『 うさぎの言霊 』 Rabbit's Kotodama 

宇宙の謎、神と悪魔と人とは?

《 序章 》 〈 第十五話 〉 迷子の兎

2019年01月31日 21時30分09秒 | 小説




   《 キャラクター&キャスト 》

創造主の娘 : スミレ / 現在分身を地球に派遣! / 石原 さと〇
 ( 極秘情報 / 彼女は自分の宇宙を創造中なのだ!)

十和田湖 : 神の光玉の守護神 : 大山津見神 / 境  正〇
                 
円座の龍 ( 筒状花火付き ) / ジャン ・ レ〇

円座を知らない方は下記のサイト参照。 
http://www.shinguya.com/enza.html

うさぎの妖怪の肉ポケットの中は、ねずみのぬいぐるみです!

  キャスト / キャサリン・ゼータ・ジョーン〇

うさぎの妖怪 : 信造 : 作者 / 伊藤  敦〇




    ( 推奨BGM )

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
クラリネット協奏曲イ長調 K. 622

クラリネット:レオポルト・ウラッハ

指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団





   さて~~、空中であたくし一人じゃなくて一羽!

   いつまでもこうしている訳にもいきません 。
  そろそろ戻るとしましょう。

  ・・・が、しかし戻るって何処へ?
  何処だあそこは、土門家。

   十和田湖なら、別に地球上何処に居たって来れますけど・・・
   もももも、もしかして、物凄い失態をやらかしたのでは?

    住所知らないぞ ・・・


  「 超接近! 恐怖の花火見物 」 の後、
  気絶して気付いたら土門家の前に居たんだから、
 住宅街としか知らない。しっかし、気絶するとは情けない。

もしかして、土門拳三とか剣三郎とかいたから、
山形県の酒田市じゃないのかな?

あの、土門 拳、ていう人御存知です? 写真家の。
あの人の写真は凄いですよぉ~。
でも、あの家の人達、ず~ず~弁じゃなかったし、
いやっ、ず~ず~弁は内陸地方で、酒田の辺りは違った。

 んだのぉ~、とか言って・・・あっ、いや失礼。
 山形の皆さん御無沙汰しております。

とにかく、標準語で大きなビルが見えたから大都会です。
多分東京の純日本家屋 ・・・ですよね?
あ、あの~、もしかして御存知では?

私、たまに気絶して知らないことが結構御座いまして ・・・
そのぉ、教えて頂くと有り難いのですが ・・・

 あ、いえ、ただとは申しません。
 私、一日ペットとして伺います。

 駄目か、人には見えないんでした。

では今日の夜、あなたの夢に出て夢の共演とか、ぷっ、如何でしょう。
そんなので宜しければ・・・えっ、いいですか。

 やっぱりそう言って下さると思いました。

では私、この大きな耳をすましておりますので、
土門家の住所を念じて下さい。

はい、どうぞ・・さあどうぞ・・何か目印は?
気合を入れてもう一丁 ・・・

助けて下さいとか、スミレ様にお頼みするのは、ちょっとまずいので・・ 
あなたもお分かりになるでしょう ・・・・

 空の上で何やってんだ僕 ・・・


  《 あ、あ~これ、もし ・・・ 》


  まさか、あなたの声が聞こえた。

 いや、後ろでどなたかの声が ・・・
 私は、ゆっくり後ろを振り向いた。

  あれえ、水戸黄門?


「 あの、どちらさまで御座いましょう?
 アアッ、もしかして大山津見神様でいらっしゃいますか?」


《 おおーっほっほっほっほっほぉ~、御名答。
 わしがさっきの鬼雲、大山津見神である!

この衣装は、たまにはいいかなと思ってな。むふふ ・・・
ああ~コスプレとか申すなコスプレとかぁ ・・・・

それに言っておくが、この印籠には葵の御紋は無いぞ~。
ほれ、神の御紋は十字と決まっておるでな。

それから、さっきの忌々しいヘリの残骸を空き地にばら撒いたのは、
十和田湖を汚さない為の配慮じゃ。全く、世話ばかり焼かせおって ・・・

ところで、おぬしが信造じゃな。
どれどれ、ちこう寄りなさい。》


「 は、はい。お初にお目に掛かります。
 全く以って光栄の極みに御座います。」


《 おお、そうかそうか。ん~しかしおぬしはちっこいのお。
 その割りに耳は長いかな。ほほお~なるほどなるほど・・・》


「 あ、あの、耳の中を、く、くすぐったいでごさいます。グヒッ。」

《 ファスナーは付いておらなんだな。スミレ様のおっしゃる通りじゃ。》

「 そっ、それは、ないと思いまする。」

   あっ、そう言えば鏡で自分の背中見た事ないんだった。

《 よく出来ておるのお、流石は大黒天様じゃあ。
  この毛並みの色艶が何とも言えんわい。

   きめ細やかな白い毛を光に透かすと、
    七色に輝いて見えるわ。う~む。》

    「・・・お、恐れ入ります。」


《 おぬしに言っているのではないわ。
  ふむふむ・・・この皮膚は良く伸びるのぉ。
    着心地はどうじゃ?》  ほ、ほっぺやあは、ちょっと・・・

「 は、はい、それはもう何の違和感も無く、快適そのもので御座います。」

《 そうであろう、そうであろう。
  何よりは、そのペンダントと腕時計じゃ。実に見事じゃあ。
   ここは、わしからも何か贈り物をせんといかんのお。》


「 あ、いえいえ、勿体ないことで御座います。」

《 まあまあ遠慮せんで。おお、そうじゃ。これなんかどうじゃ。》

   すると、小さくて真っ赤な、ざざっ、座布団が僕の体の下に ・・・

《 むふふふ、ピッタリじゃ、一片が八寸の赤い座布団じゃ。
  おまけで、神の紋章を四隅に付けてあげたぞい。金糸でな。
   白と赤で、めでたいのお。

  それに、ここは日本じゃから、空飛ぶ絨毯というのも不似合いじゃ。
  だから、空飛ぶ座布団! こりゃあ~受けるぞい、スミレ様に!

 あっぱれ、あっぱれ、大黒天さっまにっも受っけるぞい~♪
 で、どうじゃ、座り心地は?》

   大山様は、左手に扇子をパタつかせておっしゃいました。

「 それは勿論最高に御座います。
 このような物を賜われるとは無常の喜びに存じまする。」


《 おお、そうかそうか。それは良かった。
  でな、その~気になるんじゃなあ。 
   スミレ様の評価なんじゃがあ~、おぬしは何点と見るかの?
    無礼講じゃあ。遠慮はいらんぞ。》


「 そそそそ、そんな、大それたことなど私、とても・・・」

《 良いと申しておるに。》

「 そうおっしゃいましても・・ん?
 あの、何故ぇ、小声なのでいらっしゃいますか?」

《 大声なら、おぬしも言い難いじゃろ。それにわしも恥ずかしいでの・・・》

  「 そういうものでございますか?」

    《 そういうものなのじゃ。ほれ、わしの耳に。》

       「 了解致しました。」

          《 よく聞こえんぞ。》

            「 これは、失礼を致しました。」

              《 でぇ、どうなのじゃ。》

               「 はあ~~、ん~~。スミレ様は ・・・」

               《 はよう、言わんか。》

               「 よ、四十点位で御座いましょうか?」

             《 四十点はきついのお~。そんなものかのお。》

          「 恐らく、相当厳しい採点になるものかと存知まする。」 

        《 そうであろうのお~。》

    「 もう少し、座布団に工夫が必要と思いまする。」 えっ、おう?

《 おお、ど、どうするのじゃ、それは。》   あ、あの私は、うぶぶ。 

「 それはですな。これを、あ~してこ~して、こんなもので如何でしょう?」

《 それはまた、面白い趣向じゃのう。おぬし只者ではないな。ふふ~ん。》
 
「そうで御座いましょう。むふっ ・・・ あああ、お待ち下さい。
              危険ですので今のは無しということで。」

《 なんじゃあ、急に? 言いだしっぺはおぬしじゃろうが。
  可笑しな奴じゃなあ。

   ん?・・スミレ様 ・・ははあ ・・おお ・・・それは ・・
    ほほほほ、ではお待ちしておりまする。

    おいっ、信造。今スミレ様から御連絡があってな、
    直ぐお出ましなされるそうじゃから、しゃんとせい、しゃんと。》

    「 はは、はいっ、畏まりました。」

   こりゃあ、あかん、いかん、あかん、いかん・・・

《 だあ~まらっしゃい! 気持ちは分かるが落ち着かんか。戯けが。》

   う、うひぃ~~

「 はい、申し訳ございません。」

   うう~、ん、ん? 空の彼方から ピユ~~ッ と、
   金龍のお姿でお出ましで・・御座いますが、どうしてでしょう?

《 おお、お久しぶりですな、大山殿。》  あれっ、男性の声が・・・?

《 ほんに、御久しゅう御座いまする。
 しかし、随分と金属っぽい龍体でいらっしゃいますなあ。》

   あ、そう言えば大山様のおっしゃる通り、金属だ。なんでかな?

《 よく思い出して見られよ。天の岩戸を開いた時の私の姿を ・・・》

《 おおっ、そういえば ・・・ あっ、もしかして、あの神々が絶賛した髪型の「髪飾りの龍」で御座いますな。
とすれば今スミレ様は、後ろをお向きでいらっしゃるということで・・・》
 
《 御名答で御座いますよ。大山殿。》

   ギョギョギョギョ~~~~~ン!



右端の「髪飾りの龍」、 実にしょぼくて大雑把であります。
何故なら、面倒なのでこれ以上細部を描くのは断念致しました。
この黄金製の龍は、スミレの意思でどのようにも動きます。



龍が両手に持っているのは、下記図の「天意の杖」です。
この杖も未完成で、赤青2種類の螺旋表面に
アジチ文字が彫り込まれるデザインとなります。

ちなみにアジチ文字は、モーセの十戒石に彫り込まれたもので、
ヘブライ文字とも共通点が多いのです。
詳しくは、「超図解」 竹内文書 Ⅰ/高坂和導 編著 徳間書店
でお確かめ下さい。

これらはインクスケープというフリーソフトでの作成です。





 むむっ、龍の口からスミレ様の御声が・・・

あああ、そう仰せになると、
金龍の龍体の途中から真っ二つに切り裂くような光が走り、
そのまま左右二体に別れてかっ、髪の毛になり、ひえっ、
徐々に途中で交差をし、尻尾の先がスミレ様の後頭部に繋がった。


《 おおおおお~~、ぶはあ~~っ!》
「 おおおおお~~、ぶはあ~~っ!」


   あれっ、大山様と妙にハモって仰け反った。

   改めて見ると後ろ側は凄過ぎる。
   お口あんぐりであります。


《 ほほほほ、いいハモリ具合ですこと。》


   振り向かれたスミレ様がおっしゃいました。

   すると、大山様に何やらゴニョゴニョと言霊で耳打ちを・・・
   それで、わたくし判決を待ちます ・・・ ゴオ~~ン。


《 ・・・おほほほ、それはそれは、ところで大山殿。
 ミカエル殿は二十五点でしたが、大山殿は五十点で御座います。

 いやはや、龍を模った円座を信造に授けるとは、
 ほんに粋な上にユーモアが効いて御座りまするなあ。

 しかも龍の口に銜くわえているものが筒状の花火とはプッ、
 これでは、まるで鼠花火ならぬ龍花火では御座りませぬか。
 もう可笑しくて堪りません。

 それに、この点数はおちょい様と同じですから、
 誇りに思われて宜しいですぞ。》

 
《 おほ~~、そこまで御喜び頂けるとは、
 わたくし無常の喜びに存じまする。
 くう~~、良かったな信造よ。実はスミレ様、これはですな。》 

   あたあ~~

《 のおのお、細かい事はともかく、わたくし早く空飛ぶ龍の円座花火を
 見たいのですが、宜しいですかのぉ?》 ・・・ いえいえ

《 勿論で御座いますとも。
  しかし、この者はよっぽど回るのが好きと見えますなあ。
   ところで、点火はどうなさります?》

    キターー!・・・蘇るトラウマ!

《 大山殿、実はこの者は花火が大好きなのじゃ、
 じゃから他の者には着けさせんと思いまするぞ。のう、信造。》

「 ぎょ、御意に御座います。
 もう是非ともわたくしに着けさせて下さいませ。」

《 おっほほほほ、こりゃあいいわい。
 物好きにも程があるというものじゃあ。
 ただ、見方を変えれば怖いもの知らずとも取れなくも無い。
 まあ、侍の末裔だから勇猛なのは当然なのかな?》

《 その通りで御座いますぞ大山殿。 あ、そうそう信造よ。
 ほれ、おぬしのお腹のポケットに
 点火装置が入ってある筈だから、探してみよ。》

 「 ぽぽぽぽ、ポケットぉーで御座いますか?
  はあ? お腹を ・・・そんなものは元々ありませんがって?
  あああ、ありました。

  ええ~、てて、点火装置らしき? ん?
  ねずみのぬいぐるみ?・・・が御座いました。」
 
     エエ~ッ、何これ? 

《 何と、先程はポケットなど見当たりませんでしたが、
      流石に大黒天様で御座いまするなあ。》

《 で御座いましょう。それで、その点火装置の商品名は、
「 点火でチュウ!」 なのですよ。面白いでしょう。
 むぷっ、ではさっそく点火を心置きなく、信造よ分かっておろうな。》

   と、とっても優しくおっしゃいました。
    
  「 ははは、はい~。」 なんか震えが ・・・

   しかし、この点火装置とは思えない白鼠のぬいぐるみが、
   両手に石を持っていて? ど、どう使うのか? はて???

《 分からぬか? その鼠が持っている物は、火打石と火打金でな、
「点火してちょうだい、お願い。」 と カワユク 言って、
 導火線に近付けるだけで良いのじゃ。簡単であろう。》 んなぁ~

「 ははは、はい。
 では、かわゆく、て、点火してちょ~だい、おねがい!」

   あ、すると僕より小さいから、
   かなり小さい鼠のぬいぐるみの右手が上に動き、           
   左手に持った火打石目掛けて火打金が振り下ろされ、
   擦れた瞬間火花が散った。

  時代劇で見たのと同じだ。 カチカチッ、チュウ!  わあ、喋った。

 ・・・ 後は導火線に近付けるだけだ ・・・ うぬぬぬぅ ・・・

《 ん~? はようせぬか。
 それとも、またわたくしの手を借りると申すのか?》

   と、スミレ様が急かされた。

「 め、滅相も御座いません。只今、すぐに・・・」

   これ、点火した瞬間におっそろしく回転するんだろうな。 
   左回転で ・・・

     カチカチッ、チュウチュウ!

   おまえの名前はチカチュウとかどうだ? ・・・ チュウチュウ! 
   ハハハ、良かったネェ、はは ・・・ 

                     
《 なんじゃ余裕か? それと~も怖気付いたかあ~あ?
 ( バリッ! ) 扇子を開いた音じゃ。

  侍がっはあ、聞いて呆れるぞっほお♪
   これで~は~、池の中のふ~な~じゃっ、はい鮒侍じゃ♪
    ふなふなっはあ、鮒ははは ~ あ ~~ ヨオーーッ、パチン! 》  

                         おうわっ!


   と、まるで忠臣蔵 「刃傷(にんじょう)、松の廊下」 の場面、
   憎々しい吉良の様な一人芝居でェ・・

   一瞬で黄門様から吉良の衣装に代わっちゃったりしてぇ・・・ はあ

   それで、つまり軽快な節回しの歌舞伎調でおどけて舞って歌われ、
   扇子をパチンと御自分の額に当てられたのでありまするう。

  もう、御見事と言う他御座いません。

  当然、スミレ様は両手を叩いて 満点大笑い です。 くうう ・・・
 私は焦りか血迷ったのか、変に閃きました。

  ・・・ カチカチカチ、チュ~ウ?

「 では、点火の前に辞世の句を一つ・・・
 風さそふ~ 花よりもなほ我はまた~ 春の名残りをいかにとかせん~~!」 
 
   あッ、やな空気が ・・・  エ~~、チュ~ウ。

《 信造殿、全部盗作で御座いますな。
  捻りも無いので三点ですぷっ、点が付いただけ増しであろう。
   では心置きなく存分に。》

    ああ、ささ、三点とは、あったあ。
    行くかチカチュウ! カチカチ、チュウ~~!

「 お心遣い恐縮に存じます。腹が決まりました。
 では、参ります。土門家にいざ出陣!あたたたたぁ!」

    カチカチッ! チュウ! 

       ビシュウゥゥ~~~。 うわあ、一発点火ぁ~~!

    皆様、固唾を飲んで導火線を見つめておられます。

 ユゥ~~~ッ、バッ!!

   ブシュシュシュッ、 ヒュルヒュルビュルルル ・・・・・
     ブシュルルルル、 ビュルルルウウウ~~~  ・ ・ ・


「 あああぶ、まわまわ回って、はぶれれ、
 コメントトトルル~、できん~まぁわせん! あひぃ~~・・・・」

《 うさちゃ~~ん。ぷぷ、もう土門家の住人から目を離しちゃ駄目よ~。
 ヒュウルリ~、ヒュウルリ~~ルラア~~♪ 》

《 回って回って何たらかんたら、う~う、ううう~♪ ・・・
  で御座いましたかな? 
   しかし、良い飛び具合ですなあ~。ガメラみたいだ。

    はらら、本物の竜巻になった。回り過ぎじゃな、むはは ・・・》



《 序章 》 〈 第十四話 〉 湖上の鬼雲

2019年01月31日 20時45分30秒 | 小説




    (作者時間) 二〇〇九年 三月十七日 午後十一時

    この年月日と時間は、この小説作者本来の時間軸です。
    つまり執筆当初の時間なのです。

  小説完成までは、一日約8時間以上を掛け、1年半掛かりました。
  そこには、CGイラスト作成の時間も含まれます。
  試行錯誤の日々だったのです。

その当時、私は心臓手術の地獄から生還しましたが、仕事もできず、
生活保護を受けながら悶々とした日々を送っていました。

 この小説の構想は既に20年を経過しておりましたが、
 ある日、ふとそのことを思い出し、
 一念発起して執筆活動を始めたのでした。

私は文才など全く無く、というより長い文章を書くなど大の苦手でした。
更に努力自体が嫌いだったので、
想像の世界で構想を楽しんでいた当初とは大違いで苦難の連続でした。

 ただ私は、神様に命を救って頂いた感謝報恩の一心だったのです。
 ですから、あらゆる努力を致しました。

しかし、その苦労して完成させた小説を一度封印致しました。

 何故かと言えば、その後のネットでの情報、
 特に K さん からのスピリチュアルな情報と、小説内に詰め込んだ
 私の知識とが、あまりに違った為、封印したのでした。

  そんな経緯がありましたが、現在私の宇宙観と信仰観が
  揺るぎないものとなり、内容も書き換えましたので、
  ネットで公表しようと決意した次第です。

   そんなこんなで、今後もよろしくお願い致します。


    《キャラクター&キャスト》

山神 大山津見神・・・・・・・・・・・ 境  正〇 
 (日本全山を統括する偉大なる神、
  現在は十和田湖 「神の光玉」 の守護神)

十和田湖の聖者 / 木戸 十三 ・・・ 安〇  寛

   一等空曹 / 北村 昭久 ・・・ 西〇 徳〇
   一等空士 / 坂本真樹夫 ・・・ 佐藤 隆〇



       ( 推奨BGM )

   フェリクス・メンデルスゾーン作曲
   序曲 (フィンガルの洞窟) 作品二十六
    カラヤン&ベルリン・フィル



   二〇XX 年十二月十八日(木) 15:30   
         カウントダウン ( 87:30 ) 


    ここは十和田湖上空三千メートル。


 快晴の空に聖者木戸は両手を広げ、光の十字架、灯台となりました。
 体の正面は南を向いている。

  霊峰富士上空に「神の光輪」が出現する
  ということが関係しているからでしょう。  

   その木戸に対し、ミカエル様は龍体のお姿のままで、
   こうおっしゃいました。


《 木戸よ、私は次の任務に向かう。

これからは思念波のみの交信となるが、案ずるな。

この領域には既に、大山津見神様がお出ましである。
御挨拶を忘れるでないぞ ・・・

 ふん、蚊トンボが来たようだが心配はない。

「神の光輪」 が熟成されるまでは、かなりの時間を要する筈である。
汝は、一瞬の油断も許さず神の光玉の同志達に愛の波動を送り続けるのだ。

 よいか、これから邪神軍の攻勢は激しくなるが、恐れるな。

 それに伴い、汝の見える範囲で数百万の人間が裁かれていくが、
 目を背けるでないぞ。

 これは汝に与えられた、神に昇華する為の試練なのだ。

他人の痛み苦しみを自分の事のように感じることが出来れば、
神の嘆き悲しみや怒りも分かろうというものだ。

 我等神は、常に人間の哀れな死に様を見てきた。

そして何より神を侮辱し利用しては唾を吐き掛ける行為を見せ付けられ、
我慢と怒りは既に現界に達しているのだが、
主神様は ・・・ もう暫く待て、かわいそうだ。様子を見よ ・・・
と仰せられ、今日まで裁きの日を延ばして来られたのだ。
    
 この大いなる主神様の愛を、
 この三日間で思い知り、魂に刻み付けるのだ。

   しかと、しかと申し渡したぞぉぉ ・・・ 》


  ミカエル様の龍体の御目からは、滝のように涙が滴り落ちていた。
  その涙は霧雨となり、太陽の光に反射して美しい虹を映し出した。

  木戸は、遠ざかるミカエル様に向かって叫んだ。


「 ミカエル様ぁーー、私は、主神様の大愛をこの魂に刻み付け、
  必ずや、必ずや使命を遂行致しまするぅぅ ーー

      ・・・ ちっ、蚊トンボとはあれの事か ・・・」



ドルココロロロォォ ーー・・ ドコココルルルルゥゥ ーー・・・



     空には乾いた音が響いて来た。

    どうやら邪神の刺客が現れたようだ。
    あの方角からだと三沢基地からの物だろう。

     哀れな馬鹿共だ。


    案の定、自衛隊のヘリは突然発生した           
    濃い鈍色(にびいろ)の巨大な入道雲に行く手を阻まれた。

   その雲は縦長で、引いて見るとまるで身長数千メートルの鬼の姿だ。

     さて、自衛隊の迷彩塗装のヘリ。
     機種は、ん~、どうでしょう?

   何しに来たのか? 偵察の類か? 乗員二名。
   とりあえず、お二人の会話に耳を傾けてみるとしますかねェ ・・・


一等空曹 「・・・あ~あ、クリスマス間近だってのに、
      この調子じゃあ正月まで仕事だぜ。
      ふざけてるねぇ、俺もう神社にお参りなんかしてやんねえよ。

      それと幕僚長から極秘指令があったって誰か噂してたけど、
      あれ気になるなあ・・・」


一等空士 「 何でも、アメリカ軍は既に日本に向けて
      海軍を動かしたそうですから、
      きっとそれに付随したことでしょうが・・・

      私は影のボスが動いたんじゃないかと思っているんですよ。
      ほら、御存知でしょう、あの ・・・」


一等空曹 「 ああ分かるぜ。クラウドだろう。
      名前しか知らない影のドンだ。

      奴は自分の部下を世界の政財界の
      中枢に潜り込ませているってことだ。
      当然アメリカの大統領も動かせるだろう。

      もし奴が動いたのであれば、超緊急事態ってことだ。

      しかし、信じられるかぁ、
      総理が首相官邸内で雷に打たれて死んだって。
      ホント、あの聖者とかいう奴が宣言してから三分丁度でさ。

      笑えるのが、自分の時計でカウントダウンしていた矢先に、
      閃光と爆音が同時に響いた直後に丸焦げになったそうだ。
      周りにいた奴らは笑えんだろうがな。

      建物には傷一つ付けず、遺体を中心に、十字の形の焦げ後が
      カーペットに残ったなんてさあ、
      十字じゃあなくてバッテンじゃないのかな。

      まあ、惚けた政権運営するからバチが当たったんだよ。
      三ヶ月の短命政権かあ、惨めだねェ。
      それに、のらりくらり野党の攻撃をかわす、
      のらくろ政権とか言われて、古過ぎるだろって、ばははは。」


一等空士 「 全く、神様のバチは分かりますが、何でもその時、
     官邸の上空に円盤型の雲があったっていうから、
     宇宙人の仕業じゃあないかって、側近どもにしても馬鹿ですよ。

     それに世界中で似たような聖者が出たと言って騒いでいるから
     人間に化けた宇宙人が侵略しようとしてるんじゃないか?

     とかいうのは、 ん~、ちょっと信じたくなって来ちゃったなぁ。」 
  
 
一等空曹 「 何でだよ。」


一等空士 「 考えてもみて下さいよ。

    神の光玉とかいう境界線の光も衛星から確認できたらしいし、

    私もその怪しい光を確認しましたし
    さっきも双眼鏡で見えたのは確かに人のような十字の光で
    フライングヒューマノイドみたいだし ・・・

   彼等はテレパシーを駆使して、神と称して超科学で地球を侵略する。
   ついでに人間を操り奴隷にする。

    邪魔する人間は皆殺し。だとすると俺達やばくないですか?

    さっきから、冬なのに入道雲が出て、
    おまけに、ゴロゴロいってるじゃないですか。
    きっと、気象をコントロールして・・・」

             
 えェー、ここまで見事にこじ付けられると、呆れてものが言えません。
  それじゃあ宇宙戦争だが、質がまるで違うでしょうに・・・

  ただ、それが邪神軍の正神軍に対する苦肉の策とすれば、
  分からなくもない。

 敵対するのが神では、人間の戦意が喪失してしまうが、
 神と見せかけた宇宙人とすれば、
 狂信的な宗教団体や無信仰者を取り込むことが可能となる。

正神軍の先制パンチが、よほど効いたのだろう。
焦って辻褄合わせの対抗策を即席で作ったということだ。

まあ、神よりは宇宙人のほうがまだ信じ易い。

 それに奇跡も超科学に置き換えれば、
 なあ~んだ、ということになり聖者も偽善者になる。

  そう考えると、あながち馬鹿げた策とは言えない。

 こういった猿知恵を働かせるのは、邪神軍の専売特許だが、
 レベルが低い事は否めない。甚だ見苦しい。

  さっさと降伏しろと言いたい。

   さて、ヘリのお二人には危険が迫っていますが、
   この巨大な鬼型の雲である事は、
   近過ぎて気付いていないようです。

     そして、大山津見神様の怒髪天を衝く怒りも・・・


一等空曹 「 まさかとは思うが、
     この空域を離脱したほうが良さそうじゃないか?
     お前の推理が正しければ、俺達人間は圧倒的に不利だぜ。

     ん? なな・・・・?

     やばい、テールローターが故障している。
     そっ、操縦桿が効かないぞ! おいっ ・・・」


一等空士 「 えっ、そんな。でも上昇してるじゃないですか?
              どど、どうなってるんだ~!」

       
     はあ~、それもその筈。

   テールローターとか言うヘリコプターの尾っぽの部分を、
   巨大な大山様の右手の人差し指と親指で
   摘まんで持ち上げているのだから ・・・

   いやはや蚊トンボとはねェ、捕まっちゃった訳だ。

  雷鳴は轟き強風が吹き荒れても、ヘリは煽られもせず静かに上昇する。

 実に不気味だ。

 二人は怯えて抱き合っている。
 心拍数は急上昇し、血圧も上がっているだろう。

  血の気は失せ、恐怖で顔が引き攣っている。
  哀れだ。もう助かる術は無いだろう。

   彼等には、お詫びするという考えは無いようだ。 

  その時、ヘリの向きが変化してきた。
  彼らが騒いでいる。

   何を見たのか?

