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高大連携情報誌 調べもの新聞
【ブログ=穴埋め・論述問題】
3月1日(月) 第41回
作家 町田康
家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る
有間皇子 (巻2・142)
家にいると美しい器に盛る御飯を 旅の途中であるので
思うにまかせぬ思いで椎の葉に盛ることだ
3月2日(火) 第42回
ミュージカル女優 新妻聖子
我が背子が 帰り来まさむ 時のため 命残さむ 忘れたまふな
狭野弟上娘子 (巻15・3774)
あなたが帰って来られる時のために この命を残しておきましょう
お忘れにならないで下さい
3月3日(水) 第43回
俳優 柳生博
思はぬを 思ふと言はば 真鳥住む 雲梯の社の 神し知らさむ
作者未詳 (巻12・3100)
思ってもいないのに思っていると偽るならば
鷲の住む雲梯の杜(うなてのもり)のおそろしい神が きっとわが身を召すだろう
3月4日(木) 第44回
作家 田辺聖子
事もなく 生き来しものを 老いなみに かかる恋にも 我はあへるかも
大伴百代 (巻4・559)
なんということもなく平凡に生きて来たというのに
老い波せまる今になり はっとするこんな恋にわたしは出合ったことだ
3月5日(金) 第45回
民俗学者 神崎宣武
草枕 旅行く君を 幸くあれと 斎瓮据ゑつ 我が床の辺に
大伴坂上郎女 (巻17・3927)
(草枕) 旅行くあなたが無事であるようにと
神に祈るための斎瓮(いわいへ)を据えました わたしの床のそばに
3月8日(月) 第46回
作家 林望
父母が 頭掻き撫で 幸くあれて 言ひし言葉ぜ 忘れかねつる
丈部稲麻呂 (巻20・4346)
別れの時に 父と母とが わたしの頭を両手で撫でまわしながら
「幸くあれ-くれぐれも無事で過ごせ-」と言ったことばが 脳裏から離れない
3月9日(火) 第47回
作詞家 東海林良
足の音せず 行かむ駒もが 葛飾の 真間の継ぎ橋 止まず通はむ
東歌・下総国歌 (巻14・3387)
足音を立てないで歩く駒が欲しいものだ
(ずいぶん通ったので噂が立ちはじめたのだ)
そうすれば あの葛飾の真間の継ぎ橋を毎日毎日通って行こう
3月10日(水) 第48回
比較文化研究者 朱捷
春の園 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ娘子
大伴家持 (巻19・4139)
春の園の 紅色に美しく咲いている桃の花の樹の下まで照り輝く道に
出てたたずむ乙女よ
3月11日(木) 第49回
奈良県立万葉文化館館長 中西進
我が恋は まさかもかなし 草枕 多胡の入野の 奥もかなしも
東歌・上野国歌 (巻14・3403)
私の恋は今もかなしい
草を枕の多胡(たご)の入野(いりの)の行く末もかなしい (選者訳)
3月12日(金) 第50回
日本文学研究者 ドナルド・キーン
我が恋ふる 千重の一重も 慰もる 心もありやと 我妹子が
止まず出で見し 軽の市に 我が立ち聞けば 玉だすき
畝傍の山に 鳴く鳥の 声も聞こえず 玉桙の 道行き人も ひとりだに
似てし行かねば すべをなみ 妹が名呼びて 袖そ振りつる (抜粋)
柿本人麻呂 (巻2・207)
わたしが恋する 千に一つでもやわらげる思いがみつかるかと
あの子が始終出て見た軽の市のざわめきの中にわたしは立ち
耳を傾けるのだが (玉だすき) 畝傍山(うねびやま)に鳴く鳥の声の
(が聞こえない)ように あの子の声が聞こえないし
(玉鉾の) 道行き人も誰一人だって似た姿で通り過ぎることがないものだから
もうなにをどうしてよいかわからなくなって 思わず彼女の名前を口に出して叫び
あてもなく袖を振りつづけた
3月15日(月) 第51回
歌人 馬場あき子
飯食めど うまくもあらず 寝ぬれども 安くもあらず あかねさす
君がこころし 忘れかねつも
佐為王の婢 (巻16・3857)
ご飯を食べるがおいしくもない 眠っていても安まらない
あかね色に輝くあの人の心が忘れられないの
3月16日(火) 第52回
判事 浅見宣義
我が背子を 大和へ遣ると さ夜ふけて 暁露に 我が立ち濡れし
大伯皇女 (巻2・105)
我が弟を大和へと送り返すと 夜は深く沈み あかつきの露に
わたくしは立ちつくしたまま濡れてしまった
3月17日(水) 第53回
オカリナ奏者 宗次郎
筑波嶺に 雪かも降らる いなをかも かなしき児ろが 布乾さるかも
東歌・常陸国歌 (巻14・3351)
筑波嶺に雪が降っているのかも
いや そうではないのかも
かわいいあの娘が真っ白な布を干しているのかも
3月18日(木) 第54回
動物行動学者 日高敏隆
