、ちょっと邪気が向かう方向位しか分かりません。」


《 そうか、まあ聞きなさい。
 よいか横浜目掛けて北と東日本の邪気が集まる。

動物に転生していた魂と肉身まで加わるのじゃから、
とてつもない数じゃ。
それに加えて光玉内の邪気も加わるのじゃ。

 憑依霊は強制排除されたが、
 魂の輝きと性格や想念が急に聖者並になる訳ではないからな。

ほら、見てみよ。
皆の魂と臍の周りを。あれは既に、人の霊眼でも見えている。》

  チュ~ウ。


「 それは・・・
 ああ、一人一人の頭とお腹から濁微粒子が溢れ出て、
 足元に流れ落ち・・・火矢の洗礼を受けた魂と
 一緒に流れて行くのが見えます。」


《 その通りじゃ。
 それと、今から又一つ封印されていた力が解き放たれる。

 「招喚の儀」の時のように、祈りの光線は勿論の事、
 濁微粒子に加え魂の輝きが見えるようになる。
 おぬしの霊眼の能力と同じになる。

 それがどういうことか分かるかの?》


「 それは、つまり嘘や不平不満であることが、
 口に出さずとも濁微粒子が出ることで、
 誰からもばれてしまいます。

  その度に濁微粒子が、
  邪霊の化け物のエネルギーになるものと思われます。

 また魂の光が見えれば、
 光の強さで人の価値が分かってしまう為、
 平常心ではいられなくなると思います。

 つまり、それら卑しい心根を徹底して
 鍛えるということでしょうか?
 これは、相当厳しい行ですね。」


《 うむ、なかなかの答えであるぞ。

 我等神の望みは、己の魂の光は「神の子」であるという
 「証」に他ならないということの強い認識と、
 己の罪穢の認識である。見えるのは三日間だけじゃがな。

これで、他人を思いやるという利他愛の訓練になる。
醜い言霊や悪想念を出せば濁微粒子が発生し
相手や己の魂を更に曇らせる。

 まずは、こんな世話を神にお掛けしていることの
 反省とお詫びが必要じゃ。
 それらの事柄を聖者が今、剣三郎に伝えているところじゃ。》


  神の心を慮るというのは、
  自分と家族、人間中心でしか物事を判断しない人達には、
  理解するのは余りに難しいことです。

   幾度生まれ変わったか分からない我々人類。

  正善美なるものより、邪悪醜の割合を多くしてしまいました。
  家族間でもその割合は、個人の努力の仕方で変わります。

   今まで包み積んだ悪い癖と曲がった性格に魂の曇り。
   改める最期のチャンスを活かすも殺すも我々人間次第です。



     現在時刻、午前七時十七分。


   まだ、場内は混乱が治まってはおりません。

  剣三郎の話に耳を傾けるも、
  家族や親友、恋人を亡くした者の心が静まるのには、
  まだ時間が掛かるようです。

   ただ、ここでもたついている訳にはいきません。  

《 人の執着心というものは、
 進歩向上を図る時には大きな足枷(あしかせ)となる。

 命懸けで出向いて来たとはいえ、
 強烈な体験に耐えうる精神と肉体を持ち合わせる者は少ない。

  だが、これ以上お通夜に付き合う訳にもいくまい ・・・

 あの剣三郎という男は、なかなか歯応えがあるのう。
 この状況を打破する為に、有志者を招集し対策を練っておるわ。》


   三十郎様が仰せの通り、有志者数百名以上はいるでしょうか?
   暫く協議した後に、それぞれ亡くなった方の元へ赴き、
   励ましているようだ。


「 聖者から指示はないのでしょうか?」


《 いや、剣三郎に一任したようじゃ。
 これが信頼関係というものじゃ。
 任せられない聖域には、助言しているがな。》


   これほどの人数、統率を取るには骨が折れます。

  競技場では約六割の人が残っていますが、
  それでも二万人は下らないでしょうか?

