岩上智一郎の作品部屋(小説・絵・漫画・料理等)

著書:新宿クレッシェンド
とりあえず過去執筆した作品、未完成も含めてここへ残しておく

新宿の部屋 02

2023年03月14日 13時50分49秒 | 新宿の部屋

 

2005/12/14
幻冬舎


 幻冬舎に小説を応募してみた。
 …と、いっても11月25日に出した事なので、何をいまさらなどと言われるかもしれないが……。

 応募に出した作品は私の最初に書いた作品である「新宿クレッシェンド」を選んだ。
 今現在ではどうなるか何も分からないが、魂を込めて書いたのでうまい事いったら嬉しく思う。

 

 

 


2005/12/20
制裁


 久しぶりに人を殴った。
 倒れている相手の顔面に蹴りを入れた。
 
 これだけで見ると、ただの野蛮人にしか見られないであろう。
 いや、今後、俺がどのような説明をしても、暴力だの一言で終わりにする人もいるだろう。
 

 簡単に言うと、これは暴力ではなく、愛の鞭なのである。
 彼が何をしたかまではここで書こうとは思わない。

 しかし、分かってもらうには、暴力というか、叩いて分からせるしかないと思った。
 

 もちろんかなり加減した。
 怪我をさせるつもりは全然ないからだ。

 ちゃんと自分の足で歩いて帰らせている。
 出血さえどこにもなく、本人的には痛いと思うだけである。
 

 十発ほど、叩いたが俺に後悔したという感覚はどこにもない。
 出来ればもっと早くやっておけば良かったと思ったぐらいである。

 これから惨めな人生を送るこの相手に対して、俺は拳を使うのが最善の療法だと思った。
 

 馬鹿なのはしょうがない。
 ただ、心まで忘れたら動物と代わらないと思う。

 時には年齢は関係無しに叩いて教えなくてはいけない。
 この件で少しは身にしみて分かってくれればいいが……。




2005/12/24
制裁2


 昨日、目黒に事務所を構える弁護士のところへ行って来た。
 

 何故、行ったかというと、この間、知り合いの裁判があって頼んだからである。
 もう裁判自体は終わったのだが、その弁護士はとんでもない奴だったので納まりがつかなかったのだ。
 
 その弁護士のした事を分かりやすく箇条書きにしてみる。
 

・被告人がまだ警察に捕まっている時、初日から接見禁止がついていないのに、十日過ぎてぐらいに接見禁止が解けましたと、嘘の報告をした事。
 
・最初に着手金30万を払っているにも拘らず、たまには銀座にも飲みにと、分かりやすく言えば、遠まわしに接待しろと言ってきた事。
 
・被告人が捕まっているのに、拘置所に行くかもしれないと、独断で伝えて本人を不安にさせていた事。
 
・裁判の時に一審(一回目の裁判で判決が出て終わり)で終わりますと言いながら、二審になった事。
 
・二審の裁判の時刻を自分で指定したくせに、遅刻した挙句、裁判に間に合わなかった事。
 
・裁判が終わった後に来て、悪びれもせず、謝る事すらしなかった事。
 
・通常は実刑二年の、執行猶予三年が最大のはずが、何故か二年の四年になった事。
 
・挙句の果てに、更に三十万円弁護料で要求してきた事。
 

 以上、そのような事があり、弁護士だからって舐めんじゃねーと思い、事務所に行く事になった。

 結果は続きで……




2005/12/29
年内最後の更新


 一応、今日で仕事収めになる。

 今年は色々な事があったような気がする。
 来年は自分にとって飛躍できる年になるといいな~

 

 

 

