
■ 「ジャパネットたかた」の凄さ、なぜ売れる?隠れたマーケティングの原点!
はじめに/経緯:
会社で夜なべをして、朝の4:00頃目が覚めてしまい、
何となくTVをつけると、
「ジャパネットたかた」のTVショッピングの映像が流れている。
(筆者の年になると朝の目覚めが早いのです!?)
そのプレゼンのテンポのよさに引かれてついつい見入ってしまう。
優秀な訪問販売員が、
目の前の見込み客の気持ちをそらさないように、
巧みに身振り手振りを交えてトークを展開するが如くである。
なぜ、「ジャパネットたかた」がよく売れるのか?
どうも、そのようなテクニカルな話だけではない奥の深さがあるように見える。
「ジャパネットたかた」。
94年に、TVショッピングを初めて、今や1700億円に到達した。
通販の雄である。
実は、あの有名なTVショッピングは全体の2割ぐらいという。
チラシが主体である。
しかし、TVは、今でもジャパネットの顔であり、
それによってジャパネットたかたのブランドができていることは間違いない。
チラシで買う人も、
高田社長の顔を思い出しながら買っている。
高田社長は、
普通のカメラ店の経営者から、いつ通販に目覚めたのか?
42才の時、ラジオショッピングを行い、
たった5分間で、カメラ50台、一台2万円で100万円を売り上げたという。
ここにマスメディアを使う通販の可能性を見たという。
高田社長とはどんな人?!
TVの姿からうかがい知るしかないが、
高田社長は、相当な芸人、職人、商人とお見受けした。
・芸人とは:
あのTVショッピングでみるプレゼン力はひとつの芸の域に達している。
大道芸的なエンタメ感がある。
・商人とは:
高田社長はもともと英語が得意で機械メーカーで海外の経験もあるという。
26歳で退社し、平戸市の実家のカメラ店を手伝い、
その後、佐世保に自分のカメラ店を開業したという。
小さいころから新聞配達など、仕事をすることが好きだという。
根っからの商売人で商品を説明して納得して買っていだき喜んでいただく、
というCS(顧客満足)の原点の人である。
・職人とは:
一糸乱れのないトークとその組み立て、臨機応変なアドリブである。
間違いなく、侮ることなくプレゼンを進める姿は、
落ち度のない仕事を完成させる職人そのものである。
職人の臨場感のある技があのトーク、演出に生きている。
高田社長が出演すると、
普通の社員と比べて格段の売り上げの差が生じるという。
なぜか?
A.ジャパネットたかた、社長プレゼンの秘訣:
3つの秘訣がある。
熱心、説得、実感である
熱意:
自分が納得して、
これは人に薦められるという商品しか取り上げない。
自分向きかどうかがポイントになる。
自分が感動して、その内容を、感情移入した状態で伝えられるかか大切
説得:
TVの向こうにいる視聴者が、
これでもか!
というぐらいその良さを伝え、説得していく。
「是非買ってください」とクロージングをする、
これを買えば、たとえ衝動買いだとしても、後悔はさせません、
というオーラを放って勝負する。
一般的に言われることだが、
成績の上がらない販売・営業担当は、
なかなかクロージングが出来ないといわれる。
ものを売る商売人ということを忘れ、
ひとりの人間にもどりクロージングを恥ずかしがる、断られたら嫌だから、
買ってくださいと言えない、
という心理が働く。
この裏には、自分が商品に自信がないから、
強い自信のあるトークが出来ないともいえる。
DNA的に、そのような自信をなかなか持てない、
いわゆる営業に不向きという人も確かにいる。
しかし、それ以上に、商品への愛着・自信というものがないが故に、
トークが相手の心に響かないというケースが多い。
これは何も商売に関することだけではなく、
交渉ごとすべてに言えることである。
たかた社長の説得力は、
商品に対する自信、自らの納得感があって生じてくる。
実感:
それを使えば生活がどう楽しくなる、便利になる、得をする、
を使用現場の5W1H的なシーンをまじえて説明する。
オケージョンが明確になり、視聴者は自分向きの商品だと感じるようになる。
たとえ自分に近くないオケージョンだとしても、
ひとつの例示を与えられると、
自分ならこう使おう!?
という、想像が湧いてくる。
実感力は最後の購入決定への一押しになる。
B.「ジャパネットたかた」のブランド戦略:
そのブランドの源泉は何か。
これは誰もが異論がないところである。
高田社長というキャラクターブランドである。
一般的には、ブランド体系の中には、
コーポレートブランド、ファミリーブランド、プロダクトブランド、
商品横断的なテクノロジー・ノウハウブランド等々、
様々なブランド概念が存在している。
中でもユニークで強烈なのは、キャラクターブランドである。
これは商品・企業のシンボルとしての、
いわゆるキャラクターもあるが(例えばディズニーのような)、
ここでは企業の中のカリスマ・有名人をさす。
例えば、
アップルのスティーブジョブズ氏、ソフトバンクの孫氏、日産のカルロスゴーン氏、
