『 うさぎの言霊 』 Rabbit's Kotodama 

宇宙の謎、神と悪魔と人とは?

《 最終章 》 〈 第十話 〉 断罪の儀( 後 編 )

2019年02月09日 12時49分13秒 | 小説




    全宇宙全次元の神の子が見守る中、
   主神様による直々の裁判が始まろうとしています。

  断罪される魂達の心中は察して余りあります。

  そして、止むなく裁かねばならない主神様の心中は、
   これもまた察することなどできません。

     果たして、どのような判決になるのでしょう?




         暫くして司会者の声が響きました。



         《  ・・・ 黙想終わります。

     只今より 『 断罪の儀 』 を執り行わさせて頂きます。

           卑しき邪神に邪霊共よ!
        これより主神様から直々のお言葉を賜る。

         表を上げ、心して聞くのだぁ!


          「「「 ははあ!!! 」」」


     主神様は静かに御目を開けられ、
 右手で黄金の飾り太刀 「 氷龍剣 」 をゆっくり抜き放たれました。


   その刃には、光輝くダイヤモンドダストが纏わり付いています。
      次にその切っ先を下にいる邪神夫婦に向けられました。

            そして御目からは炎の神気が放出しました!


         《 アポフィスにイングリッド!!

     汝等の所業不届き千万、神の風上にも置けぬ行いである。

        幾度とない我の愛情を無視し悪行を改めず、
     手下を利用し我が子等を極限まで穢し、弄び堕落させ、
       己の快楽の道具とした事は決して許し難い!

        まずは魂が生まれてからの全ての罪穢を、

       己の目で篤と確かめるがいい! 大黒天殿ぉ!


  ド迫力の言霊からは、炎の波動が発せられております。

    その凄まじい神気は邪神と邪霊達を更に震撼させました。

      そして大黒天様がその場に御起立され、
       頭上の主神様に会釈されると邪神に向かい、
        正しく鬼の形相で仰せになりました。


       《 堕天した者達には説明不要であろう!

  人の魂を持つ鶴と鮫、神の光玉で流星火矢を受けて亡くなった者、
         そして地獄の幽界の住人に告ぐ ・・・

         ただ、これは重要であることから、
     全宇宙の神の子も今一度、しっかり聞いて頂きたい!

    よいか、汝等には魂の産みの親である神が存在するのだ。
       それから転生を繰り返し今日に至った。

     過去世の記憶があれば修行にならない者が多い故、
         幽界で記憶を消す行をするのだ。

     これより過去世からの全ての罪状の記憶を呼び覚まし、
    己の醜い過去を見れば断罪されるは当然と思えるであろう。

           心して見るのだ!! 


           ( 推奨 BGM )

     フレデリック・ショパン作曲  『 エチュード 』 
   十二の練習曲 作品二十五 第十一番 イ短調 「 木枯らし 」 

        マウリツィオ・ポリーニ (ピアノ)