 他の二箇所も然り。中心者がしっかりしていても、
 その意志を正しく伝え導くには、
 手足となって動く人の能力が劣っていては、
 全体の意志統一は望めない。

バラバラの弱い指先であれば、開いた掌のまま付き立てても、
邪神の野望を打ち砕くのは不可能。

 但し、弱くてもしっかり他の指と一体化し、
 拳を握ればある程度のものは打ち砕けるでしょう。

  更にその弱い指先という個人の能力を鍛えねば、
  低辺の底上げも全体の組織力も上がる事は無い。

   拳の威力も上がらない。


さて、通常親しい人が亡くなると、一月は心の整理は付きませんが、
この場では如何にして神の意に乗り合わせるかが重要となります。
その修行も兼ねての三日間なのです。

 今まで錆付かせた刀を鍛錬し磨き上げ、名刀に仕上げる。
 そこまででなくとも、主神様にお使い頂き、
 多少は切れるような刀になる事が必要なのであります。


   現在時刻、七時二十五分

先程から剣三郎の指示を受け、数百人の補佐役が動いているが ・・・
周りの人と協力をして遺体を移動している ・・・

 なるほど、身寄りの無い方も大勢いるようですし、
 一区画全滅の所もある。
 知らない人の遺体に囲まれていては、
 祈りに集中出来ない人が出て来ますね。

  どうやら、身寄りの無い遺体はうまく全体に配置されました。

 剣三郎から、亡くなった方と共に徹底してお詫びの祈りを
 お捧げしましょうと呼び掛けています。

  ここまで、この聖域で祈りを捧げる事を許された人達ですから、
  もう気持ちの切り替えは出来たようです。
  残された遺族も、赤の他人だった人も
  家族同様の想いになってきています。

   しばらく祈りは中断を余儀なくされてきましたが、
   ようやく再開出来るようです。

   剣三郎が全体を見渡し、魂の輝きに濁りが無いか、
   迷いの想念が無いか、じっくり見極めています。


「 皆さん、死別とは辛いものです。
 現時点全世界では、二億近い人が亡くなられたとのことです。
 中には銃を乱射された聖域もあるとの事です。

  しかし、我等が目にしたものは、
  神の雷槍で裁かれた者の死と、救いの死であります。

 裁かれた者は三日後、地獄の惑星への転生か業火へ、
 救いの死を与えられた者は、
 今もこの場で想いを一つに手を合わせておられるでしょう。
 話す事は出来ずとも、常に我等と共に神に祈る事が出来るのです。

その神の大愛に心から感謝し、祈りを再開致します。
御覧下さい。聖者黒須様の真下から伸びる太く美しい光の束を ・・・

 あれは皇居からの祈りの光であります。
 既に十分以上前から光は上がっていました。
 御見事という他ありません!

  我々は、天皇陛下と共に同じ地に座して
  祈る事が許されているのです。
  距離など関係ありません!

   他の聖域、世界中の光玉に於いても同じ事であります。

  さあ、陛下と共に、全身全霊を以って偉大なる創造主に、
  我等神の子の愛はここに有りとお示しするのです!」


「「「 おおおおおおお~~~っ!!! 」」」


  さっきまでのお通夜とは一変し、凄まじい歓声です。

 そして、もう正座でガタガタになった足ではありますが、
 気力で足を折り畳み手を合わせました。

 皆が見ている目線の先には聖者黒須の「光の十字架」があります。
 そこ目掛けて、久しぶりに脳天から祈りの光が放出されていきます。

  暫くして、他の十七箇所の聖域からも光線が上がり始めました。

   それらが、光の束になって「光の十字架」に届く度に、
   十字架の光が眩く輝き光度を増してゆきます。


《 もう充分な光度に達したようだな。直に見られるぞ。》

   チ~カ。

    「 はい。」


   だいたい、おっしゃることは分かります。
   光の十字架から富士上空目掛けて、
   強い光が放出されるということでしょう。

  あ、あああ~~、更に光の玉が膨らんでいる。
  直径百メートルはあろうと思われます。

 すると一瞬強烈な閃光を放った後、
 宇宙戦艦ヤマトの波動砲のような、太い光線が発射されました。
 良く見ると左回転をしているようです。

 その光の幅が凄い。
 恐らく四、五十メートルはあると思われます。

  この光は「招喚の儀」の時より、遥かに強く太いものです。

 その光は瞬間に消えるものではなく、
 揺らぎながらも強さを維持しています。

その光は、一直線に富士上空に届き、そこで熟成されていくのでしょう。

 そして日本と世界中の光玉からの光の帯も、富士に集束してきています。

  東京、光玉内十八箇所の聖域から集束した光は、
  上空 3,000m に静止する聖者黒須を中心に、
  球状の光となり美しい輝きを放っています。


《 のう、おぬし。高を括っておったろう。
 神の御業をなめる~でないぞう。》

  チッチッチ。

「 これは、大変失礼を・・・申し訳ございません。」


《 まあ、よいわ。これから世界中の光玉から光の帯が集束してくる。
 その光は中継無しに富士上空に目掛けて来るのだが、
 どういうことか分かるかの? 》  チー。


「 それは~~地球内部を貫いて、
 一直線に届くということで宜しいでしょうか?」


《 うむ、合格じゃ。
 おぬしは良く百円の地球儀を見ておったから分かるのであろう。
 いい心掛けじゃ。
 その通りで、祈りの光はどんな物質も貫いてしまうからのう ・・・