2006/01/11
群馬の家


 私にとって初のミステリーとなる「群馬の家」を今年の一月九日から執筆しだした。
 他にも書きかけの作品が多数ある中、どうしてもこれを急に書きたくなったのである。

 どのような作品になるかは、今のところまだハッキリと決めていない。

 だが、出来るだけ早く完成させたいと思う。




2006/01/21
最後の新宿


 新宿に来て10年以上の月日が流れた。
 最初は小僧だった俺も周りからいっぱしの扱いを受けるようになったと思う。


 気がつけば裏稼業ではそこそこ名を馳せ、俺の才覚で商売を成功させるのは容易くなっていた。


 去年も半年で六千万の売上を作れた。
 使った人数は俺を含めてたった三人である。
 
 よく俺は人に金に対して執着心がないと言われる。

 だけど、俺はそれでいいと思っている。
 必要以上の収入は自分自身を滅ぼしかねないからである。


 最近話題のホリえもんがいい例だろう。
 金を稼ぐ事が立派なのではなく、それに伴う精神力も非情に大事な部分だ。


 逆に金を稼いでいればいいと言う奴は、俺から見ればただのクソ野郎だ。

 金よりも自分らしく、そして人間で生きたい。
 

 この稼業にきて、気付けばいつも都合良く利用されてきた。
 世話になっているオーナーの事を出来る限り信じたい。


 馬鹿だから、いつもその繰り返しだ。
 でもそれでも今はいいと思っている。

 騙すぐらいなら、騙されているほうがいい。
 悔しくないと言ったら嘘になるけど、俺は人間でいたい。
 

 今週の月曜で事実上、俺の新宿での生活は終わったが、今日ちゃんこ鍋を作る為に新宿に来た。
 知り合いのバーで先輩に腐るほど愚痴をこぼした。

 先輩はにっこり笑いながら愚痴を聞いてくれた。
 朝方まで飲んで、外に出ると雪が降っていた。

 今年、初めての雪である。
 

 今、事務所に戻り、新宿での最後の更新をこうして書いている。

 新宿の部屋は不定期連載として続けるが、俺の新宿生活は今日が本当の最後だ。


 色々、俺を成長させてくれた街。
 ずっと大好きな街だったけど、今はもういいやって想いが強い。

 でも、まだ俺には新宿で仲間が残っている。
 だからまた新宿に顔を出しには来るんだろうな。

 

 

2006/04/10
ブランコで首を吊った男


 新しい小説「ブランコで首を吊った男」の執筆を開始しました。
 ジャンルはホラー。
 
 扉絵も作ったので見たい方は気軽に見て下さい。
 
 それにしても最近、色々なものを執筆しだしたので
 どれもこれも未完成のままだ。

 今現在執筆状況を整理してみると……
 
・群馬の家
・ブランコで首を吊った男
・ピアノが弾けたら…
・器用貧乏
・新宿クレッシェンド第四弾 新宿クレッシェンドセカンド
 
 う~ん、五タイトルもやっているから、進み具合が悪いのか……。
 とりあえず頑張ってかんせいさせないと……。
 
 今日は三時半から面接である。場所は池袋。




2006/04/12
ブランコで首を吊った男 2


 最近の執筆状況でもしかしたら、一番いい状況で執筆が進んでいるかもしれない。
 
 書き始めたのが、2006/04/06。
 今日が12日だから、約一週間で400字詰め原稿用紙で72枚書けました。
 
 ちょこっと扉絵の色合いを変えてみました。




2006/04/18
ブランコで首を吊った男、とうとう完成!

 遂に出来ました。完成しました。

 ブランコに乗って首を吊った男。
 堂々の完成です。


 徹夜でやった甲斐があった~。
 
 執筆期間は、2006/04/06~2006/04/18の13日間でした。
 
 原稿用紙で132枚なので、自分にしては短めの小説です。 
 表紙張っておきますので、見てください。

 

2006/04/20
仮題 昭和の僕と平成の俺


 新作書き始めました
 一応、仮題で昭和の僕と平成の俺というタイトルです
 
 ジャンルは感動ものとなる予定です 
 読んだ人を必ず泣かせたい、そういう思いが強いですね
 
 乞う、ご期待あれ




2006/04/21
昭和の僕と平成の俺 その2


 なかなかいい進み具合である。
 書いていて、本当はこういったジャンルを書きたかったんじゃないかと思った。
 
 執筆して三日目で、400字詰め原稿用紙に換算で約83枚ほど書けている。
 執筆中、一つのエピソードを書いていて、涙ぐんでしまった自分がいた。

 初めて子供でも読ませたいと思うような物語を書いていると感じる。

 人情がどんどん少なくなる平成。
 あの頃の昭和を思い出すと、懐かしい日々が思い浮かぶ。
 
 俺は昭和という時代に生きて幸せだったと感じる。そして昭和が大好きだった。




2006/04/22
昭和の僕と平成の俺 その3


 今現在で102枚原稿が進んでいます。
 なかなかいいペースです。

 感動や笑い、懐かしさなど様々なエピソードを考え、作品に盛り込んでいます。
 
 誰にでも喜ばれる作品にしあげたいなと感じる今日この頃です。




2006/04/24
昭和の僕と平成の俺 完成!