ユニクロの柳井氏、故人では本田宗一郎氏、松下幸之助氏・・・・・・
のことである。
そのカリスマ性により、
個性的な企業・商品群を育て、生活者へある種の神話をつくり、
企業活動を有利に進めた人々である。
高田社長はキャラクターブランドである。
そのブランドエクイティを確認してみよう。
1.量的エクイティ:
・認知:全国区である。
・好意:誰からも好かれる敵のいない人柄、
2.質的なエクイティ:
・知覚品質(イメージ):さわやかさ、若々しさ、
・連想点:あの若さあふれる仕草・表情(しょうゆ顔)、
トレードマークである『かん高い声』
3.インフラ的エクイティ:
(ジャパネットたかたの企業としてのインフラ)
・マーケティング:全国的な配送網、チラシ配布力、
TVチャネルという電波活用ポジション、
プレゼン力、プレゼン内容臨機応変力
・ テクノロジー:超こだわりの商品選び、
独特の値付け(金利手数料、おまけアイテムのつけ方・・・・・)
いろいろなブランド要件が揃い、
完全ともいえるバランスを示している。
これはすべて高田社長のカリスマの基に創られたブランド構造である。
特に、『連想点』がその頂点にある。
あの『甲高い声』は脳裏に焼きついて離れない。
少し話しはそれるが、
桑田圭介、松谷由美の声は気持ちのいい波長と音色を放つ
彼らのヒットの裏にはこの声質が大きく寄与しているという話がある。
あの「甲高い声」は、あまりに熱心に商品を勧めるあまり、
声が裏返ってしまう、上ずってしまうということらしい?
ジャパネットたかたと聞けば、『高田社長』!
高田社長と聞けば、あの『甲高い声』!
という価値連鎖があり、
それがジャパネットたかたの最大のブランドとなり、
重要な無形の経営資産となって皆の脳裏に焼きついている。
C.商品学的に見た高田社長のプレゼンの意味:
商品の進化には、生活者に近づくほど、
プロトタイプ、製品、商品、広告品、生活品という進化が生じる。
「生活品」とは、
生活者が、自分の生活文脈の中で個別の事情を踏まえて商品を使い込んでいき、
様々な価値を個別生活の中で発見する、そのような価値を意味する。
この価値を理解した時に、生活者は、その商品を自分に近いものだと思い、
買って使いこなせる予感をもち、
生活が便利に、楽しくなりそうだ、無駄にならない、
と感じ財布の紐を緩めて購入する。
高田社長はこの「生活品」という概念のプレゼンをしている。
自分の使える生活が便利になる・・・と思いながらプレゼンをしている。
TVの中の使い方の説明事例はひとつ、ふたつである。
しかし、それを高田社長は熱心に訴えるので、
自分の生活に必ずしも適合しない事例でも、
擬似的に自分向きのオケージョンも多分あるのだろうと、
いい意味で錯覚して買ってみたくなるのである。
高田社長は、製品、商品、広告品を売っているのではなく、
正に「生活品」を売っている。
今、ライフスキルというマーケティング用語が注目されているが、
生活の「術」(すべ)を会得すれば、生活がハッピーになれる、
という概念である。
ライフスタイル、ライフステージといった価値観、家族環境ではない、
生活のスキルにフォーカスした新しい概念である。
高田社長はこのライフスキルを肌感覚で大切と思い?
それを活用して商品をプレゼンしている。
高田社長がここまでブランド化されると、
視聴者はそのプレゼンを聞いて、
家族、親友、恋人から薦められているような気持ちになる。
高田社長がそこまでいうなら、
だまされてもいいか?
という気持ちまで起こってくる!
ブランド力の凄さである。
D.高田社長の本当の凄さ:
ひとつわすれてはならないのは、高田社長のプレゼンの心である。
かっこつけよう、うまく言おう・・・といった
邪心、野心がない。
その天性の資質を見逃してはならない、
そこに「信用という知覚品質(イメージ)」が生まれてくる。
もしかすると、
これが高田社長のプレゼンの最大の武器かもしれない。
信用はすべての商売の原点である。
高田社長は商売の基本を地で行っている。
高田社長の信念。
「人は人の為に生きてこそ人」
テレビ東京のソロモン流という番組がある。
高田社長が、東北大震災の各県を回り、
ジャパネット高田のテレビの購入枠を使って、
無料で地元の産品を紹介するというボランタリーを行っていた。
この稿おわり
追記.ジャパネット高田の試練:
影の部分もある。
‘04年に、個人情報が漏洩した。
社員の持ち出しによるものだ。
このとき2ヶ月間営業を自粛をした。
年間の六分の一の売り上げが減るということは、
もともと薄利の小売業態では致命的である。
この間、業務体制を変更して、二度と同じ過ちが起きないように、
BPR・ビジネスプロセスリエンジニアリングを徹底した、
という話を聞く。
ここで見逃してはならないのは、
エマージェンシーが起きた時にも、
高田社長のキャラクター(ブランド)の効果が出ていることである。
良いブランドイメージがあれば、
何かあったときにも応援してくれる人がいる、
頑張れという雰囲気が醸し出される、
という点が、
ブランド効用の別の側面としてある。