ざわめきが、困惑する波動が、悲鳴とも呻き声ともつかない声が、
 それぞれの魂から発せられています。


    幾度とない過去世の記憶とは ・・・

 これこそが 「 アカシック・レコード 」 と言われるものだろう。
果たして、過去にどんな恐ろしい罪状があったのだろう。


盗み、詐欺、堕落、怠惰、小さな嘘の積み重ね、暴力、、逆恨み、

妬み、嫉み、怨念、不平不満、情欲に溺れる、強姦、不倫、離婚、偽善、
殺人、自殺、子殺し、親殺し、動物殺し、裏切り行為、権力闘争、
そして戦争 ・・・

神利用、神盗人、神雇い信心 ・・・


 後、何が御座います? 限がありません。

   「 塵も積もれば山となる。」


叡智晶には、邪神アポフィスの過去が上映されています。

偉大な神であった頃の何とも凛々しい姿から、
妻を巻き込み次第に権勢欲から神の誇りと魂の輝きが失われ、
 堕落していく様が手に取るように伝わって参ります。

  堕天した後の転落振りは、目を覆うばかりです。

 同じく堕天したルシフェルを顎で扱き使い、
地上の神の子人を惑わせ争そわせ、
 清楚で美しいもの全てを穢そうとした姿。

  いいように神の子人は人間に堕ち、
  正気を失い神の存在すら忘れていく様は、
  余りに見苦しいものです。

 絶え間なく続くうめき声は、
息も絶え絶えとなり茫然自失となっているようです。

邪神夫婦と、邪霊達に鶴と亀の一部だった鮫、
 そして流星火矢を受け亡くなった者に、地獄界の住人達。

  その脳裏に見せられた地獄絵図から生み出されるものは、
   果たして失望か絶望か、それとも思考が消え去るか?

    現実逃避の技はもう使えません。
    無駄なのです。

   断罪止む無しの想いが固まった者が出始めております。


主神様による弾劾裁判。

 ぐうの音も出ない証拠を突きつけられれば、観念する他ありません。
  遠山の金さんの桜吹雪を見せつけられたような感覚と同じでしょう。

   人間には、この技は使えません。
    だから人を裁くなど許されないのです。

   ただし、現在警察が無くなり裁判も無くなれば
  犯罪者が喜ぶだけです。

欲望を制御出来ない人間だけでは収拾が付かないのであります。


さて、必要無くなった神と人の魂はどのように断罪されるのか、
しかと御覧下さい。

 人間と邪神では、天と地ほどの開きがあると思います。

  あなたもお考え下さい。


邪神と神の子人の魂に見せられた過去の記録という記憶。

断罪される人間の記憶は、
その同じ一族で、神の光玉内にいる人の魂に写されたようです。
皆、己の不甲斐なさを痛感しています。

 そう、同じ一族でも能力差や、
  魂の善徳と悪徳の差が出てしまいます。

    勤勉な者と、遊び惚ける者の違いが出て当然であります。
     そして、その積み重ねが大きく明暗を分けたのです。



    もう全ての記録映像の上映は終了した模様です。



     《 ・・・ 皆、ある程度は納得したようだな。

       不完全ではあるが、止むを得ん。

    こんな事で罪穢が積まれるのかと不満があって然りだ。
   それが分からないから罪人となり裁かれるのだからな。

  残念だが、汝等はもう使い道が無い。
 我が示した幸福への道を嫌い、
 自ら邪神の誘惑に乗り、邪道下道の道を歩んだ。

 それ故、地獄の業火に入る事となる。

  その下の火の道を通るとどうなるのか、

   まずは魂が焼かれた後の姿を見るがいい!!!


