*写真は去年の日産です
関ジャニ∞は昨年2022年8月13日に出演する予定になっていた。
関ジャニ∞としてのロックフェスは2017年にMETROCkへの出演を果たしており、『初のロックフェス出演』というわけではない。また、大規模野外フェスではないがテレビ朝日主催のフェスに出演したり5人体制になってからもその一部として『関ジャムフェス』と銘打った主催フェスの経験が”ある”と言っていい。
しかし日本における『4大ロックフェス』(フジロック、サマソニ、ライジング、そしてロッキン)はまた特別なのだろうと思う。
2022年8月12日、翌日の初出演を控えてスタジオでリハーサルをしていた関ジャニ∞だったが、そこに台風が直撃した。結局、前日であるこの日の中止発表を受け、急遽インスタライブを配信。
『ふりむくわけにはいかないぜ』(サンボマスター提供)をリハスタジオで歌った。そして安田章大が叫んだ。
「絶対、絶対フェス出るぞー!!」
あれからちょうど一年。
オファーがあるかもわからない”来年のロッキン”。だから「来年は」とは言えなかった関ジャニ∞のロッキン初出演がついに叶った。
今年もまたちょうど近いところに台風が発生したけれど、進路が西へ逸れていったこともあり当日はすっきりとした青空。関ジャニ∞の出番は17:55。
チケットを持たない”留守番組”もそわそわとその時間を待っていた。
約1時間の出演時間。
その間にも、ちらほらとセットリストが断片的に流れてはきていた。
終了直後に、しっかりまとめたセトリが流れてきた。
01. ズッコケ男道
02. 無責任ヒーロー
03. 未完成
04. ふりむくわけにはいかないぜ
05. 象
06. NOROSHI
07. オモイダマ
08. 喝采
09. BOY ’23
10. ハライッパイ
11. 勝手に仕上がれ
12. LIFE ~目の前の向こうへ~
13. T.W.L
rockin'on.com
THE F1RST TIMES ライブレポ
この日は深夜までTwitter(X)で関ジャニ∞のステージについての感想をひたすら検索してしまった。
普段から関ジャニ∞のステージを生であるいは円盤で楽しんでいるeighter。
今は降りたけどかつてeigterだった、5人のエイトは追っていなかったという人。
eighterではないがジャニーズの他Gのファンでせっかくだからとエイトを見に来た人。
エイトに楽曲提供をしたアーティスト誰かのファンで興味を持ってくれた人。
関ジャムはよく見るし、エイトがバンドとしての力を備えていることをわかっているけど別にファンだというわけではない人。
バラエティやドラマのイメージくらいしかないけどせっかくこの場にいるのだからと覗きに来た人──
様々な人たちが色々な角度から感想を呟いてくれていた。
『RIDE ON TIME』の昨年のロッキンの準備についての回で、セトリ打合せの中で
「バンドで勝負してると思ってもらった方がよくない?」
という横の言葉が印象に残っていた。
去年はもしかしたら全曲バンド曲で用意していたのかもしれない。
けれど今年のセトリや演出はバンドであることにそこまで過剰にこだわったものではなかったようだ。
もちろん関ジャニ∞の大きな武器であり、ロックフェスに出るにあたって不可欠であるバンド曲が殆どだが、「オモイダマ」とラスト曲「T.W.L.」は所謂立ち曲だ。
設置されたビジョンの映像や曲のタイトル、そして歌詞を映し出す手法、火の噴き出る特効、ウォータースプラッシュ。
それは、『関ジャニ∞』3時間のコンサートの中の”バンドセクション”を抽出したもののように思える。
つまりロッキンという大きな、大半が『関ジャニ∞を生で初めて見る』という一般のオーディエンスに向かうステージで関ジャニ∞は
「いつもの自分達のステージ」
をやりとげたのだと思う。
そして多くの感想を見る限り、それは一般のロックファンの人たちにもしっかりと届いていたかのように思えた。
関ジャニ∞の出演したステージは一旦フェンスで仕切られ、休憩スペースを挟んで向かい側に別のステージがある。そこでは、関ジャニ∞が終わったあとにあいみょんが登場することになっており、もちろんあいみょんを待っている人たちがすでにそのステージの前に集まっている。が、仕切られたフェンス、休憩スペース、それどころかもはやあいみょん待ちの人びとすら巻き込んですごい盛り上がりだったのだという。
私は蘇我の会場どころかロックフェス自体にも行ったことがないせいもあって、と言われてもその光景がそこまでリアルには思い浮かべることが出来なかった。
次の月曜日の朝、各局の朝のワイドショーで少しずつながらその映像が見ることが出来た。
また、先日の関ジャム完全燃show!ではもう少し長くその光景が映し出された。
想像をはるかに超えた人だかり。
eighterが72000人集まった日産スタジアムも壮観だったけれど、
この何万人いたかわからない大観衆の多くは、別に関ジャニ∞のファンでもないし曲もそれほど詳しくは知らないという人たちなのだ。
昨年「ロッキンに出たい」と上申したのは安田章大だった。