 それは大山様の左手だった。
 掌の高さは数百メートルはあろうかと思われる。

その手の指は、親指が真下で上には四本の指が覆い被さるような状態。
まるで、彼等のヘリを掴もうとしているかのようだ。

 彼等が恐怖に慄いているのは、
 その開いた指先から発せられている稲妻に他ならない。

  上四本の指先から下の親指目掛け、
  絶え間なく稲妻の閃光が放たれているのだ。

   彼等は必死で基地に助けを求めているようだ。

   お気の毒ですがお別れです。私はこの空域から離れます。
   間も無く大山様の憤怒の言霊が私の魂に響きました。


《 去れぇーい、下郎どもぉ! 

    五指閃雷(ごしせんらい) ぃぃーー!! 》

   
   そう叫ばれると、死の領域にヘリは飲み込まれ、
   一瞬で爆発し砕け散りました。

大山様はその掌を素早く閉じられ、ヘリの残骸は拳の中に納められました。

大山様はその拳を、ゆっくり地上の空き地の上まで運ばれ、
拳を開かれると残骸はボトボトと雪面に落ちました ・・・
           
その雪面には、ヘリの残骸の中に佇む彼等の幽霊の姿があります。

気の毒に、血だらけで絶叫しています。無理もありません。
 爆発時に全身が切り刻まれたのですから。

  魂と一体化した霊体、幽体を残し、肉体だけ砕け散ったのです。

   肉体により痛みが緩和されていたものが、
    肉体を脱ぐとその感覚は数倍に増すとのことです。

      本来、肉体という魂の拘束具から開放されれば、
        一瞬で霊力が復活し自由に羽ばたけるものを ・・・


          何とも哀れなことです ・・・




《 序章 》 〈 第十三話 〉 宣戦布告

2019年01月31日 17時16分55秒 | 小説



    《 キャラクター&キャスト 》

「 第一の聖者 」   木戸 十三 ・・・・・ 安〇  寛  
「 プロデューサー 」 林  光治 ・・・・・ 太〇  光
「 スタッフ A 」   武村 有史 ・・・・・ 田中 裕〇
「 スタッフ B 」   高田 俊之 ・・・・・ 柳沢 慎〇
「 アナウンサー 」  戸田 由紀子 ・・・・ 天海 祐〇
「 カメラマン 」   南  照夫 ・・・・・ 内村 照〇
「 ヘリの操縦士 」  内山  清 ・・・・・ 南原 清〇

「 町長の息子 」   秋山 ひさし・・・・・ 香川 照〇

    ( *カマキリ先生、私もカマキリ大好きですよ! )  
         
「 年寄り代表 」   島田宗次郎 (九十一才) 田中 邦〇
「 年寄り代表2 」  川村 サキ (八十一才) 泉 ピ〇子
「 川村サキの孫 」     洋子 (三十二才) 小林 綾〇
「 首相 」 副和  内夫 ・・・・・・・・・ 森〇 レオ

「 ついでに私 」うさぎの妖怪 (推定十万才?) ・・ 伊藤 敦〇

 それで、私のプロフィール画像ですが、この物語由来のうさぎであります。
 ポケットのネズミは、いずれ登場してまいります。

*カマキリ先生とは、
 香川さんが出演するNHK伝説の昆虫番組のことです。
 かなりの不定期ですが ・・・

 ( 残念ながら、香川さんは性欲が暴走し、大不祥事を起こしました。)

 ただ、昆虫嫌いな方には文字通り虫唾が走る番組となります。
 でも虫は、地球環境を維持する為には最重要な役割を担っているのです。

 この偉大なる神の芸術を嫌いとは如何なものと思うのですが ・・・
 蝶とか蜂なんて最高のデザインではありませんか!!

 そりゃあ、ゴキゴキゴッキーナには虫唾が走りますが ・・・
 あたくしは正式名称呼びたくないくらい嫌いです!! 



        (推奨BGM)

  ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲  

       ピアノ・ソナタ 第二十三番 ヘ短調 作品五十七
  『 熱情 』 第一楽章 / マウリツィオ・ポリーニ (ピアノ)


        
     二〇XX年十二月十八日(木) 14:30
            カウントダウン ( 88:30 )   


     え~~、テレビで見る限り、この場所は十和田湖南部の、
     十和田神社に近い湖畔のようです。 以下参照。   

   秘密のパワースポット 十和田湖 | 青森の魅力



「 おいっ、聖者が突然プロデューサーの目の前に
 現れたんだって、急にだぞ。拳三お前どう思う?」  剣三郎が言った。

「 ど、どうって、父さん、ああっ、写ったよ、あの人じゃないかな、ほら。」


 そこには精悍で、いかにも冷静沈着といった男性がどっしり立っていた。
  歳は五十位だろう。魂の光はかなり強く美しい。

   流石は聖者に相応しい人物であります。

  そして何やら、手に持ったフリップに指をさして
  プロデューサーらしき男に訴えている。

   恐らく、あのフリップには 「神裁きの三日間」 の掟の内容が
   書き記してあるのだろう。

  それを写せと迫っているに違いないが、
  あまりの恐ろしい内容に尻込みしているのでしょう。

  しかし人間には、もう止める術はありません。
  が、案の定、プロデューサーは
  カメラを向けないように指示を出したようです。

   群衆の怒号の中、女子アナも抗議しているようですが、
   んん~? プロデューサーの顔つきが変りました。

妙な事に、顔が青褪め目を見開いたまま、頭を抱え立ち竦(すく)んでいるようです。

 面白くなってきました。

  業を煮やした女子アナがインタビューを始める模様です。


「 皆様、大変御見苦しい所をお見せ致しまして申し訳ございませんでした。
 プロデューサーは長い物には巻かれろのタイプですが私は違います。

 私は龍神様に命を救われ、この ピンクのジャージ を賜りました。

 これ一枚だけなのに、頭から指先に到るまでポカポカ暖かいのですから、
 もうありがたくて申し訳なくて仕方ありません。
 それに、こちらのカメラマンも命を救われた一人です。

 ですから、どんなことがあっても私は神様の味方をさせて頂きます。
 当然、聖者様もお守り致します。

 いいですねプロデューサー! えっ、どうしました? 」


  どうやら、金縛りに掛かっているようです。
  神様のどなたかの仕業でしょう。

  さっきから石になったように微動だにしない。
  ただ、息はしていますから御安心下さい。


「 ああ、はっ、林プロデューサーは、目と口が開いたまま閉じなくなり、
 ああ、足が地面にくっ付いたように、動かせなくなりました。
 両手も頭にくっ付いたまま、取れなくなった模様です。
 スタッフが動かそうとしても、びくともしません。

 神様の邪魔をするからこんなことになるのです。
 では聖者様にお話をお聞きしたいと思います。」


彼女は、気が変になりそうな自分を抑え、勢いに任せて聖者と相対した。


「 初めまして、わ、わたくし、雨森テレビの戸田由紀子と申します。
 スッピンで申し訳ございませんが、よ、宜しくお願い致します。」

「 こちらこそ宜しく。体が震えているが、大丈夫かな?」

「 は、はい、大丈夫です。これは単なる武者震いです。」

「 ははは、これは頼もしい。あなたの勇気に感謝します。
 よくがんばっていますね。では、申し訳ないがマイクをお借りしますよ。
 あなたには、これを持っていてもらいたいのだが、宜しいかな。」

「 も、勿論です。」 


 聖者は、戸田アナからマイクを受け取ると、フリップを彼女に渡した。 
 彼女は、聖者から労いの言葉を掛けてもらい、相当うれしかったようだ。

 ・・・ 私は間違っていない。良かった。本当に良かった ・・・

 と、心の中で繰り返している。    
 あれっ、テレビ映像なのに、その中の人物の心も読めます。

  これ、現地には行けないかな?

 うぬぬぬ、集中! ・・・ い~っ、来ちゃった!!!


また十和田湖! こりゃあいい!
どさくさに紛れて瞬間移動とは、ムフフ  ・・・


 それでは、桃色ジャージアナの近くに行っちゃおう ・・・

 しかし、健気にがんばっていますね彼女は ・・・
 私からも賛辞を送りましょう ・・・ あなたはエライッ!

  んっ、聞こえないか?
  でも守護霊が、怪訝そうな顔を彼女の頭の影から覗かせている。

   そうか、私は うさぎの妖怪 にしか見えてないんだった。

  このスーツは恐らく、神気を反射させるという性質から、
  私の魂やオーラの光も思考も、カムフラージュしてしまうのだろう。
  こりゃあ霊からすると、相当不気味に見えるのでしょうネェ。


「 あっ、どうも、私は怪しい者では御座いませんので ・・・ はは。」


  おっ、さっそく聖者の挨拶が聞けるようです。
  皆様、御静粛に ・・・


  ・・・ あっ、カラヤンさんに楽団の皆様。
     毎度、何曲もありがとうございます ・・・



        (推奨BGM)

 ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
 交響曲 第五番 『 運命 』 ハ短調 作品六十七 「 第一楽章 」

   指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
   ベルリンフィルハーモニー管弦楽団



  聖者は、群衆をその場で正座するよう命じました。
 息詰まる緊張は、きっと画面を通して全世界に伝わっているに違いない。


「 世界の同志同胞の皆様、そして日本国民の皆様。

私は御使いの神である大天使長ミカエル様から、                       
聖者としての御指名を賜った 木戸十三(きどじゅうぞう) と申します。

私のような聖者は、世界各国に存在します。
その聖者の証は、この額と右の掌にある十字の痣です。

日本では十名選ばれました。御神示を賜ったのは全世界で私が一番始めです。他の者はこの全国中継のテレビを見るように、神様が仕組んでおられます。

 それから神示を降ろした方が早いからです。

故に世界各国と日本の各都道府県のテレビ局やラジオ局には、
全面的な御協力を頂かなければなりません。それと新聞社にもです。

新聞社にはすぐにでも号外を出して頂きます。
仮に報道規制を掛けようとする動きが政府にあったとすれば、
邪神に与(くみ)する者とし一時的に拘束されます。

 あのプロデューサーのように ・・・」


彼は、冷や汗まみれ、ヨダレまみれの案山子となった男を指差して言った。

  そして続けた。


「 ですから、くれぐれも馬鹿な真似はなさらない事です。
 前置きはこの辺にして、本題に入ります。
 今から御神示の内容を、このフリップを使って御説明させて頂きます。」


  木戸はマイクを口元から離し、カメラマンに話しかけた。


「 カメラさん、これをアップで写して下さい。
   フリップと私を同時に写せますか?
       私は小さくで構いませんが?」

「 はい、それは大丈夫ですので、どうぞお話下さい。」

               
  坊主頭のカメラマンは青褪めた顔で答えた。


「では、心してお聞き下さい・・・この紙を少しずらしてくれるかな。」


  なるほど、このフリップは厚紙にワープロで作成した
  文書の紙を貼り付けたものだが、いきなり全部見えてしまっては
  インパクトが強過ぎるので、もう一枚厚紙を用意して、
  それで隠していた訳だ。

   短い時間でよく用意出来たものです。

 神が選ばれた訳は、この辺も含めての事でしょう。
木戸十三という名も、天の岩戸や十三湖に関連があるのかもしれません。

   神仕組みとは水も漏らさぬと申しますが、
   この現界物質界は霊界の一部でしかありません。
   どの次元も密接に関わっています。

  私達の住む現界は、余りにも霊的物的な汚染の度が過ぎました。
  綺麗に掃除されて当然です。
  この先どうなるのでしょう。

   あなたも予想してみて下さい。

  さて、聖者は戸田アナに指示していましたが、
  彼女の精神状態は限界ギリギリといったところです。

 しかし、ここは世界に大和撫子ここに在りと示して欲しいものです。


  木戸は、「神裁きの三日間」に於ける掟の三ヶ条 の内容を
  一条から順に、坦々と読み上げた。

  項目が進むに連れ、皆、驚きの声を上げ、
  次第に血が凍りついていったようだ。

   直、声も出なくなり血の気も失せたようです。

  あなたには今一度時間を遡(さかのぼ)り、
  「神裁きの三日間」に於ける掟の三ヶ条 を御覧下さい。

 《 序章 》 〈 第九話 〉 主神の天意 - 『 うさぎの言霊 』 Rabbit's Kotodama   

  こうして始まった 『 神裁きの三日間 』 という正神軍からなる
  邪神軍への宣戦布告が、日本の十和田湖から発信されたのです。

  ただ人間達には、地獄の宣告と受け止めた人もいるでしょうが ・・・

    戸田アナは無事大役を果たしました。

    その後はヘナヘナと膝から崩れ落ち、
    スタッフから車に運ばれていきましたが ・・・

  しかし、誰も声が出ないようです。

ここに集まった人は、報道関係者 7、80人にプラスして
付近住民300名程ですが、殆どの人は目と口が開いたままの放心状態。

 あまりの衝撃に皆正気ではいられないようです。

すすり泣く者、振るえが止まらない者、なにやら呟いている者、
中には心臓が止まりそうな者、十人十色。

 えー、ちょっと情けなくないですかねェ。

  ですが、一人だけ凄まじい気を膨らませる者がおりました。
  暫く静観していた聖者の木戸十三です。

  握り拳を震わせていますが、怒りを抑えつつ                    
  近くのテレビ局スタッフに何か言伝をしているようです。

  暫くして、スタッフ2人は戸田アナを連れて来ました。


「 あああ、あのつ、連れて参りました。
 他に何か用があれば、何なりとおっしゃって下さい。
 もう何でもやりますので・・・」

「 ありがとうございました。もう下がって頂いて結構ですよ。」


  汗だくで落ち着きのない青褪めたスタッフに、
  木戸は礼を言うと静かに戸田アナの目を見つめ、
  落ち着いた声でこう言いました。


「 戸田さんも含め、ここにいる人は神に選ばれた人が多いのですよ。
 つまり世界に、霊の元つ国の代表であることを
 知らしめなければならないのです。

 あなたは、特に神様から頂き物をされたのでしょう。
 その御礼も含めて、与えられた使命を果たさなければなりません。
 それなのに、車で休んでいるなど許されないことですよ。

 いいですね、私が今から世界を意識しながら、これからの心構えと、
 それぞれが成すべき事柄を述べますから、
 しっかり、下腹に力を込めて一言一句聞き逃さないようにするのですよ。
 いいですね。」


「 はい、胆に銘じます。」

   
   彼女は、大きく力強く返事をしました。

  聖者木戸の話し方は、説得力もさることながら、
  その言葉に強く深い愛の波動を乗せているようです。

  その想いが彼女の心と魂に強く響き、
  全身から沸々と湧き上がる力を感じます。

   もう少しで大きく覚醒するような気がしてなりません。
   先が楽しみです。

聖者木戸が、戸田アナにニコッ、と微笑むと、再び群衆に向かいました。


「 みなさん、四時間程前この十和田湖で光龍神様が御出現されました。

 この聖なる湖の近隣にお住まいの皆様は、
 深く神様との御縁があるのです。
 ですから、その自覚と強い誇りを持って頂かないと困ります。

  ところが、こうして見渡すと悲壮感が漂い、
  まるでお通夜のようではありませんか。

 こんなだから島国根性だのサムライは死んだなどと、
 世界の人に馬鹿にされるのです。

  いいですか、世界の国々に島などありません!

 この世界は、神の国の大地しかなく、海というのは
 その大地の上の水溜りに過ぎません。

  皆、海の底は繋がっているのです。
  地球儀を見れば分かるでしょう。

 地球は元一つ、世界は元一つ、人類は元一つ、万教の元又一つ!
 この地球には神の子という人種しかいないのです。

  人類は皆、家族であり同志同胞であります。
  誰しも、赤い神の血が流れているでしょう!
         
 その神の子の霊成形(ひながた)は、この日本で創造なされたのです。
 その霊成形を創造遊ばされた神というのが、
 この地に御出現された龍神様なのです。

  その神の御名は、大黒天様と申されます。

 更にその上の御神格の大神様もいらっしゃいます。

 そして、その神々すら御生みになられた最も偉大なる神が
 全次元宇宙の創造主である主神様なのです。

 更に、その神々の直系が歴代の日本の天皇、
 別名 スメラミコト様なのです。

それが理解できたら、
この醜態を世界の人々と、天皇陛下そして主神様にぃ、
お見せして恥ずかしくはないのですかぁ!

 さあ、うろたえている場合ではありません。
 みなさん、気合を入れ直して下さい!」


   それを聞いた群衆は顔付きが一変し、
   ようやく正気に戻ってきたようです。

   流石は第一の聖者です。

   凄まじい気迫! 大きな体が更に大きく見える。

    まるで、モーセです。

 
そんだぁ、聖者様のおっしゃる通りだあ!

 みんな、あの偉大なぁ龍神様のお姿を見た筈だぁ。
 わだしもこの目で確かに見だぁ。

 あの神様を直に見た者は、こごにいる我々だげだぁ。

 そんなら天皇陛下と日本の国民どぉ、
 世界の人達さ見本を示せなぐてば、末代までの恥さなるぞぉ!」



  一人の中年男性が皆に呼び掛けました。
  おお、随分気合が入って来ました。
  そうこなくてはいけません。訛りもまたいいですね~。

 
「 そんだ、あんだの言う通りだ!
 おらほも、日本男児の心意気ば見せてやるべさ!!」
 声でか過ぎ!


  今度は、ニューヨークヤンキースのキャップを被った
  お爺ちゃんが意気込みを見せた。

   木戸は嬉しそうにその様子を見ている。

  ・・・ん? 何やら後ろの方が騒がしい。 

    誰かが前の方に向かっている。


「 ば、ばあちゃん! ご、ごめんなさい。前ば空けて下さい。」


  若い女性の声がするが ・・・ お孫さんだろうか?


「 おい、前、開けてやって。」

「 ばあちゃん、足元危ないぞ、大丈夫だが?」


  周りの人が気遣っている。


「 おらほは大丈夫だ。聖者様さ、お会いすんだ。」


  雪上をヨロヨロとした足取りで、老婆がゆっくり近づいて来る。
  小さな体を震わせ今にも倒れそうだが、
  その鬼気迫る姿は見る者を圧倒した。
                   
   残り少ない歯を食い縛り唸りながら、
   白内障であろう濁った目を カ ッ、 と見開き、
   その後ろからオロオロと手を貸そうとする孫の手を振り払い

  彼女に向かってこう言った。


「 いいがぁ、洋子ぉ。

 今おらほだば、御先祖様や亡ぐなった爺ちゃんや、
 息子夫婦、あの世で見でいるべな。

 そんだどごさ、生ぎる気力も無ぐなって、
 寝たきりでお前に介護してもらって、
 甘えてばかりで申し訳ながった。

 おらほは、さっきの聖者様のお言葉ではっきり目ぇさ覚めだ。
 んだがら、もう甘えてはいらんねぇ。一人で歩ぐ。」


  その様子を見ていた木戸は老婆の元へ歩み寄り、
  片膝を付いて優しく話し掛けた。


「 お婆さん、お話は聞かせて頂きました。どうぞ何でも私にお話下さい。」


  そう言うと、木戸は老婆の小さなシワだらけの手を、
  神の愛で包み込むように両手で優しく握り締めた。


「 おおお、聖者様もったいないこどです。」


  老婆は木戸の顔を見ようと、潤んだ目を更に近付けた。


「 ああ、こりゃあ立派なお顔で~。 あ~、え~おどごだぁ。
 あっ、わ、わだしは川村サキど申します。もう八十を過ぎました。

 こっちは孫の洋子と申します。東京さ行った息子夫婦の子供だども、
 その息子夫婦は、あの悪魔のインフルエンザで亡ぐしましたぁ~。

  ああぁ~~っ、あっぐ ・・・ そ、そん時はこごがら、
  移動しちゃあなんねえと言われだので、
  わだしらは遺体にすら会うことも適わずにおりました。

 そんな訳ですから亡ぐなった息子夫婦の分まで
 祈らねばなんねえと思います。

  聖者様、わだしは命ば御捧げして、
  神様と天皇陛下の為に最期の御奉公さ、さしてもらいます。

 そんでなげれば、死ぬに死ねません。
 そんだけ聞いてもらいだくて参りました。

  話ば聞いて下さって本当にありがとうございますだ。」


   周りの者は皆、涙していた。
   そして木戸の流した大粒の涙は頬を伝い、
   握った老婆の手を濡らしていた。


「 わ、わだしも、ばあちゃんと一緒に一生懸命祈らせて頂きます。ううぅ 」


  そう言って洋子は老婆と共に咽(むせ)び泣いた。

  すると木戸は立ち上がり急に表情を変え、顔が青褪めてきた。
  何故なのか? 私には分かった。

  それが、ミカエル様からの通信であることを。
  良い知らせではありません。ですが ・・・


「 川村さん、良くお聞き下さい。

 今、ミカエル様からの通信がありました。

  サキさん、あなたは二日後に肉体は力尽きて亡くなります。
  ですが、魂はその後も神の光玉の中で祈ることが出来ます。

 洋子さんと共に、三日間しっかり主神様と世界の人の為に
 祈ることが出来れば、インフルエンザで亡くされたあなた方の親族は、
 地獄の星への転生を免れ、
 故郷の星への帰還を許すと、直々のお言葉を賜りました。

 つまり、地獄へ堕ちる瀬戸際にある魂ということです。

  更に、あなたの亡くなった親族と息子さん夫婦そして旦那さんは、
  本来あるべき役目を外し、直接この地にて、
  あなた方の側で祈るお許しを頂いたのです。

 良かったですね。
 こんな特例は現時点で、あなた方だけですよ。」


   悪いことか? 良いことか? 判断は人それぞれです。

 神の仕組みは全て善なるもの、大慈大悲の愛しかないのですが、
痛み苦しみや不幸は全て悪! と捉えるのは、愚かな人間の得意とする所。

 本来神鍛え神試しに加え、包み積んだ曇りを ミソギハラヒ、鍛え上げ、
 人間から神の子人へと昇華させるのが目的なのですが、
  迷惑がられては神様も立つ瀬が無いというものです。

   ただ、この方は違うようです。


「 聖者様ぁ、天使様からわだしらに、
 そんな有り難いお言葉を頂くとは思ってながったです。

  もぢろん、わだぐしはこの体がどうなろうと関係ないです。

 それより、わだしの親族ば救ってもらえる上に、
 この場所で一緒に祈ることさできるなんでごどは、
 なんと有り難いこどが、こりゃあ、益々燃えて来ましただ!

  わだぐしは、世界の年寄りの代表どして、死のうが何しようがぁ、
  命の限りに自分のお役目ば、
  全う致しますので宜しく御願い申します。」


「 ちょ、ちょっと待ってけれ、ばあちゃん!

 あっ、わだしはこのばあちゃんの隣の家の島田宗次郎と言う者です。

  いいが、ばあちゃんよぐ聞げぇ! お前の骨は俺が拾ってやる。              
  洋子ちゃんの面倒も見でやる ・・・
隣の好(よしみ)だがらな ・・・

 ほんでも、年寄りの代表は俺だ。俺は九十一だぁ ・・・
こどしでな。
  だから、お前が死んだら俺の隣さ座って祈れ!

     爺ちゃんと倅夫婦も一緒でな。

  ただな、俺はまだ死ぬわげにはいがねえ。
  わけえ者の面倒みるやづがいなぐなっからだ。

 俺は男の根性なら誰にも負けねえ。
 そのことさ神様と天皇陛下にお見せせねばまいねぇ!

  そして大和魂ば世界の人さ示さねばまいねのだぁ!!