 むむ、こりゃあ、ちと早いのではないか? 
 ・・・ だが、こんなものか。》

「 は、何のことで御座いましょう?」


《 ほれ、映像を横浜港に移せば ・・・ 
 何と邪気はもう熟成しつつある。実におぞましいわい。》 

   ウエ~。        


  あああーー! 横浜港に 巨大な邪気の繭(まゆ) が出現しました。

 高さ数百メートルはあるでしょうか?
 御丁寧にランドマークタワーの隣に鎮座しています。

 集中すると、憎悪と恨み辛みから発せられる邪気が練り込まれ、
 紡がれているような気がしてなりません。

  ゾ~~ ッ、 と して体に悪寒が走ります。

 まだ八時前、開戦から一時間も経っていないというのに、
 ここまで差があるのか?

  そういえば 「神の光輪」 が熟成されるまでは
  二日近く掛かるとか ・・・


《 これが現実というものじゃ。
 己等が包み積んだ罪穢という怪物と相対すれば、
 如何に馬鹿な事をして来たか身に沁みるであろう。
 わしとて後悔の念で仕方ないわ。》 

    チュ~ウ。


「 私も、あの邪気の塊を造る一端を担ったとは、
 猛省で御座います。」



       ( 推奨BGM ) 

     エドヴァルド・グリーグ作曲
   ピアノ協奏曲 イ短調 作品十六 (第一楽章)

     カラヤン&ベルリンフィル           
    クリスティアン・ツィマ―マン (ピアノ)  

https://www.youtube.com/watch?time_continue=1&v=x6Wdww8ll0w



  


      叡智晶の映像が、その邪念の権化とも言うべき
      ヘドロの繭を拡大してゆきます。

    なんという醜さでしょう!

 ドス黒い血の色をした魂の糸が、
 右回転でその聳(そび)え立つ繭に紡がれてゆきます。
 それは、邪悪な動く魔城になるのでしょうか?

巨大な繭だからモスラのような成虫が出るのか?・・・

 それはないでしょう。
 モスラのイメージは正義の味方ですから・・・

  その証拠に、美しさとは真逆の
  憎悪と恨み辛みを吐き出すかのような
  言霊の合唱が辺りに木霊しています。

   故に姿は蛾か蝶のようであっても、
   神の造型美とは一線を画すものである筈です。

  ああ、周辺の邪神信仰者の方々は当然逃げて行きます。
  でも、今更何処へ・・・?

 何と、止めどなく流れてくる汚物に足を取られ、
 肉体ごと取り込まれてしまいました。

  ビルの上、船上に地下。
  惨劇は場所を選びませんでした。

   皆、描写をしたくなくなるほどの恥辱屈辱を、
   流されながら受けています。

  これが堕ち果てた人間の姿なのか?
  肉食獣のような男女は、お互いの体を貪(むさぼ)り合っています。

 悲鳴とそれを嘲笑う邪霊共の邪声。
 果て無く続く生き地獄。

  それが邪道であります。

   やがて繭のようだった造型が、
   おぼろげながら怪物の姿に変化して来ました。

  頭部、手足と体に巻き付いた尻尾。

 どうせ、お決まりの怪獣スタイルなのだろう。
それとも邪神軍でも悪の芸術の極みを見せるつもりなのか?

いやいや、そんなもの見たくは無い。醜いに決まってる。

 ははは ・・・ さて、邪気を心行くまで取り込み満足したのか、
  少々屈(かが)んでいた邪体を、ゆっくり起こし始めた。

   ああ~、やはり芸が無い。

 こりゃあ、どう見ても ゴジラの真似 ・・・ しかも紛い物です。
ただ、これは日本の恐怖と力の象徴であることは確かです。

 全長五百メーターはあるでしょう。
   ランドマークタワーよりかなり大きい。

   なんというツーショットだ!
                                