ただ音楽を作り演じ届けようとする人間のひとりとして、「どうせジャニーズ」「ジャニーズのくせに」あるいは「ジャニーズのわりに」と必ずのように付け加えられることに納得のいかない思いを抱えて活動してきたのだと思う。それは彼に限らずだとは思うけれど、デビュー前からギターを弾き歌うことを愛し自分でも曲作りをする彼はその思いが強かったのだろう。
けれど安田章大は『ジャニーズのアイドル』としての活動にも誇りを持っている。
歌い、踊り、バンドの演奏をし、舞台に立ちあるいはドラマや映画のカメラの前で演技をし、バラエティ番組でカメラの向こう側にいる視聴者を笑わせ、あるいはキャスターとして真摯に世の中の事象と向き合い、コンサートではうちわとペンライトを持ったファンの声援に笑顔で応える。それと並行して格闘技で名を馳せる者、絵画を手掛ける者、小説家としても評価されつつある者、漫画家として連載を持つ者──
それのどれも、アイドルだから全部やらなきゃならないからひとつひとつは中途半端でもしょうがない、なんてことは考えない。仮に今現在100点でなくても、オール100点を目指して努力し続けている。ジャニーズはそういう人たちの集団だ。
けれども、”ファン”ではない人たちは彼らがそんな努力の人たちであることをさほど知ることはない。ただたいして実力もないくせに年若い女子たちに疑似恋愛させて見た目だけできゃあきゃあ言わせている連中くらいに心の底で(あるいは隠しもせずに)思っている人も少なくはないのだろう。だから何か成し遂げようとする時にいちいち「ジャニーズの癖に」「どうせジャニーズだろ」、成し遂げた時には「ジャニーズのわりに」「ジャニーズらしくない」「ジャニーズとは思えない」などと言われるのだ。
ただそういう人達の多くはきっと、「知らないだけ」。
安田章大がフェスに出たいと強く望んだ理由。
それはフェスという”ジャニーズを良く知らない”一般のロックファンの人たちに、自分たちがジャニーズで培ってきたエンタメがどういうものなのかを、”知ってもらう”こと。
ジャニーズだから完成させられるエンタメの形がある。それは他のエンタメと比較して格が落ちるものではないという自信と誇りがあるからこそ、まずは”知ってもらう”、そしてそのフィルターを外してもらいたい。
2017年METROCKに出演した際、渋谷すばるは「関ジャニ∞というアイドルグループやってます!」と自己紹介した。
それは『ロックフェス』という場で、ジャニーズのアイドルとして活動している自分たちがそのオーディエンスに向かって放った挑戦状のような意気込みが感じられるエピソードだ。
去年予定されていたステージはどういう感じで構成されていたのかは知ることは出来ない。が、 今年は前述したように『普段の関ジャニ∞をバンド部分だけ抽出したダイジェスト』のような構成だったと考えるともはや挑戦状という段階ではないのだろうと感じた。
関ジャニ∞の曲は何曲かちょっと知っているだけ、という大半のオーディエンスに、その「何曲か」をプレゼンして世界に引きずり込み、ロックフェスにふさわしいようなゴリゴリのナンバーを放り込み、初見でもなじみやすいC&Rで観客を盛り上げ。
それは普段着の、関ジャニ∞が19年培ってきた、関ジャニ∞にしか出来ないエンタメの楽しさ。
それを”知ってもらう”ことが大きな目的のひとつだったのだとしたら、それは本当に成功したのだと思う。 「ロッキン」の出演は初めてでも、デビュー前から20年以上ライブを中心に経験を積み重ねて成長していったグループだ。それをその場にいた何万人という”知らなかった”人たちの何割かにでも”知ってもらえた”のではないだろうか。
終了後の感想で、METROCKの後にはやはり「あれはジャニーズというよりロックバンド」といった感想が多く見られ、それはそれで嬉しいことだった。しかし今年、同様の感想ももちろんよく見たけれど、「ジャニーズってすごい」という感想をより多く目にした気がする。(気のせいかもしれないけど)。
別に、”ジャニオタ”になんかならなくていい。
関ジャニ∞に限らず、ジャニーズのタレントたちが日々努力して掴んだ多岐にわたるステージを、見もしないうちからレベルが低いと見下してくるような人が少しでも減ってくれたらと思う。好き嫌いはその後判断してくれたらいいこと。
安田章大がロックフェスに出ることに望みを託したのはそういうことなのではないかと思う。
実際にそのステージに立って、多くの観客に受け入れてもらった実感、手ごたえはきっと彼らもあっただろう。安田も他のメンバーも、それを体感した先にまた、「ロックフェス」というものに対して託したい思いはこれから変わってくるのかもしれない。
重たい使命感のようなものなどもういらない。
彼らにはそれだけの観客を巻き込んで引き込むステージングという武器があることが証明された。
なら、もうあとは楽しんで欲しい。楽しいからフェスに出たい。それだけでいい。
関ジャニ∞はこのあと、9/2に熊本での1CHAN-FESTIVAL2023(WANIMA主催)、9/9に20FES~前夜祭~という二つの野外ライブが予定されている。
前夜祭はワンマンだが、熊本は大規模ではないもののWANIMA主催のフェス。ここでもまた、”関ジャニ∞を初めて見る”観客との出会いが楽しみだ。
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