   言い終わるや否や、やんやの喝采である。

  このど根性爺ちゃんは、
  さっきのヤンキースの野球帽を被った爺ちゃんだ。
  小柄だが、仕事は農家なのだろう、腕っ節は強そうである。

   ついでに声がでかい。

  しかもこの寒いのに派手なセーターの袖をたくし上げ、
  下は作業ズボンと長靴だけである。

  それなのに、その体からは湯気が立ち昇っている。
  当然、顔も耳も真っ赤。

   その真っ赤な顔で更に気合を入れ大声で、
   先程から涙を流していた木戸に向かってこう言った。


「 聖者様、わだくしはこの部落の者ど一緒にぃ、
 全身さ気合入れで三日でも四日でも祈ります。

 飲まず食わずなんてのは戦時中よぐあることでしたぁ。
 んだがら、これからどうすればいいか、
 なんなりどおっしゃって下さい。

 いいがぁ、お前らぁ、耳かっぽじってよぐ聞いどげぇ!」 



   涙を拭い気を落ち着けると、満足そうな顔で木戸は答えた。


「 良く分かりました。ではお話致します。

 まず、世界の皆さんに申し上げます。
 現時点で、既に各国の聖者には額と右掌に、
 私のような十字の痣が浮き出ている筈です。

 その痣は、他人が触れようとすると消えます。
 本人だけが触れられるのです。
 島田さん、私の右掌の十字の痣に触れてみて下さい。」


  木戸は後ろの人からも見えるように手を高く上げた。
  これにはど根性爺ちゃんも驚いた。

 それに合わせて、一度死に掛けた坊主頭のTVカメラマンも
 近付いて木戸の手を写した。

爺ちゃんが、恐る恐る一辺 3 センチ程の十字の痣に、
右手の人指し指でゆっくり触れると、その瞬間に フッ、 と痣が消えた。

 驚いて指を離すと痣が戻った。  
 次に、木戸が触れると痣は消えなかった。

  これには一同驚嘆の声を上げた。

    木戸は続けた。


「 これは神の業に他なりません。

 この十字の痣は聖者本人しか触れることができないのです。
 ですから聖者を気取った偽善者は、痣を触れれば分かるのです。

  誰も決して騙されないで下さい。

 直に全世界の聖者には、御使いの神より神示が降ります。

 一般の皆様、そして各国の大統領や首相や国王、
 各宗教団体の中心者に到るまで同様に、
 その聖者の言う事に従って行動して下さい。

  一切の邪なプライドを捨てることが肝要なのです。

 これから各国政府はあらゆる交通手段、
 勿論、軍隊の陸・海・空を総動員することも含まれます。

 それらをフル稼働して、          
 各国民を「 神の光玉 」へ安全且つ迅速に移動させて頂きたい。
     
  これは 御神勅(ごしんちょく) なのです。== 神の命令の意 ==

 他者を打ち負かして権力を手にして築いた城は、
 もう崩れているでしょう。

 そうなったのは神の意に沿わないからなのです。
 神に従わないということであれば、それまでなのです。

  今こそ全人類が団結し、
  神の子である証をお立てしなければならないのです。

 それ故、紛争戦争をしている愚かな国は、
 即、臨戦態勢を解き武器を排除し、人々の送迎に御協力頂きたい。

  各国の長は、即刻御決断なされることを神になり代わり、
  心からお願い申し上げます ・・・

 これは言うまでもありませんが「神の光玉」の中では、             
 誰しも屋外で地べたに跪(ひざまづ)いて祈って頂きます。

宗門宗派・老若男女・人種・貧富に係わらず、皆、神の子でありますから
全ての人が平等に扱われます。その事を、胆に銘じて頂きます。

 不平不満を言ったり、周りの迷惑を考えない行動は謹んで下さい。
 曇りを更に積んでしまうことになり「神の光玉」へ入る資格を失います。」


  木戸は少し間を置いて、ゆっくりと周りを見渡している。

  当然、皆 改めて事の重大性を認識したようで、
  顔が真っ青で声も出ないようである。

   あの爺ちゃんも例外ではない。


「 では、ここからは日本の私が担当する地区の神の光玉の場所と、
 これから国民の皆様にして頂きたい事をお話致します。

 とはいえ、世界共通の内容であることに変わりはございませんので、
 そのおつもりでお聞きください。」


  いよいよ、最も具体的な部分に触れようとしています。
  それだけに、皆、固唾を飲んで木戸を凝視しています。

  恐らくはテレビやパソコン、スマホの前の皆さんも ・・・


「 まず、私の担当する神の光玉の場所は、ここ十和田湖を中心とした、
 直径約三キロ圏内になります。

  ただ青森に限っては、もう一人聖者がおります。

 その聖者の名は、黒田吉枝 と言います。
 その方は梵珠山を中心とした、三キロ圏内担当になります。

 つまりは、青森の方は二箇所に別れ、いずれか近い方の神の光玉に
 入って頂ければいい訳です。

  因みに北海道の聖者は一人で、十勝岳周辺が神の光玉です。
  山形宮城は蔵王山周辺になります。

 岩手と秋田両県の県民の方は、青森の二箇所或いは蔵王の
 何れかに向かって頂きたいと思います。

 遠方の方は今すぐ御近所・御親戚の方々をお誘いし協力し合い、
 あらゆる交通機関を使って、目的地に向かって頂きたいと思います。

  その為には、行政や民間企業の協力が必要となります。

 万が一首相や各知事が、神も私の言う事も信じずに、
 協力どころか邪神に与して妨害工作に出るという事になれば、
 そのような命令を聞く必要はありません。

 各行政機関、地方自治体は独自に判断して行動して下さい。

  当然、自衛隊もです。

 但し、その際に暴力行為は決して行ってはなりません。
 神の光玉に入る資格を剥奪されかねません。

 如何ともし難い時は、神に祈れば、あのプロデューサーの様に
 神様が邪魔をさせないように仕組んで下さいます。

 ふっ、彼の事は忘れていましたが、問題ないでしょう。」


    木戸はプロデューサーを見て、思わず苦笑した。
    ただ爆笑するような姿でもない。

    なにせ見苦しいやら、哀れやら実に気の毒である。

    木戸は更に続けた。


「 私は今から神力をお借りして、
 この十和田湖上空三千メートルの空中に留まり、
 光の十字架となります。

  つまりは灯台のように、
  遥か彼方からでもこの場所が認識出来るようにとの、
  神様の御配慮なのです。

 今から何十万、
 何百万もの方々がこの場所を目指して集結して来ます。

 近場の方は急いで御自宅に戻り身支度を整え、
 御近所の方と共にこの場へ戻って下さい。

  但し、時間があるからといって入浴したり、
  食事をしたりということはしないで下さい。

 そんな暇があったら、早く祈る場所に座り、
 一人でも多くの方が無事に到着出来るように祈るのです。

  宜しいですね!」


 「「「 はは・・ はい ・・はい ・・・ 」」」


   ああ~、賛同の声を上げたのは、ほぼ全員だが、
   勢いが無い者が少なからずいたようだ。

   一同口には出さないが明らかに不満気だ。

    特に若い者は ・・・


( 嘘だろ、そごまでやんなきゃなんねえのかよ。
 最後の晩餐抜ぎで、三日も飯抜きじゃ、やってらんねえべよ。)


   彼の魂というチャクラの柱の光は随分黒ずんでいる。
   また何やら頭の周りから言霊に乗り、
   煤色の煙のような物が放出されている。

  これは濁微粒子という物だろう。
  臍付近のチャクラの光はまるで見えない。

 どす黒いヘドロのような物質で覆われているだけだ。
 表情はウンザリという顔 ・・・ 生気がまるで無い。オイオイ ・・・

 子供達はと言えば、随分前から嫌で帰りたがっていた。
 何せ中学生位の少年少女でも、現実に思えていない者が多数いるのだ。

考えていることはと言えば、幼稚極まりないことばかり。       
そこを親がなだめすかしていた。

 恐らくは、子供が行かない参加しないということになれば、
 最悪、暴力で従わせるか親も残るか離れ離れになるか?
 家族会議で話し合っても、まともな結論に達するのだろうか?

   中年層も似たようなものである。


( こりゃあ、えらいごどさなった。
 どうすんべ、内の子供さ言う事聞く訳ねえし、
 母ちゃんはあまり乗り気なさそうだし、
 どうやって連れてくればいいんだべか?
 困ったあ、困ったぁ ・・・ )


   気の弱そうなお父さんが、頭の中でぼやいた。


( なんてことだべ、内の婆ちゃんは寝たきりだし、
 この子は知恵遅れでわだしがいないと何にも出来ねえ人だし
 婆ちゃんとわだしがもし死んだら、この子はどうすんだべ ・・・)  


   落ち着きが無い少年の母は、涙を流しながら嘆いた。

  木戸は皆の様子を暫く見ていた。   
  どうやら、主だった人の心を読んでいるようだ。

  私が全体の心の割合を見てみると、
 腹が決まっている人は、およそ二割。

 嫌だけど止むを得ないと思っている人一割。
 迷っていて決められない人二割。

 理屈は分かるが参加したくない人二割。
  信じない人二割。
   状況が飲み込めていない人一割。


   半数の人は、今まで周りのノリに合わせていただけのようだ。
   現実とはこんなものである。

  この場でこの割合なのであれば、
  都会な程信じる割合が減少していくことになる。

  そして、政財界や官僚の皆さんが、
  どのような対応をするのかは見当が付きます。

 世論の反応を見ながら、などということはせず、
 即刻、聖者と名乗るものは逮捕し
 留置場に入れるということになるでしょう。 

つまりは、奇跡なるものはあったとしても、
明日からの三日間、強制的に経済活動をストップし、
死者が出る事も厭わないなどということは、絶対受け入れないでしょう。

 林プロデューサーの金縛りにしても、ヤラセだと決め付け、
 龍神の出現も何もかも認めない、全て見間違いと言い張れば良い訳です。

  今の段階で、首相は既に動いていることでしょう。

   あの首相なら間違いなく・・・


「 皆さん、良くお聞き下さい。

 先程は入浴や食事をしないでと申しましたが、
 強制ではありません。神に対して全身全霊で祈るということですし、
 その為の肉体的準備でありますから、悪い事ではありません。

  ただ、最期かもしれないと思って食べ過ぎてお腹を壊せば、
  祈りに集中できません。それと、お酒は飲まないで頂きたい。

 酒を飲んだ人間は、やる気がないと神様から思われますから、
 神の光玉に入れないか、追放されます。

それに、神の光玉内はどのような場所でも気温は二十度に保たれます。
ロシアでも、アラスカでも ・・・ 勿論、ここでも ・・・

 いかがです? 神の大愛は ・・・

 また御近所で足が無い人が居れば、車で乗り合わせるように
 協力し合って頂きたいと思います。

御病気の方、一人暮らしの方、周りにはたくさんいらっしゃいますので、
どうかその方々への気配りもお忘れなく。

 JRやバス会社、タクシー、運送業、各行政機関の方には
 全面的な御協力をお願い致します。

神裁きの三日間 後には、先祖・子孫共々繁栄すると共に、
神様から名誉あるみ役が与えられ、大きくお使い頂けると共に、
生かされる大きな喜びを御実感なされることでしょう。」


  木戸は今一度、皆の様子を霊眼で伺った。
  少しはやる気の度合いが上がったと感じたようだ。

   実際に全体の志気はかなり上向いている。

 彼は恐らく、皆の気持ちを推し量るべく、
  先に入浴や食事の件を話したのだろう。

 飴と鞭をうまく使い分け、人をその気にさせる、
 その効果はあったということです。

  実にお見事と言う他ありません。



        ( 推奨 BGM ) 

  ヨハネス・ブラームス作曲 交響曲 第4番 ホ短調 作品98
   カラヤン&ベルリンフィル 





「 皆さん、先ほど私は神の光玉の場所は、
 この場を中心として三キロ圏内と申しましたが、
 はっきりとした境界線が無くてはなりません。

 その境界線は地面に線を引く訳にはいきませんが、
 なんら問題御座いません。その線は、もう敷かれてあります。

  物質では無い、霊の光を以ってです。

 その光は大きさ色、様々ですが幾重にもなり、
 日中でもはっきり肉眼で認識出来るようになっています。

  勿論、その光を消す事は出来ません。
  加えて人工衛星からも捉えることが可能だということです。

 どうぞ、世界中でその場所が示されておりますから、
 故障していない衛星を使って御確認下さい。
 そして、テレビかネットで公表して下さい。

神業なのですよ、皆さん。
そろそろ無神論者も、その下らない信念を捨てた方が宜しいかと思います。

 もう一つ、明日の午前六時までに神の光玉に入られた方には、
 特典として神様から大変ありがたい御褒美があるそうですから、
 早くいらした方がよろしいですよ。

  ただ、それが何か今は言えません。」


   ここで木戸は、表情を曇らせ話すのを止めた。
   何かに集中している ・・・

   これはミカエル様からの通信だ。


「 皆さん、今、ミカエル様からの通信が御座いました。

 日本の首相、副和内雄さんが青森県警に
 私を逮捕するよう指示を出したとのことです。

 それとマスコミに、衛星で何が写っていても公表しないようにとも ・・・

  副和首相、あなたは金縛りではなく命を取るとの仰せです。

 ただし、即刻指示を取り消せば許すとのことですが、
 十秒だけ時間を差し上げます・・・」

 
  ・・・ 誰も声を上げない ・・・ 十秒はすぐ過ぎた。


「 残念です副和首相 ・・・ その気は無い様ですね。

 というより、まだ信じておられないようです。

 神の偉大さを、事の重大性を ・・・
 それでは国を任せられないとのこと ・・・

さようなら副和首相、あなたの命は後、三分です。    
有り難くも『 神の雷槍(らいそう) 』を以って絶命させるとの仰せです。

その三日後、あなたの魂は冥王星の宇宙刑務所に収監されます。
 お詫びをするのです。

    今すぐ、今っすぐにだああぁぁぁっ!!!


 木戸の悲痛なる叫びが、静まり返った湖畔に空しく響いた ・・・
 木戸は暫く、やり場の無い怒りから来る体の振るえが治まるのを待った。

  が、依然空を睨み続ける木戸に対し、
  業を煮やされたであろうミカエル様から通信があったようだ。

 微かだが木戸のサードアイ・チャクラに向けて、
 光の念波ともいうべき波動が見えて取れる。

  その波動を通し、ミカエル様の言霊が響いてくるのだ。


(( 木戸よ、汝の気持ちは分かるが、彼の裁きはもう覆らない。

 他の者達が汝の言葉を待っている。

 今から更に、邪神軍と人間達の醜態を
 目の当たりにしなくてはならないのだ。

  感傷に浸っている暇は無い。続けるのだ。))


    ミカエル様のお言葉に、ハッ、と我に返った木戸は答えた。


(( 申し訳ございませんでしたミカエル様、仰せのままに致します。))


「 皆さん、申し訳ございませんでした。
 首相の事はどうにもなりません。

 話を続けます。先程から出来るだけ早く神の光玉に入られるようにと
 お話をしておりますが、それは何故か?

 それは、そう簡単に何事も無く、交通事故や人とのトラブルも無しに
 神の光玉に入れるか否かは、非常に難しいのです。

  邪神軍の妨害工作は、主に人間や動物を使います。
  副和首相もその一人。

 彼が死ねば副総理が警察や自衛隊を使って来るでしょう。
 しかし神の業により神の光玉の中にいる者には手を出せません。

神の光玉の境界線の内側には、
邪気が多い者の進入は出来ないのです。

ただし、神の業が行使されるのは、あくまで明日の午前7時以降です。
それまでは邪神の妨害、そして己の邪気と戦わなければならないのです。
だからといって我先にという想念は自己中心的発想ですので神は嫌われます。

問題が生じた時は周りの人と協力して、神に祈りつつ、冷静且つ的確で迅速な状況判断を以って乗り越えて頂きたい。

 もう一つ ・・・ 神の光玉に行きたいと思っても状況が許さない人が
 少なからずいらっしゃるでしょう。

 その方は最後まで諦めないで下さい。お詫びと感謝で祈るのです。
 さすれば神様のお慈悲が頂けることでしょう。」


 木戸は一旦深呼吸をすると、ゆっくり群衆の顔を見渡した。


「 皆さん、最後に一つ ・・・ 私はこれからこの上空に向かいます。
 ですから皆さんとは直接話しが出来なくなります。

 その際、私に成り代わり地上で多くの人に指示を与える補佐のみ役が
 必要となります。そのみ役は私が決める権限を与えられました。

その人とは、上空から私が思念波を用いて交信することが可能となります。
人数は現時点では分かりません。これから集まる人によるからです。

 何十人かの補佐役を任命致しますが、皆同時には交信は出来ません。

その為、必要に応じて私以外のお方、つまり御使いの神様が、
直接御指示なされるということも有り得るということになります。

 補佐役のみ役を頂かれた方は、しっかりその事を胆に銘じて頂きたい。

ただ、この場には三人おります。

その方は、島田宗次郎さん、戸田由紀子さん、それから始めに御発言された、そちらの男性 ・・・ そう、あなたです。 お名前をお願いします。」


  どよめく群衆の中から、指名された中年男性が顔面蒼白で、
  どもりながら答えた。


「 わわっ、私は秋山ひさしと申しますが、きゅ、急に言われても ・・・」

「 なんだ~、町長の息子さんだべ。」


    中年女性が口を挟んだ。


「 拒否権はありません。神の勅命と同じなのです。
私に御神示があったのも急でしたが、即断致しました。

大変な名誉ですよ。

私の指示通り動いて下されば良いのですが、
勿論、自分で判断して動いて頂かなければ、神様から合格点は頂けません。

神の鍛えを楽しんで下さい。                             
直に、あなた方には右の掌に十字の痣が現れます。」


   皆、呆気に取られている。


「 ああっ、いでっ、なんだ? 急に手が熱ぐなっで ・・・?
            あれっ、もういだぐねぇ。」


   爺ちゃんが思わず口走った。
   三人共、右手を押さえている。


「 一つ、思念波が通じるか試してみましょう。
 いいですか、一人づつしか交信は出来ません。
         まず、島田さんから ・・・」

(( ・・・島田さん、聞こえますか? ・・・))

「 ああっ、聞こえだぁ。たんまげだこりゃあ!」


   島田の爺ちゃんは、頭を抱えて驚きの声を上げた。


「 あ、あの、心で念じて答えて下さい。」 彼は楽しげだ。

「 ああ、申しわげね。」

(( ・・・ ああ、あの聖者様、聞こえますか?・・・))

(( ・・・ はい、聞こえますよ ・・・))

「 あ、あへ~、すげえなこりゃ。」 爺ちゃんです。

「 では次、戸田さん。」


  木戸は他の二人共試し合った。 群衆は驚きの声を上げた。
  また少し、気持ちが高揚したようだ。

  木戸は次に、一般の方達との意思の疎通を図る為の道具として、
  拡声器や音響装置、トランシーバーその他を集めて頂く様に、
  皆にお願いをした。

  それにしても、広範囲の屋外ですから相当厳しいと思われます。
  それぞれの場所で連携を取るしかないでしょう。


「 いいですか、私は上空からいろいろ指示を出しますが、心は一つです。
 光の帯となって繋がるのです。

 そして、これから集まってくる人達とも一つにならなければいけません。

 その強い祈りと愛が大きな光の帯となって、
 まず光の灯台となった私の魂を中継し、                    
 霊峰富士の上空三千メートルに集束します。 

  そこに 『 神の光輪 』 と呼ばれるものがやがて出現致します。

 世界中から集められた愛の祈りの光が『 神の光輪 』となり、
 大きく成れば成る程、邪神軍団に打ち勝つ強力な武器になるのです。

 我々神の光玉に入った者の使命は、神の子が親を想う愛の光を
 『 神の光輪 』 にお届けし、その神の光輪を通して、
 主神様に強く働きかけることにあります。

  ですから邪神軍団と相対するのは物質的武器ではなく、
  主神様に対する愛情しか無いのです。

 その愛が主神様に通じた時に、邪神が巣くう地獄の世界から
 神が直接統治する愛和の天国文明が顕現されるのです。

  ですからその祈りには、         
  今まで主神様を蔑ろにしてきた、お詫びが一番重要となるのです。」


   木戸は目を閉じ、精神統一しているようです。
   そして、ミカエル様と交信を始めた。


(( ミカエル様、お願い致します。私を空へお運び下さい。))


(( うむ、承知した。 汝のこれまでの対応、見事であった。

   汝でなければ世界の聖者に先駆けての、
    主神様の御意志を伝えるのは困難だったであろう。
     礼を申すぞ。

      では、空へ送ろう。
      その前に皆に伝えよ。

     この神の光玉を守護されるのは、
    恐れ多くも日本全山を統括する、       
   大山津見神(おおやまつみのかみ)様で在らせられる。

 邪神など恐れるに足らんのだ。さあ! ))


(( ははあ、畏まりましたあ!! ))
 


  木戸のオーラと魂の火柱が、轟々と燃えるような光を発し始めた。
  これは、肉眼でも見えているようだ。

  群衆の度肝を抜く中、木戸はミカエル様の御言葉を皆に伝えると、
  更に気が膨れ上がり、全身に満ちた光が溢れるように放出された。


「 皆さん、私は空に昇ります。

そうなれば、こうして直に触れ合うことは出来なくなります。
繋がる手段は愛の祈りの波動のみ。

 一日一日と、人は肉体が主ではなく、
 魂が主であることをサトラれるでしょう。

これから、幾多の困難なる鍛えが待ち受けています。
何事にも、恐れず迷わず慌てず、皆心一つに一丸となって
主神様に想いを馳せるのです ・・・

 では、二十二日の午前七時に、神十字文明の曙、
 そして主神様をこの地上にお迎えさせて頂く喜びを、
 皆さんと共に味わう事を楽しみにしております。」


  木戸は言い終わると笑みを浮かべ、静かに合掌した。

 次に、合掌した手を前にゆっくり伸ばし、水平に広げ始めた。 
 腕が伸びきると、人型の十字架になっていた。
 その十字架は光の玉となり、どんどん光の強さが増して来る。

すると、次第に聖者木戸の体が地面から離れて行く ・・・
こうなると群衆は皆、口を開け目は見開いたままである。

 すると、その木戸を包んだ光の玉が、
 巨大な何者かの両手に包まれていると、皆、気付き始めた。

  薄っすらと見えてきたのは、なんと白銀の龍神の両手だった。

    龍神の頭部は、遥か上空にあったのだ。


 「「「 あああーーっ、龍神様だあぁーっ! 」」」


   皆、驚きの連続で腰を抜かし、息も絶え絶えという感じである。

  龍神の姿がはっきりしてきた。
  そして、ゆっくり木戸の光の玉を掴んだまま昇って行った。

 この龍体はミカエル様のものだ。
 ここまで来ると、皆、今まで漠然とした意識しか無かった

神に対するイメージがはっきりし、且つ実感出来るようになって来ていた。
当然だ! 何しろ嫌というほど見て聞いて肌で感じているのだから。

群衆を見渡すと、腹が決まった割合が随分高まっている。
これは正神軍の作戦が大成功と言っていいでしょう。

 流石です。必要な所は邪神の抵抗など無意味とばかりに
 神の正義と力を行使する。

 それに、正神軍には秘策なるものはあっても、
 邪神のような下劣極まりない悪心邪心から発せられる謀略などは
 一切存在しない。

  常に 「 神試し 」「 神鍛え 」 という
  「 大慈大悲の大愛 」 でしかないのだ。 

   そして、それを乗り越えた者には、
   無限の天意に満ちた神理の道が広がっていくのだ。


この映像は世界中に流れているが、当然停電している地域や、
見捨てられた被災者、難民、失業者にホームレス。
そして辺境・秘境・戦争・紛争地域に、
正しく神の御意思が伝わるかは疑問だ。

 無理が有り過ぎる。止むを得ません。
 人間の責任。私の責任。あなたの責任。

  まずは、その重責が自分にあるとの認識を深めることなのです。

  ? 否、自分はこの世に生まれて、まだ数十年だ!
  重責を問われる言われはない! と思われても、
  あなたは既に転生を無数に繰り返し、今日に至っております。

  ですから、知らぬ存ぜぬは通用しないのです!
  あなたの先祖はあなた自身だった。
  などというのは、よくあることです。


聖者木戸を抱えたミカエル様の龍体は、
八甲田山、岩木山を見下ろす程の高さにまで達した。

そこで速度が落ちてきた。
どうやら高度三千メートルに達したようだ。

 やがて木戸の体はミカエル様の御手から離された。
  その体は静止している。

   風の影響は無い。

   木戸は両手を広げたまま、この体勢を維持するようだ。

  これは磔ではない 「光の十字架 」 「光の灯台 」
  迷える子羊を導く為の希望の光なのだ。


さて、「神の光玉」と「神の光輪」の意味が解き明かされました。
実に驚愕する内容です。

この先更に、様々な正神軍の作戦や秘策が明かされていくでしょう。
そして、邪神軍がどう対抗してくるのか?

 ゾクゾクわくわくしませんか?
 背筋が凍り付きますか?

   私も恐ろしいですが楽しみで仕方ありません。 




 


《 序章 》 〈 第十二話 〉 土門家の人々

2019年01月31日 14時15分16秒 | 小説




 《 キャラクター&キャスト 》

土門 剣三郎(五十三才) 渡〇  謙
   ミツエ(五十才)  松坂 慶〇
   拳 三(二十五才) 妻夫木 〇
   かすみ(二十一才) 成瀬 璃〇

マーフィー・ラッセル (二十五才) ヘイデン・クリステ〇セン
エミリー・マーティン (十九才) ベッ〇―
ミランダ・マーティン (十三才) アヤカ・ウィル〇ン

豆芝 (犬四郎 / 四才)  加藤 清〇郎

* 守護霊やその他の霊魂のキャラクター&キャストは省きます。
 あまりに登場人数が多いので、エキストラ扱いです。
 悪しからず。



     (推奨BGM)  







・・・ もうダチョウの丸焼きは結構ですぅ、お腹いっぱいで ・・・

  えっ、そんな、名古屋コーチンを三羽もお土産にって ・・・
 一羽で十分で御座います ・・・ ふんふん、ああ~~、満足満足 ・・・
・・・・・・ むにゃむにゃ ・・・ ふあぁ~ ・・・・ ?

ん~~? なんだ ・・・ ここ何処? 籠?

か~ごのな~かのうさぎぃ~わぁ~っと♪ まだうさぎぃ~
段々慣れて来たぞ、このパターン ・・・

すると、名古屋コーチンは無あ~い!しょお~がなぁ~い♪
 雨の日はしょおがない♪ 雨は降ってないけど ・・・

  まあ、夢の中で食べたからいいか!
  あ、あれはダチョウだった ・・・  

 それで、何だこれっ? 首からぶら下がったペンダント。

ゲゲゲ、円盤型の金属製だが、ここ、この金属は、まさか、
オリハルコンか? はたまた、ヒヒイロカネか?
燃えるよう炎の光を放っているとは ・・・

 それで、表の部分には縦が赤、横が青の十字の紋章が ・・・

 ただこの十字は、ゆるいS字になっている。

そんでもって、縦の赤は真っ赤なルビーが、
横の青はサファイアが敷き詰められている。

しかもその縦横の宝石は、LEDのように眩く発光しているのだ!
周囲はダイヤモンドかクリスタルで縁どられている。

 全く信じがたい芸術品だ!

それで裏は、ムムッ、ギョ、カ ッ、鏡かぁ?
だが、この鏡は、あああああ~~~!!!

これは、ウサギではない、あ~たくしの人間の顔が写っている。
ししし、しかも、写った体の奥のチャクラが見えている。

まま、また気絶しそうだ ・・・ いや、いかんぞ!
ああ~~、額の奥のサードアイ の光はいま一つ鈍いぞぉ ・・・

 うぬうう ・・・ しょうがない、これが現実なのだ。

  んで、左腕にはな、なな、なんとも神気を帯びたような光を放つ
 ダイヤかクリスタル製と思われるデジタル時計が ・・・

このデジタル部分は真っ赤に発光している。

怖いのは、このデジタル部分が、既にカウントダウンを始めていることです。

ああっ、この数字に触れたら、現在時刻を表示しました。
現在時刻、12 / 18 13:40 を回っています。

 えッ、もう一度触れると、アナログ時計に ・・・凝ってるなあ、流石に!
 それで、カウントダウンはあと、89:19:19 です。

あ~、怖い! ただ、これってスミレ様からの贈り物だろうな。
ペンダントの組紐の色はピンクだし ・・・ 申し訳ないですね。

  ありがとうございます。スミレ様!

    ・・・ プ ピ プ ピ プ ピッ ・・・?

    何だ? ゲッ、この時計からだ。


(( もしもし、わたくしスミレです。礼には及びません。

 ペンダントはわたくしからですの。それは、わたくしの紋章なのよ。
そしてダイヤ製の腕時計は叔父様からのプレゼントなの。
ふふ~ん、なかなか洒落ているでしょう。

まあ、主神の叡智が詰まっているんだけど、
その他の機能はまだ内緒よ ・・・

いい、あなたの使命は土門家に潜入し探ること。
 それから、あなたを送迎して下さったのは叔父様ですから、

   お礼を言ってね。それじゃあ、バア~イ ・・・ ))


    ・・・ プチッ、ツ ーー ツ ーー ・・・


    「 えっ、あ、ありがとうございました。」 ? 切れた ・・・


  主神の叔父様、御面倒を御掛け致しまして申し訳ございません。
  ありがとうございました。

    通じただろうか?

   叔父様って、御名は何ておっしゃるんだろう?
  それに電話なの、この時計?


   ・・・ タンタカタカタカ ・ タンタン
     タンタカタカタカ ・ タンタン ・・・


   エッ、ちゃっ、着メロが笑点? また電話?


(( あ~、もしもし私スミレの叔父です。

  時計、気に入って頂けたようで良かったです。
  それと名前なら、とりあえず 「 おちょい 」 で結構ですよ。
  では、さよう奈良京都! ぷくくっ ・・・)) 

           ブチッ、ツ ーーー


  あっ、ああぁ~~? あ、いや、お~見事な駄洒落です。

ぐっ、苦しい・・・いずれにせよ、神様って厳格だけど遊び心満載だし、
 一介の人間にお気を使われて、勿体無いというか恐縮ですホント。

 ところで、外の様子がどうなっているか、見てみましょう。

この籠の蓋を開けて、うんしょっと、飛び出たら ・・・
籠はボワッと煙と共に消えちゃいました。


  ここは、普通の民家の門前です。

表札は土門。生垣は、赤い椿がとても鮮やかです。
きちっと手入れがなされているようです。
こういう門構えも立派で気品ある和風建築ってやっぱりいいですねぇ。

二階建てで、そんなには広くはないようですが、
ちょっと覗いてみましょう。


 信造のぉ~、建物たんぼ~~!? ・・・ 

  渡辺さん、スミマセンって見てます? ・・・ 
  テレ朝、関東圏では、2022年現在、毎週土曜日4時25分放送です。

  関係ないですが ・・・


 門を抜けて、片引戸の玄関をすり抜け、
 あ~、わたくし肉体が無いうさぎですのでお気になさらずに。

すいすい気持ち良いほどすり抜けられます。
いや~、なかなか無垢の木をふんだんに使った内装と、
風景画や見事な絵皿が飾ってあり、いい~佇まいですね~。

 それに全体の雰囲気というより、
 神気ともいうべき美しい光で溢れている。

   んっ? なんか臭う。動物の匂いだ。

  すると、奥の部屋から豆芝が、
  不思議そうな表情をしながら近づいて来る。

  クン、クゥ~ン ?