 いやー、飯も食わずに今まで執筆してしまった…。
 とりあえず、「昭和の僕と平成の俺」は堂々の完成です。

 400字詰め原稿用紙で、202枚です。

 親がこれを読んだら、子供に勧めてあげて下さい。
 そのぐらいの力作です。
 
 これを読んで、何も感じないようなら、あなたは病気ですって言葉ぐらいいいたいw
 
 久しぶりに気合い入れました!
 タイトルは「昭和の僕と平成の俺 ママの章」と変更しました。

 

2006/04/25
つぶし屋


 しばらく執筆するの休もうと思っていましたが、結局書き出してしまいました。
 
 また、これで寝る時間がしばらく少なくなりそうです。
 
 一応、題名は「つぶし屋」です。
 依頼を受け、サービス業中心の店舗をつぶす男の物語です。

 依頼人は女性からしか受けません。
 
 ちょっとした近所の人との会話から、思いついた作品です。
 …と、言っても、まだ書きはじめなので、自分自身どのような作品になるかは分かりませんw。




2006/04/25
幻冬舎の受付
去年11月末に幻冬舎へ応募した。
 

 応募した作品は自分の処女作である「新宿クレッシェンド」
 歌舞伎町の街で、初めて働く主人公を内側からの視線で描写した作品である。
 
 選考に半年ほどかかると、言われた。

 現在、まだ、返事はない。
 昨日、幻冬舎に電話してみた。
 
 個人的な選考には答えられないという。
 
 じゃあ、11月に送った作品が、今回は選考されているのかと尋ねた。
 もし、選考されているなら、俺の作品は落選したという事になる。
 
 しかし、編集者は今、外出しています。また連絡して下さい。…の、一点張りで、結局、俺は五回も電話した。
 
 最後に電話すると、本日、編集者は帰ったので明日にまたお願いしますと言われた。
 
 俺は、貴社のこれが断り文句なのかと聞いた。それならもう用はないと……。
 
 その受付は違うと否定し、自分の名前を言った。

 本日は無理ですが、明日はこちらから電話させますと、言ってくれた。
 そして何を尋ねたいのか聞いてきた。
 
 先ほどの聞きたい点と、もう一つ、俺の場合、応募規定をまったく無視して、自分で製本して本という形で送ったので、その場合、いきなり選考外になるのかどうかを聞きたいと言った。
 
 了承しました。
 明日、連絡致しますと、受付の方は答えてくれた。
 
 最後の電話で救われた気がする。
 受付の方に素直に感謝したい。




2006/04/25
昭和の僕と平成の俺 ママの章応募しました


 野性時代 青春文学大賞受付確認 
 
 このたびは第2回青春文学大賞にご応募いただきありがとうございました。 
 2006年5~7月に第一次選考、同9月末ごろに最終選考を予定しております。
 それぞれの結果は、弊社の小説雑誌「野性時代」、PR誌「本の旅人」誌上、および角川書店のホームページでお知らせいたします。
http://www.kadokawa.co.jp/

(株)幻冬舎 第2回「感動ノンフィクション大賞」

【創設にあたって】
 私たちが日々、生活していく中で様々な物語が生まれています。親子、夫婦、兄弟、友達、恋人……そんな人と人との関わりから誕生し育まれたドラマ。また、直面せざるを得なかった理不尽な事件。忘れられない幸福な出来事。あなたが体験した、そんな出来事を文章にしてみませんか。大賞作品は原則として、幻冬舎より刊行され、フジテレビでドラマ化されます。

