サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

エコベンチャーの想いは伝わるのか

2015年05月10日 | 環境イノベーションとその普及

1990年代後半に、エコベンチャーを名乗る人たちが集まるメーリングリスト(ML)が異様にもりあがっていた。

 

当時、私は、某企業の社会貢献活動に関する委託を受け、インターネット上でのシンポジウム(掲示板会議)を大がかりに開催し、参加を呼びかけるために、数多くのMLに登録した。多くのMLが盛り上がりに欠ける中で、エコベンチャーのMLは1日の投稿が50を超え、新たな事業への協力呼びかけやオフ会の企画等の情報が飛び交っていた。多くの参加者は、新たな環境ビジネス(環境イノベーション)を創業した人々で、ビジネスの成功と環境問題への貢献の想いが高く、その触発がMLの活気になっていた。

 

そうした中、どうしても気になることがあった。自分の思いいれが強いのはいいが、提供する製品・サービスが環境によいかどうか、疑わしく思えるものがあったのである。

 

ひとつ象徴的な出来事を紹介する。特定の商品名を述べることは避けるが、私が「その商品は本当に環境によいのかわからない。環境性能を説明できるようにすることが大事だ」とMLでコメントとすると、「使ってみればわかります」ということで、商品のサンプルを送ってくれた。しかし、「使ってみても、よくわからない。どういうメカニズムなのか」と問うと、「説明ビデオを見ればわかります」ということで、ビデオを送ってくれた。しかし、ビデオの説明の内容はイメージを示すもので、どうにも科学的とはいえなかった。「このビデオの説明では消費者は理解できない。商品の環境面での有用性を示せない商品は環境ビジネスとはいえないし、それでは売れないだろう」とアドバイスをした。

 

その後は音信不通。私にしたら、想いがあるなら、成功して欲しいという気持ちだったのだが、余計なことをしてしまったかもしれない。

 

 環境イノベーションの普及においては、環境面での有用性を信頼できる形で消費者に示すことが重要である。しかし、環境性能を証明するために、自社試験をしたり、第三者機関に証明を依頼するには、費用と時間がかかる。そうすると、資金力に欠け、スピードで差別化しようとするベンチャーは、環境性能を十分に証明できなく、その結果、想いの共感という手段でプロモーションを図る。しかし、上手くいかない。

 

では、どうしたらいいか。次回に続きます。

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