  なんだろう、私の姿が見えるのか? それとも、臭うのか?
 この犬の脳裏には、ぼやけたうさぎの姿が映っている。

へぇ~、犬に見えているとは面白い。
それに、魂も流石に可愛いくて綺麗だ。

不思議な事ですが、このうさぎスーツのせいか、
相手の思念や魂の光が見えています。

 ただ、神々の思念は全く読み取れませんが ・・・

恐らくスーツの力も及ばないのでしょう。
元が人間レベルじゃあねェ。

 こりゃ益々面白くなってきた、むふふ ・・・
 試しに、私は彼に話し掛けてみました。


「 ああ~きみきみ、名前は何と言うのかな?」

「 けんしろうだよ。」


  ええっ、話出来るぞ!おもしろい。
  それに、小さくてカワイイ奴だな。

 短い尻尾を振っている。
 室内飼いなのだろう、性格も穏やかで素直そうだ。

  
「 犬四郎~、犬四郎~、おいで~。」 若い女性の声だ。


  けんしろうって、漢字のイメージで伝わる。不思議だ!
  これは言霊の力なのだろう。

 名前は、「北斗の拳」 に掛けてあるのか?
 本来、ケンシロウか拳志郎なんだが ・・・

だとすればこの命名、面白い。笑える。

 私は呼ばれて戻った犬の後を追った。
 廊下の先の角を曲がると、んっ?

突き当たりにドアが・・・それでドア下に犬用の出入り口がある。
ギリギリの大きさで、犬四郎は鼻面で扉を持ち上げて潜って行った。

 そこには、十六畳程のダイニングキッチンがあった。

ラジオの音がする中、視線を奥に移すと、七、八人掛けの
L字型のソファーに何人か座っている姿が見える。

 外国人の大柄な男性と姉妹、三人兄弟だろうか?
 それと熟年の母親らしき日本女性と、その息子と娘。

  と見たが、どういう関係なのか?

 皆、一様に表情が暗いのは、何か訳ありのようだ。
 しかし、これは何だろう?

人間の体の縦軸部分の数箇所に色違いの光が見えている。

魂 は、人の額の奥にある脳幹という場所の松果体に宿る説。
この部分には、サードアイ・チャクラ があります。

 または、臍下の奥にある丹田という部分に宿る説。
 ここには、サクラル(セイクラル)・チャクラ があります。

主要なチャクラという円盤形の霊的な光が、
人間の体の縦軸、主に背骨に沿って点在していますが、

 全てのチャクラが魂そのものなのかもしれません。
 主要な部分が、サードアイとサクラルなのかも?


(下記参照)

宇宙根源の『 生命の樹 』の謎
                           
とにかく、そのチャクラの光が、うさぎの霊眼ヒガンに映るのです。
チャクラの光が見えるということ、当然神からは一目瞭然でしょう。

 霊界の中に存在する現界、物質界。

神の目線は人の想いと行い、魂の光に向けられているでしょう。
だから、醜い心を隠しても無駄ということです。

この家族でも光の強さや色はまちまちです。
体全体の光、オーラというものも見えます。

 気になる所はまだあります。

それぞれの頭の陰にチラチラと何か蠢うごめく物が見えます。

私は、母親らしき女性に近づいてみました。
何か人影のような、んっ?

 小人? 一寸法師? 向こうも私を意識しているようだ。
 こっちを不思議そうに見ている。

  私は質問を投げ掛けた。

 
「 あ、あの、初めまして。
 私は、このような格好ですが、人間の関口信造と申します。
 あなたは一体ここで何をされているのですか?」


「 あっ、初めまして。私はこの者の守護霊の一人で、安明あんめいと申しますが ・・・
 いやぁ~、驚きました。
 うさぎのお姿はともかく、オーラの光が全く見えないし、
 思念も読めないので、霊魂じゃないんじゃないかって思ったほどで ・・・」


「 ああ、守護霊様でいらっしゃいましたか。驚かせて申し訳ありませんでした。
 この体は事情があって、神様から授かったものなんですよ。

 ですから、オーラの光の関係は自分ではよく分かりません。
 特別に神様からの指令の為、この家に参った次第なのですよ。

 ところで、このご家族は平日の昼間から、仕事もされていないようですし、
 家族構成も変っているし、良かったら御説明願いたいのですが・・・」


「 そういうことでしたら、お安い御用ですよ。

え~、まず私が守護しているこの女性が、ミツエと申しまして、
年は丁度五十になります。おっとりしていますが、
曲がったことが嫌いな肝っ玉母さんといったところです。

 旦那もその辺が気に入ったようで結婚したのです。
 以前は料理教室を開いて、近所では人気があったのですが、
 新型インフルエンザがパンデミックを起こし、
 それ以来、教室は開いてはいないのです。

御存知でしょうが、その時の死者は東京だけでも四十万人を越えており、
あのワクチンが3割程しか効かないとは、思いもよらないことでした。

その為、政府や医療関係者が相当数亡くなり、
仕事を維持できる企業は数少なくなってしまいました。

 当然、倒産にリストラ、失業者が街に溢れかえり、
 それに伴いホームレスも増えました。

例に漏れず、この家の住人も同じで自宅待機の者ばかりです。
蓄えたお金で食糧を備蓄し、家の中で悶々とした日々を送っている始末です。

家に篭るのは、他にも理由があります。
警察官の数も激減してしまい、治安がかなり悪化しているのです。

 その為、完全武装した警察官や民間の有志者が
 二十四時間体制で連携して見回りをしています。

旦那は剣三郎、五十三才で、この地区の自警団「暁」の団長をしております。
彼は関口新心流という古武術を学んでおります。

 その古武術は居合いや柔術を含む総合武術なのですが、
 彼の腕は達人の域に達しています。
 正義感も人一倍強く、人々の信頼も厚い為、団長に選ばれた訳です。

彼は先祖を含めた我々土門一族の中で、
最も優秀で切り札的存在なのです。

だからこそ、今の世に生まれ変われるように、神様が仕組んで下さったのだと、
私の指導霊 、優純ゆうじゅん 様 から聞かされていました。」


「 そうでしたか。それで、私がここに来た訳が分かりました。
 私の姓は関口と申します。何か深い因縁があるのでしょう。

 それに今生きている人間達は、その家の中で一番重要且つ責任の重い、
 言い換えれば曇りの深い魂が転生してきているのですね。
 一概には言えないでしょうが。」


「 あなたのおっしゃる通りです。全ては神の大愛なる
 お仕組みを頂いての事ですが、昨今の人間達の性に対する考え方は
 余りに短絡的、幼稚で快楽中心のSEXが横行しております。

その為、地獄に落ちた魂ばかりが呼び出され、
その結果、この世が地獄化するは必然的な事と言えます。

 幽界の上層界から転生したいと願った魂があったとしても、
 淫らな愛の無いSEXをする夫婦や、
 夫婦ごっことも言うべき同棲なるふしだらな関係の者の
 母体に宿れる筈が御座いません。

 世も末というのは、出来ちゃった婚などという子供を出汁に、
 親に有無を言わさず結婚することが横行しています。

先祖には最も嫌がられる行為で、両家の先祖同士は、
そりゃあ気不味い関係になります。

 私なら絶対に許せぬ行為でありますが、
 現界ではそれすら容認する動きがあります。

 不倫などは論外でありますが、
 そんな関係の醜い魂を持つ男女の間には、
 聖なる魂は宿れないのです。

挙句の果てには、お互いの我がままを通し
掟を破り離婚する者がいる始末。
もはや性は、聖なるものでは無く地に堕ちました。

 幸いこの家は、霊的な平均水準を大幅に上回ることができております。
 ただ、我々一族の守護霊達は一瞬の油断も許されません。

気の毒なのは他のお家の先祖です。
あまりに醜い子孫の自堕落な生活に、絶望する者が殆どです。
おまけに神様や先祖は蔑ろ。やる気が無くなるというものです。」


「 そうですか、現界に生きる子孫の為に想像を絶する
 御苦労をしていらっしゃるのですね。
 性に関しては同感する事ばかりです。
 それで、その剣三郎さんはお留守なのですか?」


「 ああ、彼でしたら奥の部屋で、瞑想をすると言って篭っています。
 では、家族の紹介を続けましょう。

 向かって左の男性が、長男の拳三で二十五才です。
 この男も、一族では期待が大きく、勤勉で正義感もあり
 冷静沈着で洞察力、統率力にも優れております。

父と同じく新心流を学び、柔術では父を凌ぐ腕前となっており、
文武両道といったところですが、ちと自信過剰な一面があるので、
そこが欠点で御座いますな。

 また、当然のことながら自警団「 暁 」の団員であります。

頼もしいことに恋愛に関しては、父親に似て・・・
ベタベタちゃらちゃらした恋愛など御免だ!
等と言って、つまらない女を寄せ付けず硬派を貫いております。」


「 うれしそうですね、安明様。」


「 そりゃあ、何と言っても男女間の欲望を押さえるのは骨が折れますのでな。
 御近所を見ておりましても、親も守護霊も大変極まりないのですよ。

家の中では携帯にテレビや漫画・インターネット、
まあ、この家では剣三郎とミツエがうまい具合に規制を掛けているので、
たいしたことはありませんがね。

 とにかく、学校やら会社での友達付き合いでは、
 相当悪影響を受けますのでな。

ですから守護霊達は ・・・そんな馬鹿な奴の言う事を聞くな、
ゲームはその辺にしておけ ・・・
等と、魂に向かって強い波動を送らなくてはなりません。」


「 これはこれは、守護霊とは大変なみ役ですねぇ。」


「 何々もう慣れました。
 え~、それで拳三の隣は妹のかすみ、二十一才です。

 この子は、母親に似ておっとりしていますが、
 生真面目でしっかりしています。

運動は苦手ですが、剣は別らしく、
剣三郎は剣を中心に稽古をさせております。

 恋愛の方は奥手で、今までは悪い虫が付かぬように、
 彼女の守護霊もがんばっておりました。

それが、そちらの外国人男性、マーフィー・ラッセルと申す者とは仲がよく、
拳三と一緒に、日本語や剣を教えたりしております。

 彼は拳三と同じ二十五才で、
 アメリカからホームステイをして三年になります。

日本の和風建築と、古武術を学ぶ為に来ております。
彼も自警団に所属し、いい働きをしております。

私は外国人などとは、どうかとは思いますが、
志も高く女性関係にも真面目なので大目に見ております。
剣三郎は気に入っておりますがね。

 そちらのハーフの姉妹は、気の毒なことに、その両親と長男が
 新型インフルエンザの犠牲になってしまったのです。

父親はイギリス人で母親が日本人です。
もう、亡くなって半年になります。

犬を抱っこしているほうが姉で、エミリー・マーティン、十九才で大学生です。
妹の名はミランダ、十三才で中学生です。

エミリーとは、かすみの大学の親友ということもあり、
他に身寄りがないので、止むを得ず同居しているのです。」


「 そうですか ・・・ 込み入った事情があるのですね。
 皆、厚着をして暖房のある部屋に集まる。どこも同じですね。
 大抵は一人寂しくですが、この家はかなりまともと言えますね。

 ところで、今から何が起きるか御存知ですか? 」


「 えっ、そう言われましても、ちょっと見当が付きませんが ・・・ ?
 もしかすると、
 幽界の領域が大幅に縮小していることに関連があるのですか?」


「 その関連はございます。おそらくは幽界の住人には
 秘密裏に進められたことだと思います。

 実は私、先程まで出雲の神々の会議の模様を見ておりましたので、
 ある程度は知っているのです。これを御覧下さい。」


  すると、居てもたってもいられなくなったのか、
  この家、全員の守護霊が集まって来ました。

   皆、随分若いし美男美女揃いだ。
   それに三十前後に見える。

  良く考えれば肉体が無いのだから、老いとは無縁で当然と言えます。


「 いったい、何事なのです。」

「 事情は聞いておりましたが、何事か教えて下さい。」

「 まあまあ、皆さん落ち着いて下さい。
 私は、関口信造と申します。宜しくお願い致します。

 今はジタバタしても始まりませんので、
 まず簡単にお名前だけでも、自己紹介をしていただければと思いますが、
 宜しいですか?」


「 では、私から ・・・ 拳三の守護霊代表、栄来えいらいと申します。」

「 かすみの守護霊代表、真麗しんれいと申します。」

「 マーフィーの守護霊代表、ロデスと申します。」

「 エミリーの守護霊代表、アルクルと申します。」

「 ミランダの守護霊代表、メイフィと申します。」


「 皆さん宜しいですか ・・・
 簡潔に申しますと、明日午前七時からの三日間で、
 今まで神霊界に起きていた 「正邪の戦い」 に終止符が打たれるのです。

 これを御覧下さい。」
 

   私は左手を伸ばして、ダイヤのブレスレットウオッチを
   皆様の前に差し出した。


「 これは、ある神様から頂いた腕時計ですが、
 このデジタル表示部には今からを含めて、
 三日後までの時間がカウントダウンされています。

 あと、八十九時間 を切りました。」


安明 「 何ということだ。大変な事になった。」

栄来 「 それで、我々はどうすればいいので、
     なんなりとおっしゃってください。」


「 あ、いや、御安心下さい。今から間も無く神示受けした聖者より、
 マスコミを通じて世界人類にその神示の内容が公表されます。
 まずは、その報道されるのを待ちましょう。

 ところでラジオを聴いていても構いませんが、
 テレビの方が状況が良く分かると思いますので、
 誰かにテレビを付けて頂けるような働きかけは
 出来ないものでしょうか?」


  「 私が試してみましょう。」


   と言って、栄来様が拳三の頭の脇に戻られました。

  すると、何やらテレビとニュースのイメージを与えている様です。
  拳三は、小説らしき本を読む手を止め、目線が上向きになり ・・・

  ・・・ そういや、十和田湖の状況に何か進展はないかな~
      それと、今朝の衛星の墜落はどうなったかなあ ・・・

  と考えています。

 あれっ、私、集中すると人間でも考えていることが読めるようですね。
 うさぎスーツのお蔭です。

 すると、拳三はテーブルの上のリモコンを手に取り、こう言いました。


「 みんな、ちょっとテレビ付けていいかな。ニュース見たいんだよね。」

「 あっ、いいわよ、あたしも見たいから。1チャンネルにしてね。
 エミリーちゃん、悪いけどラジオ消してくれる。」


  ミツエがそう言うと、エミリーは答えた。


「 はいあ、それと、ちょっと毛布持ってこなくちゃ。
 ミランダが寝ちゃったの~。」

「 あら、風をひいたら大変だわ。早く持ってきてあげて。」

「 は~い。」
 

  そう言うとエミリーは、窓際の棚の上に置いてある
  ミニコンポのスイッチをオフにして部屋から出て行った。

  ミツエは立ち上がるとミランダの隣に座り、
  起こさないように優しく抱き寄せ、髪を撫でながら小声でこう言った。


「 あなたは私達の家族で、私の子供よ。だから何も心配しなくていいのよ。
 あなたが、いつか結婚して、この家を出て行っても
 私の子供であることには変らない。
 あらっ、どうしたの? 起きちゃった?」

 
  母の温もりを感じたのか、ミツエの胸に顔を埋め、
  ミランダはしくしく泣き始めた。

  その様子を見て、他の三人は暖かい眼差しと愛の波動を送っている。


「 ママ、ママ、ありがとう、ありがとう・・・ううっ・・」


  ミツエは、ミランダのおでこに優しくキスをした。


「 あらあら、もっと甘えていいのよ。
 それにね、天国へ行ったあなたの御両親とお兄さんは、
 いつまでたってもあなたのこと愛してるわ。

 私達家族はその愛を受け継いでいくだけなのよ。
 そして、いずれはあなたも自分の子に伝えるの。
 それまで、徹底的に勉強して人とはどうあるべきか、
 親とはどうあるべきか、身に付けなければならないわよ。

 だから、良く見ておいてね、私達がお手本を示すから。
 ねえ、そうでしょう、みんな!」


  すると間髪を入れずに、かすみが答えた。


「 もも、勿論よね、みんな。あ~たしは何と言っても
 女らしさの手本になるから、任せといて。

 ほら、エミリーはどちらかというと、
 男っぽいから私を見習った方がいいわよ。
 それに、ちょっと派手過ぎて一緒に歩くの恥ずかしい時あるのよね。」


「 あ~ら、よしなさいよ。かすみったら、みっともないわよ。」


「 あ、でもホントだよ。お姉ちゃんって家の中では派手でも大人しいけど、
 外でイケメンの先輩に会うと、いきなりテンションがあがって、あっやばっ」


  バァーーン ! とドアが開いて、エミリーが入って来た。

  この娘は、廊下で聞き耳を立てていたのです。
  私には見えました。

 エミリーは丸めた毛布を縦にして両手で持ち、鼻歌交じりに、
 くるくるダンスをするように辺りを回ると、ピタッと止まった。

  そして毛布を相手に小芝居を始めた。
  毛布は随分、下の位置だ。


「 あ~、君はなんて女性らしいんだ。ファッションセンスは抜群だし、
 それに何より君の大きな輝く瞳が、僕の心を捉えて離さないんだ。」


  今度は毛布をかなり高く持ち上げ、体を入れ替えた。 プッ ・・・


「 いいえ、わたくしは地味で何の取り柄もない女です。
 でも、あなたを愛する気持ちは誰にも負けません。」

「 おお、エミリー。」

「 ああ、アンドレ。」 べッ、ベルばらっ?


 それでエミリーは毛布に抱きつき、キスの真似をした。役者ですな ・・・
 パチパチパチッと、ミツエと男二人は笑いを堪えて拍手をした。

  後の二人は、かなり気不味そうである。


「 ありがとうございます。ありがとうございます。
              おかあさまぁ~~!」


  エミリーは、ミツエの元へ駆け寄り様、毛布をミランダに放り投げた。
  そして、ミツエに抱き付くとこう言った。


「 おかあさん、あたしはおかあさんを女性の鏡として、
 人生の勉強をしてまいります。何でも教えてください。」


  そう言うと、ミランダとかすみに、ベーッと舌を出した。


「 ごごご、ごめんねエミリー。」 かすみがドモリながら言った。 

「 おねえちゃん、ごめん ・・・ で、目が怖いんだけど!」

「 あらそう、これが目力って言うやつよぅ。フンだ。」

「 まあまあ許してあげて、二人とも悪気は無いのよ。」


  エミリーは、二人を暫く睨んでいたが、すぐにニコッと微笑んだ。


「 いいわよ、お母様に免じて許して上げる。
 ふふん、ねえお母様ほっぺにキスしてくれる?」

「 しょうがない子ねえ。はい、チュッ。」 ミツエはエミリーにキスをした。

「 え~っ、あたしもしてほしい。」 と言って、ミランダはキスをせがんだ。


  ふくれたかすみは負けじとばかりに、こう言った。


「 母さん、あたしにもしてよぉ。ちょっと、マーフィーさんどいてよ。」

「 ああん、もう、あなた達ったら・・・
      順番によ。はいチュッ、はいチュッ。」

「 全く、お前ら子供だな。フッ。」


  馬鹿にした含み笑いで拳三がそう言うと、マーフィーがニヤリと笑った。


「 なあ、お前も強がらないで甘えてこいよ。
      ほら立てよ、席変わってやるからさ。」

「 アホか! そんな下らん事が出来るか! お前がしてもらえ。」


   おんもしろい家族だ。


「 ああ、いやッ、僕はいい。」

「 何、赤くなってるんだよう。」

「 あ、赤くはなってないだろう。」 

「 もう、よしなさい。みんな子供なんだから。」 ミツエは呆れた。


  するとドアが開いて、剣三郎殿のお出ましである。
  彼は背が高くて眼光が鋭く、見るからに頼もしい武士だ。


「 何だ、やけに賑にぎやかだな。」

「 そうなの。みんな子供みたいにじゃれ合っていたのよ。」


  ミツエが言うと、剣三郎は皆の前に立つと得意気にこう言った。


「 いいか、良く聞くんだ。お前たちはみんな私の子供だ。
 幾つになってもだ。仮に母さんが先に亡くなったら、
 私が母親の代わりを務める。その時はみんなで甘えてもいいぞ。
 キスでも何でもしてやる。」


  この人、結構面白いこと言いますねェ。
  みんなは嫌がってるけど。


「 何だよ、廊下で聞いてたな~。」 拳三が言った。

「 それが何だ。大きい声出してたら聞こえるに決まってるだろ。
            おい母さん、二人にキスしてあげなさい。」

「 はいはい、寝る前にタップリしてあげますよ。」

「 え~、母さん何言ってるんだよ。マーフィーだけでいいよキスなんて。」 

「 お前こそ、何を言うんだ。このっ、黙れっ、口を閉じろ。」


  アメリカ人のくせに、随分シャイですねェ。


「 何二人で言い合ってるの。キスなんて、してもらえばいいじゃない。
 男っておかしいわよねえ。」


  と言って、かすみはエミリーとミランダに向かって同意を求めた。


「 そうよそうよ、ホントはしてもらいたいくせにぃ。」


  悪戯な横目でエミリーは言った。


「 お、おいっ、待ってみんな。

  テレビで 『 十和田湖の奇跡 』って、やってるぞ。
   ほらっ、あのピンクのジャージの女子アナ出てるよ。

     ・・・ ちょっと、中入れてくれ。」


   剣三郎が、そう言いながらソファの奥に座った。
   しかし、ピンクのジャージが奇跡?・・・ 何の事だ???

  十和田湖の件はいろいろあったけど、私は宇宙にいて~、
  大黒天様は太陽から火の龍神で~、
  ああ~、その後、鈴の音がしたら急に真っ暗になって、
  大黒天様の袋の中に、この格好で入ってたんだよなぁ。

 もしかして、ああっ、あの時スミレ様にレポーターとかナレーター
 お願いしちゃったんだ。

あの時の何分かの間に何かあったんだ。

 むむっ、女子アナのジャージの胸に十字の紋章が刺繍されてる。
 あれは私がスミレ様から頂いた、このペンダントの紋章と同じだ。

  それに何故かスッピンピン!
  スッピンアナ? 薄化粧位はいいんじゃないかと ・・・?

  ああ~時計がブルブルって、バイブ機能?

  ・・・ ぬぬっ、ううっ、ああ~~っ、はあ~~、ス、スミレ様。

  か、お顔だけとは、いくらお美しいとはいえ・・・


《 ごめんなさいね驚かせて。
 あなたのリアクション見てると楽しくて、むふ。
 裏をかかれたって顔ね。

それから、私の姿と言霊は守護霊達には悟られないから安心してね・・・
でも、十和田湖のあなたの推理は当たってるわ。
何ね、神に無礼を働いたので、ちょっとお仕置きを兼ねて
悪戯をしただけのことよ。

 それからあなたの、そのスーツは色々な機能があるから試してみてね。

それに、しばらくはこの家族を良く観察しておくのよ。
この家族の中の三人は最重要人物に指定されてるから・・・じゃあね。》


 「 はい、畏まりました。」


  ああ、消えてしまわれた。

しかし最重要人物といっても、確か聖者の名前は全員は聞いてないんだよな。
ミカエル様の御報告では、各国の聖者の人数が主だったから、

 あ、人数知りたいですか? 日本は十人です。日本が一番多いんですよ。

確かに、土門家とマーフィーの魂は、相当輝いてはいます。
が、ハーフの姉妹は少々くすんでいます。

 ただし、都市部の霊的汚染率は世界最高レベルですがねェ。

 ホント先進国程汚染率が高いんです。
 最近は加速度的に汚れているようです。

欲望の街に憧れ上京する人々 ・・・
そこで、更に自分の魂は汚染され霊層が落ちる。

地方に残され老いた両親も絶望する。
農業も廃れ地方も都市部も共倒れです。

 邪神の思う壺。
 世界中何処でも、多かれ少なかれ同じ有様 ・・・


あっ、そうこうしているうちに、十和田湖で何か進展があったようです。
何やら、報道陣が慌しく動いています・・・・

 なるほど、どうやら第一の聖者が現れたようです。 
 いよいよ始まりの序曲が演奏されるということでしょう!

   くううう~~!

       たのしみ、たのしみ ・・・・





《 序章 》 〈 第十一話 〉 汚染都市

2019年01月31日 13時36分06秒 | 小説




  あれれっ、スミレさ~ん50点はないでしょう。
  それにどうするんでしょう。 

   えっ?

 ・・・ パピポポプ~~ ・・・ メール? あっ、エアスマホです。
 何々 ・・・( 次は叔父様の番ですので、よろしくねっ。うふっ!)・・・・・
 
      ・・・ はああ?