皮膚の色と質感は、黒カビをゴツゴツした皮膚に塗(まぶ)したという感じです。
勿論、例の背びれはあり、加えて体のあちこちには
鋭い棘(とげ)が散りばめられています。

 頭頂部には、鎌の先が突き出たような角を一本生やしています。

  決定的に違うのは、その邪悪な 右目 です。


右 ・ 水気 ・ 水の神 ・女神 = アクエリアス、シリウス文明の時代。

    シリウスの五連星は全て、女神が守護神です。

   オリオン座の七連星、プレアデスの七連星も然り!
   オリオン座は既に女神に政権交代していますので、
   名称も代わっています。

     これらの情報は、K さん からのものです。

   これからの時代は、女性性意識が重要になるのです。


奴の 右目 には、大きく縦に深い傷が走り、
その亀裂からは 邪悪な黒い血 が、止めどなく溢れ出ています。

 この血は、恐らく肉体ごと取り込まれた者の
 絞り粕という邪血でしょう。

  つま~り、

・・・ 女神の政権など認めないし見たくもない! 俺達は見ないぜ!

  とでも言いたげだ。

失明した右眼に反して、左眼が爛々と邪光を放っているのが対照的だ。
正神軍への強烈な皮肉を込めたメッセージ!

 呆れるが、これで邪神軍に降伏は有り得ないと捉えていいでしょう。
 果たしてこの意思表示は、サタンかアンドラスタか?

  アポフィスは静観するのか?

 奴の左の邪眼が、関東 「神の光玉」 上空を、
 怨念を込めて睨みつけている。
  更に邪口から漏れ出す醜気が、荒々しく辺りの空間を穢している。

    すると全身の濁肉がワナワナと振るえ、
   その棘だらけの両腕を大きく広げた。

グアアオオォ ー ー ッ、ゴウアアオォ― ― ― ゥン!!
                                      
  その爆音からなる衝撃波は、
   付近のビルとあらゆる建物のガラスを悉(ことごと)く粉砕した。
    勿論、強度の弱い建物は倒壊した。

   これは全身が極限まで共鳴し空振を発しているからだろう。
  とても信じ難い威力です。

 恐らく、この邪龍の咆哮は日本海の先まで響いているだろう。
当然、この聖域にも不快な轟音が通り過ぎていった。

 その見えざる魔獣の存在を群集は感じ取った訳だが、
  まだ私が感じた恐怖までは伝わっていない。

   それで、次は当然歩き出そうと右足を上げた。

  百メートル近く上がった邪足が地面を踏み躙った時、
  地球には悪寒が走っただろう。

   その為、巨大地震が起きた。

 この化け物は邪気ばかりでなく、
 質量を伴う人間と獣の肉を取り込んだ為、
 地球を蝕む汚染物質、或いは癌細胞そのものになったのだ。

  体重は五十万トンを下らないであろう。

その巨体を動かすエネルギー源となる邪気は、
その体内と周囲から絶え間なく供給されているようだ。

ただ、これでは地球を散歩しただけで破壊してしまうだろうが、
当然それだけで済む筈が無い。

  案の定、二歩目の左足が地面に減り込んだ時、
 その邪念の塊が鈍く光り始めた。

数百億の怨念が、激痛を与えた者への憎しみが、
 あらゆる邪な波動を噴出させ怒りの放電となり、
  更に醜く己の邪体を浮かび上がらせていった。

   その負のエネルギーは、
  次第に背鰭を怪しく光らせ蓄積されているようである。 

直に背鰭の邪光は限界域まで達したのか、
溢れ出て魔獣の体を包み込んでゆく。

 その間にも、耐えがたい咆哮や唸り声は
  鋭い牙の間から発せられている。

    騒音地獄だ。地球の鼓膜が破れでもしたらどうするんだ。

    聖域の群衆は、ティッシュを丸めて耳を塞ぎ、
   必死で祈りに集中している。


《 あの駄烏めぇ! 一発目から最大邪霊力を用いて、
 邪魔龍幻死砲を放つつもりか?》

  愚かなことですわ、ふん。


「 しかし、そんな恐ろしい大砲を光玉にですか?
 つまり、試し撃ちでしょうか?」


《 まあそんなところだ。
 天照日大神様の出方を観るつもりじゃ。ふっ、無駄無駄。》


  うっ、奴の体を覆っていた邪光が萎んでゆく。
  いや、全ての邪気を吸収し凝縮でもしているのか?

 ううわあ、お腹の辺りが赤黒い光で満たされてゆきます。
 ああ、また邪腕を広げ、
 邪口からは周辺の邪気と空気を吸い込んでいる。  

  これは邪神の化学実験か?

 あらゆる怨念と、空気中に含まれる 「水の気」 を融合させ
 化学変化を起こさせるつもりか?