    そう仰せになると炎の神気が消え ・・・
   背後から主神様に眩い光が入り込んで来ているように見える。

 これは主神様が放射しているのではない。

何処からともなく背裏の部分に、ゆっくり光が差し込んでいるのだ。
主神様は意図的に見せておられるのでしょう。

これが魂が焼き尽くされ、
 光の根源である主神様に帰還する姿なのでしょう。
  何とも切なく美しい光景に見えます。

   御覧の皆様は、胸が締め付けられております。

  主神様は怒りの御目を閉じられ、
 深い悲哀の感情になり遊ばされたようで御座います。

涙がまた溢れ出ておられます。

地獄の業火は、またの名を 「ゲヘナの火」 とも言います。

醜く汚れた魂は、何百年も煮えくり返る火に炙られ、
 死ぬ事も出来ずに焼き尽くされるのを待つ他ありません。

  魂は水晶玉のように美しいそうですが、
   そこに汚れが付いて積み重なると本来の神の子の力、
   霊力が失われます。

   これを 「 罪穢=包み気枯れ 」
  つまり罪で魂が包まれ、
 気が枯れてしまうという意味合いがあるのです。

その状態が悪化すれば、
次は内部に汚れが浸透していくのではないかと思うのであります。

つまり、体の表面に付いた汚れは洗えば取れますが、
皮膚の中まで浸透するような汚れ、
例えば刺青等は皮膚を削り取る以外方法がありません。

また、魂の穢れは心と肉体にも影響し、
その汚れを取る為に病気という
「 ミソギハラヒ=身削ぎ開陽霊=清浄化 」 が必要になります。

 汚れ付いた曇りが心に作用すると悩み苦しみが、
 そして肉体に作用すると熱で患部の毒素を溶かして浄化するのです。


 共に痛み苦しみを伴います。

魂の曇りの多くは、
神を蔑ろにし他人を傷付けたことが原因であります。

ですからお詫びが先になければ、許され救われることはありません。
それに加えて、曇りを取って頂けることに感謝するのです。

 ところが逆に不平不満で悪想念を発すれば、
  浄化されるどころか更に曇りを積む結果になります。

   ましてや、単に上辺だけのお詫びに、
   薬で清浄化作用を止めるなど言語道断であります。

   更に霊力の低下、人としての能力の低下を加速させるだけです。

   ただ注意すべき点は、薬は悪ではなく、
  その効果と副作用をよく理解し、
 お詫びと感謝で飲ませて頂くことが大事であります。

それも必要最低限であります。

これを魂に置き換えれば、
外部は元より内部に浸透した曇りという汚れを削り取った場合、
本来の魂ではなくなってしまうのではないでしょうか?

 そんな歪んで醜い魂は使えない。
  故に焼き尽くす以外方法が無くなる。
  結論はそうなります。

 主神様の辛抱は桁違いと言われますが、
その辛抱が出来なくなるほどの罪穢を我々は積んだので御座います。

 故に、腐った文明ごと滅ぼされて当然であります。



    主神様の御目が静かに開かれました。

      そして炎の神気も戻りました。


《 ・・・ どうだ。

  今の光は汝等が辿る末路だ。美しい光だったであろう。
   現在の光は約千年をかけ魂が焼き尽くされた光なのだ。

    その光は絶え間なく還って来る。

   全く親不孝極まりない大馬鹿者、不届き者である。
  この我が子の不甲斐ない姿は常に見なければならない。

それが親である我の責務だ!
 どんな悪行を犯した者でも我が子だ!


   故に還れば涙で迎える。

    それしか出来ないからだ ・・・

    ただし、数千年では焼き付くせない魂が
    アポフィスにイングリッド、
   そしてルシフェルを筆頭とする八人の堕天使達である。

それ以外の部下達は一万年から十万年とする。
 当然悪魔の位が高い者ほど刑期は長くなる。

   それでも随分情状酌量した結果だ ・・・ 》


  悲鳴が辺りに響き亘ります。

 主神様は、ここで天を仰ぎ、更に表情が険しく成られました。

  そして鋭い眼光が光ります。


《 グリオス、ドルン、オルゴラン、バクスト、
  シアニード、フレッタの刑期は、
  平均五十万年、アンドラスタは五十五万年だ!

 汝等の断罪の場所は、火星と木星上空の宇宙空間に用意した。

それは、二つの星の上空 『 嘆きの星 』 で焼かれることになる。
 つまりは宇宙刑務所外 独房のようなものだ。

   この件に対しての異議申し立ては受け付けぬぞ! 》


    何てことだ、「 嘆きの星 」 とは ・・・ 
   火星と木星の静止衛星になるのか ・・・ ああ、憐れだ。


《 ・・・ 次に、ルシフェルの刑期は百万年だ!

  馬鹿者め。 ぬうう ・・・ 

   汝の 「 嘆きの星 」 は、火星上空だ。

   最期はアポフィスにイングリッド。
  汝等の刑期は ・・・ 五百万年だ。 戯けめぇ ・・・

アポフィスの 「 嘆きの星 」 は、シリウスA、アルメーラ、
 イングリッドは、シリウスB、ディジターリア だ。

  ただ、イングリッドは情状酌量の余地があると見て、
   一万年差し引くことにしよう ・・・ んん? 何だ。》


    邪神夫婦が何か言いたげだ。 きっとあのことだろう。
   必死の形相のアポフィスが ・・・ 意を決して話始めた。


【 ・・・ ああ、主神様。
  い、今までの数々なる御無礼、
   全ての罪穢を心からお詫び申し上げます!