何となくTVをつけると、
「ジャパネットたかた」のTVショッピングの映像が流れている。
(筆者の年になると朝の目覚めが早いのです!?)
そのプレゼンのテンポのよさに引かれてついつい見入ってしまう。
優秀な訪問販売員が、
目の前の見込み客の気持ちをそらさないように、
巧みに身振り手振りを交えてトークを展開するが如くである。

どうも、そのようなテクニカルな話だけではない奥の深さがあるように見える。

94年に、TVショッピングを初めて、今や1700億円に到達した。
通販の雄である。
実は、あの有名なTVショッピングは全体の2割ぐらいという。
チラシが主体である。
しかし、TVは、今でもジャパネットの顔であり、
それによってジャパネットたかたのブランドができていることは間違いない。
チラシで買う人も、
高田社長の顔を思い出しながら買っている。

普通のカメラ店の経営者から、いつ通販に目覚めたのか?
42才の時、ラジオショッピングを行い、
たった5分間で、カメラ50台、一台2万円で100万円を売り上げたという。
ここにマスメディアを使う通販の可能性を見たという。

TVの姿からうかがい知るしかないが、
高田社長は、相当な芸人、職人、商人とお見受けした。

あのTVショッピングでみるプレゼン力はひとつの芸の域に達している。
大道芸的なエンタメ感がある。

高田社長はもともと英語が得意で機械メーカーで海外の経験もあるという。
26歳で退社し、平戸市の実家のカメラ店を手伝い、
その後、佐世保に自分のカメラ店を開業したという。
小さいころから新聞配達など、仕事をすることが好きだという。
根っからの商売人で商品を説明して納得して買っていだき喜んでいただく、
というCS(顧客満足)の原点の人である。

一糸乱れのないトークとその組み立て、臨機応変なアドリブである。
間違いなく、侮ることなくプレゼンを進める姿は、
落ち度のない仕事を完成させる職人そのものである。
職人の臨場感のある技があのトーク、演出に生きている。

普通の社員と比べて格段の売り上げの差が生じるという。
なぜか?


熱心、説得、実感である

自分が納得して、
これは人に薦められるという商品しか取り上げない。
自分向きかどうかがポイントになる。
自分が感動して、その内容を、感情移入した状態で伝えられるかか大切

TVの向こうにいる視聴者が、
これでもか!
というぐらいその良さを伝え、説得していく。
「是非買ってください」とクロージングをする、
これを買えば、たとえ衝動買いだとしても、後悔はさせません、
というオーラを放って勝負する。
一般的に言われることだが、
成績の上がらない販売・営業担当は、
なかなかクロージングが出来ないといわれる。
ものを売る商売人ということを忘れ、
ひとりの人間にもどりクロージングを恥ずかしがる、断られたら嫌だから、
買ってくださいと言えない、
という心理が働く。
この裏には、自分が商品に自信がないから、
強い自信のあるトークが出来ないともいえる。
DNA的に、そのような自信をなかなか持てない、
いわゆる営業に不向きという人も確かにいる。
しかし、それ以上に、商品への愛着・自信というものがないが故に、
トークが相手の心に響かないというケースが多い。
これは何も商売に関することだけではなく、
交渉ごとすべてに言えることである。
たかた社長の説得力は、
商品に対する自信、自らの納得感があって生じてくる。

それを使えば生活がどう楽しくなる、便利になる、得をする、
を使用現場の5W1H的なシーンをまじえて説明する。
オケージョンが明確になり、視聴者は自分向きの商品だと感じるようになる。
たとえ自分に近くないオケージョンだとしても、
ひとつの例示を与えられると、
自分ならこう使おう!?
という、想像が湧いてくる。
実感力は最後の購入決定への一押しになる。