薦枕 相まきし児も あらばこそ 夜の更くらくも 我が惜しみせめ
作者未詳 (巻7・1414)
薦(こも)で作った質素な枕を共にして寝たあの子がこの世にいたならば
夜の更けることを惜しみもしようが
3月19日(金) 第55回
東洋文化研究者 アレックス・カー
磯城島の 大和の国は 言霊の 助くる国ぞ ま幸くありこそ
柿本人麻呂歌集より (巻13・3254)
磯城島(しきしま)の大和の国は 言霊が人を助ける国ですぞ
無事でいらしてくださいよ
3月22日(月) 第56回
作家 立松和平
笹の葉は み山もさやに さやげども 我は妹思ふ 別れ来ぬれば
柿本人麻呂 (巻2・133)
山一面に生えた笹が お山もとよむばかりにざわめくが
その音にも紛れないで わたしは妻を思う 別れて来たのだから
3月23日(火) 第57回
作家 リービ英雄
名ぐはし 狭岑の島の 荒磯面に 廬りて見れば 波の音の
繁き浜辺を しきたへの 枕になして 荒床に ころ伏す君が
家知らば 行きても告げむ 妻知らば 来も問はましを 玉桙の
道だに知らず おほほしく 待ちか恋ふらむ 愛しき妻らは (抜粋)
柿本人麻呂 (巻2・220)
名前の美しい狭岑(さみね)の島の 荒磯の上に小屋かけをして見ると
波の音のとどろく浜辺を枕にして 荒々しい石の床に横たわっている人の
その家がわかれば行って知らせもしよう 妻が様子を知ったら
来て尋ねもするだろうに
ここへの道さえ知らず ただぼんやりと帰りを待ち焦がれているだろう
いとしい妻は
3月24日(水) 第58回
詩人 大岡信
行くさには 二人我が見し この崎を ひとり過ぐれば 心悲しも
大伴旅人 (巻3・450)
行きしなに妻と二人で見たこの敏馬(みぬめ)の崎を
ひとりで過ぎると心悲しいことだ
3月25日(木) 第59回
日本語学者 金田一秀穂
春の野に 霞たなびき うら悲し この夕影に うぐひす鳴くも
大伴家持 (巻19・4290)
春の野に霞がたなびいて 何となく心悲しいこの夕暮れの光の中で
うぐいすが鳴いているよ
3月26日(金) 第60回
書家 武田双雲
標結ひて 我が定めてし 住吉の 浜の小松は 後も我が松
余明軍 (巻3・394)
所有のしるしの標(しめ)を結って わたしのものと定めておいた
住吉の浜の小松は 後々もわたしの松だ
〔出典〕
NHK(Japan Broadcasting Corporation)
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3月1日(月) 第41回
作家 町田康
家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る
有間皇子 (巻2・142)
家にいると美しい器に盛る御飯を 旅の途中であるので
思うにまかせぬ思いで椎の葉に盛ることだ
3月2日(火) 第42回
ミュージカル女優 新妻聖子
我が背子が 帰り来まさむ 時のため 命残さむ 忘れたまふな
狭野弟上娘子 (巻15・3774)
あなたが帰って来られる時のために この命を残しておきましょう
お忘れにならないで下さい
3月3日(水) 第43回
俳優 柳生博
思はぬを 思ふと言はば 真鳥住む 雲梯の社の 神し知らさむ
作者未詳 (巻12・3100)
思ってもいないのに思っていると偽るならば
鷲の住む雲梯の杜(うなてのもり)のおそろしい神が きっとわが身を召すだろう
3月4日(木) 第44回
作家 田辺聖子
事もなく 生き来しものを 老いなみに かかる恋にも 我はあへるかも
大伴百代 (巻4・559)
なんということもなく平凡に生きて来たというのに
老い波せまる今になり はっとするこんな恋にわたしは出合ったことだ
3月5日(金) 第45回
民俗学者 神崎宣武
草枕 旅行く君を 幸くあれと 斎瓮据ゑつ 我が床の辺に
大伴坂上郎女 (巻17・3927)
(草枕) 旅行くあなたが無事であるようにと
神に祈るための斎瓮(いわいへ)を据えました わたしの床のそばに
3月8日(月) 第46回
作家 林望
父母が 頭掻き撫で 幸くあれて 言ひし言葉ぜ 忘れかねつる
丈部稲麻呂 (巻20・4346)
別れの時に 父と母とが わたしの頭を両手で撫でまわしながら
「幸くあれ-くれぐれも無事で過ごせ-」と言ったことばが 脳裏から離れない
3月9日(火) 第47回
作詞家 東海林良
足の音せず 行かむ駒もが 葛飾の 真間の継ぎ橋 止まず通はむ
東歌・下総国歌 (巻14・3387)
足音を立てないで歩く駒が欲しいものだ
(ずいぶん通ったので噂が立ちはじめたのだ)
そうすれば あの葛飾の真間の継ぎ橋を毎日毎日通って行こう
3月10日(水) 第48回
比較文化研究者 朱捷