  今となってはそのお詫びの証を立てることは叶わず、
我等夫婦に出来る事と言えば、
 部下達の罪穢を背負う事しか方法が御座いません!

  我等はその刑期の二倍でも三倍でも構いません。

   どうか、彼等にお慈悲を賜りたく、どうかぁ !・・・ 】


   これには、部下達も驚きを隠せないようだ。
  ただ、主神様は冷静に彼等の真意を御覧の様です。


《 そうか話は分かったが、言うは易し、成すは難しだぞ!
  我の目は節穴ではない。

   永きに亘り堕落し、
   淫らな行為を繰り返す汝等を見て参ったのだ。

  きっと一月もしたら、
 今言った事を後悔し嘆くことだろう。 違うかな? 》


【 恐れながら申し上げます。はっきり自信は御座いません。

  情けないことに怖くて、
   この通りぃ ・・・ ふっ、震えが止まりません。

  ですが、私も遥か太古の神の記憶が呼び覚まされ、
 主神様の子である誇りを取り戻すと共に、
この堕落した魂にすら、
主神様の天意が常に流れ込んでいることも感じております。

ですから私達は、無様に刑に服す姿を神の子人に永遠に見せ付け、
 己自信にも刻みたいのです。

  主神様の大愛を裏切った史上最も愚かな神であることを ・・・

  その罪を、妻と共に償わせて下さりませぇ! 


《 ・・・ で、イングリッドはどうだ。》


 【 はい、私も夫と同様の想いで御座います。
   もう何の執着も御座いません。

   私は誇り高い神として、己の犯した罪を償いたいのです。
  そうでなくては主神様と幾多の神々、
 そして部下達と神の子人に示しが付きません。
 その為にはどんな苦しみも厭いません。

 どうか部下達の罪穢を我等に上乗せして下さい。

  それが我等夫婦のケジメで御座います。

   何卒、お許し賜りたく慎みて御願い申し上げ奉りまするぅ。】


    主神様は思案に暮れておられる御様子 ・・・


《 ・・ そうか。そこまで申すのであれば汝等の願い、
   聞かぬでもない。

 こうしよう、刑の執行から百年たっても
 汝等夫婦の意思が変らぬようであれば、
 他の者の刑を百年短縮しよう。

  その後、百年ごとに吟味し、その都度百年短縮させよう。
   それでどうだ? 》


【 はは、在り難き幸せに存じます。
  ただ、我等の刑期の延長は如何ほどで御座いましょう?
   その部分には触れられておりませんが ・・・ 】


      アポフィスの言う通りです。 



    ( 推奨 BGM )  

  フレデリック・ショパン作曲
   ワルツ第9番  作品 69ー1 『 別れ 』 

    ウラディーミル・アシュケナージ (ピアノ)       







    主神様は、ギロリ! と、彼を睨まれました。



 《 それがどうしたぁ! 断罪などしたくないものを ・・・
  わしが定めた宇宙の法則を厳守する為、止む無く執行するだけだ。

 誰が好き好んでこんなことを ・・・ 全く馬鹿馬鹿しい!

