サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

再生可能エネルギー革命に問題はないのか

2011年09月04日 | 気候変動緩和・低炭素社会

新たな技術の開発・普及による大きな時代の変化を、なんとか革命と称することが多い。産業革命、エネルギー革命、鉄道革命、IT革命等である。

産業革命は、同時に、バイオマスから石炭へのエネルギー革命であり、蒸気機関の普及による工業化をもたらした。生産の大規模化、農山村からの都市への労働力移動等の面でも大きな変革をもたらした。蒸気機関車による鉄道が整備され(鉄道革命)、物流・人流の広域化も加速した。反面、石炭燃焼による大気汚染等の大気汚染を発生させた。

日本でエネルギー革命というと、戦後の石炭と石油からへの燃料転換を指すことが多い。石油は内燃機関の開発・普及を促した。自動車の開発・普及(自動車革命)は、この燃料転換を基盤として進められた、また、石油は化学工業の原料ともなり、いわゆる石油文明を生んだ。一面、自動車公害、化学工業からの環境汚染等が深刻化した。

そして、今、再生可能エネルギー革命が期待される状況である。太陽光発電や風力、水力、地熱等はこれまでもあったエネルギー源であるが、普及を促す制度により、普及が加速する可能性がある。この再エネ革命に伴い、スマートシティ(スマートグリッド)構想が示されるようになった。特に、太陽光と電気自動車、IT利用を一体的に進める構想である(IT革命)。

主力となるエネルギー転換という意味では、再エネ革命は確かに必然であり、社会経済を大きく変化させるだろう。、しかし、かつてのエネルギー革命がそうであったように、再エネの大量導入も新たな問題を引き起こすことが危惧される。石炭は木炭よりもエコ、石油は石炭よりもエコとして導入されたのだから、石油よりもエコとされる再エネも後々に問題を引き起こす可能性を疑っておいた方がよいだろう(それが学習だから)。

例えば、再生可能エネルギーの大量普及による環境問題等として、太陽光パネルの原材料となるシリコンの枯渇、太陽光パネルが廃棄物となった場合の処理・処分の問題、風力・水力等による自然破壊・生物多様性への影響等が想定される。

一方、再生可能エネルギーは、分散型で枯渇性ではなく、これまでの石炭や石油による革命とは異なるという見方があるだろう。確かにそうだが、再生可能エネルギーであっても、住民不在、経済・産業優先、トップダウンの押しつけで大量導入が進められてしまうことの問題はないだろうか。

これまでのエネルギー革命の問題の根幹は、工業化や都市化を配慮なく拡大させたことにあるが、それだけでない。国家主導で、国益や産業益を優先させて、住民あるいは地域を軽視してきたことにより本質的な問題がある。再生可能エネルギーの大量普及においても、過去のエネルギー革命の失敗に十分に学ぶ必要がある。

結論。これから期待される革命は、再生エネルギー革命ではない。人の意識や人と人の関係、参加の仕方が主導し、エネルギーやモビリティ、産業、技術を転換させていく、いうならば「人間革命」こそ、期待される。

 

 

 

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