これは誰もが異論がないところである。
高田社長というキャラクターブランドである。

コーポレートブランド、ファミリーブランド、プロダクトブランド、
商品横断的なテクノロジー・ノウハウブランド等々、
様々なブランド概念が存在している。

これは商品・企業のシンボルとしての、
いわゆるキャラクターもあるが(例えばディズニーのような)、
ここでは企業の中のカリスマ・有名人をさす。
例えば、
アップルのスティーブジョブズ氏、ソフトバンクの孫氏、日産のカルロスゴーン氏、
ユニクロの柳井氏、故人では本田宗一郎氏、松下幸之助氏・・・・・・
のことである。
そのカリスマ性により、
個性的な企業・商品群を育て、生活者へある種の神話をつくり、
企業活動を有利に進めた人々である。

そのブランドエクイティを確認してみよう。

・認知:全国区である。
・好意:誰からも好かれる敵のいない人柄、

・知覚品質(イメージ):さわやかさ、若々しさ、
・連想点:あの若さあふれる仕草・表情(しょうゆ顔)、
トレードマークである『かん高い声』

(ジャパネットたかたの企業としてのインフラ)
・マーケティング:全国的な配送網、チラシ配布力、
TVチャネルという電波活用ポジション、
プレゼン力、プレゼン内容臨機応変力
・ テクノロジー:超こだわりの商品選び、
独特の値付け(金利手数料、おまけアイテムのつけ方・・・・・)

完全ともいえるバランスを示している。
これはすべて高田社長のカリスマの基に創られたブランド構造である。

あの『甲高い声』は脳裏に焼きついて離れない。
少し話しはそれるが、
桑田圭介、松谷由美の声は気持ちのいい波長と音色を放つ
彼らのヒットの裏にはこの声質が大きく寄与しているという話がある。
あの「甲高い声」は、あまりに熱心に商品を勧めるあまり、
声が裏返ってしまう、上ずってしまうということらしい?

高田社長と聞けば、あの『甲高い声』!
という価値連鎖があり、
それがジャパネットたかたの最大のブランドとなり、
重要な無形の経営資産となって皆の脳裏に焼きついている。

商品の進化には、生活者に近づくほど、

「生活品」とは、
生活者が、自分の生活文脈の中で個別の事情を踏まえて商品を使い込んでいき、
様々な価値を個別生活の中で発見する、そのような価値を意味する。

買って使いこなせる予感をもち、
生活が便利に、楽しくなりそうだ、無駄にならない、
と感じ財布の紐を緩めて購入する。

自分の使える生活が便利になる・・・と思いながらプレゼンをしている。
TVの中の使い方の説明事例はひとつ、ふたつである。
しかし、それを高田社長は熱心に訴えるので、
自分の生活に必ずしも適合しない事例でも、
擬似的に自分向きのオケージョンも多分あるのだろうと、
いい意味で錯覚して買ってみたくなるのである。

正に「生活品」を売っている。

生活の「術」(すべ)を会得すれば、生活がハッピーになれる、
という概念である。
ライフスタイル、ライフステージといった価値観、家族環境ではない、
生活のスキルにフォーカスした新しい概念である。

それを活用して商品をプレゼンしている。

視聴者はそのプレゼンを聞いて、
家族、親友、恋人から薦められているような気持ちになる。
高田社長がそこまでいうなら、
だまされてもいいか?
という気持ちまで起こってくる!
ブランド力の凄さである。


かっこつけよう、うまく言おう・・・といった
邪心、野心がない。
その天性の資質を見逃してはならない、
そこに「信用という知覚品質(イメージ)」が生まれてくる。
もしかすると、
これが高田社長のプレゼンの最大の武器かもしれない。

高田社長は商売の基本を地で行っている。

「人は人の為に生きてこそ人」
テレビ東京のソロモン流という番組がある。
高田社長が、東北大震災の各県を回り、
ジャパネット高田のテレビの購入枠を使って、
無料で地元の産品を紹介するというボランタリーを行っていた。
この稿おわり


‘04年に、個人情報が漏洩した。
社員の持ち出しによるものだ。
このとき2ヶ月間営業を自粛をした。

もともと薄利の小売業態では致命的である。
この間、業務体制を変更して、二度と同じ過ちが起きないように、
BPR・ビジネスプロセスリエンジニアリングを徹底した、
という話を聞く。

エマージェンシーが起きた時にも、
高田社長のキャラクター(ブランド)の効果が出ていることである。
良いブランドイメージがあれば、
何かあったときにも応援してくれる人がいる、
頑張れという雰囲気が醸し出される、
という点が、
ブランド効用の別の側面としてある。
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