  最期に神らしい言葉も聞けたことだし、わしは満足じゃ。
  これ以上聞くでない戯けめが ・・・》


     何という慈悲深き御心なのでしょう。
      これが大愛というものです。

      あ~痺れた。


【 ははぁ、あ、ありがとうございます。ありがとうございます。
  主神様、心より感謝御礼申し上げます。

   も、もう思い残すことは御座いませぬぅ、
    はあ ・・・ ぐうぅ ・・・ 】


     邪神夫婦は、涙で顔がグシャグシャであります。


《 まだ話は終わっておらぬぞ。

汝等の 『 嘆きの星 』 での刑期は、
 先程も申したが五百万年じゃ。五百万年じゃぞぉ。

  何という罪深さじゃ、戯けぇ ・・・

 ただなぁ、百年ごとの吟味の時、
一時間だけ業火を消し、夫婦間の思念波の交信を許そうではないか。

 会わせてはやれぬが、せめてもの情けじゃ。

  それと他の者たちにも
  百年ごとに一時間だけ業火を消してやろう。

それぐらいはよかろう。大神の皆様は如何ですかな? 》


   すると、中末様が他の大神様のお顔を御覧になられました。
  そして満面の笑みで主神様に向かわれ、


異議無しで御座いまする!


《 おお、汝等は付いておるぞ。
  幾多の神々は怒りを通り越し、呆れ果てておったが、
   まだ慈悲の心は残っておった。感謝するのだ!


【【 は、ははぁ ・・・ 】】  二人は泣き崩れた。


《 ・・・ よいか、業火の中では苦痛しかない。誰の助けもない。
 焼かれては死に、死ねば直ぐ生き返る。生死の境は無いに等しい。

  アポフィスにイングリッドよ。

 わしの目が節穴ではないと言ったのは、
何か目標や夢がないと百年持ち堪えられないと分かっているからだ。

 難行苦行となるが、全ての者へのお詫びの想い、
  そして夫婦の愛、神の子人への愛、親神への愛を必ず持ち続け、
  百年後にその証拠を見せてくれ。

 その日は宇宙全域の生命体にも分かるようにしておく。     
よいな、魂が焼き尽くされるまで神の威厳を保ってくれ ・・・

 我が子よぉ、愛しておるぞぉ ・・・ 》


【 ・・・ あ、ありがとうございます。 
  お父上ぇ、愛しておりまするぅ ・・・ ぐうう ・・】


    アポフィスが答えた。


お、お父上様、
  わたくしも愛しておりまするぅ
 ・・・ ああ・・】


     イングリッドが答えた。


  主神様の無限の大愛が、邪神夫婦と堕天使達に邪霊達、
 八百万の神々そして神の子人の魂を揺さぶります。

主神様の大愛あってこそ、
今の今まで 「七度目の天地かえらく」 の執行猶予がなされたのです。

四十八神を始めとする幾多の神々の怒りは既に限界を超えていたものを、
主神様が抑えて下さっていたのです。

 その証拠に、様々な聖者や預言者を使い警告をされてきました。

  イエス様にお釈迦様は太陽から遣わされた太陽神人です。

 その大聖者たる太陽信仰の教えは、
今や権力者が権力を維持する為の方便となり、
人間主体の最低の姿になり果てました。

今の人間達には、自分の都合のいい教えだけを残し、
 不都合な部分は曲げたり削除するという愚行が横行しております。

  キリスト教、仏教、その他、新興宗教然り!

 徒党を組むと、ろくなことがありません!

そうは思いませんか? 
どこぞの宗教団体の幹部に信者の皆様!

 挙句の果てには、宗門宗派の対立からの紛争に戦争!

それは信仰ではないでしょ! 神の愛の欠如ですね!
教えを守らないのだから、行く先には地獄が待っていますよ!

 神の道を外れれば、破滅に至る道あるのみ。

  それは、邪道魔道外道下道そのものだからなのです。



      ( 推奨 BGM ) 

 フレデリック・ショパン作曲 『エチュード』 十二の練習曲
     作品二十五  第十二番 ハ短調

     マウリツィオ・ポリーニ (ピアノ)





       

    主神様は長い時間邪神夫婦を見詰められた後 ・・・

   ためらいながら重い口を開かれました。



《 ・・・ もうこれまでだ。
 済まぬが、汝等は誰より先に刑を執行せねばならない。

 覚悟はよいか? まずは百年 ・・・
  そして焼き尽くされ無の光になりし時、涙で迎えよう。

  さらばだ、アポフィスにイングリッドよぉ!


