korou's Column

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歌番組を観るリテラシー

2018-01-03 | テレビ

紅白歌合戦という番組について考えてみる。

ほとんどの歌番組の視聴率が10%前後になっている現在(1桁視聴率もしばしば)

いまだに40%の視聴率を堅持しているのは凄いことである。

ネットの評判をチェックすると

「ジャニーズだらけで観る気がしない」とか

「ジャニタレ、AKBばかりでつまらん」とか

「目玉がいかにもあるように見せかけてあざとい(安室出演決定前の状況)」とか

散々なのだが

実はその批判の大半は的を得ていない。

いかにイメージだけで物事を考えている人が多いのかが分かる。

(ついでに書けば

 これと同じ安易さで政治経済などを語る人が多いのも事実で

 政治経済についてそういうイージーさは深刻な問題なのだが

 それについては今回は触れない)

 

 

まず、ジャニーズ事務所については

私も不満な点が多いのは認めるが(SMAPのような国民的タレントを

解散に追い込んでしまう管理能力の無さは致命的だ)

少なくとも「紅白」については

NHKはフェアに扱っていて

そのことについてジャニーズ側も必ずしも横暴ではないように見える。

「ジャニーズだらけ」というのは大いなる誤解で

今回はジャニーズ枠について言えば

選定の段階で昨年より2枠減っている。

TOKIO、嵐、関ジャニ∞、Hey! Say! JUMP、Sexy Zoneの5組で

このうち嵐と関ジャニは

もし選ばれなければ、そのほうがおかしいくらいの昨年の活躍だった。

Hey! Say! JUMPとSexy Zoneは

厳しく言えばどちらか1組でよかったかもしれないが

オリコン1位連発の両グループなので

選ばれること自体に何ら問題もない。

TOKIOは明らかにヒット曲そのものが存在しないので

事務所側のゴリ押しと言えなくもないが

せいぜい文句が言えるとしたら、その程度だろう。

むしろ、デビュー20周年のKinKi Kidsとか

進境著しいA.B.C-Zなどが追加で選ばれても

おかしくなかった。

結局、ネットで多数書き込みする世代の人たちは

ジャニタレが嫌いなだけなのである。

まあ、それはそれで全然かまわないのだが

であるとしたら「ジャニタレの出る音楽番組は観ない」とだけ

書けばいいのである。

「紅白はジャニーズだらけ」というのは明らかな誤認で

イメージだけで書いているか

あるいは「紅白」の過大評価のどちらかだろう。

普通に音楽番組を企画すれば

この程度はジャニーズ事務所に配慮するのは

現在のテレビ界では当然のことではないだろうか。

 

「AKBだらけ」という書き込みについては

もう悪口を書きたいだけのための文言でしかない。

AKBグループは、AKB以外全部落選していて

1組だけなのだから。

多分、そういうことを書く人は

乃木坂と欅坂も含めて言っているのだろうが

そのあたりは、昨年の売れっぷりからして

それこそ選出されなかったらお笑い草になってしまう。

 

大物歌手について

ここ数年の傾向として

「現在も出演交渉中です」というやり方で期待をつなぐ手法は

まあ、諸般の事情からして仕方ないのではないかと思う。

「紅白」&「歌合戦」というフォーマットが

多くの大物歌手の出演を躊躇させているという現状がある以上

このような手法で、そのためらいを緩和させる効果があるのなら

むしろ、よくぞこの手法を思いついたものだと賛辞を送りたい。

昨年のSMAPへの交渉失敗に続き

今回不可能と思われた安室奈美恵への交渉が発表されたときには

さすがに”「期待の引き延ばし」作戦”も濫用はマズいのでは、と思ったものの

安室の引っ張り出しに成功し

さらにサザン桑田の出演もOKにしたことで

この手法は来年以降も継続されるだろう。

MISIA、中島みゆき、BUMP OF CHICKEN、矢沢永吉、RADWIMPSなどの歌を

きっちりテレビで堪能できるのは

ずばり「紅白歌合戦」というフォーマットの功徳である。

他の歌番組では(不可能とまでは言わないが)かなり困難な企画であることは

間違いない。

個人的には

「紅白」のすべてが素晴らしいとも思っていないのだが

これはハッキリと「紅白」の長所として認めなければならない点だと思う。

そこを批判するのは

まさに批判したいという気持ちだけの”空論”でしかない。

 

そして極め付きは視聴率報道の歪みだろう。

どういうバイアスがかかってそう報道されるのかは不明だが

今回の「紅白」の視聴率は概ね昨年よりは上昇したのに

一般には「今まででワースト3位」と報道された。

事実を書けば、地域別視聴率は次の通りである。

第2部(▲は昨年よりアップ、▼は昨年よりダウン)
関東(39.4%)▼
関西(39.6%)▲
名古屋(45.7%)▲
北部九州(39.8%)▲
札幌(41.6%)▲
広島(41.7%)▲
静岡(48.7%)▲

これで「今まででワースト3位」の見出しをつけるのだから

その背景として

ある程度予定の原稿を想定して

それに現実をあてはめようとする報道の姿勢を

感じずにはいられない。

別に「紅白」の弁護をするつもりはさらさらないが

今回のような報道は

明らかに間違っている。

 

さて、そうした今回の「紅白」について

個人的感想を述べれば

観るまでは

「もう全部観るのは止めよう。観たいところだけ観よう」と思っていたのが

観たあとは

「まあ、とりあえず来年も全部観ようかな」と思い直すほど

観ていて安定していたなということになる。

総合司会の内村が

出演歌手やタレントの多くについて

彼ならではのコメントができる立場であったことが大きい。

また昨年の司会の相葉より今年の司会の二宮のほうが

安心して観られたこともある(ただし有村架純の司会は今年で終わりにしてほしい)

 

歌そのものは

竹原ピストルとかsuperflyなど聴かせるものもあったものの

全体として、このメンバーならもっと聴かせる演出があっただろうという思いがある。

でも、これは基本のフォーマットが「歌中心のバラエティ」なのだから

仕方ない。

真剣に歌を聴くなら

このフォーマットはゴテゴテしすぎて不向きだと思う。

 

もしネットで「紅白」を語るなら

そういうフォーマットについて語ってほしいと思うのである。

イメージだけの落書きは不要だ。

(それは政治、経済、社会問題全般に言えることだが)

たかが音楽番組についてのリテラシーかもしれないが

この年末年始にそんなことを考えた。

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