  さっきも妙な電話が来たので適当に合わせて差し上げましたが、
  わたくしがナレーターをやればいいのですか?
  ちょっと面白そうだから引き受けましょうか ・・・

   え~、返信 ・・・ (了解!) ・・・

 では、みなさん、しばしお付き合い頂きますよ。
 よろしくお願いしますね。

あっ、そうそう先程視察に行っていたと申しましたが、
見届け人と言っておきながら、おかしいと思われたでしょう。

ただ私にとって、この宇宙はそんなには広く感じませんので、
どこに居ようがスミレさんが何をしているかは、
手に取るように分かるのですよ。

 ところで、この子を起こしましょうかねェ。

まあ、気持ち良さそうに寝ていますから、止めておきましょう。
しかし、あの程度で気絶とは困ったオチビちゃんですねぇ・・・




      ( 推奨 BGM )

   フレデリック・ショパン作曲 

Chopin: Nocturne No. 19 In E Minor, Op. 72 No. 1 · Maurizio Pollini ·

 Frédéric Chopin  マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ)




  さて、そうこうしているうちに関西圏に入ってきましたが、

  いやはや何とも・・・声が出ませんねェ。

  浮かばれない霊が、邪神の手下の邪霊共に操られ、
 我が物顔で徘徊している。

邪欲に満ちた人間達は、それに気付かず何体もの邪霊に憑依され、
闇の世界へと引き摺り込まれる。

不幸だと思えば神や仏、他人や社会を恨み、更に魂を曇らす。
憑依霊のせいだと思えば、霊媒信仰に走る。

本来、全ての不幸現象は、
人間の大元の親である神の存在を忘れてしまった事にあります。

そこにお詫びも感謝も無ければ、憑依霊を追い出したとしても、
根本が解決しない事になります。

 体の表面の汚れは、石鹸で洗えば簡単に綺麗になりますが、
  体の中は食べ物や運動等、常に気を付けなければなりません。

更に、その奥の心や魂の汚れを取るという事になれば、
徹底した神へのお詫びと感謝、常に祈り行じるという事が重要になります。

それが出来ない、面倒だ、又は人から言われた事しか出来ない受身的な人。
そういった価値感をお持ちの人間には、
無理難題にしか思えないでしょう・・・はあぁ。

つまり、楽して幸せになりたい、
一攫千金、棚からぼた餅や玉の輿を願う、
最低レベルの想念が地獄や不幸を呼び込むのです。

 建物にしても、無粋な物ばかりですねェ。

 まるでガラクタを積み重ね、寄せ集めたようにしか見えません。
和風住宅は、それなりにいいのですが、
三、四十年しか持たない家なんて、意味が分かりません。

ただ、神社仏閣の類は別ですが・・・

それに比べて、神の創造物である自然のなんと美しい事か・・・。
それも、だいぶ汚されました。残念です。懺悔して下さい。

 神戸の街には、うめき声、叫び声が木霊し、                 
 ヘドロの様な霊界に生気の無い人間が蠢(うごめく)様が見えます。
 表面だけ取り繕(つくろう)惨めさ、肉体内部は薬の多用による汚染。
 更には手術で切り刻む始末。

 肉体を汚せば心や魂にも、大きな影響を及ぼしてしまうのです。
加えて不平不満の想念になれば、魂に濁微粒子が発生し汚れます。

それを口に出せば更に汚れ、誰か相手に対しての事なら尚更汚れ、
しかも相手の魂も汚します。

しかし、そこには神の子の魂と肉体を汚したという、
親神に対するお詫びや後悔の念がある人は、
余り見受けられませんねえ。

ただ痛い辛いの不満を募らす。
そして、不幸のどん底から抜け出せなくなります。

 邪神邪霊が面白がるだけです。
 イジメ甲斐があるとは、こういうことです。


 大阪に於いても、近づきたくないほどの汚れが・・・

これは酷い! 地獄界がこの世に顕現されています。
勿論、他国では更に酷い霊界がありますが・・

幾度とない戦の歴史は、あらゆるものを汚染しました。
過去に遡れば、大阪夏の陣図屏風にもあるような惨劇。
第二次世界大戦時の大空襲。阪神・淡路大震災。

そして新型インフルエンザ。

それを人は「悪魔のウイルス」と呼び、忌み嫌いました。
人々の心は極限まで荒み切っています。

 ああ、哀れでなりません。


 京都や中京、富士山もしかり。

 関東に到っては・・・言葉が見当たりません。

遥か上空まで立ち昇る毒気に臭気に醜気。
地下深くまで邪気による汚染が浸透し、手の付けられない状況です。

この日本は霊界が汚れている為、
実際は戦時中のような状況が形を変えて現象化しているのです。

病気、犯罪、人間関係の悪化による家族間、親戚間に近所間の闘争。
腐った政治の権力闘争。企業戦争に交通戦争。

 交通戦争に於いては、
 自動車という最も身近で便利な乗り物が、主要な兵器になります。

その兵器は、ちょっとしたミスで数人から数十人の命を奪ってしまいます。
必要の無い馬力に重量。
スピードを上げれば殺傷能力も加速度的に増えます。

  日本だけでも、年に数千人の命を奪う車。
  安全な乗り物とは言えません。

その証拠に、今もあそこで善良と思われる御老人が人身事故を・・

犠牲者は、可哀想に子供です・・・あちらでは二台が正面衝突。
高速では玉突き事故が・・ちょっと気を付ければ防げるものを・・・
あちらでは傘をさした自転車がふらふらと人にぶつかって
倒れた所へ車が・・飲酒の後の運転で、よそ見に携帯で電話・・・

 あら、片手でメールを打っているとは・・正気ですか?
 ほら、少女をひいてしまった。早く助けてあげて下さい救急車を・・?
 あら、ひき逃げですか・・許せませんねェ。

加害者、被害者の守護霊は共に、
邪霊の障りに対抗する力は無いようです。

 欲望のままに生きてきた証拠です。

ひき逃げされた少女は、前世に於いて悪行三昧をして、
恨みを買った老婆の霊に憑依されていたようです。

 「因果応報」「相応の理」・・・

 過去世の罪穢を今、アガナ(購)わされたということです。
 実に空しいことですね。

いずれにしても車は本当に危険ですので、
人に危害を加えない工夫が必要ですねェ。

余計な物を省いて、スピードが必要以上出ない、
軽くて安価で乗員も歩行者も傷付けず、
水上・雪上・砂上も走行可能に加え、
美しさを兼ね備えた車を作って頂きたいものです。

 日本人なら、共同開発すれば出来るでしょう。
 やって下さい、神と人類の為に・・・
 
まあ、天空浮船(あめのうきふね)を建造した方が早いですが、
隠れて造っている馬鹿者を、あなた御存知ですか?


それはさて置き、軍隊を持たぬ日本ですが、
見方を変えれば民間人同士で殺し合いをさせているのと変りないのです。

 まんまと、邪神の手に乗せられたのですよ。
 やれやれです。

だから神は、あらゆる手段を講じ、
徹底的に行き詰らせ急ブレーキを掛けているのです。
暴走人間達をバリケードで囲うのですよ・・・

 但し、勢い余って飛び越えると、その先は火星と木星への転生です。

醜い魂を860億年間、無限転生地獄での修行をさせ、
生きる根本の意義を魂に深く刻み込ませるのです。

 それ以外の魂は、宇宙刑務所に於ける地獄の修行。

どうにもならない魂は、ゲヘナという地獄の業火へ落とされます。
数百年以上焼き尽くされ浄化された魂の行き先は、
宇宙の霊質になる。

つまり宇宙そのものである主神に同化するということになります。
最悪の帰還に主神は涙する。最低の親不孝ですね。

せめて故郷の星へ帰還して欲しいものですが・・・

 希望の光は、あそこに見える光の霊界、皇居です。

周辺ほど邪気の侵入を許してはいません。
天皇の神気は充実されていますね。流石です。

世界は何故、スメラミコトである天皇の威光を無視し続けるのか?
何故天皇に習い、人格・品格・霊格を身に着けようとしないのか?

 尊敬すべき人の真似をするというのは、
 そう難しいことでは無い筈ですが・・・

主神である私には失礼ですが、人間は単細胞生物にしか見えません。
神の子には程遠く、まともな人間とも認める訳にはいかないのです。

地球の自然は、人間達により破壊と汚染が繰り返され、瀕死の状態です。

 地球の守護神である「丑寅の金神」
  正確には地球そのものである
「国之常立神(くにのとこたちのかみ)」と、
  その分け御霊みたまを頂いた
「月讀命(つくよみのみこと)」
 「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」が三位一体となった姿となります。

  
兄の月讀命は「女性性意識」であり、
  
弟の素戔嗚尊は「男性性意識」の役割があります。

国之常立神が中心となり、月讀命、素戔嗚尊がサポート活動を行っているのを、 総称して「丑寅の金神(うしとらのこんじん)」ということになっているのです。

やはり、実際拝見しても人間霊界の汚染は限界に達しています。
ただ、目立つ光の魂を持つ者は、少なからずいらっしゃるようです。
これなら明日からの三日間は、何とか耐えられるでしょう。

ようやく臭いものには蓋をする文明は終焉を迎えます。
三日後に我が甥に当たる主神は、その臭い物の蓋を自ら破壊し、
その手で捕らえた邪神邪霊を断罪するのです。   

あなたがその中に含まれない事を、わたくしは祈っていますよ。

さあ、東京は八雲の土門邸に到着しました。
ちょっと時間は早かったですね。

10分しか掛かりませんでした。 私、せっかちですねェ。

 では信造さん、後はお任せしましたよ。
  あなたの使命を果たして下さい。

    わたくしは、チョイと野暮用が出来ましたので失礼致します。

      また御会いしましょう。



《 序章 》 〈 第十話 〉 思わぬ奇襲

2019年01月31日 12時54分42秒 | 小説



   《 キャラクター&キャスト 》

子 クビラ大将 ・・・・ 役所 広〇  
丑 バサラ大将 ・・・・ スチーブン・セガ〇ル
寅 メキラ大将 ・・・・ ジャッキー・チ〇ン
卯 アンテイラ大将 ・・ ジェッ〇・リー
辰 アジラ大将 ・・・・ イ・ビョン〇ン
巳 サンテイラ大将 ・・ ペ・ヨンジ〇ン
午 インダラ大将 ・・・ アンデ〇・ラウ
未 ハイラ大将 ・・・・ 金城  〇
申 マコラ大将 ・・・・ 木村 拓〇
酉 シンダラ大将 ・・・ アル・パチ〇ノ
戌 シャトラ大将 ・・・ キーファー・サザーラ〇ド
亥 ビカラ大将 ・・・・ トニー・レオ〇

邪神 アポフィス ・・・ ブラッド・ピッ〇




ミカエル様はニコリと微笑まれると、私は光に包まれ ・・・
その光が消えると、もう外の空中におりました。

 十二神将の御姿が見えます。
 皆様、後ろ向きですが ・・・

あわわっ!一瞬で振り向き様に、凄まじい殺気に満ちた眼光と、
真っ赤に焼け爛れたような槍の穂先十二本が、
私の目の前に向けられました。


  「 ああ、ぶっ ・・ うぎぃぃ ・・・ 」


《 なんじゃあ、先程の白うさぎではないか驚かせおって ・・・
 なるほど、これも神鍛えという事じゃなあ。

 いきなり背後を取られたので、そりゃあ驚いたわい。
 まあ、お前も胆を冷やしたであろうがな。》


   槍を立てられ、一人の神将様が呆れたお顔でおっしゃいました。
   他の方は笑っておられます。

   ひええ~~、わたくしの髭やら毛が逆立っております。
   危うく丸焦げになるところだった。


「 もも、申し訳ございませんでした。
 私は、ミカエル様からお送りして頂いた次第で御座います。」


《 おお、そうであったか、お前が謝る必要はないぞ、
 すまなかったな ・・・ ところで代折羅バサラ殿。

  おぬしの反応は他の者より一瞬遅れたが、
  ちと油断しておったのではないかな?》


《 いやあ~、これは面目ない迷企羅メキラ殿。
 わしはな、まさか我等の背後に現れるとは、
 想いも寄らなんだ事でしあ ガッ ・・ グウゥ・・・ 》 えっ、何っ?





      ( 推奨BGM )

     ショウ・マスト・ゴー・オン 


 Queen & Elton John - The Show Must Go On (Live, 1997)

(ボーカル) フレディ・マーキュリー

気持ち悪いのは御愛嬌です・・・




 ・・・ 一体、何でしょう? 皆様、御様子が変です。
  御顔色が真っ青で、まるで金縛りに掛かった様に ・・・


    『 当りだよ、うさぎちゃん。』


・・・ なな、男の気取ったような言霊だけで姿が見当たりません ・・・


ばっ馬鹿 ・・・ な 》

有り ・・ 得ん!
 我等全員を ・・ ど、同時に金縛りに 掛ける など! 》

何者だ!・・ 姿を ・・・ 現せぇ~! 》


  すると、十二神将の皆様の御目が更に見開き、
  凄まじい殺気が膨れ上がり怒りに震えていらっしゃる御様子。

   これは、ただ事ではありません。
   その視線の先は、私の右斜め上に御座います。

  私が覚悟を決め、ゆっくり見上げると、ううっ ・・・ 
そこには長いプラチナブロンドの髪に、ギラリと不気味に輝く大きな目、
 ツンとした高い鼻、不適な笑みを作り出す口の中には
  嫌味に光る白い歯。

   次第に現れる腕組みをした上半身 ・・・

  下半身まで続くパールホワイトのワンピースが足首まで伸び、
  その足には宝石を散りばめた黄金のサンダルが。

   これは中世ギリシャの民族衣装の様だ。
   ただ、装飾はかなり派手である。

  背丈は 2メーター30位はあるだろうか?
  十二神将でも平均 2メーターはあるのにそれよりでかい。

   しかし、強烈な邪気を放つこの姿。
   腐れイケメンの正体は、悪魔か? それとも魔神か?

《 きっ、貴様は ・・・ 二ビルの 邪神アポフィス!

《 いやっ、それは、そんな筈は無い!
  下級の神の、しかも 邪神に堕ちた ・・・ 
   お前などに、こんな力は ・・・ 無い筈だぁ! 》


『 クックックック ・・・ まあまあ、現実を感じ給え。
無い筈と思い込む事で油断が生じたのだよ。愚かだねェ。
僕は気が短いから、君達の計画が始まるまで待てなくてね。

分かるだろ。裁かれるのを ジッ、と待つなど、
プライドが許さないんだよ!

我と慢心で生きてる僕は、我道邪道の道を貫く愚か者。
別にそれで構わない。
どうせなら、散り際は派手な方が良いと思ってね、

一個中隊を率いて奇襲攻撃を仕掛け、敵将の首を取る。
な~んて、シナリオはどうかな。』


《 ・・・ ぬうう、

馬鹿な愚行は妄想だけに留めておくべきだったな!

仮に全軍を率いたとしても、この中におられる大神様には
傷一つ付ける事すら出来ずに全滅するは必定。

悪い事は言わん、魂を入れ替え投降するが得策じゃ。 
さすれば多少なりとも温情を頂き、
裁きの刑の軽減も許されるであろう。 

さあ、我等が同行し進言する故、一緒に参るのじゃ! 》


『 ふん、お前等の説教など 聴く耳持たぬわぁ!』


《 おのれ~、体が動けばこの炎剛槍(えんごうそう)で
  貴様の魂を貫けるものを ・・・ で、何処にいるのじゃ、
   その一個中隊はぬ ・・ うぬうぅ ・・・ 》


   ゲッ、何と邪神とは ・・・ 愚かだ。ここまで堕ちるものなのか?
   迷企羅様のせっかくの御申し出を無にするとは ・・・

   しかし、たっ、只ならぬ邪気が充満して来て、
   ああっ、次第におぞましい化け物の姿が、エエッ、有り得ない。

    囲まれている。空一面にぃ!


『 
クックックックッ、はあっはっはっは ぁ~ ・・・ 』


   何千 ・・・ ぶぶっ、いや、何十万?
   まだ ・・・ 湧いて来る。

   あの、ちゅ中隊って、小隊が三つか四つの編成で
   200名前後の部隊の筈だけど・・・

   こいつは澄ました顔でニヤつきやがって、
    ふざけた野郎だ! 足に噛み付いたろか!

『 うさ公は黙ってな!』

   うさこ~ だと~! 僕、金縛りには掛かってないけど、
   無害なうさぎって事かぁ? くやしい~~っ!

《 貴様ぁ、一個中隊などと、法螺を吹きおって ・・・ ん? ああ~、
  このカラクリ、よ、読めて来ましたぞ。スミ、ススッ。》
     
    えっ、何? 邪神を指差して ・・・ 炭? 煤ッ?


    *(BGM STOP)




『 エエ~ななな、なんの事か分からないぞよ。ホッホォ~、
  僕はぁ~、悪、悪、アックの貴公子~、アポフィスゥ~なの♪
  るんるん♪  両手をうねうね、ゆらゆら、フラダンスゥ、うふっ♪ 』

    なっ、何やってんだ、このボケ神はぁ~

《 げげっ、ゲッ、ぶうぅ~~~~っ!

《 あび、ぶおッ ・・・ ぐえっ!》

《 ビビビ、びっくりクリリンつるぴかりん!
   太陽拳って、あっ、目っ、目があぁ~~~っ!?

ギィーコー、ギィーコー、ザッパァ~~ン!! 溺れたぁ~~ ! 》

《 カンカンカンカン、ああ~止まってぇーー! バンッ!
        電車に激突 ジャジャジャジャ~~ン。》

《 大統領、もうお会いすることは無いでしょうって、
               ああーっ、ガキィッ !!

《 おいおい電話しながら運転は無いだろ。
 僕こないだも追突されたのにィ~クク、首が痛いんだよ~、ガクッ! 》

《 それはす、済まない。今、救急車を呼ぶからし、
      しっかりするんだああって俺も駄目だぁ、あぐっ ・・・ 》

《 みんな、いけないわ! ピィーポー、ピーポー、フィーポー。
                  あ、あなたも一緒に乗ってく。》

 上の台詞が誰だか分からないって? 

 そんなの 僕 知 らな~~い ・・・


『 はいは~い、皆っさ あ~ん御一緒に ぃ、ワンツウ ・・・

え~、駄目なのぉ、チョット行き過ぎたとは思ったのよ。
良い刺激になるかなあ~って、ごめんなさい。

でね、どこでばれるか冷や冷やで ・・・ ぶつぶつぶつ ・・・
ほら、だからね ・・・ ぶつぶつ ・・・

じゃあ、変身解きますからね。
ねね、見て頂戴ね ・・・ ふんふ、ふんふ、ふ~~ん!』


 あわわわわ、ごあっゲッ ・・・ ぽて、ポテ、ボテットナ ・・・!


《 わしゃあ、もう駄目じゃあ!
     財産は全て、変え猿(カエサル)に ぃ~
          ああ、ぐっ、グエットナ!》

ぶるぅーたす、おみゃあも かあ~~ ・・・ ガクットナ!》

《 あがが、あっスミ、ス~ミれ~のは~なあ~♪
   十二神将全滅! ぷらす一匹? いや一羽!

       ・・・・・ もう 無いよ ~ だ! 》


              だって、これ以上出ないんだもん!




     ( 推奨BGM )

    レオン・イエッセル作曲




《 あのぉ、みなさ~ん。起きて下さい。

お気持ちは分かりますが、一人残らず気絶というのは、
如何なものかと思うのであります。

 ちょっ、信造ちゃん、うさちゃん!

あなたは大黒天の叔父様から、
絶対気絶しないスーツ 着せてもらっているのに、
何なのこの体たらくは、じゃあ何、わたくしのボケは最強ってこと。

そりゃあ、わたくしは主神の中では、お笑いにはうるさいわよ。
「 笑う門には副は外 」 って言うでしょう。えッ、違う?

 あなたね、変に突っ込み入れなくていいのよ。
 黙って読んでいればいいの! でも、御爺様には適わないわ。
 あの方は筋金入りだもの。そんな事はいいのよ。

もう、ファスナーどこよ。背中にはなさそうね。
あっ、お腹に何かのスイッチか、ただの穴か?
へ~そ~! かわいい、ピンク色だわ。
むふふ、こちょこちょ、良い子も悪い子も、おヘソさわらないでね。》


  うぶっ、ぐくっ ・・・ 
  うぷっ、くくくっ、ぎゃっ、うひひ。あ、ん~?

 
《 やっと起きた。あなたが寝てたら話が進まないでしょう。
じゃあ、みんな起こすから、あなたはその大きな耳を塞いでいなさい。》


「 んご、ぶっ? へっ、耳を塞ぐので?
 耳、この前足で押さえ込めば、ちょっとは届かない。
 うんしょ、んしょ・・・」


  あ、スミレ様は何を ・・・ 左手の人差し指を立てて、
  その先に赤い光が、それを楽しそうに見つめながらニッコリ!
  元気玉か?

   いや、危なさそう、絶対危ない!


 「 あのぉ、スミレ様。
  他の方は、わたくしがお起こし致しますので、
  そればかりは御勘弁を、ああ ・・・」


《 む~り無理! あのネェ、それじゃあ芸が無いでしょ。
 景気付けという事もあるし、ところで~、あなた花火好きでしょ。
 それも大きいほど良いわよねェ ・・・
 あ~、聞かなくても分かるわよ。

 うん、じゃあ控えめに三尺玉位でいいわよね ・・・
  直径 90 センチのスミレ特製三尺玉出ェ~来た! 》


    は、はは、指先の光が花火の大玉になったぁ。
    で、何も私の前に置かなくても ・・・

    あれっ、この三尺玉には、突起物が付いて ・・・?


 「 あの、スミレ様。これは、何で御座いましょう?」


《 あら、決まってるじゃない。
いい、今私がチャッカリマンで導火線に点火するから。

そうしたら、すぐに五メートルは離れたほうがいいわ、危ないから。
それって、地球では世界共通の常識でしょ。

ほら、バケツに水も用意したのよ。これで防火対策は完璧だわ。

あなた、こんな近くで花火見物出来るなんて幸せよねェ。
それと、良い子も悪い子も真似しないでね。うふっ。》


  ううう、うふって、ロケット花火じゃあるまいし、
  いか~ん、お止めしなければ ・・・

  私はぴょ~んとスミレ様の右腕に飛び付いた。  


「 スミレ様、殿中に御座います。お鎮まり願います、なにとぞ~!」


《 ・・・ あなた良く見てよ。

  この空中はどう見ても、
 木の電柱とか燃え移るような建物は無い、
 世界一安全な場所でしょ、騒ぐような事かしら、ははあ~ん、
 あなた、さては自分で点火したいんでしょ。

 ほんと人間って強欲というか、贅沢好きというか、
  ある意味勇気あるわねェ。まあいいわ、これ持って。》


 「 ああ、あの、こんな物持たされても私は点けませんから ・・・
  えっ、火が勝手に ・・・ ああ、またこのパターン。」


《 何も心配には及ばぬぞよ。誰も火傷したりするような、
  やわな霊体は持ってはおらぬ故。むふふふ、

   ほれ、わたくしがおぬしを、
    このように両手で持って恐る恐るぅ ・・・》


        ジュッ、バチバチシュゥゥゥ~~

      《 点火終了!お役目御苦労!》  
    

       あわわわ、あきまへ~~ん! 無茶苦茶やあぁ~~!

    ブシュシュシュシュゥゥゥ~~~


   《 はっ早く離れて、キャーッ、どうなるのかな~?
     ふんふん♪ るんるん♪》

 ビシュゥゥ~~~

 
  「 そんな、お楽しそうに。あ、あのぉ、
    私抱っこされてて逃げられませぇ~~~ん!」


ユゥゥ~~、ジジッ!!! 間も無く ・・・

ピカドン、パカパカ、パリパリ、パジリジリ、ピュウ~ッ
ピュウゥーーッ、ドドンドン!ジュッ!


  ・・・ ああ凄く綺麗な光が溢れて ・・・ 

   ジジ ・・・ 熱さも忘れ ・・・ 気のせいか焦ゲッ ・・・
    ガ、が、蒲(がま)の穂で寝よ ・・・ ジジジッ ・・・
     あぁぁ~、目の前が暗くなッ、ツ ー ー ーーーー ・・・


《 何事だあ~! 敵襲かあ! んっ?
     スッ、スミレ御嬢様!ああ、何というお姿で ・・・ 》
 
《 どあ~どないしましたあ~!
     なな、なはあ~~ッ! スミレ御嬢様 あぁ 》


《 あ~ら、皆様お久しぶりですわ。驚かせてごめんなさい。

  しかしながら、惚れ惚れするような勇ましい対応に、
   わたくし、安堵すると共に非常に感銘を受けました。
   これなら司令部の守護は万全ですわ。

   あ~、ただ、あぷっ、ああ失礼。
  今の花火で、皆様のお召し物が焦げて、
 あ、頭がアフロにぃ、可笑しくて ・・・ ぷぷ、パッチン、パッチン!》
 
《 そそ、そう言うスミレ御嬢様もアフロですぞ。があ~っはっはっはぁ。》

《 え~っ、そうなの。やだぁ~あっ、
  あたくしの「 髪飾りの龍 」の鬣たてがみまでアフロだわぁ。

  もう ・・・ あん? 何? 内のうさちゃんの脳裏にメールが来てるわ!
  良く出来た脳みそよね、メール受信出来るなんて。

 あら、ミカエル殿からだわ。何々、このイメージは ・・・ 》


  ・・・ うさぎ殿、東京八雲の土門家に行け! 健闘を祈る。
  また会おうではないか~い!・・・ 公爵ミカエルより ・・・・


あは~? ミカエルったら、笑いのセンス無いわネェ。

 それにかなり古いわよ。
 え~、25点ってとこね。

でもこの子ったら、また寝ちゃったのよねェ。
二度寝は良くないわよ、髪の毛も無いのにアフロになって。

 そんなことより、私が送迎頼んであげる。    

・・・ ポピピパポポプポ ・・・ あ、あのねエアスマホよ ・・・
     ぽるるるる~、ポチッ

((( は~い、こちらハヤブサ特急便でございま~す。)))

《 あ、あの、私スミレですけど、小さな白うさぎを
      出雲から東京八雲の土門家までお願いします。》

((( 毎度ありがとうございます。
    はい、畏まりました。すぐ参ります。)))

           ・・・・・・・・ ブチッ

《 お~待たせ致しましたぁ。
 私、ハヤブサ特急便十代目、隼の竜飛丸に御座います。》

《 あらお早いですこと。ご苦労様。
 それにしても、あなたのそのいかしたゴーグルにパイロットスーツ、
 それにくちばしの上に白いお髭が、とってもダンディで素敵ですわ。》

《 お褒めのお言葉を賜り恐縮に存知ます。》

《 それで、このうさちゃんを運んで欲しいんですの。》

《 はあ~い、お安い御用に存知ます。
しかしアフロのうさぎとは面妖で御座いますなぁ、はははは。

え~、東京までですと料金は、名古屋コーチン三羽となります。
ちょっと好物でして~、それに妻と昨日かえった二羽の雛がおりまして。
むふふ、関係ありませんが。

え~、それでお時間はと言いますと、
ん~、今日の気圧配置は西高東低ですので、
風の関係で多少お時間は掛かるかと存知ます。

それで、約二時間はみて頂きたいのですが、如何で御座いましょう。》

《 それで結構よ。
うさちゃんはこのバスケットに入れるから、
あらっ、あなたブライトリングの腕時計してるなんて、センスいいわねェ。》

《 ありがとうございます。
 これは、パイロットの必需品で御座います。

 もう、かれこれ三十年は使用しておりますが、
 メンテナンスをしっかりして愛情を込めて、
 大事に使わせて頂いております。》

《 まあ、素晴らしい心掛けですこと。
 ところで、竜飛丸さん。今まで、どちらにいらっしゃいましたの? 》

《 いやあ~、まあ、ちょっと二ビルの様子が気になり、
 視察に行っておりまして、ほほほほぉ ・・・ 御安心下さい。
 二ビル星の結界は完全に機能しており、
 アヌンナキ達の邪魔は一切受けることはありませんよ。

 加えて、銀河赤道上と太陽系との位置関係も、
 シリウス銀河との距離も寸分狂い御座いませんでした。》

《 あ~ら、視察なされていたとは ・・・ お疲れさまでした。
 それで本気なのですか、その格好で空のお散歩とは・・・?》

《 勿論ですとも、関西中京を経て富士の霊界を観察しながら、
  関東へ入るつもりで す。我等がこうして分身の霊体を持つのも
  久方振りですから、じっくり感触を確かめながら、
   旅をするというのも一興で御座いますよ。

    では、もう参りますが、名古屋コーチンは付けて置きますよぉ。
    十二神将の皆もまた会おうではないか~い ・・・ 》

《 あ~ら、遠慮なさらずともダチョウの丸焼きでも御用意致しまっ ・・・
  ちょっ、もう、あんな所まで行かれてしまったわ。

   おじさまぁ~、いってらっしゃ~い!