     【【 ははああ~~っ!! 】】


   悲痛な叫びが青空に木霊します。

 するとアポフィスとイングリッドは、その場で フッ、と消えました。



アポフィスは、シリウスA アルメーラ に、
イングリッドは、シリウスB ディジターリア に、
瞬間移動させられたのです。

その様子は、神の子には魂に直接。
 我等は叡智晶で見ております。

 あれ、大神の皆様とその他の神様は、
 主神様から離れた場所に後移動なされました。

邪神夫婦は、
直径百メートルの透明な光の球体内部中心におります。

そこで主神様は右腕を高く上げられました。

それが合図だったのか、
私の側にいらしたブライトホルン様と、
 早池峰様の御姿が消えました。

 二人の神様、ブライトホルン様はアポフィスの元へ、
 早池峰様はイングリッドの元へ向かわれたのです。

ブライトホルン様が、「 嘆きの星 」 に両手を当てておられます。
早池峰様も同様の体勢であります。

  そして、ブライトホルン様がアポフィスに声を掛けられました。


さらばだアポフィス! ・・・ 私は、もう何も言えん。》

【 いいんだブライトホルン。 さらばだ ・・・ 友よ ・・ 】


《 イングリッドさん、ああ ・・・ さようなら ・・ 》

【 ありがとう、そして ・・・ さようなら。
  私達の分までがんばってね。】

《 分かったわ ・・・ ああ ・・》



《 ブライトホルンに早池峰。 火を入れよぉ ー! 》


   主神様の御声が響きます。


   《《  ははあ!! 》》


 二人の竹馬の友は、
「 嘆きの星 」 に当てた手の平から内部に向かって、
何か火花を入れられたようで御座います。

すると一瞬にして真っ赤な炎が、
「嘆きの星」 の内部に広がりました。

  彼等夫婦はその紅蓮の炎に飲み込まれ、姿は見えなくなりました。

     何とも痛々しい光景であります。


《 さらばだアポフィスにイングリッドよ。
  はあ~、虚しいのお ・・・》

《 さようなら、アポフィス ・・・ そしてイングリッド。》


  スプリングフィールド様とナセル様が、
   涙ながらに呟かれました。

     ただ、これで終わりではありません。


       《 次は堕天使達を断罪する。

     ルシフェルを筆頭とする八人の堕天使達よ。

  汝等は最期に功績を積む事が出来た。それは褒めて遣わす。
  よくやった。見事である。故に残念でならない。

   己の愚かさを炎の中で噛み締めるのだ!

    さらばだ愛する我が子よ!!


     【【【  ははあ!!!  】】】


 ルシフェルと七体の堕天使は、
 それぞれの 「 嘆きの星 」 の位置に瞬間移動をさせられました。

ルシフェルは火星の北極上空へ、担当天使はミカエル様が ・・・
アンドラスタは火星の南極上空へ、担当はガブリエル様が ・・・
グリオスは火星の赤道上空へ、担当はウリエル様が ・・・