【対象テーマ】
・愛する人との出逢いや別れ
・人生を変えるきっかけとなった出来事
・旅先での貴重な体験や人々との心の交流
・勉強、スポーツ、趣味や仕事を通じて育んだ友情や絆
・決して忘れることの出来ない思い出

 以上の二点です。




2006/04/27
つぶし屋 その2


 現時点で、原稿用紙70枚分書き終わりました。
  さて、どうなる事やら……。
 
 最初に考えてた展開から、大幅に変わってきました。 
 本筋は変わらないですけどね……。
 
 主人公の柴木大介と、絶世の美女、本庄千夏が繰り広げるつぶし屋稼業。 
 乞う、ご期待して下さい。




2006/04/28
つぶし屋、執筆完成!


 たった今、執筆完了です。
 
 2006/04/25~2006/04/28 最新記録4日で完成 87枚
 
 う~ん、書いていて、自分で途中で飽きてしまい、短くなってしまいました。反省……。
 でも、ホラーとしては、なかなかいけるんじゃないかと思います。
 
「ブランコで首を吊った男」の出来は、知り合いに読んでもらい、絶賛されました。
 
 これはまだ、誰にも見せていないので、評価が気になるところです。

 

 

2006/05/01
ゴールデンウィーク


 特に何があるという訳ではないが、例の群馬の家へ3日に行ってきます。
 
 霊媒師のような(本人はそう言ってないが・・・)おばさんが、自分の前世とかについて、色々教えてくれるところです。

 結構、ズバズバと鋭いところをついてくるので、行くと何かしら得たような気分になれます。
 これを読んでいるみなさんは、胡散臭く感じるでしょうねw。
 
 とりあえず、3日は、小説の件に関して、聞いてみようと思ってます。
 




2006/05/03
群馬の家に行って…


 前回の記事で紹介した群馬の家に行って、ただいま戻りました。
 
 今日のポイントは二つあって、一つはプライベート的なものなので、今回伏せますが、もう一つは自分の執筆した小説についてでした。

「ブランコで首を吊った男」「昭和の僕と平成の俺 ママの章」「つぶし屋」の三点について
 

 先生に色々聞いてみたところ、「ブランコで首を吊った男」の本を見て表情が急に険しくなった。
 

「あ、これはですね、ホラーっていうジャンルを書いてみようと思い、色々考えたんですよ。結構苦労しましたね」
 
 自分がそう説明すると、先生は真顔で静かにいいだした。
 
「あなた、これ…、本物のホラーよ……」
 
「はぁ?」
 先生が何を言いたいのか分からずに、自分は黙って聞いてみる事にした。
 
「これ、あなたに霊が訴えてできた作品なのね……」
 
「え、なんですか?違いますよ。あくまでも自分が必死に構想を練って……」
 
「確かに書いたのは、あなたですよ。でも、業界用語でチャネリングっていうものなのですが……」
 
「ええ」
 
「彷徨っていた霊が、あなたの力を借りて、それで出来た作品なんですよ」


 自分には先生の言い方が、腑に落ちなかった。
 ブランコは俺が自力で、ホラーというジャンルとして書いてみようと、頑張った作品なのだ。

 どのようにやったら、怖さがでるか。ギャーとかワーといった、驚きだけがホラーではないと常に考えていたので、試行錯誤しながら書いたのである。
 


「お言葉ですが、先生。これは自分で考えたものです。いくらなんでも、霊が書かせたなんて、それは違いますよ。第一、執筆中に俺は、いつも意識はハッキリしていましたし……」

「じゃあ、何故この題名にしたの?」

「これは言っちゃうト、ネタばれにもなりますけど、いかにもブランコで首を吊ったって言うのが、タイトルだけで見ると、主人公っぽくみんな、感じると思うんですよね」

「だからそこなのよ」

「え?」
 
「別に首を吊るだけなら、自宅の天井からとか、木の枝でとか普通は考えるわ。ブランコなんて発想はそう出てこないでしょ?」

「うーん…、確かにそうですけど……」
 
「まだ、分からない?過去に何かあなたの記憶に、残っているものがあるんじゃないの?」

 

