イブラシル歴688年02月
長い休養期間を終え、皆で第一砦へと向う。
今度はどれだけの期間、ここに留まるのかそれは分からない。
もう1人の前衛であるリーゼの調子次第って所だろう。
槍を弓に持ち替えて闘いに挑むも、まだ少し震えが出るようだ。
移動中もなるべく側にいる事にする。何かあった時に支えてやれるように…。
以前程大きなダメージを喰らう訳ではないとは言え、やはり第一砦の兵士達
の攻撃力は大きく、油断は出来ない。
新調した杖のおかげでアルトの魔法の威力が上がっていて、闘いは随分と楽に
はなっていた。お嬢やニコ爺の罠の威力にも助けられているだろう。
皆の攻撃を合わせて、耐久の高い敵を倒して行く。
途中リーゼがデカイダメージを喰らったが、リリ姐さんの癒しで何とか無事に
闘いを乗り切る事が出来た。
闘いの後、リーゼはまた少し蒼い顔をしていたのでそっと肩を抱いてやる。
リーゼは何も言わずオレの身体にもたれ掛かって目を閉じた。
小さな肩が微かに震えていた・・・。
季節は冬。山から吹き下ろす風も身を切るように冷たい。
闘いを終えた後は足早に砦を離れ、風の当たらぬ場所を探す。
砦を少し離れた所に打ち捨てられた建物があった。随分と古い物であちこち
ボロボロだったが、結構頑丈に出来ているようで雨や風を凌ぐには丁度良い
場所だった。今回の野営地をここに定め、各々が設営を始める。
多分、昔は砦として使われていた物なのだろう。いくつかの部屋には朽ちた
武具や防具が転がっている。
オレは外の国から来た人間なので、このイブラシルの事は何も知らないが
一体何時から戦火が続いているのか・・・。
建物内に危険がないか見て回っている間、視界に入る朽ちた武具を見てそんな
事を思っていた。
食事の後、リーゼがやってきてオレの側にちょこんと座った。
オレの顔を見上げて
「ありがとう、シュラさん。」
簡単に礼を言い、自分が今まで恐れを知らずに闘ってきた事が危険な事で
あっただろうと真面目な顔をして言った。
その言葉と真剣な顔に、何かを吹っ切って決意を固めたような意思を感じる。
今回の経験が良い方向に向う事となったのなら、それはそれでリーゼにとって
良かったんじゃないかと思う。
「わたし、きっと…シュラさんがいなければ…生きられない…」
え?
リーゼの言葉にビックリしてしまい、リーゼの顔を凝視してしまった。
その言葉の後、リーゼはハッとした顔になって慌ててこう続ける。
「い…いや、シュラさんがいないとご、ご飯も食べられない駄目な子なんです…!」
リーゼはどもりながらそう言うと、視線をオレから逸らした。
建物の中は灯りがあるとは言え、やはり暗いのでハッキリは見えないが・・・
心無しかリーゼの顔が赤くなっているように見える。
その様子があまりに可愛い。
思わず笑ってしまい、オレはリーゼの頭を軽く撫でる。
まだまだ幼いリーゼ。
オレに今向けている感情は、愛ではなく恋。
移ろい、薄れ何時かはその気持ちは無くなってしまうのかも知れない。
それでも、彼女がオレを必要とする限りオレは側にいようと思っている。
だが… 彼女がもし真実を知ってオレの元を離れ、他の男の物になってしまったら。
その時 オレは平静な気持ちでいられるだろうか?
長い休養期間を終え、皆で第一砦へと向う。
今度はどれだけの期間、ここに留まるのかそれは分からない。
もう1人の前衛であるリーゼの調子次第って所だろう。
槍を弓に持ち替えて闘いに挑むも、まだ少し震えが出るようだ。
移動中もなるべく側にいる事にする。何かあった時に支えてやれるように…。
以前程大きなダメージを喰らう訳ではないとは言え、やはり第一砦の兵士達
の攻撃力は大きく、油断は出来ない。
新調した杖のおかげでアルトの魔法の威力が上がっていて、闘いは随分と楽に
はなっていた。お嬢やニコ爺の罠の威力にも助けられているだろう。
皆の攻撃を合わせて、耐久の高い敵を倒して行く。
途中リーゼがデカイダメージを喰らったが、リリ姐さんの癒しで何とか無事に
闘いを乗り切る事が出来た。
闘いの後、リーゼはまた少し蒼い顔をしていたのでそっと肩を抱いてやる。
リーゼは何も言わずオレの身体にもたれ掛かって目を閉じた。
小さな肩が微かに震えていた・・・。
季節は冬。山から吹き下ろす風も身を切るように冷たい。
闘いを終えた後は足早に砦を離れ、風の当たらぬ場所を探す。
砦を少し離れた所に打ち捨てられた建物があった。随分と古い物であちこち
ボロボロだったが、結構頑丈に出来ているようで雨や風を凌ぐには丁度良い
場所だった。今回の野営地をここに定め、各々が設営を始める。
多分、昔は砦として使われていた物なのだろう。いくつかの部屋には朽ちた
武具や防具が転がっている。
オレは外の国から来た人間なので、このイブラシルの事は何も知らないが
一体何時から戦火が続いているのか・・・。
建物内に危険がないか見て回っている間、視界に入る朽ちた武具を見てそんな
事を思っていた。
食事の後、リーゼがやってきてオレの側にちょこんと座った。
オレの顔を見上げて
「ありがとう、シュラさん。」
簡単に礼を言い、自分が今まで恐れを知らずに闘ってきた事が危険な事で
あっただろうと真面目な顔をして言った。
その言葉と真剣な顔に、何かを吹っ切って決意を固めたような意思を感じる。
今回の経験が良い方向に向う事となったのなら、それはそれでリーゼにとって
良かったんじゃないかと思う。
「わたし、きっと…シュラさんがいなければ…生きられない…」
え?
リーゼの言葉にビックリしてしまい、リーゼの顔を凝視してしまった。
その言葉の後、リーゼはハッとした顔になって慌ててこう続ける。
「い…いや、シュラさんがいないとご、ご飯も食べられない駄目な子なんです…!」
リーゼはどもりながらそう言うと、視線をオレから逸らした。
建物の中は灯りがあるとは言え、やはり暗いのでハッキリは見えないが・・・
心無しかリーゼの顔が赤くなっているように見える。
その様子があまりに可愛い。
思わず笑ってしまい、オレはリーゼの頭を軽く撫でる。
まだまだ幼いリーゼ。
オレに今向けている感情は、愛ではなく恋。
移ろい、薄れ何時かはその気持ちは無くなってしまうのかも知れない。
それでも、彼女がオレを必要とする限りオレは側にいようと思っている。
だが… 彼女がもし真実を知ってオレの元を離れ、他の男の物になってしまったら。
その時 オレは平静な気持ちでいられるだろうか?