『源氏物語』5帖 若紫(わかむらさき)
若紫(のちの紫の上)との出会いと、藤壺との不義密通
光源氏18歳/藤壺23歳/葵上22歳/紫上10歳
[光源氏、若紫(のちの紫の上)をかいま見る]
光源氏は病気療養のため、北山(きたやま)の聖を訪ねた。
光源氏が山中をそぞろ歩いている際に、小さな庵室で、美しい少女(若紫)を見つけた。若紫は母が亡くなり、今は祖母の尼君と暮らしていた。
若紫は藤壺の姪だったため、光源氏が恋い焦がれる藤壺の面影があった。
若紫の素性を知った光源氏は藤壺の代わりとして引き取りたいと願うが、尼君は光源氏の真意がわからず、また若紫が幼すぎるため承知しない。
巻名は、光源氏の歌による
『手に摘みて いつしかも見む紫の
ねにかよひける野辺の若草』
※写真は、「紫草(むらさき)」/無料(フリー)写真素材を使
[藤壺は光源氏の子を宿す]
光源氏は北山から帰京し、王命婦(藤壺の侍女)の手びきで、病気静養のため三条宮に下がっていた藤壺と強引に契る。
光源氏にとっては思い焦がれていた人との夢のような逢瀬だったが、なんと藤壺は桐壺帝の妃にもかかわらず、光源氏の子(後の冷泉帝)を妊娠してしまう。藤壺は苦悩し、光源氏も深い罪におののいた。
※上の写真は、「藤(ふじ)」/無料(フリー)写真素材を使用
[光源氏、若紫(のちの紫の上)を引き取る]
その年の秋、若紫の祖母である尼君が亡くなった。
光源氏は兵部卿宮の先を越して、まるで盗み出すように若紫を二条院に迎えた。
【源氏物語5帖に出てくる主な登場人物】
光源氏(ひかるげんじ)
第一部、第二部の物語の主人公。亡き母にそっくりと言われている藤壺の中宮に恋をしてしまう。
その後も亡き母・桐壺更衣の面影を求め、様々な恋愛遍歴をたどる。
紫の上も、女三の宮も藤壺の姪である。光源氏は藤壺中宮の血縁者に強く心を惹かれる人生だった。
藤壺の中宮(ふじつぼのちゅうぐう)
先帝の内親王。「藤壺の宮」とも呼ばれる。桐壺の更衣亡き後、桐壺帝は顔がそっくりな藤壺を入内させる。光源氏の初恋の相手であり、光源氏と藤壺の間には不義の子(冷泉帝)が誕生。
桐壺帝が亡くなった後は、出家する。
桐壺帝(きりつぼてい)
光源氏の父親。桐壺の更衣を溺愛し、物語の主人公・光源氏が誕生。
桐壺の更衣が亡くなった後は、顔がそっくりな藤壺を入内させ愛する。
子の朱雀帝に譲位した後は、桐壺院となる。
自分と藤壺中宮の子が実は光源氏と藤壺中宮の子であるとは知らないまま崩御する。
若紫(わかむらさき)
後の「紫の上(むらさきのうえ)」
藤壺中宮の姪であり、顔がよく似ている。光源氏が生涯で最も愛した女性。光源氏は、紫の上が幼い頃に自宅にひきとり、育てて結婚した。
正妻ではないが、正妻格として周囲から扱われている。子はできないが、光源氏と明石の君の娘明石の姫君を養育する。
今年のNHK大河ドラマ「光る君へ」(2024年)を解りやすく視聴見るために平安時代の勉強を兼ねて『源氏物語』のブログを書いています。『源氏物語』には、物語に欠かせない要素のひとつとして多くの「植物」が登場します。これなどを切り口に『源氏物語の花』や『源氏物語の風景』をブログで表現できたらと思っています。