    ふぅ、しかし叔父様ったらギャグのセンスが今一なのよねぇ。
    まあ50点てとこね。

      あっごめんなさい。
      十二神将の皆様をほったらかしにして ・・・》


          《 ああ、いえ ・・・》

              《 はは ・・・》





あああ、あの、次回に続きます。
何か、悪夢を見たような、トラウマになりそう・・・




《 序章 》 〈 第九話 〉 主神の天意

2019年01月31日 11時38分16秒 | 小説


     ( 推奨BGM )

 バッハ - 管弦楽組曲 第3番 ニ長調 BWV1068より
    第2曲 G線上のアリア 

  へルベルト・フォン・カラヤン指揮 
  ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 
  デイヴィッド・ベル(オルガン)





 
 
 『 神裁きの三日間 』 に於ける掟の三ヶ条


一、霊(日)の元つ国、日本の日時を基準とし、
  十二月十九日(金 )午前七時までに、主神は全人類に対し、
  正神軍か邪神軍、どちらの味方に付くか否かを問う。

  その後、二十二日(月) 午前七時までの三日間に於いて、
  主神は封印していた力を、特別平等に正神と邪神に与えるものとする。


、正神に付く者は、明日の午前七時までに神示受けした聖者と共に
「 神の光玉 」( 祈りの聖域 ) に入り、その後の三日間に於いて、今までの転生中に生じた、人類と個人のあらゆる罪穢をお詫びし続ける事。
並びに、それでも生かされていることへの感謝をする事。

、期間中は断食とする。因って食物の持ち込み不可。
水のみ、一人ニリットルまで持ち込み可。
祈りに不必要な物の持ち込みは厳しく制限する。
服装は自由だが清楚なもので、男女共過度の露出は厳禁。
ペットの入場不可。

、神力により期間中の睡眠、排泄の生理現象は起きない。

ただし体力が落ち死に至るも、魂はその場で祈り続けることが出来る。

、場内の者は一致団結協力し合い、周りの者に対し常に気を配り、徹底した利他愛を施すこと。

イツ、明日の午前七時に遅れた者や、それ以降すでに入場した者が退場した場合、また 「 神の光玉 」 に入るに相応しくない者は入場出来ない。
加えて場内にすでにいる部外者は追放する。

、三日間生死に係わらず、祈りきり魂の周波数帯が、5,1次元以上に達した者は、地球内部世界 アガルタへ 、そのレベルまで達しない者は、故郷の星への帰還を許す。


二、邪神に付く者の処分は三日間保留とするが、
  二十二日の月曜日、午前七時を過ぎれば地獄の星である
  火星と木星へ強制的に転生を行う。
  その他の魂は宇宙刑務所か地獄の業火に投げ落とすものとする。

  地獄の業火に焼かれる期間は、その者の罪穢に比例し、
  数百年かそれ以上となる。その後、宇宙の霊質に還る。
  これが 「 裁きの死 」 である。


三、聖者の条件


 ヒ、未婚者は、男性は童貞、女性は貞操を厳守していること。

 フ、信仰を良く理解し、祈りと実践を怠らない者。

 ミ、過酷な三日間に耐えうる不屈の精神力・統率力と体力を持ち、
   合わせて深く広く強い愛情を持つ者。

 ヨ、魂の悪徳が少なく善徳の割合が多い者。
   加えて全体が大きく強く美しく輝いていること。

イツ、聖者の証として、額と右掌に十字の痣を与える。
   補佐役には右掌のみの痣となる。

 ム、聖者には御使いの神との交信 ( テレパシー ) に加え、
   神の光玉内の人との交信も可能とするが、
   魂がある程度綺麗で且つ邪念邪欲の少ない者に限られる。




我は汝等が大元の親神、創造主、主神である。

我が神の子人よ、どちらの道を選ぶにせよ険しく厳しいものとなるが、
中間の道、逃げ道は何処にも無い。迷わず恐れず正神側に付くのだ。

我が子である以上、どのような魂でもかわいいと想うのは神も人も同じ事。
地獄の星への転生や宇宙刑務所への収監、裁きの死を与えるのは忍びない。

 我は、我が子の愛を信じる。迷うこと勿れ。
 




 といった内容です。

これらの事柄を神議り終了後、世界中の選ばれし聖者に、割り当てられた
御使いの神より神示として降ろし、マスコミやインターネットなどを通して、出来るだけ多くの人に知らしめるのだそうです。

 この恐るべき内容を果たしてどれ程の人が信用して、
 命懸けの祈りの輪に加わるのか?

十和田湖での奇跡と龍神の出現を目の当たりにしているとは言え、
余りに過酷な三日間でありますので、何とも言えないと思います。

勿論、少なからずの人は待ってましたと言わんばかりに、
張り切って望まれるでしょう。

ただ、大抵はしょうがなく皆行くから、火炙りにされるのが怖いからとか、
そんな類になるでしょう。

そして無神論者、唯物主義者の皆さんは信じないを通すのか、
それとも世の中の動きを見てから方向性を決めるのか?

更に、悪魔信仰、サタニストの連中はどう動くのか?
これまた待ってましたと邪神に加担し、正神に抵抗するのか?

何しろ現代人は、邪欲や悪心より良心が勝る人が極僅かである事は、
世間を冷静に見ていれば誰でも分かる筈です。

 あなたは如何でしょうか?

我等人類は既に邪神の手中にあり、意のままに操られているのです。
それは欲心を利用しているからなのです。

この状況下では、正神軍は不利と言えます。
私は勿論、邪神の仲間になるなど御免被りますがね ・・・

いずれにしても、人類は大変な局面を迎えました。
いわゆる 「正邪の戦い」 となる訳ですが、
それはまた個人の心の中、更にその奥の魂が綺麗なのか否か、
邪欲と正欲、善と悪の割合が問われる事になるという、
個人の 「正邪の戦い」 でもあります。

そこまで深く物事を考えなかった人は、
逃げたくて仕方ないでしょう。

 ただ、道は二つに一つであります。
 しかも早急に決断する必要があります。

何しろ、「神の光玉」 までの交通手段や移動時間、
準備の為の時間がどれ程掛かるか分かりません。
判断を誤れば時間内に到着出来ません。

 遅刻者には地獄が待っています。

これは家族間でも意見が分かれるでしょう。
故に決断力と行動力が問われる事になります。

我々人類は今まで、あまりに好き勝手な生き方をして来ました。
自滅する前に親である神は、我が子を救う為の手段として
最期に大きな試練を与える。

 そこにお詫びと感謝と難行苦行があって然るべきでしょう。

気になるのは 、

「主神は封印していた力を、特別平等に正神と邪神に与えるものとする。」


という記述についてですが、何か、かなり意味深です。
邪神にまで封印していた力を与えるというのは、いったい・・・?


 あっ、そろそろ神議りは終了するようです。




         (推奨BGM)

  べドルジハ・スメタナ作曲 /  交響詩《モルダウ》 

  ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮
  ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団   







  大黒天様が締めのお言葉を述べられるようです。   


《 さて、お集まりの皆様方、長時間真にありがとうございました。
 皆様方の御協力により、実に有意義な神議りとなりました。

それぞれはこの後、御自分の持ち場に着き、
万全の御準備をなされて頂きたいと存じます。

いよいよ、明日から「神裁きの三日間」が始まります。
幾億万年の永きに亘る主神の御経綸が、今正に大詰めを迎えました。

この三日間、神の霊と火の洗礼を以って、あらゆる邪気をミソギハラい、
抵抗勢力である邪神邪霊どもを拘束断罪し、
ミロクの世である神十字文明,そしてシリウス文明を築く礎と成すのです。

そして三日後、歓喜の歌と共に、
宇宙の偉大なる大芸術家、大神学者にして
万物万生の創造主そして大いなる天意アイの光の源である、
主神様をこの地上にお迎えするのであります!》


《《《  おおおおおおおおおお~~~!!!! 》》》


  大黒天様は、力強い言霊で抑揚を付け、
  時に拳を握り締め天上界の神々に訴え掛けられました。

 神々は、その訴えに大歓声でお答えになり、
 会場は一気に愛の神気の充満界と成り、
 中には感極まり号泣され、体を震わせ咽び泣く方もおられました。

  私はと言えば、あまりの神気に危うく気絶しそうになりました。

 その神気という物は、目には見えない「 愛の光の風 」
 とも言うべき波動であると思います。例えようも無く心地良いものです。
 ただ、邪気の強い者には苦痛となるでしょう。


《 皆様ありがとうございます。
 では景気付けに例のシュプレヒコールと行きましょう。

  皆様、御起立をお願い致します・・・

  我等、正神軍と神の子人、
  そして主神様の大勝利を御祈念致しまして、

エイエイオー! エイエイオー! エイエイオー!・・・ 》


 幾度となく繰り返されるシュプレヒコール。

凄まじい言霊の大波調の響きが、光の波紋が怒涛の如く押し寄せ、
共鳴し合うとてつもない一体感。
音霊に数霊に言霊、そして色霊の波の渦。

あらゆる光の粒子が全身全霊を貫き、体全体から沸き起こる神気の波動。
漲る気力と闘志。この神気の中には一切の邪気はありません。

花木の梅や桜、その他の花々は自ら花弁を散らし、
それらが風に乗り空中を流れ、光に煌く虹色の風となったのです。

大霊宮中央に流れる渓流には、その鮮やかな花びらが無数に落ちて流れ、
水の精霊が纏う羽衣と化しています。

  水中からは、美しき川魚達が飛び跳ね、
   その度に水色の真珠と花びらが一緒に舞い上がり、
   それぞれが美しさを競い合っているようです。

  昆虫や色とりどりの野鳥たちも、呼応して大編隊を組み、
  あちこちで飛び交っています。

 中には白鳥や丹頂鶴もいます。

孔雀や鷲や鷹までも ・・・
その鳴き声が次第に歌に聞こえて来る!・・・

ははは、なるほど、さっきの精霊達が小さなタクトを持って、
それぞれ指揮しているのだ。

 あっ、タクトって指揮棒のことです。

 ・・・ ええっ? その精霊達を更に指揮している天使がおられます。
  それは私のお隣におられるミカエル様だったのです。

  何時の間に ・・・

  私は浮遊議席の机の上で周りに気を取られ気付かなかったのです。
 おかしな話ですね。

それにしても、鳥と虫の声に草木と風、それと川のせせらぎ。
音霊による生命が奏でるシンフォニーとは ・・・

誰も知らない想像出来ない神々の交響楽。
この美しい旋律は、神の愛と光の波動で紡がれているのです。

あれっ? 時折、頭上から耳にした事の無い、
美しい鳥の鳴き声がしていますが、もしかすると ・・・

 そう、それは鳳凰の鳴き声だったのです。
  七色のオーラを纏った輝く翼を大きく広げ、


クオ~~ン、クウオォ~~~ン ・・・・・・



   という、美しき波調の響きが ・・・

  その愛の響きは、白鳥でもない、丹頂鶴でもない、
 もっと華麗なる響きなのです。

そうか、これはきっと主神様が、
最奥という神界で神々の楽団を指揮されているに違いない。

するとミカエル様が、ニコリと私に微笑み掛けられました。

・・・ 言霊すら、もう要りませんね。

感動の嗚咽で溢れ出る涙は、枯れることなく流れ続けます。
いつまでも、いつまでも・・・

この空間には、愛と光の波動しか存在しません。
正に極楽浄土であり、エデンの園 ・ 天国そのものと言えます。
 地上も早くこうなってほしいものです。

  否、一人一人が立ち上がり、
  不屈の精神を以って成さねばならないのです。

  神と人が一体となって・・・   

  この光景、邪神邪霊が忌み嫌う訳です。
 奴等には苦痛 ・ 激痛しか感じられないでしょう。

「 綺麗事ばかり言ってもこの世じゃ通用しないよ。」


等と言う人間も同じ事。そういった思想は、
綺麗事を行いたくない人間の言い訳に過ぎません。

これからの世は、肉体・心・想念・魂、全て綺麗に保ちつつ、
更に向上させて行くという心念と実践力がないと、
正神には通じなくなります。

だからこそ、堕落と邪欲に溺れる邪神軍団は、
正神軍団に対し徹底抗戦を挑んでいる訳です。

 全く愚かな事です。 

 ところで、あなたはどちらに味方なされるので ・・・?


《 皆様、真にありがとうございました。

この強力な一体感があれば、
我等が困難な目的も成就されると断言致します。

 皆様、失敗は許されません。

全ての邪神邪霊、神の子人を救うという気構えを、
お忘れ無き様くれぐれもお願いを申し上げます。

 では、これにて神議りを終了し解散と致します。

皆様の御武運と、
主神様の大愛なる御守護お導きが有らん事を、
 深く御祈念申し上げます。》


 その後、大黒天様は頭上の鳳凰に向かい、終了お参りをされました。
 次に、司会の神流様が現れ終了の宣言をなされました。


《 以上を持ちまして、神議りを終了させて頂きます。
        真にありがとうございました。》


  すると、あっという間に内壁の議席におられた神々の御姿は、
  忽然と消えておりました。

   神が動かれる時は、間髪を入れずという事なのですね。

  但し、あの鳳凰は全く動く気配は御座いません。
  このまま、戦況を見守るということなのでしょう。

   それにしても場内は、がらんどう ・・・

  残ったのは、雛壇議長席の大神様とミカエル様はじめ、
  三人の大天使の皆様と、うさぎの私のみ。

    私は ・・・ どうしよう?


《 ミカエルよ、大義であったな。

 それから、ガブリエル、ウリエルにラファエル。
 汝等の元々のみ役には穴が開く、それぞれの部下に後任を任命し、
 しっかり指導しておくのじゃ、まあ、言うまでもないが念の為じゃ。》


《《《 は、仰せのままに ・・・ 》》》


《 うむ、ところで信造よ、これよりこの場は正神軍の作戦司令部となる。
 その為、我々は此処に残る。
 お前は地上に降り、与えられた使命を果たすのじゃ。

  お前も、良くがんばっておる。だが、これからが本番じゃあ。
  心して掛かれよ。

 ああ、それとじゃな、叔父上殿とスミレ御嬢様に、
 会議は滞りなく終了した旨を伝えてくれ、

  では、また合おうぞ。》


   と、にこやかに仰せになりました。


「 はい、有り難いお言葉を賜り、恐縮に存知ます。
 偉大なる大神の皆様はじめ、ミカエル様、大天使の皆様、
 大変お世話になりました。

 私、皆様方の御武運を祈りつつ、
 全身全霊で己の使命を遂行致します。」


   私がそう申しますと、ミカエル様からお言葉を賜りました。


《 うむ、汝の気遣い感謝するぞ。
  では、地上へは私が送ろう。

   そして、ある一家のイメージを与えるから、そこに行くのだ。
  よいな、ではひとまずは、さらばだ。》


    「 はい、仰せのままに致します。」


  ああ、叔父上殿と、スミレお嬢様って、またお会いできるんだ ・・・
  おっ、恐れ多いな ぁ、こりゃあ ・・・

   それに、ある一家のイメージか ・・・ ?

     ふう~~ん ・・・





さて、「 神裁きの三日間 」 に於ける掟の三ヶ条、ですが
随分、気を使いました。

こんな、創造主からの通達みたいな文面を書こうとは、
いくら小説とは言っても有り得ません!
私のこの先、永遠の人生の中でも、これきりでしょうね。

ただ、私の神心を慮る想像力を可能な限り絞りだしたのは確かです。
果たして創造主は、多くの神々は、更に読者の皆さんは、
どう思われるのか?

こういう場合、神様に対し御無礼がございましたらお許し下さい。
修正や削除部分があれば教えて下さいと申し上げ、
修正や削除をすれば大丈夫です。
その為に、ベンジュラムテストを行っているのです。

ただ、しばらくは面倒で文面を一括して行っていました。
すると仕事で足や頭をぶつけたりしました。

これは目上の先祖や神様に対しての御無礼が何かあると思い、
何故そうなるのか思案にくれていましたが、神様に深くお詫び申し上げ、
一区切りの文章ごとのテストに切り替えたのです。
そうでなければ神様との共同作業になりません。

私たち人間はどのような時も、先祖や神と常に一つである、
という意識を持たなければなりません。
そのことを忘れ、自分本位で先祖や神を蔑ろにした行動を取った時に、
お叱りを受けることになります。

それがミソギハラヒや戒告といった形になるのです。
それは誰しも肝に銘じなければならないところです。

テストは、他にキネシオロジーやオーリングという手法があります。
是非お調べになってください。

参考になる動画はこちら・・・


さてさて、この後、凄まじい修羅場を目の当たりにするでしょう。
あなたは果たして正気でいられるものか?

 私は無理です。

さようなら ・・・・
もう、お会い出来ないかもしれません。

主人公みたいな、うさぎが絶命する瞬間から目を背けないでください。
それと、十二神将の最後も ・・・

 全く、悲しいことです ・・・
 では、本当にさようなら ・・・



   また会う日まで ・・・

 

 

 

 


《 序章 》 〈 第八話 〉 再 開

2019年01月31日 11時03分41秒 | 小説


   
   《 キャラクター&キャスト 》

川神 神流(かんな)司会 ・・・ 古舘 伊〇郎 
氏神 スプリングフィールド・・・ジャン ・ レ〇
湖神 ナセル ・・・・・・・・・ キャサリン ・ゼータ ・ ジョーン〇
川神 ハリ ・・・・・・・・・ ジュリア ・ ロバー〇
閻魔大王 ・・・・・・・・・・ 竜  〇太
山神 早池峰(はやちね)・・・ 壇  れ〇
山神 ブライトホルン ・・・・ ヒュー ・ ジャックマ〇





 すると私の乗っている議席の前方に、
 突然、少々変った簡素な議席に乗った神様が現れました。

あれっ、それと呼応したかのように、
精霊や野鳥、昆虫達が球庭の草木に羽を休めました。

シーンと鎮まり返った中、その神様は内壁の神々に向かい、
大きな言霊でこうおっしゃいました。


《 皆様、御静粛にお願い致します。

  先程、スミレ様の偉大なる神力により、
   十和田湖上空にて天の岩戸が開けられ、
    大黒天様がお出ましなされました。
     今一度盛大なる拍手をお願い致します。》


   すると、万雷の拍手と喝采の波動が押し寄せて来ました。
   全方向から来るのですから、とてつもない迫力です。

  大黒天様は、その場でお立ちになり満面の笑みと、
  御手を上げられて大勢の神々に御答えになられました。

   しばらくして大黒天様は御着席なされましたが、
   まだ拍手は鳴り止みません。


《 皆様、御静粛にお願い致します。
 限られた時間ですので、お疲れの所恐縮では御座いますが、
 議長を天御光様より、
 大黒天様に交代されまして、改めて審議を再開致しますので、
 宜しくお願いを申し上げます。

 まず、大黒天様を先達として、主神様のお代理の鳳凰に
 お参りをさせて頂きます。略式一拝のみでお願い致します。》


  と仰せになると同時に、パッと姿が消えました。
  なるほど、今の神様は司会のようなみ役なのでしょう。

  それに、この会議場の外でお聞きした、
  大黒天様のお出ましのアナウンスの御声と同じようでした。

   あっ、始まるようです。

  大黒天様がまず後ろ向きになられ、合掌し一杯なされました。


《 主神様、これより神議りを再開致します。
 私、大黒天、謹んで議長を勤めさせて頂きます。

 天上界の神々と共に、ここ2ヶ月間で練りに練り上げた
 計画を吟味し、一部の隙も無いものに仕上げる為、
 全力を尽くす所存に御座いますので、
 何卒宜しく御願いを申し上げ奉りまする。》


   そして、ミカエル様が動かれました。


《 皆様、私こと ミカエルが引き続き議事進行役を
 勤めさせて頂きますので、宜しくお願いを申し上げます。

 まず、私から議長である大黒天様に、
 これまでの二ヶ月の間議論した内容を簡潔に
 御報告をさせて頂きますので、宜しくお願いを申し上げます。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・ 以上で御報告を終わります。》


ミカエル様の御報告は35分近くありました。
目の前に時計があるので分かります。

私はそれらの内容をお聞きし、
戦慄と共に神々の深い御愛情を感じずにはいられませんでした。


  では、私が報告内容を更に簡潔に御説明致しましょう。

 まず、各国の状況報告をなされました。
 議長席前の巨大なスクリーンを使われ、
 日本から始まり、アジア諸国、オーストラリア、
 ロシアという具合に東から西へ、最後はアメリカの報告でした。

  ただ、主要な国だけ取り上げられたようです。

 その詳細は、国の政治経済の状況と国民の想念状態、
 霊層状態、魂の善徳悪徳の割合とその分布、
 また聖者として相応しい者の名前も挙げられていました。

  私が名前をお聞きしても、知らない名前ばかりでしたが、
  殆どの場合、当然でしょうが宗教関係者は極僅かでした。

 五大宗教から枝分かれし、大元の教えは幹部や信者達が
 自分の都合のいい内容に書き換え、金と信者獲得の為に
 利用されているようなものになってしまいました。

  つまりは神雇い信仰、神利用信仰といっても過言ではないでしょう。
  人間、徒党を組むと権力争いはどうしても起きてしまいます。

 そこに神の愛と教えが反映されることはないでしょう!
 巨大な団体になればなるほど、と言えるのでは?

  話を戻しますが、国の大統領、首相や政治家の名前は
  殆ど無く、財閥や芸能人と言われる人の名前も、
  極僅かしか挙がりませんでした。なるほど納得です。

 一つ言えるのは、貧富や老若男女に係わらず、
 どれだけ魂と心が美しいか、神の教え、法則に沿った
 生き方をしているか、常にお詫びと感謝の祈りを捧げ、
 深く広く大きな愛情で人に接しているかが問われていました。

  神心親心になって物事を考える事が大事です。

 我々は神の子ですから親を想うという神心になることは可能です。
 その辺は、人の親子と変りないのです。

  さて大黒天様が、今の報告に対しての見解を述べられるようです。


《 ミカエルよ、報告大義であった。

そして、正神の皆様方。
只今の報告により、皆様方の大変な日々の御努力と
主神様への忠義の心、わたくしの魂に強く響き渡りました。
心より厚く御礼申し上げます。

世界情勢はわたくしの予想を上回る勢いで悪化しているようです。

我らが神の子は、自分の尻拭いも出来なくなったので、
親である我々が代わってミソギハラヒで
 綺麗にして上げているものを、未だにそこをサトレず
  不平不満・愚痴を溢すとは、主神様の堪忍袋の緒が
  切れるのも無理からぬことで御座います。

  全ては欲望を制御出来ずに暴走する人間が、
  殆どを占めたことによりますが、
  それを見逃して来た下級神の皆様も既に、
  上級神の説得に応じ隠居をされております。

 ただ、この後に及んでも上級神の説得に耳を貸さない
分からず屋というか、石頭というか、邪神に堕ちた輩が、
僅かながらおるとは甚だ遺憾であります。

 しかもその者達は、この場に現れず、詫びもせず
  何処かに姿を晦ませ、最期の抵抗を企てるとは、
  うぬぅぅ ・・・ 全く以って許し難い行為であります。

 主神様がこの状況を、どんなに嘆いておられるか、
 皆様方も良くお分かりの筈だが、ぐうぅ ・・・

 今ひとつ足りない物が ・・・ 最後の詰めが甘いのでは ・・・

特に下級の神々よぉ、我ら上級の神と手を組み、
神十字文明、シリウス文明を築く事が ・・・

そんなに女性性意識が上に成るのが嫌なのか。

 うぬぬぅ、気乗りしない者が、ま~だ少々居られる様だな、
  よ~く見えるぞぉ、覇気の弱い魂を持つ者ぉ、
  ごおうぅ~、はああああぁ ・・・》


   あああ ・・・ えっ、えらい事になりました。

  だ、大黒天様が、始めは穏やかにお話でしたが、
  次第に熱を帯びて、それが更に怒りへと変化して、
  ああ、目が恐ろしい光を発して、はっ、吐く息やお体全体に
  放電のような稲妻なのか、それとも炎の神気か
   怒りの闘気とも言えるもので覆われてきました。

    しかも、ビキッ、バキッ、バアリッ!

   などと時空が歪む様な音まで響いて来ます。
  そうなると場内は大混乱で、どよめきと悲鳴まで聞こえて ・・・
   あっ、だっ、大黒天様の両目が真っ赤に光り、

    バリバリバリッダッガーーン!!!

   轟音と共に深紅の稲妻の様な閃光が幾つも
  枝分かれをして、青で埋め尽くされた議席の
   数箇所を直撃した模様です。

   ああっ、すぐに第二波の稲妻が落ちました ・・・

   あああ、物凄い爆音です。
  耳を塞いでおけば良かった。

   くう~、全身痺れました。


  しかし何ということでしょう。
  直撃を受けた神様は大丈夫でしょうか?

