シュラ吉旅日記

定期更新型ネットゲーム「DARK KINGDOM3」のキャラクター視点日記。プレイヤーの呟きもたまにあるかモ。

第一砦へ。

2007-08-22 12:04:59 | キャラクター視点
イブラシル歴687年9月



いよいよ進軍する事になった。
少し慌ただしいが、いつまでもこの場所でちんたらしていても仕方ない。
そう皆が判断して先へと進む事になったのだ。

一旦街入りをして、身支度を整えた。
リリ姐さん達はリングを新調して装備を一新。オレとリーゼは武器を交換
して隊列を入れ替わる事になった。
…女を盾にしているようで、オレとしちゃちょっと気がひけるんだが、最近
リーゼは鍛練方針を「物理防御」にしていたからか、男のオレより防御力が
高い。 防具の数値を入れたらオレより150程防御力が高いのだ。

それに これはリーゼから出された案でもあったので、仕方なく受け入れる
事になった。図体デカイ男がちっこい女の後ろで闘うなんざ、全くもって
絵にならん。格好悪くて溜め息が出てしまう。

それに 今度向う先は敵の強さがわからねぇ。
前衛というだけで攻撃は喰らいやすい上、また連続攻撃する相手ばかりが
出て来たとなっては…オレでも昏倒しちまうってのに・・・。



第一砦での戦闘は、やはり辛い物だった。
一撃がデカイ。特に物理攻撃を出す連中の一撃がとんでもなく重いのだ。
上級重装騎兵のパワーストライクは、上位の技だった事もありリーゼの
体力は2500近くもぎ取られ・・・。
その後のトリプルショットを妨害出来はした物の、弓兵の攻撃をモロに受けて
リーゼが倒れた。 倒れる間際に小さな声でリーゼは言った。

「助け…て…シュ…ラ…さ…」

戦闘の最中で、他の連中はいつも通りそのまま戦闘を続けていたが、多分皆
リーゼの言葉を聞いてしまっているんだろう。
(…こっ恥ずかしいが、平静を保たなくては!)

一度目の戦闘が終わり、リリ姐さんがリーゼを回復させた。
姐さんの力でもリーゼの体力は半分戻ったぐらいの状態で、このまま戦闘に
参加させるのは少し無理がある。
それでも、俺たちは闘わねばならない。
先へ先へと進む為に。

案の定 2度目の戦闘でも前衛のリーゼは集中攻撃を喰らって倒れてしまった。
魔法は喰らわずに済んだものの、物理攻撃が全て連続で1人に集中するんじゃ
リーゼじゃなくたって倒れてしまう。 多分オレでもあれでは保たねぇ。

それにしてもアルトの奴、リーゼが倒れる度にオレの名前を言っていたが、
ありゃどういう事だ? もう既に視力の殆どを失っているんだとは思うが…
どう考えてもありゃ遠回しに何かオレに言いたいのかと思わざる得ない。



夜になって リリ姐さんがリーゼに回復術を施した後、オレの腹を肘でぐりぐり
と抉り、ジト目でオレを見て背中を一発叩いた。
どうやら介抱をしろと言いたいようだ。
・・・前にリーゼを泣かせた事もあって、姐さんも何かオレに言いたい事がある
のかも知れない。

負った傷が多くて、そのせいで熱を出したのかリーゼの顔は赤くなっていた。
シーツに包まれて眠っているリーゼの横に座り、額に濡れたタオルを乗せてやる。
少しでも楽になるならいいんだが・・・。




そうであって欲しくなかった。


だが、泉で聞いたあの言葉、そして倒れる時に出た言葉。
そんな筈はないとオレはいつも自分に言い聞かせていたが、そうやって誤摩化す
事ももう出来はしないだろう。 倒れた時にリーゼが口にした言葉は他の連中も
聞いてしまっている。

リーゼがオレに好意を抱いている事は確実だろう。



オレもリーゼの事は嫌いではない。
だが・・・。


額のタオルをまた水に濡らして替えながら、リーゼの顔を見る。
真実を知ったら多分きっとリーゼは・・・。




オレを恐れ。オレを嫌うだろう。
オレを拒絶してしまうだろう。




そして…オレは何よりもそれが怖いと思っているのだ。
この小さな女戦士に拒絶されてしまう事を。


女戦士の恋心?