春の園 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ娘子
大伴家持 (巻19・4139)
春の園の 紅色に美しく咲いている桃の花の樹の下まで照り輝く道に
出てたたずむ乙女よ
3月11日(木) 第49回
奈良県立万葉文化館館長 中西進
我が恋は まさかもかなし 草枕 多胡の入野の 奥もかなしも
東歌・上野国歌 (巻14・3403)
私の恋は今もかなしい
草を枕の多胡(たご)の入野(いりの)の行く末もかなしい (選者訳)
3月12日(金) 第50回
日本文学研究者 ドナルド・キーン
我が恋ふる 千重の一重も 慰もる 心もありやと 我妹子が
止まず出で見し 軽の市に 我が立ち聞けば 玉だすき
畝傍の山に 鳴く鳥の 声も聞こえず 玉桙の 道行き人も ひとりだに
似てし行かねば すべをなみ 妹が名呼びて 袖そ振りつる (抜粋)
柿本人麻呂 (巻2・207)
わたしが恋する 千に一つでもやわらげる思いがみつかるかと
あの子が始終出て見た軽の市のざわめきの中にわたしは立ち
耳を傾けるのだが (玉だすき) 畝傍山(うねびやま)に鳴く鳥の声の
(が聞こえない)ように あの子の声が聞こえないし
(玉鉾の) 道行き人も誰一人だって似た姿で通り過ぎることがないものだから
もうなにをどうしてよいかわからなくなって 思わず彼女の名前を口に出して叫び
あてもなく袖を振りつづけた
3月15日(月) 第51回
歌人 馬場あき子
飯食めど うまくもあらず 寝ぬれども 安くもあらず あかねさす
君がこころし 忘れかねつも
佐為王の婢 (巻16・3857)
ご飯を食べるがおいしくもない 眠っていても安まらない
あかね色に輝くあの人の心が忘れられないの
3月16日(火) 第52回
判事 浅見宣義
我が背子を 大和へ遣ると さ夜ふけて 暁露に 我が立ち濡れし
大伯皇女 (巻2・105)
我が弟を大和へと送り返すと 夜は深く沈み あかつきの露に
わたくしは立ちつくしたまま濡れてしまった
3月17日(水) 第53回
オカリナ奏者 宗次郎
筑波嶺に 雪かも降らる いなをかも かなしき児ろが 布乾さるかも
東歌・常陸国歌 (巻14・3351)
筑波嶺に雪が降っているのかも
いや そうではないのかも
かわいいあの娘が真っ白な布を干しているのかも
3月18日(木) 第54回
動物行動学者 日高敏隆
薦枕 相まきし児も あらばこそ 夜の更くらくも 我が惜しみせめ
作者未詳 (巻7・1414)
薦(こも)で作った質素な枕を共にして寝たあの子がこの世にいたならば
夜の更けることを惜しみもしようが
3月19日(金) 第55回
東洋文化研究者 アレックス・カー
磯城島の 大和の国は 言霊の 助くる国ぞ ま幸くありこそ
柿本人麻呂歌集より (巻13・3254)
磯城島(しきしま)の大和の国は 言霊が人を助ける国ですぞ
無事でいらしてくださいよ
3月22日(月) 第56回
作家 立松和平
笹の葉は み山もさやに さやげども 我は妹思ふ 別れ来ぬれば
柿本人麻呂 (巻2・133)
山一面に生えた笹が お山もとよむばかりにざわめくが
その音にも紛れないで わたしは妻を思う 別れて来たのだから
3月23日(火) 第57回
作家 リービ英雄
名ぐはし 狭岑の島の 荒磯面に 廬りて見れば 波の音の
繁き浜辺を しきたへの 枕になして 荒床に ころ伏す君が
家知らば 行きても告げむ 妻知らば 来も問はましを 玉桙の
道だに知らず おほほしく 待ちか恋ふらむ 愛しき妻らは (抜粋)
柿本人麻呂 (巻2・220)
名前の美しい狭岑(さみね)の島の 荒磯の上に小屋かけをして見ると
波の音のとどろく浜辺を枕にして 荒々しい石の床に横たわっている人の
その家がわかれば行って知らせもしよう 妻が様子を知ったら
来て尋ねもするだろうに
ここへの道さえ知らず ただぼんやりと帰りを待ち焦がれているだろう
いとしい妻は
3月24日(水) 第58回
詩人 大岡信
行くさには 二人我が見し この崎を ひとり過ぐれば 心悲しも
大伴旅人 (巻3・450)
行きしなに妻と二人で見たこの敏馬(みぬめ)の崎を
ひとりで過ぎると心悲しいことだ
3月25日(木) 第59回
日本語学者 金田一秀穂
春の野に 霞たなびき うら悲し この夕影に うぐひす鳴くも
大伴家持 (巻19・4290)
春の野に霞がたなびいて 何となく心悲しいこの夕暮れの光の中で
うぐいすが鳴いているよ
3月26日(金) 第60回
書家 武田双雲
標結ひて 我が定めてし 住吉の 浜の小松は 後も我が松
余明軍 (巻3・394)
所有のしるしの標(しめ)を結って わたしのものと定めておいた
住吉の浜の小松は 後々もわたしの松だ
〔出典〕
NHK(Japan Broadcasting Corporation)