 ドルンは木星の北極上空へ 、担当はラファエル様が ・・・
 オルゴランは木星の南極上空へ、担当はメルキゼデク様が ・・・

バクスト、シアニード、フレッタは、
木星赤道上空三箇所の均等な場所に ・・・

 バクストの担当天使は、メタトロン様が ・・・
 シアニードの担当は、ヨフィエル様が ・・・
 フレッタの担当は、ハニエル様が ・・・




  オルゴラン以下の担当天使は彼等と縁の方であります。
  ただ、私が初めて拝見する方ばかりです。


堕天使達の「 嘆きの星 」 は、火星と木星の衛星になります。

 それは尊い魂である神の子人間達を、
  人間以下、更に動物以下に堕としめた責任。

   その責任を取らせる為の措置と考えられます。

   この火星と木星は、何度も言う通り、
  堕ちた人間達が、860億年、地獄の転生の行を送る星です。

別名、永遠に進化できない 「 猿の惑星 」 と言っていいでしょう。


  ただ、転生する場所は、それぞれの星の内部世界ですので、
   二つの星の静止衛星化した
   「 嘆きの星 」 を見ることはできませんが ・・・      


《 ルシフェル様、あなたの最期の凛々しい御姿は決して忘れません。
  お別れです ・・・ 永遠に。》

【 ミカエルよ、君に介錯賜るとは光栄なことだ。
  天界で反乱を起こした時は済まなかったな。

  もう遠い思い出だが、
  私は君の気高く美しい想念に嫉妬していたのだよ。
 愚かなことだ。許してくれ偉大なる天使よ。

  そして友よ ・・・ 永遠にさらばだぁ!!


 ルシフェル様ぁ! ・・・ うう ・・》


  天使の皆様と堕天使達は、
   それぞれ会話があったようで御座います。

      そして主神様の御声が悲しく響きました。


《 裁きの天使達よ。火を入れよぉーーっ!!! 》 


  《《《 ははぁ!!! 》》》




  「 嘆きの星 」 に火が入りました。

   こうしてそれぞれの星の上空には、
  『 嘆きの星 』 という静止衛星が誕生したのであります。

  その星は物質ではありませんが、色はオレンジ色で、
 自ら発光する小さな恒星と言えるかもしれません。



          ( BGM ) 

   ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲
       交響曲 第九番 第一楽章

       カラヤン&ベルリンフィル


* 私が最高と思える演奏の録音が、YouTube にありました。

 長年探し求めていた演奏に出会え、感動しています。
 中学生の時に購入したレコードの第九が
 私にとって最高だったからです。

カラヤン&ベルリンフィルの第九の録音は何度もありますが、
CDショップでは見つけられず、今日に至ってしまいました。

 指揮、演奏、合唱、ソリストによる独唱、
 録音、全てに於いて完璧なのです。

  その至高の演奏をBGMとして、
  クライマックスの場面を御覧ください。






             

《 次は元邪神軍兵士達だ。

   汝等は通常のゲヘナの火に落とす。
    最期の勇姿は我が目に焼き付いておる。

      よくがんばったものだ!
      それに加えて大馬鹿者に親不孝者だ!

       刑期は、先程も申した通り、一万年から十万年だ。

       さらばだ愛する我が子よぉ!


      無数の兵士達は、一瞬で姿が消えました。


《 ・・・次に、憐れな丹頂鶴と同化した者達よ、
  神に仕えるのは辛いが楽しいものである。

    良い経験が出来たであろう。褒めて遣わす。

     汝等の刑期は、情状酌量し平均千年とする。
     勿論、罪の度合いによるがな ・・・

     最期に醜い鮫と同化した者、
    神の光玉で流星火矢を受けし者達、
   そして地獄界の住人達よ。

汝等には残念としか言いようがない。
堕落の道の先をこれから歩むのだ。
この道は激痛と辛さのみだ。

 汝等の刑期は、平均千年とする。

  分かったな!

   それ以外の、幼稚で醜い魂を持つ者は、
   火星と木星への転生を強制的に行う。

   刑期は860億年だ!

  後悔しても、もう遅いのだ。

 業火の中で焼かれないだけまだ増しであろう!
感謝することだ。

そこでは進化をかなり制限することにする。
 猿人の生活は弱肉強食そのものじゃ!

   覚悟を決めよ     

   今より地球の地獄界の釜の蓋と、
   地の倉の底蓋を吹き飛ばし、
   醜き者全てをゲヘナの火の中に投げ入れてくれる。

 永遠にさらばだ。愛する我が子よぉ!!!