  その時、邪眼が不気味に光り静かに口を塞ぐと、
  腹の魔光が ビキキッ! と鈍い音を立てて数倍に膨らんだ。
  
   次に、発射時の反動に備える為か、
   巨躯の腰を落とし両足の鋭い爪を地面に突き立てた。

    そして左の邪眼が ギラリ、と光った!


【 我は邪神軍、司令長官アンドラスタ。

 天照日大神よ、我が軍に敗北と降伏という言霊は無い!

  ただ、永遠の快楽の宴を満喫するが望み。
  その宴で中座させるなど、実に無粋というもの。

   正神の皆様は礼儀を知らぬと見える。

  アポフィス様はとてもお怒りなのだよ。
  さっさと神界に帰り、
  天女達と遊興に明け暮れればいいではないか。

それが嫌なら、この溜まりに溜まった鬱憤と恨みを吐き出すまでだ。
覚悟してもらおう!】


  なんという恐れを知らぬ馬鹿者だ。
  いきなり暴言を吐くとは、
  そんな挑発に天照日様が乗る筈ないのに ・・・

  この愚かな堕天使の声は、人間の耳にも響いているようです。
  ただ、光玉上空の厚い雲からは、怒りの放電が発せられています。


《 ははははは、我は天照日大神である。

 しかし、面白い戯言を言うてくれるなあ、小僧めが!

 その大きなトカゲの愚体を手に入れ、
 気が大きくなり過ぎたようだ ・・・

 では、その溜まったゲップとやらを吐き出してみるがいい!》


   うわあ、まるで相手にされていませんねえ、当然ですが。
   しかし、その御声のなんと大きく頼もしいことか・・・

     ただ、奴は凄く怒っています。

   閉じた邪口の牙を、ギリギリ と上下に擦り合わせ、
   火花を散らせています。

    ・・・ おおお、おい 暴発するぞ!


   【 おのれ~、では、お望み通り受けてもらおう、
      邪 魔 龍 幻 死 砲 を な あ!! 】     

            
 あああ、憤怒の邪龍は長く太い尻尾を鞭のように撓(しな)らせ、  
  高々と振り上げると、憎しみを込めて地球に叩きつけた。

   それと同時に、腹に溜め込んだ邪光が咽まで達し ・・・
    とうとう、その醜い腭(あぎと)が開いた。


ゴオオオオウアアアーーーー!!!


    鳴き声なのか発射音なのか定かではない轟音が辺りに響いた。

  その赤黒い炎塊は長い尾を引き、
 天照主様ではなく、なんと聖者黒須に向かっている。

  だが、直ぐに軌道は変わり、上空の怒りの雲海に飲み込まれた。

   暫く激しい稲妻が放出され、
    広範囲に亘って炎の雲が激しくうねっていましたが、
    やがて邪なる光は失われ、
    煌々と照り輝く聖なる光球が雲下に降臨致しました。

   その光景は地上の聖域の皆様にも見えており、
  拍手喝采の嵐が巻き起こっております。
 
 あらゆる邪念を一瞬に浄化してしまう神気を、
 自在に操られる天照日様の御力のなんと偉大なことか。

  果たしてこの浄化された黄金の光球を、
   どうなさるおつもりなのでしょう?


《 さて、司令長官殿。
 汝の醜いゲップを浄化してお返し致しますが、この儀は如何に ? 》


   奴は唸りながら左目で睨み付けるが ・・ 答えないつもりか?
   ・・・ ゲッ、邪龍の体が透け始めた。


     【 その儀は留保願いたい。
       な~に今のはほんの挨拶代わり。

         何卒御容赦の程を、はははは ・・・・ 】


   すると雲下の光球は、
   凄まじい勢いで邪龍に向かって飛んでゆきます。

  ですが、鼻から相手をする気が無かったと思われる邪龍は、
  寸前で光球をかわし消え去りました。

   その光球は、一瞬で花火のように弾け散ったのです。

  しかし物質物体でありながら霊質を持つのだろうか?
  瞬間移動のような業が出来るとは・・・?


《 それはな、その霊質からなる力を更に増幅させるということが、
 今回特別に主神様が正邪に与えた力の一つなのじゃ。

 それ故、あのような巨躯(きょく)でも瞬間移動は可能になる。
 人間でも本来は同じことだが、霊質の力が衰えただけじゃ ・・・

 ところで、西の方も気になる。

 もう物質化しそうじゃから、直に見るとするか。
 叡智晶だけでは感じ取れんものもあるでの。》  


  チカチカ。

  「 はは、畏まりました。」



 

   次回、自衛隊 VS 邪龍! 乞う御期待!

    ただねえ、ちょっと分が悪すぎでしょうが ・・・
 



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