2007-08-11 13:51:37 | キャラクター視点
イブラシル歴687年7月



野営地を離れたリーゼを探して、第三砦近辺の森へと踏み入る。
羅喉丸がリーゼの匂いを辿り、オレの前を歩く。

羅喉丸は耳を立て一吠えすると、水の気配のする少し奥まった方へと
走ってゆく。オレはその後を必死で追った。
この森はあまり人が立ち入る場所ではないらしく、道がない。
オレのようなデカブツが通るには、ちょいとばかり辛い場所が多いのだ。

それでも羅喉丸の後を追い…。
羅喉丸が茂みの前で足を止めて様子を伺っているのが見えた。
オレも同じように羅喉丸の横で、羅喉丸の見ている方に視線をやる。

森の岩場の一角にわき出している泉。
そこにリーゼは居た。
具足を脱いだ足を泉に浸して、溜め息をつきながら何かを呟いている。

「…ほんと鈍感だな… 人を好きになるのって大変だよ。
 大切な想いとか、何事をも諦めない力とか…そんな物は湧いてくる
 けれど。「疲れた」とは違うと思うけれど「苦しい」。」

むむむ。どうしたものか。
やはりオレの言った事がリーゼを傷つけてしまったようだ。
こんなトコに独りで放っておく訳にも行くまい。とにかく迎えにきた
と言って出て行って謝るしか…

「ほんとに、鈍感だな… こんなに好き、なのに… シュ…ラさ…」

・・・リーゼの言葉にオレの身体は硬直してしまった。
羅喉丸が不思議そうな顔をしてオレを見上げている。
出て行く事も出来ず、オレはその場に座り込んだ。

「……聞いちゃいけねぇ事を聞いちまった・・・ような気がする。」

茂みの横にある樹を背にして凭れて、目を閉じる。
どうしたものか、そんな事を考えながら……。
風で木々の葉が揺れる音、泉の水の流れ出る音。
この場所で聞こえる音はそれだけだった・・・。


どれだけの時間が経ったのか、気付いた時には随分と暗くなっていて
慌てて泉の方を見る。
心地よい水音のせいだろうか? リーゼは泉に足をつけたまま岩に
寄りかかって眠っていた。

リーゼを起こさぬようにそっとリーゼの側へと行き、鞄からランタンを
出して灯りを灯す。仄かなランタンの光が泉の水に反射して泉の水が
キラキラと光る。リーゼの金の髪がその光を受けてキレイに光って…、
ちょっと見惚れてしまった。いかん。こんな事している場合じゃねぇ!

ぺしぺしと自分の頬を叩き、リーゼを起こそうかどうか思案する。
リーゼは気持ち良さそうにすやすや眠っていた。


起こす訳にも、このままにしておく訳にもいかない。
起こさぬようにそっとリーゼの身体を抱えて、連れて帰る事にする。

こんな近くでリーゼの顔を見るのは初めてだったが、まだ少し幼さが
残るものの とても綺麗な顔立ちだ。カレー好きでガサツだが、もう少し
大きくなれば・・・きっと男は放っておかないだろう。

「黙っていりゃ 魅力的で別嬪なんだがなぁ…」

リーゼの顔にかかった前髪を手ですくい、髪を整えてから 
彼女を自分の背に背負う。リーゼが脱いだ具足も回収して泉を後にした。


それにしても どうしたものか。
同じパーティにいる以上、現状の関係を壊すわけにはいかない。
これから先、どうリーゼと接すれば良いのか?
・・・困った事にならなければ良いんだがなぁ。



歩きながら困り果てているオレをよそに、背中のリーゼは気持ち良さそうに
寝息を立てていた。