   すると丹頂鶴と鮫の怪物、その他の邪霊達は、
   主神様の真下に移動させられました。 

  主神様は天を仰ぎ大きな溜息をつかれると、
 憤怒の闘気が発せられました。

その闘気はあの左腕の 『 業 炎 剣 』 に集中しておられます。
その為、辺りには凄まじい放電からの稲妻が飛び散っています。

戦慄の波動は、宇宙全次元を貫き隅々まで行き渡っているようです。
 その深紅のオーラが強烈な光を放ち、見る者を圧倒しています。

  それは主神様の嘆きと悲しみの波動が、
   宇宙全ての粒子を振動させる為、
   生命を持つ者、特に魂を持つ者に対して、
  多大な影響を及ぼすものと思われます。

そして神々と神の子人に熱い涙を流させるのです。

 そしてまた地球上に厚い雲が立ち込め、雨が降り出してきました。
  今度は雷鳴と強風が吹き荒れております。

   世界中の同志同胞の皆様は、
   この緊張感の中でも気絶もせずに
   正気を保てるほど鍛え上げられたようです。

  実に頼もしい限りで御座います。


ええッ、地球の大穴に異変が ・・・


こ、これは、『 次 元 晶 』 に地獄界が映し出されております。

 主神様の神気は更に膨れ上がってきました。
  すると、業炎剣の龍の口が開いてゆきます。

   その口の先は地球の大穴の真下、
    地獄界中央に向けられております。

     一体どうなるのでしょう?


    主神様は右手で、炎の神気を纏った業炎剣を支えておられます。


《 ゆくぞぉ、破邪あぁぁ ーーーーー!!! 》


  う、うわっ ・・・ 主神様が叫ばれると共に黄金の龍の口から、
   真っ赤なエネルギー弾が発射されました。

   その神気の弾丸は地球の大穴中央に吸い込まれていきました。

 業炎剣から放たれた神気の砲弾は、
何百階層にもなるという地獄を上層階の中央部分を破壊し、
どんどん下の階層の天井を突き破っております。

まるで巨大な地獄のビルに大穴が開いていくように、
次々と破壊されてゆきます。

当然地獄の住人はパニックになり、その穴から落ちてゆきます。
 ああ、もうじき最下層まで到達しそうであります。

   ん? あの最下層部分に溜まっているというか、
     醜くこびり付いているようなものが見えますが ・・・


《 あれは地の倉に溜まった悪徳じゃよ。
  全く、醜悪極まりないので見るのも嫌なのであるが、
   もうこれで見納めじゃ。
    まあ、皆で溜め込んだ物であるから反省しきりじゃがな。》 

     ああ~。

《 ほんと、清々致しますわねェ。》

「 つまり肥溜めか廃棄物貯蔵所みたいなもので御座いますね。」


   そして遂に地の倉も破壊され、
   人の魂が汚泥に混ざって落ちていきます。

    その行き着く先は火の海であります。

      悲鳴が止めどなく響いております。


           ただただ憐れで御座います。




 さて、如何でしたでしょうか?

私が想像した神裁きの現場の様子は、どこまで真に迫るものか?
更に厳しいのか否か? 何ともいえません。


ところで 「 嘆きの星 」 は私のアイデアです。

以前は 「 断罪の星 」 としていましたが、
愛が無いかな? 
と感じましたので、「 嘆きの星 」に改名しました。

 刑期に関しても大よそでしかありません。

  また宇宙刑務所では、
  受刑者がどんな生活を送っているのかは不明です。

そんな結末を迎えるより、
美しくも愛に溢れた神理の道を、一歩一歩登る努力をしましょうよ。
勿論、そこには愛のある 「 神試し、神鍛え 」 がありますが ・・・

 それも神の山を登る醍醐味というものです。

 楽して登ったら面白くも無ければ、充実感も得られません!
 勿論、楽に登る手段は有りませんが ・・・

それに体力も精神力も鍛えられず、
何かあれば直ぐ根を上げる、「ぐうたら人間」 になります。
次は坂道を転げ堕ちるだけです。

 それだけ、「 心と魂の浄化 」 というものは、
 現代人には難しいものがあります。

ただ、今の自分は最低レベルにあると思える人も、
転生先の行は皆同じであります。

 魂の向上の行をするか否か? 何れかになります。

  それは、やる気の問題とも言えるでしょう。


  それでは、今日の宇宙画像をどうぞ ・・・



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