 幼少時代を思い出した。
 俺は体が小刻みに震えていた。


 以前、遊び場になっていたお寺。
 そのお寺は今、思えば不思議な寺で、だパートの屋上にあるようなちょっとした遊園地兼ゲームセンターが同じ敷地内にあった。

 よくそこでゲームをして遊んだものである。

 またちょっとした公園のスペースもあり、ジャングルジムやブランコで遊び、しょんべん小僧の噴水を楽しみながら見たものである。


 現在はその遊び場は撤去され、お寺らしいお寺になったが、もう一つなくなったものがあった。

 

「ブランコ…。普通の一人乗りのブランコじゃなく、向かい合って座る二人乗りのブランコがあったんです。ガキの頃、よく遊んだお寺に……」
 
「ええ」
 
「実際に見た訳じゃないけど、そのブランコで首吊りがあったって聞いて…。今はもうないです」

「それね…。その霊があなたに訴えたのよ。作品として、自分を出して欲しいって……」
 


 作品の中に出てくるブランコで首を吊った男……。
 俺は執筆した内容を思い出した。
 

 赤いベンチに腰掛け、煙草を吸う。
 今この時間だけは俺一人の公園なのだ。

 乱暴に吸殻を投げ捨てると、ブランコの方へ向かった。

 途中で妙な違和感を覚えた。


 おかしい……。
 ここは僕一人しかいないはずだ。

 それなのに誰か他にいるような気配がする。


 辺りを見回してみたが誰もいない。

 単なる気のせいだ。
 自分に言い聞かせ、ブランコの方へ向かう。

 近づくにつれて妙な嫌な臭いがしてきた。


「うっ……」

 人間本当に驚いた時は声が出ないとよく言われるが、正にその通りだった。


 視力の悪い僕はブランコの目の前まで来て、初めて自分以外に誰かいる事に気がついた。


 目の前にサラリーマン風の男がいる。
 視線は地面のどこか一点を見据えているようで、僕などまるで視界に入っていないみたいだ。

 その男は全身の力が抜けたかのように両腕をダランと垂らしていた。

 頭の上に見える紐。
 その紐を上に追っていくと、ブランコの上の棒にくくりつけてあった。


 静寂に包まれた空間の中での異質な状況。
 頭の中がどうにかなりそうだった。

 僕はその場に汚物をぶちまけたかったが、懸命に堪えた。

 しばらく地面に座り込んでから、ゆっくりと男のほうへ振り返った。


 グレーのスーツの男はブランコの場所で、こんな夜中に首を吊っていたのだ。
 地面から三十センチほど宙に浮いた足。
 その足元には糞尿など様々な老廃物でいっぱいだった。

 異臭の元はこれだったのだ。

 

 

 そういえば、何故、俺はさほども苦労せずにその描写を書いたのだろう。
 別に吊った男の服装をもっとラフな格好にしても良かったはずだ。

「自分の自殺する時の無念さをちゃんと訴えたかったのね…。そのままの服装でその人は亡くなったはずよ」

 

「……」

 

 確かにこの作品は知り合いに読ませ、みんな感想は怖い、全体的によくまとまっているし、賞をとってもおかしくないと思うという感想だった。

 俺は自分の作品の評価に、とても喜んだが、そのまでこれって怖いかっていう思いも内心はあったのである。

 
「ある意味、あなたは人助け…、霊助けしたのよ」
 
「それっていい事ですか?」

「もちろんです。あなたの作品、今日、借りて読ませてもらってもいい?」

「かまわないですよ。どれがいいです。やっぱりホラーで言うなら、このブランコだし、感動ものでいったら、昭和の僕ですね」

「ブランコはやめておくわ。昭和のやつは見せてもらいます」

「え、ブランコってヤバイんですか?」

「うーん、ホラー好きの人にはいいと思うけど、ちょっといわく憑きじゃないけど…。私はそっちはいいわ」
  そう言って先生は、「昭和の僕と平成の俺 ママの章」と、「つぶし屋」の二冊を手に取った。

 
「あなた、だんだん作家の顔になってきたわね」
 そう言って先生はにっこり微笑んだ。

 

 

 

 

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