  あちこちで煙が上がっていますが ・・・
  どなたかお止めにはならないのでしょうか。

  大黒天様はまだ怒りを解かれておりません。
  議長席を見上げても、
  他の大神様は静観されている御様子です。


《 いいかい、こういう時は口出ししてはいけない事に
 なっているのだよ。
 大黒天様はお考えあっての事なのだ。

 それに今の 『 神の雷槍(らいそう) 』 を受けても、少々痺れる位で
 大した事はないから心配ないよ。力は抑えておられるのだ。
 神の世界は人間の社会より、遥かに厳しい掟があるのだよ。

 何しろ、人になるまで間があるという人間達に、神の存在、
 掟と教え、更に神の子であるという自覚と聖使命を
 認識させるという重要な役目がある。

 上級神達は下級神達を育てるため、
 地球の統治をしばらく任せることにしたのだが、
 人間達に欲望の赴くままに物質開発をさせ、
 競争させる事により下級神が望む理想郷を築こうとした。

 その為には多少の悪事や、競争や戦も目を瞑ったのだ。
 それが、主神様にも認められ
 御喜び頂けると想っての事なのだが ・・・

 結局は下級神自体が自分の欲望を制御出来なくなり、
 我と慢心甚だしいものとなった。

 そのことに対しての反省やお詫びも僅かであれば、
 大黒天様からお叱りを受けても仕方のないことだよ。》

   ミカエル様は、小声で仰せになりました。

 *この台詞部分は真光の教えをある程度入れましたが、
  読者の皆様には、
  この小説内の私の仮説であると思って頂ければ幸いです。

  真光の教えでは、下級神とした部分は、副神。
  上級神は正神であります。

  この物語では、邪神以外の神を正神と致します。
  更に、正神を上級神と下級神とに分けます。 


※ 現在、私は真光は勿論、宗教には何ら関りを持っておりません。

 宗教否定派ですが、太陽信仰をさせて頂いております。

 宗教団体はあらゆる争いの元になり、
 教祖も信者も知らぬ間に、地獄の道へ迷い込み、
 抜け出せなくなります。それは、邪神の誘惑があるからです。

 ですから、宗教の沼にハマっている方は、
 出来るだけ早く脱会することです。

特に、創価学会、統一教会は、天上界から、悪魔指定されているそうですから、即刻やめることをお勧め致します。

これは、Kさんからの情報ですので間違いありません。

この辺は、私もペンデュラム・テストで検証しています。

そして、個人で太陽信仰を極める努力をなさってください。そこは、私の小説以外の記事を是非参考にしてください。

勿論、ご自分でも霊的検証は必ず行ってください。




 やがて、場内は落ち着きを取り戻しました。

すると一瞬の内に、2、30人の神様が議長席の前に現れました。
皆、正座をして頭を下げ、顔は青ざめ必死の形相と言えます。

先程、雷槍とミカエル様は仰せでしたが、
その雷の槍の衝撃を受けても皆様頑丈なようで、
 衣服が少々焦げた位で体は何とも無い様です。

   大黒天様は鋭い眼光で、ジイッ と睨んでおられます。

   重苦しい雰囲気の中、
   意を決した一人の男神が頭を上げて口を開きました。


《 大黒天様ぁ、
 わたくしはアメリカの氏神スプリングフィールドで御座います。
 も、申し訳御座いません。

 わたくしは、まだ以前の悪い癖が抜け切れず、
 未練がましいことばかり考え先を憂いておりました。
 何卒お許し下さいませぇ。》


   間髪を入れず、次の女神が力無くおっしゃいました。


《 わたくしはエジプトの瑚神でナセルと申します。
 情けなくも過去の栄光と我を捨て切れずに、
 悶々としておりました。心よりお詫び申し上げます。
 お許し賜りますよう御願い申し上げます。》


  そんな感じで、次々と下級神の神はお詫びをなされました。
  その間、大黒天様は厳しい眼差しで御覧になられておりました。

  全員のお詫びの言上が終わると、大黒天様は力強く仰せになりました。


《 皆の気持ちはよお~く分かった。
  全く世話を焼かせおって・・・

お前達の事は、主神様が大変御心配なされておったのじゃ。
この親不孝者めが ・・・

まあ、少しは気合が入って来たようじゃ。
ただ、明日からの神裁きの三日間で、
どれだけお詫びの証を立てられるかが重要だ。

分かるな。この場は許してやろう。
要らぬ雑念と執着は徹底して捨てることだ。
まずは正しい想念と努力の目標、過程と結果が大事じゃ。

それらを踏まえ、与えられた使命を深く胆に銘じ、
主神様への愛を形に現すのだ。

 その為しっかり上級神と連携を取り、
  一丸となった拳で悪の野望を打ち砕くのじゃ、良いなぁ! 》


《《《 ははあ~、畏まりましたぁ! 》》》

   下級神の皆様は、声を合わせて御返事をなされました。


《 うむ、皆期待しておるぞ。では下手に控えていなさい。》


   下級神の皆様は下手の、ミカエル様と私がいる議席より、
   更に離れた場所に御移動なされました。

   次に大黒天様は、厳しい表情でこうおっしゃいました。


《 さて、先程の話の続きですが、
我等が神の子の魂は平均的に霊層が限界まで落ち、
当然、霊・心・体、共に美しい者は少なくなりました。

その中で、神の声を聞き分けられる聖者として相応しい魂は
極僅かであります。聖者の数が少なければ、
自ずと補佐する者の数を増やさねばならなくなります。

そこで、当初から予定していたミカエルに加え、
ガブリエル、ウリエル、ラファエルも 「神の光輪」 に入る事で、
補えると想うのであります。

 そこでミカエルに了解を得たいと想いますが、
  どうかなミカエルよ。》


   ミカエル様は、議長席にお向きになり即答なされました。


《 大黒天様、お気遣い真にありがとうございます。
 わたくしには何の異存も御座いません。
 むしろ彼等と共に奉仕させて頂けることに、
  無上の喜びを禁じ得ません。
  これで我等が作戦も磐石になるものと存知ます。
  どうか、彼等に任命のお言葉を ・・・》

《 ミカエルよ、汝の真摯なる愛、感じいったぞ。
  では、皆様の賛同を得たいと思いますが、
   この一件、如何で御座いましょう。》


   大黒天様が仰せになると、
   場内は拍手と歓声が巻き起こりました。


《 皆様、御賛同を頂きまして有難う御座います。
 では任命を致します。
 ガブリエル、ウリエル、ラファエル、前へ出でよ。》


  大黒天様の力強い言霊が響きました。
  すると、瞬時に三人の神が現れ、横一列に控えられました。


《 面を上げなさい ・・・

 ガブリエル、ウリエル、ラファエルに対し、
ミカエルと共に 「神の光輪」 に入り我を補佐するみ役を与える。

皆、承知の事と思うが、ミカエル同様、
各地の 「神の光玉」 に対し天意の波動を送り続けなければならない。

その際、一瞬でも隙が生じれば、その隙を狙い、
 邪神軍団が進軍してくる。それを決して許してはならぬ。

  三人共にミカエルと一体と成り、聖使命を全うするのだ。
   しかと命じたぞ!》


    大黒天様から任命された三人の神は、言霊を揃え、

《《《 ははぁ。有り難き幸せに存知ます。必ず遂行致します!!! 》》》

   とお答えになりました。
   場内は暖かい拍手と愛の波動に包まれました。


  そこに、ミカエル様が歩み寄られ、
  他の三人の大天使と円陣を作り、
  共に手を取り見つめ合われました。

  万感の想いがおありなのでしょう、
  皆様込み上げる感情を抑えようとしても、
  御目からは涙が溢れ出ている御様子です。

   少し間を置き、ミカエル様がおっしゃいました。

《 我等が四大天使、気の合う同志だ。
    お互い一心同体となり、み役を遂行致しましょう。》

ガブリエル様
《 ミカエル殿、御一緒の奉仕をさせて頂けるとは、
          身に余る光栄です。血が滾りますよ。》

ウリエル様 
《 私も血が沸き立っております。全力で遂行致しましょう。》

ラファエル様
《 この喜び、例えようが御座いません。
  わたくし不屈の闘志を持って望ませて頂きます・・・
   ところでミカエル様。いつものシュプレヒコールで
    締めるというのはいかがでしょう。》                                                 

ミカエル様 《 それはいい考えですね。》

   すると、皆様は円陣のまま、右手を重ね合わせられました。

《 では皆さん、行きますよ。
  主神様の祈り願いを地に成らしめる為に、
   やるぞ、おお~う! 》
 
《《《 おお~う!!! 》》》

  これは、何と素晴らしい神々の力強い結束であることか。 
  大黒天様は誇らしげに御覧になられ、

《 うむ、見事、見事じゃ。
  お集まりの正神の皆々様 ぁ~。
   盛大なる拍手をお願い致しまするぅ。》


  そうおっしゃるや否や場内の神々から拍手喝采雨霰。
  もう至る所で波紋ウエーブが巻き起こりました。

  こうなると興奮なされた大黒天様は、
  例の扇子を両手に持たれて・・・


《 あっぱれ、あっぱれ ・・・ 》


  とその場で飛び跳ねられ、
  つられた他の大神様の皆様も御一緒に
  両手に扇子を広げて、愉快な舞を踊られました。

  ついでに私は机の上で、立ち上がって皆様の真似をして、
  ぴょんぴょん飛び跳ね、耳をふりふり踊りました。

   ああ、愉快じゃ、愉快じゃ。

  このうさぎの体は、結構自由に動きます。

   ありがたやあ~。


《 いやあ~愉快愉快。皆様方、ありがとうございました。
 御静粛にお願い致します。
 では、3人の大天使よ、大義であった。下がって良いぞ。》

   大黒天様がそうおっしゃると、三人の神は深々と礼をされ、
   フワンという感じでお姿が見えなくなりました。

    ミカエル様も御戻りです。

   この神が出現したり消えたりというのは、
   それぞれ特徴があり個性なのか?

    もしくはその場に合わせての演出か?
    急発進・急ブレーキする事で見え方が違うのか?

     何かしらの意味があるものと思われます。

《 では続けます ・・・
「 神の光玉 」 の障壁に、 幽界の軽労働界以上の魂を使うのは、
先程の報告の通りで結構ですが、
わたくしの案として地獄の重労働界からも最低1000万の
魂を使いたいと想っております。

何をさせるかと申せば、
「 神の光玉 」 の 一 番外側の障壁のみ役を与えるのです。
 それで三日間精進し、魂のレベルが上がれば、
  地獄の星への転生が、楽な地域に変わってまいります。

 うまくいけば故郷の星への帰還が可能になる者もいるでしょう。
そうなれば重い腰も上がるのではないかと思います。

如何でしょう、神々の皆様。
私の案に対して賛同される方は拍手を頂きたいのですが。》


  大黒天様がそう仰せになると、
  場内は割れんばかりの拍手と歓声が沸き起こりました。

   はて? 

  先程から 「神の光輪」 とか、
 「神の光玉」 とか、あたくしにはさっぱり分かりませんザマス!


《 皆様、御賛同頂き真にありがとうございます。
  では、その事を踏まえた上で検討したいと思います。
   ミカエルよ、重労働界で使えそうな人数はどれ程と見る?》

《 はっ、少々お待ち下さいませ。》

  するとミカエル様は、
  机の上の資料を暫し覗き込み、こうおっしゃいました。

《 大黒天様、残念で御座いますが、
 該当する者は精々100万から200万と思います。》

《 それで構わん。
 不完全な作戦になる事は百も承知である。わしに策がある。》

  そう仰せになると、
  下手に控えていた下級神の皆様に視線を移されました。

《 皆の者、前へ。》

  フッ、と議長席の前に御移動された下級神の皆様は、
  正座をされ一揖の姿勢で控えられました。皆一様に神妙な面持ちです。

  大黒天様は、その様子を悪戯な目で御覧になられ、
  ニヤリと仰せになりました。

《 皆、面を上げなさい。皆もわしが申す事を
 多少は見当が付いたようじゃな。

  あ~、そこのおぬし、当りぃ~!
  だあっはっはっはあ~。

 よいかな、今日中に地獄の重労働界から、
 1000万の魂を集めるのじゃ。
 だが、あまり強引なのはいかん。

  うまく持ち上げて、やる気を出させねばなっ ・・・
  ん、どうじゃ、そこのおぬし。出来るかな。》

《 も、勿論に御座います。
 これだけの数が居れば、出来るものと、お、思いまする。》

《 何じゃあ思うとは、それに歯切れも悪い。
  必ずやりますとは言えんのか?
   そんな風だから最後の最後まで引退もせずだらだらしおって、
   邪神に堕ちるのではないかと主神様に御心配をお掛けしたのじゃ。

   又わしの雷槍を喰らいたいのか馬鹿者めが。
  汝はインドネシアの川神ハリだったな。やり直しせい。》

   血相を変えた女神のハリ様は、すぐに御返答なされました。

《 は、はい、申し訳御座いません。
 必ず、必ず仰せの通り、他の者達と力を合わせ成し遂げまする。》

《 それで良し。皆の者、聞いたな。ただ監督が必要だな、誰ぞ居らぬか?》 

  間髪を入れず、数百ぅ~か千人近くの神様が現れました。
  全く凄い。

《 流石じゃのう ・・・ ああ、では、そこの美しい女神と、
  えー、そこのガッシリした男神。汝等に頼もう。
   あ~他の皆様には申し訳ない。下がって宜しいですぞ ・・・

    それで名は何と申す? 》

   そこで二人の神様は、
   ガッカリ落胆の表情で消えかかる神々の前に出て名乗られました。

《 御指名を賜り恐縮に存じます。
 わたくしは日本の山神 早池峰に御座います。》

《 同じく御指名、光栄至極に存じます。
 私はヨーロッパアルプスの山神ブライトホルンに御座います。》

《 ん~、なかなか両名共、頼もしくも美しい神気が溢れ出ておるのう。
  良い事じゃあ。では、この下級神らの監督のみ役、
   しかと申し渡しましたぞ。》

《《 はは、畏まりました!! 》》

   二人の神様は、声を合わせておっしゃいました。

《 ただ、余計な奉仕が増えてしまって申し訳ないのお。
だが、これも主神様の御為じゃあ。

よいかな、今日中、午前零時までに1000万の魂を集めさせるのじゃぞ。
その後も、どの地区に配置させるかなどの作業がある。
それはわしが考えておくとして ・・・ 

ふふふふ、閻魔殿ぉ、用意がいいことですなぁ。
 これぞ阿吽の呼吸じゃ。神とはこうあるべきもの。
  他の皆も見習うがいい!》

  いつの間にか威風堂々たる御姿の、
  一目で閻魔大王様と分かる神様はお出でになり、
  照れ笑いをなされました。

《 大黒天様 ぁ、お褒めの御言葉を賜り恐縮では御座いますが、
 造作も無い事に存じます。
 わたくし、地獄での奉仕がし易いよう協力させて頂きたいと想い、
 控えておりました次第に御座います。》

《 そうかそうか、殊勝な心掛けじゃ。
  では、遠慮なく閻魔殿の助力を頂こう。

   方法としては、おぬしの閻魔帳の重労働界最上層から、
    適任者を順に名前を挙げて、
    一箇所に集めて皆で説得するのがよかろう。

   まあ、やり方はこちらの下級神の皆様になるべく任せ、
   よほどの事がなければ手は出さんでくれ、修行にならんでのお。》

《 はは、しかと承りました! 》

  閻魔大王様は、力強く御返答なされました。

《 うむ! では選ばれし下級神の神よ、
 これも試練と想い、お詫びと感謝で励むことだ。
  この神議り終了後、閻魔殿と監督役の二人と共に地獄に赴き、
  直ちに任務に当たるのじゃ。よいな! 》


   《《《 はは~!!! 》》》

  
 気が進まなかった下級神の神様も、決死の覚悟の御様子です。


《 閻魔殿、早池峰殿にブライトホルン殿、宜しくお頼み申しましたぞ。》

《《 ははあ~!! 》》

《 では、お下がり下さい。》


  大黒天様が仰せになると、皆様はフッ、と一瞬で消えました。

 しかし、何度も見ていますが、これは瞬間移動?
 それとも、単に移動速度が速いのか?

大黒天様が青森の十和田湖から出雲へ御移動された時も驚きましたが。
まあ、肉体の無い霊体のみの神ですから、空気抵抗など関係無いでしょう。

 全く凄いです。

  質量があるというニュートリノですら、
  殆ど抵抗無く地球や人の体を貫くそうですから、
  驚く事もないのでしょうが・・・


その後会議は、邪神軍団の世界の分布とその動向。
「神の光玉」の配置場所や、
神々の持ち場の確認と微調整など多岐に亘りました。

詳細は明かせませんが、
驚愕・戦慄・感動せざるを得ない事柄で御座いました。

 ただ一点だけ、お教え致しましょう。

その内容は、明日からの 「神裁きの三日間」 が如何なるものかを、
世界中から選ばれし聖者を通して、
全人類に知らしめるという、恐るべき事柄です。

  心して御覧下さい。




《 序章 》 〈 第七話 〉 出雲の神議り

2019年01月31日 10時21分53秒 | 小説


 《 キャラクター &キャスト 》

 ( 天神七代神 ) 

初代 元無極躰主王大御神
  モトフミクライミノヌシノオオミカミ( 創造主 = 主神 ) 北大路 欣〇

二代 中末分主大神
   ナカナシワカレヌシオオカミ / 仲代  達〇

三代 天地分主尊大神
   アメツチワカレヌシノオオカミ / 高〇   健

四代 天地分大底主大神
   アメツチワカシオオソコヌシオオカミ / 松本 幸四〇

五代 天一天柱主大神
   アメハジメアメハシラヌシオオカミ ( エホバ神 ) 竹脇  無〇

六代 国万造主大神
   クニヨロズツクリヌシノオオカミ ( 大黒天 ?) 西田  敏〇

七代 天御光太陽貴王日大光日大神
   アメミヒカリオオヒナカキオウヒオオテルヒオオカミ

   ( 天照日大神 アマテルヒオオカミ ) 中村  雅〇   




       ( 推奨BGM ) 

 ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲

 ホルン協奏曲 第1番 ニ長調 K. 412 + K. 514 (386b)
  ホルン:デニス・ブレイン
  カラヤン&フィルハーモニア    

  
   


       
私はまた大黒天様の左肩に戻され、その場を後にしたのですが、
スミレ様はお手を振られて、お見送りして下さいました。

すると大黒天様はこうおっしゃいました。


 《 では龍体に変化するぞ。》

 《 はっ、畏まりました。》


大黒天様は、ニヤリと笑みを浮かべられると、
お体が黄金に光り輝き出しましたが、
どうなったのか私も光りに包まれました ・・・

こ~れは、あまりに巨大なお姿ではありませんか。
どうやら私の体は、大黒天様が龍体化された鬣に巻き付いているようです。

あっ、ミカエル様も、白銀に輝く小さな龍体に変化なされました。


 《 よー し、参るぞ。いざ出雲へ!》

 《 ははっ。》


  えっ、出雲? 遠い。

 あれっ、何やら一瞬目眩のような感じがして、
 気付いたら周りの風景が変っている ・・・ どういうことだ。

ここは、十和田湖上空じゃないぞ。

眼下には ・・・ 海岸線やら大きな湖が見えるけど、
まさか既にここは島根の出雲なのだろうか?

 そうに違いない ・・・ しかし、なんという速さだ。

   瞬 きする間に・・・


《 はははは、そ~の通りじゃ、驚いたか。

 ここは出雲大社上空3000メートルでな。
 これより特設の 『 神霊界 ・ 大霊宮(だいれいぐう) 』 に入る。
 ただ、その場は天津神・国津神・現津神らが集結した場じゃ。
 とてつもなく強い神気の充満界でな、
 汝の汚れた魂では耐え切れん。

 その為、神気を反射させる特殊な保護膜とも言うべき物で
 その体を覆ったのじゃ。

 別に趣味でその兎の体にしたのではないぞ。
 いや~、趣味かな。故に気絶する事も無いであろう。
 多分な。ぶはははぁ、感謝せい!》


 大黒天様は既に龍体を解かれ、にこやかに仰せになりました。


 「 ははあ、有り難き幸せに存知まする。  
  ただ考えただけでぞっとします。」   


《 言うても仕方がないわ。
  まあ、精々楽しむ事だな。
   神議りとは、神々の会議の事じゃ。
    これより約3時間休み無しで執り行われる。覚悟せい。》


    「 畏まりました。」

     ささ、三時間か ・・・ ふいぃ ・・


《 信造よ、集中力を切らさぬよう勤めれば乗り切れるであろう。
  ただ傍観者になってはならぬぞ。
   もし一瞬でも気を抜けば私が汝に光矢を放つぞ。良いな。》


  ミカエル様も龍体を解かれ、
  穏やかに叱咤激励をして下さいました。

  私は戦慄と共に当然の事と受け止め、
  更に大和民族と武士の血が沸々と沸き立つ感覚になりました。


「 はっ、肝に銘じまする。」


  そう答えると、ミカエル様が大黒天様にこう話掛けられました。 


《 こやつ多少胆が据わって来たようですね。
 この場でニヤニヤ笑えるとは。》

《 そりゃあ、おちょい様とスミレ御嬢様とわしとで鍛えてやったからのう。
  その位になってもらわんと困るわい。
   ぶうわあ~っはっはっはっは、はあはいっと ・・・》


  大黒天様は、横目でこちらを御覧になりながら、
  大笑いなされました。


《 それもそうで御座いますね。はっははははは ・・・ 》


 ミカエル様もつられてお笑いになりました。
 いやあ~、恐縮です。

すると、大黒天様は担いでおられた品のある茶色い布袋を降ろされ、
両手でクシャクシャと丸めると、あれよあれよという間に、
大きくて肉厚な掌に収まる大きさの巾着に早変り致しました。

 その巾着は何故か生地が紫のベロア地に変り、
 その表面には鮮やかな金龍の刺繍が浮かび上がっています。

巾着は赤い紐で絞られ、淡い緑の丸い翡翠の穴を通り、
白い象牙製と思しき根付のティーカップの取っ手に繋がっています。
                  
 ティーカップの中には、赤い目の白うさぎが納まるという演出です。

流石に粋ですねぇ。洋と和が一体のデザインですが、
違和感は全くありません。しかも洒落が効いています。

 ティーカップの中の白うさぎは右手をチョコンと上げ、
 まるで 「 招きうさぎ 」 です。

  それに加え左手にはタオルらしき物を肩に掛けています。
  つまり白うさぎが紅茶風呂に入って、  

   「 あなたも一緒に入らないかい。」

  と手招きをしている様子が伺え、
  見るからに楽しい雰囲気を醸し出しています。

 鍋猫もいいですがティーカップラビットも、また乙な物です。

 大黒天様は、その根付を腰帯の下から差し入れました。

そしてミカエル様と私に、にこやかな笑顔でウインクをなされると、
姿勢を正され、キリリと引き締まったお顔の目線を上に向けられました。


      間も無く ・・・
            
  おおっと、何か何処からか、
  耳をすませば和太鼓の連打する音霊だけが響いてきました。


・・・ ド ・・ ドド ・・ ドンドド ・・ ドンデン ・・ ドンデン・ドンド、
ドンドンドドンド、ドドンドダンカラカッカ、タカトコトン、
ダンダンダーン、ドドンドン ・・・

                                             
   おおっ、次第にお出迎えと思われる右手に赤青二色の柄に
   炎の様な身の槍を持った神様が、一人二人と姿を現され ・・・


トコトコトコトコ、ズダンドドンド、ダンドダンドン、ドデスカデン、
テンテテンテコ、ズカダンダダン、ドコドコドコッ

  よおお~~っ、はっ!


 神様は二列に六人ずつ御整列され、太鼓が更に激しくなり ・・・


ダンダダンダン、ドコドンズドン、ダ~ンダダンダン、ダンドダンドン、
テケテケテケトコ、ダンダンダンダン、ド~ンドドンダン、ダン、ダン、
ダン、ダン、ダラスダンドン、デデデンドドンド、ドコドンドン・・


   更に続いて ・・・


  ドンドンドンドン、ダンダンダンダン、ドドドド、
   ダダダダ、ダダダダ、ダーンダンダン


    よおおおおお~~っドコドンッはあっ!


      ・・・ で音が鳴り止みました。お~凄い、お見事。

       はくしゅう~ぬぬ?
        ぽにぷにぷにぽち ・・・ はあ~あ、この手?

       前足? の肉球じゃあ拍手出来ないぞ!
      ふんたあっ、カ ツ ・・・ う、音出ない。


《 阿呆、よさぬか。拍手は要らぬわ。》 ・・・ て、てへっ

  その時、

   ゴウワアアア~~~~~~ン !!!

 という銅鑼の轟音の波が押し寄せて来たので、驚いたの何の・・・


すると、我々に向かって正面を向かれ 、3メーター程の等間隔で
縦二列に御整列された神々の中央奥に、
メラメラと燃え上がる炎の球体が現れました。

 やがてその炎から滴り落ちた炎がお出迎えの神々の間を
 階段を流れ落ちるように、ゆるりゆるり我々の方へ向かって来ます。

炎が我々の手前2メートル程で止まると、
しばらくの間、轟々と勢い良く燃え上がったと思ったら、
パッ 、と嘘のように消えて無くなりました。

 その代わりに現れたのは、深紅の絨毯が敷かれた階段と、
 その奥の炎に縁取られた巨大な円形の鏡でした。

  また鏡です。

それは、言わずもがな大霊宮への入口なのでしょう。
大黒天様は満足気な笑みを浮かべられ、こう仰せになりました。


《 これはこれは皆の衆、久しぶりですな。
  お出迎え御苦労様に御座います。
   よお~し、皆の者参るぞ!》
  
 《 ははあ。》

  「ははあ!」

    それと同時に、銅鑼が鳴り響きます。


     ゴウワアアア~~~ンン 
     グオウワアア~~~~ン ・・・・


    すると、正面を向かれていた神々は、
    二列共向き合う体制になりました。

  しっかし、十二神将と思しき神様は、
  どの神様も完全武装の出で立ちで、惚れ惚れする程の闘神振りです。

  すると大黒天様が、こう仰せになりました。


《 おおっ、なんじゃ、当りじゃあ。おぬしの言うとおり十二神将じゃ。
   なかなか勇壮であろう。》

「 はい、御意に御座りまする。」


   銅鑼の音が響く中を、私達は大黒天様を先頭に
   ゆっくり深紅の階段を登って行きます。

  凡そ20メートルの階段両脇にお立ちの神様は、
  大黒天様がお通りになられると、笑顔で恭しく一礼をなされます。

   それに応えて大黒天様も

《 うん、うん。》 と、笑顔で会釈をなされます。

  大黒天様とミカエル様が最期の階段を登りきり、
  神鏡の前で立ち止まられると瞬時に階段は消え、
  十二神将は神鏡を中心に取り囲んで立たれ、外側を向かれました。

 なるほど、それぞれの方角を担当し、
 この御神域を守護されると言う事か。

これでは邪気を持つ者など、近づく事すら出来ないでしょう。

 間も無く、いくつものラッパの音霊が鳴り響きました。


 パアパパッパアーーツ、パアパパッパアーーッ、
  パパパラパ、パパパラパ、パパーンパァパッパラーーー  

    金管の甲高く華やかで澄み切ったハーモニーが、
    抜けるような快晴の空に溶け込んでいきます。 

 パッパッパッパ、パラパッパ~、
  ラッパッパッパ、パラパッパ~,パパアーーン 

  この楽器はかなり高音域が中心なので、ピッコロトランペットかなあ。
  などと呑気に想像を巡らしていると、音量が上がってきました ・・・

 パラパッパポ、パパーンパパーン、  
  パアッパッパ、パパパ、パァァアアアアアン!

    ファンファーレの音霊が鳴り止むと同時に、
    どこからか大きく響く言霊が聞こえてきました。


《 大黒天神様 ぁ、お出ましにぃ~、ございますう ~~。》


《 ではミカエル、信造、参るぞ。
 おっそうそう、信造はお前が面倒を見ていなさい。》

   大黒天様はそう仰せになると、私の首根っこを掴まれ、
   ミカエル様に手渡しをされました。
   ミカエル様は両掌でお受け取り下さり、こうおっしゃいました。

《 はい、畏まりました。お前はここに乗っていなさい。》

   ミカエル様は、私を左肩にお乗せ下さり、ニコッと微笑まれました。
   言霊と笑みの波動が暖かく私の魂に響きました。

「 はい。」

  私も感謝の想いを込めて答えました。

 神々の波動に触れるというのは実に心地の良いものであります。
 我々の周り全てのものは、神の光の粒子で形造られております。
 あなたの体も例に漏れず。

科学者は神の部分には触れませんが、
光と波動で宇宙全ての物質が構築されている事を証明しています。

 是非、勉強されてみて下さい。
 そして感性神性を磨いて下さい。まだ間に合うかもしれません。

  大黒天様は、私達の様子を優しい笑顔で御覧になられ、
  力強くおっしゃいました。


《 参ろうぞ!》

《 おお~う!》

 「 お~う!」


 大黒天様は鏡に映った御自分のお姿に溶け込むように、
 右足から鏡に入られました。

  おおっ、すると鏡面に波紋が広がったではありませんか。
  まるで水面が目の前にあるかの如くに。

   続いてミカエル様が入られました。

    その水の鏡面を潜った瞬間、
     夢想だにしない光景が目の前に迫ってきました。

      し、信じられない!?

     凄い歓声と拍手が ・・・ 有り得ません。
     こんな会議場 ・・・

    かっ、会議ってどうやってやるのか見当も付きません。

   今、分かっている事は、この会議場の形は球状で、
   内部の直径は、およそ三キロ以上在りそうです。

 我々は、その内側に進入しているところなのです。

その内側の壁全てに、机と椅子が一体となった半球状の議席が
ぎっしり並んで、数十万か数百万かの神々がお座りになっています。

見た目じゃあ神様の数は見当が付きません。
座り方は皆中心部に向く形になっています。

 我々は鏡面の入口から中心部にある、
 浮遊する巨大な玉子型の議長席らしき場所に向かっています。

  向かうと言っても歩くのではなく、
  大黒天様は皆様の声援に応えるように、
  両手を振りながら直立のままゆっくりとした速さで移動しています。

   ミカエル様は腕を組まれたままです。

  空中を浮遊する巨大なスクリーンには、
  我々の登場する姿が写し出されています。

 このスクリーンは、内壁の議席から見やすい場所に
 等間隔に設置されています。

これで、議長席や会議の模様が写され、
距離に係わらず会議が円滑に進行されるのでしょう。

それに会場の内壁には、中央に渓流のような川が流れています。
曲がりくねった川は、何と下から上まで一周しています。
ただ、会議場の真上だけ円形の鏡 になっています。

 その鏡は川に繋がった丸い池のように見えます。
 川幅は恐らく、十メートル前後はあると思います。

川の周囲には、ダイサギを始めとした水鳥が確認できます。
きっと水中には、色とりどりの錦鯉・鮎・イワナ・ヤマメ・マス
などの川魚に加え、多くの水性生物が生息しているものと思われます。

 今は大歓声で川のせせらぎは聞こえませんが、
 もうそれを見ているだけで、
 山川で育った私には嬉しくて仕方ありません。

  その不思議な川を隔て、議席は左右に仕切られています。

私から見て奥の方が水色の議席で、手前側が明るい赤の議席になっています。
まるでスターウォーズの宇宙評議会場や、
Xメンのセレブロを超巨大にしたような感じです。



( このイラストでは、直径約1キロとしていますが、
 1キロでは800万の神は収まらないと思いましたので、
 3キロに修正致します。)


 それにしても、この雰囲気は例えようが無く美しい光景です。

清らかで澄み切った神気に満ち溢れ、
あちこちの空中には等間隔で直径三十メートル程の球状の箱庭が浮遊し、
春夏秋冬の草花や花木が生い茂っています。

 えも言われぬ芳しい香りに、思わず鼻をヒクヒクさせ、
 髭には暖かで優しい風が纏わり付いて来ます。

その浮遊する球庭の周りには、色鮮やかな蝶や蜜蜂など、
世界中の昆虫や野鳥が飛び交っています。

 中には小さな妖精も混じっています。

 まるで不思議なエデンの園ですが、
 ここで会議とは何とも優雅な雰囲気と言えます。

  その蝶や小鳥が我々の周りを飛び交い、
  珍しいのか私にだけ話し掛けてきます。


( おやおや、見ない顔だね? 名はなんて言うのかな?)

( かわいいうさぎさん、初めまして。)

( あなた部外者のようだけど、よく入れてもらえたわね。)

( この子ったら本体は人魂だわね。
  まあ、いつか実力でここに来られる様になってね。
   お待ちしてるわ。ふふっ。)

「 み、皆様初めまして、私は関口信造と申します・・・
  恐れ入ります・・・ あ、はい、全力で精進致します。」


    お、驚いた。まさか話し掛けられるとは ・・・
    しかし、言霊とは実に不思議なものです。
    すると、ミカエル様がこうおっしゃいました。


《 君達、その辺にしておやり。
  この子はまだまだ修行は足りないが、
   多少はやる気があるようだ。
    君達もたまに地上に降りて、
     この子が怠けていたら尻を叩いてくれないかな。》

   ( わあ、それって面白そうですね。)

  ( あらあら、そう言うことでしたら、お任せ下さい。 
     得意の電撃でおしおきを・・・)

 ( わたくしも入れて下さ~い。)

《 おいおい、程々にしておいてくれ給え、はははは ・・・》

 「 いや、もう喜んでお受け致します。」

   などと、たっ、楽しい会話をさせて頂いた次第でございます。


こうして、あらゆる光景に驚き感動しながらも、
我々は中心部に向かっています。

それにしても、大黒天様をお称えする言霊の光の波動は、
全方向から降り注ぎ絶えることがありません。

 万歳が波紋のようなウエーブになった時には、
 大黒天様も大変お喜びになられ、

《 あっぱれー、あっぱれー! ホッ、ハッ・・・》

   と、左手に表面が日の丸、裏面が青地に月の丸。

  右手には表が富士と太陽と鳳凰、
  裏に大波と船と富士の絵柄の扇子を振りながら、
  軽やかな足捌きで踊られました。

   これは阿波踊りっぽい感じです。

  すると、ミカエル様もつられて御一緒に扇子を持たれ、
  楽しそうに踊られました。

 そこから、場内が益々盛り上がったのは言うまでもありません。




間も無く燦然と輝く議長席に到達しますが、
そこには別格としか言いようがない、
五体の神様が満面の笑みを湛えながらお待ちでした。

それぞれ横一列になった御自分の半球体の議席からお出になられ、
その前にお立ちです。

  すると、ミカエル様が小声でこうおっしゃいました。

《 いいかい、あちらにおわします神様は、
 一言で言えば万物を御創造遊ばされた神様なのだよ。

 向かって左端から天神二代から五代までの神様、
 少し間を開けて七代の神様。六代は大黒天様となっている。

 初代の神様が主神様なのだよ。
 だが、今日はお見えにはならない。

 それぞれのみ名は汝に申しても憶え切れないだろうから
 今は知らなくてよい。
 さあ、もう到着するから気を引き締めてくれ。》


   お優しい言霊ではありますが、
   同様に厳しき波動も伝わりました。


 「 はい、畏まりました。」

   私は一気に緊張感が高まりました。

   間も無く、お待ちの神々の御前に到着しました。
   すると、大黒天様は深々と一礼をされ、力強い言霊が響きました。


《 偉大なる大神の皆様方、大変お待たせを致しました。
  この大黒天、皆様方の御尊顔を拝し、
   燃える血潮が更に熱く滾って参りました。

    暗黒の闇夜が、今、正に明けきらんとする瞬間と、
    カゴメの中の主神様がお出ましになられる瞬間を、
    共に分ち合えるこの喜び、例えようも御座りませぬ。

   その瞬間が後僅か三日後とは ・・・》


   大黒天様は、込み上げる感情を爆発させておっしゃいました。
   すると、向かって左端の大神様が仰せになりました。


《 よくぞ参られた大黒天殿。お待ちしておりましたぞ。
  汝の申す通り、我等一同皆同じ想いじゃ。

  わしもこの日が来るのをどれほど待ち侘びたことか・・・

  主神様のお嘆き様は、もう見るに忍びない。
  我が子らの無残に死に行く姿を、痛み苦しみを、
  更には己の罪も詫びず神への感謝も無い姿を見るに付け、
 絶えず涙を流されるのだ。

その溢れ出た涙は滝となって物質界と幽界の狭間にある
三途の川から涙の海へと流れ込む ・・・

今では、海の深さも広さも計り知れぬものとなった。
その為、主神様の頬に刻み込まれた 涙流川(るいりゅうせん)は、
更に深くなる一方なのだ。

何しろ労いと激励の涙よりも、
悲哀的な涙の方が何十倍も多いのだからなあ。

汝もさぞかし辛いであろう、
神の子霊止(ヒト)の霊成型(ヒナガタ)を造った者としてはなあ・・・ 》


 *上記の台詞に、三途の川は主神の涙である というのは、
  私独自の解釈であります。
  今までの知識と経験からそう思えてならないのです。

    
《 おおお、中末分主大神様、
  暖かい労いの御言葉、恐縮に存知まする。

  しかしながら、わたくしめの辛さ悲しさなぞ、
  主神様に比べれば蚊程のものではありませぬ。

  スミレ様からも、一人でも多くの神の子を種人にせよとの
  仰せに御座います。

  この大黒天の全身全霊を以って主神様の祈り願いを、
  地に成らしめる所存に御座います。

  どうか、皆様方の大愛なるお導きを賜りたく、
  御願い申し上げ奉りまする。》


   その後、大黒天様はお一人お一人、順に御挨拶をなされ、
   お互いの熱い想いをお確かめになられました。

   次にミカエル様が短く御挨拶をなされました。

   私は顔が引きつり、御辞儀をして、

 「 関口信造と申します。宜しくお願いを申し上げます。」

  とだけ御挨拶致しました。これ以上は言えないでしょ~~!
  き、気が遠くなってきた ・・・


 その後、神々の皆様はそれぞれの半球体の議席に乗り込まれ、
 ゆっくりと御移動し配置に着かれました。

 ミカエル様も、浮遊する議席で御移動なされました。

ところで、この議長席で御座いますが御説明致しましょう。
一言で言えば丸みがかった玉子型の浮遊する雛壇と言えます。 

その雛壇は五段になっており、一番上は特別なのでしょう、
恐らくは主神様の議席と思われます。

 その議席は他の大神様とは異なり、中央に巨大ですが、
 派手過ぎない椅子のみが据えられています。

背景の壁には金箔と思われる下地に、
向かって左側に雷雲を従えた龍の絵が、
右側下には天空から降り注ぐ滝の崖の岩肌に爪を立てた
虎の迫力のある壁画が描かれています。

 見る者には、今にもその鋭い眼光からは稲妻が、
 岩石をも噛み砕くような口からは、
 紅蓮の炎がいつ吐き出されるのかと
 不安に駆られるのではないでしょうか。

おそらく龍の絵は主神様の大悲を、
虎の絵は大慈の愛を現しているものと思います。

更に虎が描かれた滝の部分は当然、
主神様の涙を現しているのでしょう。

 まさしくこの絵は、風神雷神図屏風の龍虎番といったところです。

その椅子の両脇には、とても豪華で巨大な生け花が、
龍と虎の絵に被らない様に設置されています。

 向かって右側の生け花は、八重咲きの紅梅を基調とした物です。
 左側は、八重咲きの白い桜を基調とした物。

その生け花と背景の壁画を合わせて見ると、
例えようも無い程の絢爛豪華さで、もう唸るしかありません。


  ・・・おおおっ、頭上から眩い光を放ちながら
  巨大な鳳凰が悠々と舞い降り、雛壇議長席の真上に止まりました。

 そのとてつもない神気は、大神様方を遥かに凌いでおります。
 まるで霊界を照らす太陽のようです。

  これは恐らく主神様の化身かお代理なのでしょう。
  ああ、思わず合掌致しました。

 言わずもがな、大神様始め会議場全ての神々は鳳凰に向かい
 合唱をして一礼をなされました。


二段目には、二体の大神様の議席が御座いますが、
向かって左手に先程の中末分主大神様がおられますので、
右手が天神三代の大神様になる筈です。

議席の両脇には金屏風と、
その前に趣向を凝らした生け花が設置してあります。

 三段目は、同じように向かって左に天神四代、
 右に五代の大神様がおられます。

四段目に、大黒天様の議席が中央に、
五段目に七代の大神様が中央におられます。

その議席の両脇にはやはり金屏風とその前に生け花が御座います。
それぞれの金屏風には、優雅な花鳥風月が描かれております。

 この巨大な、高さ十五メートル以上はありそうな雛壇議長席、
 実に壮観です。

加えて、全次元を維持する為のエネルギーが、
ここから発せられているのではないかとも思える位の、
凄まじい光の神気が放出されているのです。


      下書き未完成でございます。ごめんなさい。


ミカエル様と私は、議長席より向かって左の下側前方に、
単独で離れた位置におります。

  するとミカエル様が少し前屈みになられ、こうおっしゃいました。

《 君は、この机の上に降りて大人しくしていてくれ給え。
 私は議事進行役を勤めなくてはならないからね。》


  「 はい、仰せのままに致します。」


   そう言って目の前の机に、トンッ! と飛び降りました。

   あっ、今気付いた事ですが、私は服を着ていないのであります。
   いや、これ自体が服なのか? とすれば恥ずかしがることも無いか?

   私は因幡、いなば、百人乗ってもイナバウア~~!

  なんて、今あなたちょっとは? 笑ったでしょう!ぷっ・・・
 いかん、ふざけているとお叱りを受けてしまう。

しかし、どう考えても面白い話で、
ウキウキと血が騒いで仕方ありません。

いったい、これからどんな事が起きるのか楽しみです。      

ところで、私が乗っている机にある物、これは何か?
極薄でパネル状の画面のような・・・パソコンなのか?
キーボードはありませんが、何やら文字が映っています。
神々のタブレット端末か?

 それと面白い形の時計が目の前にあります。
 これは天体を模った物です。中央の文字盤に時針・分針。

この部分が太陽を現しているようで、そこを中心に太陽系の惑星が、
え~、一、二・・・八、九、十、十一個御座います。

 十一個ねぇ? この十番目の星は、妙に赤くて大きいですね。

ところで、惑星って十一個もありましたっけ?
その十一番目の星は青く輝いています?

それらの星が立体的に配置され、一番外側に円形の秒針があり、
それ自体回転しています。これは見ていて飽きません。
個人的に欲しいなあ。いやっ、不謹慎だ。いかんいかん。

 私は右のちょっとしたスペースにおります。

さっきの薄型パネルを覗いて見ると、
これは以外にも日本語の文字が見えます。

 漢字にひらがな、カタカナ、数字などが混在する
 日本では馴染みの文章です。

その内容は、世界の状況が国別に示されている事が分かります。
言ってみれば、この会議は神々による国際会議なのですねえ。

 言語は言霊です。
 言霊、言い換えればテレパシーが宇宙共通語なのです。

宇宙の全種族、動植物、肉体を失った霊魂は、
言霊によるテレパシー で交信しています。

 まれにテレパシーを使える人がおりますが ・・・

物質人間界だけが、
意思の疎通が甚だ面倒で交流しにくくなっています。

それは魂を穢し、霊的なレベルが堕ちたことが原因です。
せめてテレパシーだけでも復活できればいいですよね!

 または、アカシックレコードのリーディング能力など ・・・

 あ~~、あたくしは、未だに復活しておりません。
 残念!クゥ~~!

  それに神格の違いも祀り方も分からなくなり、
  めちゃくちゃにしていて平気でいることが、
  この世の混乱を招いている主因になっています。

    甚だ無礼千万ということです。




 

群馬県の榛名山の中腹に榛名神社がございます。
榛名神社の主な御祭神はシリウス神であります。 

榛名神社参拝は過去5年間で、累計二百回弱に及びます。
2018年12月 現在は、月1回ほどであります。

普段は、自宅近くの氏神様の神社に参拝しております。

 あなたもいかがでしょうか?

パワースポットは、地球内部世界、アガルタの中心部にある、
セントラル・サン・システム ( 霊的太陽 ) に直結しております。

逆に言えば、霊的な救いの光が地球の中心から放射線状に伸びて、
地球上の各パワースポットに繋がっているということになります。

そのパワースポットに出向いて、強く祈り、神との信頼関係を築けば、
その場のパワーが増強するこになります。

増強されたパワースポットが世界各地に増えれば、
神様は天災による浄化を行わなくてもよくなります。

 これぞ本来の親孝行というものです。

簡単に例えれば、人間が汚した場所は自分で綺麗に掃除する。
親には甘えず、自己責任を強く肝に銘ずる!

  更に、

「人間の99%の努力に対し、神は1%報いる!」

 これも肝に銘じて頂きたいものです。

以上を踏まえれば、御利益信仰は神に通じ難いことになります。
それは、ほとんど自分の欲望を叶える祈りになるからです。

 己の欠点弱点を改善する為の方法を教えて頂きたい。
 日々の感謝、至らないことへのお詫びなど、
 祈りの基本を考え直すことが重要です。

神や天使は、あくまでサポート的存在です。

私たち人間は、宇宙共通惑星である、「 地球 」 で
修行させて頂いている存在なのです。

今まで何度も転生を繰り返し、修行してきたのです。
向上する者、堕落する者、その割合は現在どうでしょうか?

 その質問は愚問ですね。

現在人間は、地球の害虫のような存在になっています。
そして汚染し破壊しても、反省やお詫びを心底する者は僅か ・・・

地球の守護神である、丑寅の金神は、
地球の大浄化を推し進める決意をなされました。

 苦渋の決断です。申し訳ない限りです。

  あなたは、どう思われるでしょう?

開運の神社・パワースポット 参照

先祖を遡れば、皆、神的存在に辿り着きます。
これは当然至極なことでありますよ。
ですから、低レベル学者の進化論とかいう、迷信仮説を信じないことです。


《 序章 》 〈 第六話 〉 光龍神出現す

2019年01月30日 22時33分56秒 | 小説



    《 キャラクター&キャスト 》

大 黒 天 (前回はピアノちゃん?でしょ)・・・ 西田 敏〇  
大天使長 ミカエル ・・・・・・・・・・・・・・ トム・クル―〇



     ( 推奨BGM )

  ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲

  ピアノ協奏曲 第五番 変ホ長調
  作品七十三 『 皇帝 』 第一楽章

  クリスティアン・ツィマーマン(ピアノ) 

       カルロ・マリア・ジュリーニ指揮  ウィーン交響楽団




  午前十時十分六秒ピッピッピッ、チ~ン、十秒ジャスト。

 皆さん、拍手~~っ! パチパチパチパチ・・・・・


私の演出で神鏡の周りを囲むように四方に虹が現れたことにより、
人間達の期待は更に膨らんでいる模様です。

 世界中が見守る中、神鏡が次第に眩い光りに包まれて行きました。

その瞬間、優雅で淡い虹色の光の粒子を纏わせた光龍神が、
緩やかな流線型のお姿を人前に披露されたのです。

 神鏡という天の岩戸は、お出ましの瞬間に私が閉じました。

光龍神が御出現された瞬間、十和田湖に集結した人々から
大きな拍手と歓声が沸き起こりました。

 そこには泣き叫ぶ者、手を合わせる者、手を振る者、
 そして先程のアナウンサーも我を忘れて実況しています。

  勿論、綿入り桃色ジャージで ・・・

この綿とジャージの素材は特殊で、極薄で継 ぎ目が無く、
超軽量で汚れも付かず、ナイフどころか弾丸も弾き飛ばしてって、
これはつまりバリア加工なの、ムフッ ・・・ 
それで、夜は仄かに光って ・・・
あ~で こ~で  ・・・ ほほほ ・・・ えっ、欲しい? 

  無理無理 ・・・ あげないわよ ・・・

皆、神が出現した事をしっかり認識して、
喜んでいる様子で少し安堵致しました。

 ただ、見渡したところ種人として許されそうな人は、
 あまりいないようですね。

皆、魂の光が弱い上に醜く汚れています。
血 ( 血=霊 ) も肉細胞もどろどろで、
生きているのが不思議な位だわ。

 それに、半数以上の人間は自己中心的祈りだわね。

「自分と家族を救って下さい。」 だの、「幸せにして下さい。」
「家内安全・商売繁盛」 「彼氏や彼女が欲しい。」だの、
 えっ、「お金欲しい?」 などと ・・・

もっと、利他の為、人類の為、神への賛辞とか、
お詫びに感謝などが、あって然りだと思うんだけど、
やれやれだわね ・・・

 もっと汚れを取って心と魂を磨いて光らせないと、
 我々神に自分の存在を示せないわよ。

  自分の為、家族親戚の為は二の次。

 赤の他人と思い込んでいる80億の家族同志同胞の為、
 神の御為に奉仕する事が最優先ですわよ。

何の為に、過去の聖雄聖者に口すっぱく言わしめたことか!
ほんと溜息が出ますわ。

 そうそう、モーセの墓が何処にあるか御存知かしら?

石川県の羽昨郡押水町、宝達山のふもとにある三ッ子塚なのよ。
そこが、モーセ ( 583歳 )と妻の羅馬姫(ローマひめ)、
そして孫のタルヲスイホスチヒリウスのお墓なの。
御存知なかったかしら?

 竹内文書に示してありますから、御覧頂きたいものですわ。

歴史は時の権力者が、自分の都合で隠蔽捏造してしまうのよ。

 欲に目が眩むと、邪神の使徒となり、
 使いやすくなって操られるという図式。

それが通じたのは今までの話。
ただし、神の事情は人間に分からないように仕組んでいるわ。

影で正神の神が、徹底的に邪神の企てや不正を暴くよう人を使っているのよ。
個人から国家、世界規模、ありとあらゆる分野に至るまで ・・・

 邪神邪霊の包囲網は最終段階まで進んでいる。
 逃げ道など何処にも無い。  

 だから、もう我と慢心を捨て、小欲邪欲に走るのはよしましょう。
 わたくしからもお願い致しますわ。


   さてさて、光龍神は人々の喝采を受け、
   それに答えるように湖の周りを悠然と一周すると、
   わたくしの前で止まりました。

《 お久しゅう御座りまする、スミレお嬢様。
  わざわざのお出迎え恐悦至極!
   しかも、周辺のハラヒキヨメに加え、穢れ無き純白の雪と、
    美しき虹の演出を御用意下さるとは、          
     わたくし感服仕りました! 》

《 礼には及びません。シヴァの叔父様、
  本当にお久しぶりですこと。御健勝で何よりですわ。》

   そう、わたくしが答えると、
   悠に三百メートルはある光龍神の光の粒子が次第に小さく集まり、
   人型に形造られてきました。

    あれれれれっ、どこかで見たような?

   そうそう、赤い頭巾に大きな布袋を背負って、
   腰には打ち出の小槌が ・・・ まあ大黒天様だわ。

   なあ~~んて可愛らしくて素敵なのかしらん。

    当然、人間にはこのお姿は見えません。

《 おっそろしくもわざとらしい御紹介。あいも変らず愉快なお方だ。
 適いませんわい! だあっはっはっはっはっ~~ 》

《 だってね、叔父様にお会いすること、
 本当に楽しみにしておりましたのよ。もうもうもう ・・・》

   わたくしは思わずシヴァの叔父様の右手を両手で掴んで、
   軽く左右にぶ~るんぶるん振りましたら、

《 だはあ~~っ、あぐっ、あへっ、おえっ、え ・・・ ぐっ ・・・》

   って、あれれれれっ、叔父様ったら大変。
   気絶した上に、鼻血が ・・・

《 叔父様っ、しっかり、気を失っている場合じゃないでしょ。
   ねえねえねえねえ、ねえったらねぇ・・・》

《 ・・・ う ・・・ おあ ・ 脳みそが、ん?
 わ、わしとしたことが。  いやあ~~~大変失礼を致しました。
 しかし、こんな目に遭うのも久しぶりですなあ、だははは。》

《 ごめんなさい、ついわたくしったら興奮してしまって・・・》

《 何々、お気に召さるな。これも又一興というもので御座りまする。》

《 おほほほほ~、え~、ところで大黒の叔父様っ。
 お出ましなさる時に、あの男を見掛けませんでしたかしら。》

《 え~、あの男とおっしゃいますと、これの事で御座りますかな?》

  そうおっしゃると、叔父様は楽しそうに鼻歌を歌いながら、
  担いでいた大きな布袋を私の前に降ろされ、
  袋の中に右手を入れてまさぐられました。

  それで何物かを掴むと、ゆっくり手を袋の中から出されました。

   あらまあ、開けてビックリ玉手袋!

  なんと、叔父様の掌にチョコンと乗っているのは、
  かわいい因幡の白うさぎでしたとさ、めでたしめでたし ・・・


  「 あのぉ、これはいったいどういうことで?
   はあ~、お腹すいた。わたくし、ずっと袋の・・・?」 

      ほげっ、無視なの!


《 まだ、これだけでは御座いませんぞ。》

  そう叔父様はおっしゃると白うさぎを左肩に乗せて、
  又袋から何やら取り出されました。

《 んまあ~、かわいい鮫ちゃんだわ。
  それに小さな白い翼まで付いてる。
   あらあら、羽をパタパタ飛ぶんだぁ。素敵だわ!
    ねえねえ、どういう事なのかお聞きしたいですわ。》

《 その辺につきましては、この者から御挨拶を兼ねて
  御説明が御座いますので、どうかお聞き下さりませ。

   あ~そうそう、その姿ではいかんなあ。戻ってよろしいぞ。
   スミレ御嬢様を喜ばせたくて、
    因幡の白うさぎと鮫を掛けましてなぁ。すまんすまん。》

   すると、小さな手乗り鮫が、一瞬でイケメン天使に戻りました。

《 お初にお目にかかります。御尊顔を拝し恐悦至極に存じまする。
 わたくしは大天使長ミカエルと申します。

   この度は、主神様からの大愛なるお取り計らいにより、
   大黒天様の側近として「神の光輪」に入り、
    補佐するお役目を賜りましたこと、無上の喜びに存じます。

     この全身全霊を以ってお役目を遂行してまいりますので
      宜しく御願い申し上げ奉りまする。》

《 うむ。大役を与えられたものであるな。見事み役を果たしてみよ。
  さすれば神格を上げることも可能であろう。
   どうですかな、大黒天殿。》

《 勿論で御座いまする。
  この天意転換の時に大功績をお立てしたいと願う
  神々の中での大抜擢で御座いますから、
   しかるべき褒美は与えられて当然のこと。

    その折には、私が主神様に
     御推挙申し上げる所存に御座いまする。

    な~に、この者なら必ずや御期待に応えるでありましょう。
    そうであろう。ミカエルよ。》

《 ははあ、必ずや断固遂行致しまする。》

《 あっぱれな心掛けである。
  大黒天殿もいい家臣をお持ちでいらっしゃいますね。
   ただ、あやつらは観念してはいるでしょうが、
    最後まで抵抗するつもりです。油断はなりません。

     どうか出来る限りお父様の哀れな、
     哀れな子共達を救って下さい。
     私は余りお手伝いは出来ません。

   お願いです。大黒天殿、ミカエル。》

《 おおお、なんという慈愛に満ちたお言葉。
  この大黒天、肝に、肝に銘じてぇ~、おおい、おうう ・・・》

《 ・・・うう、あっあぐっ、わたくしも必ずやぁ~ ・・・ うぐっ ・・・》

《 ありがとう ・・・ うう ・・ ありがとう ・・》

  皆、手を取り合い涙を分ち合い、
  お互いの意思を確かめ合ったのじゃ。

 さて、我らの想い願いと天意が、どれ程人間達に通じるものか ・・・?
 
  「 うう、えぐっ、おぐっ ・・・ヒック ・・」

《 おい腎臓殿、汝の気持ちは良く分かった。礼を言うぞ。
  それより、レポーターとナレーターの役は降りるぞよ。
   ちょっとは楽しませてもらった。後は任せる。
     しっかり役目を果たせよ。》 

   じ、腎臓殿? ジンゾウって、あたしは信造なにょにぃ ・・・

「 ははあ~、恐縮に存知まする。無理な申し出を御受け下さり、
  真にありがとうございました。後の事はお任せ下さりませ。
   この信造、必ずや断固遂行致しまする。」

《 うむ、良く申した。次は神議りじゃ。これは見物じゃぞよ。
 心して係ることじゃ。良いな。かわいいのう、しかし。》

  スミレ様は大黒天様の右肩から私を、
  左手で首根っこを摘まんで右手にお乗せ下さり、
  なでなでして頂きました。

    私、結構小さいようです。でも気持ちいい~。

 「 あ、はあ、神議りですか?
  と、とにかく命の限りに実況申し上げます。」

   うさぎ化した私の耳をプルプル揺らしたり、
   背中を撫でながらスミレ様はこうおっしゃいました。

《 ところで大黒天殿、天上界の神々が今か今かとお待ちですから、
  急いだ方が宜しいですぞ。
   何しろ、神無月の十月から丸二ヶ月間、
    激論を交わしております故、治めるのに一苦労ですぞ。》 

《 おお、そうでございますな。な~に御心配には及びませんぞ。
  お任せ下され。おお、そうじゃ。
   ミカエルよ、例の物を持って来てはくれんかの。》

《 はは、こちらでございますね。》

《 おうおう、これこれ、久しぶりじゃのう。》

   とおっしゃると、大国様はミカエル様から受け取った
   襷を口に咥え、一気に八の字を描いて襷掛けなされました。

《 いやいや、お見事。その太襷は大黒殿が、
  ここ一番という時にお掛けに成られる物とお聞きしておりますが、
   良くお似合いですぞ。気合十分というところで御座いますな。
   御武運をお祈りしておりますぞ。》

《 ははあ、有り難き幸せに存知まする。
  明日からの三日間、我ら正神と我が子らの一体となった姿を、
   存分に御披露仕りますぞ。おい信造お前は戻りなさい。
    では、これにて御免。皆のもの行くぞ!》

  
   《 おおう。》


     「 おー。」