goo blog サービス終了のお知らせ 

korou's Column

2024.5.1 音楽ブログとして再スタート。

二宮愛とミイヒ

2020-12-02 | J-POP

今日は、あの”NiziU”のデビュー日。

とはいえ、もうテレビ番組で何度も見かけているので

今さら今日がデビューというのもどうなのか。

 

NiziUは、言ってみれば

モー娘。の二番煎じみたいなもので

その成長過程を細かく映像で知らせることによって

メンバーへの感情移入を掻き立て

それにより人気を煽っていくという戦術だ。

ただ大きな違いとして

モー娘。には、かなりの期間

その見え透いた戦術感、商品提供感がつきまとっていたのに対し

NiziUにはそうした商品提供感が見えてこないという点があるだろう。

少なくとも、モー娘。の初期には

いい意味でも悪い意味でも感じられた「安っぽさ」は

今のNiziUには感じられない。

 

その上質感とでもいうものを支えているのが

JYP創業者でNiziUプロジェクトを立ち上げたパク・ジニョン(J.Y.Park)の

的確な指導ぶり、巧みな演出に由来するのだろう。

ジニョンも、いろいろ調べてみると

かなり怪しい部分も持ち合わせている人物だが

(ただし、そうでないと実業家としてやっていけないだろうとも思うのだが)

NiziUのメンバー候補に対して

指導の言葉をかける場面を映像で見る限り

(つんく♂には申し訳ないが)モー娘。の各メンバーにかけた言葉とは

深み、説得力が違うように思える。

つんく♂の言葉も

普通のレベルで考えれば相当興味深いものがあったのだが

(だから、自分はモー娘。の成長過程を面白く眺めることができた)

ジニョンの言葉は、そのレベルをさえ超えている。

どこにも「安っぽさ」のイメージは存在しなかったと言えるだろう。

 

そして、少なくともNiziUのファンになるほどの嗜好を持つ人の間では

日韓におけるアイドル、スターのレベルの違いを十分に知っているわけで

その意味で

よりハイレベルなダンス、歌唱の技術を身に着けようとしている女の子たち

というドラマを見せられた後では

「安っぽさ」というイメージが入り込む余地はなかった。

(その意味で、ファンの一部から「日本のテレビに出だすと、意外に歌が下手でがっかり」

 という声がすぐに広まったりすること自体、もともとの期待の大きさがうかがわれる)

 

そんなハイレベルな特訓を受けて

それなりに”韓流アーティスト”並みの動き、発声を身に着けた彼女たちとはいえ

じゃあこれからは順風満帆かというと

必ずしもそうではないと思う。

やはり日韓のレベルの差はそう簡単には縮まらないのではないか。

今回、NiziUのメンバー候補たちは

オーディション、レッスンの段階で

様々な韓流アーティストの歌を練習していたのだが

その元になったTWICE、ITZYの曲をオリジナルで観てみると

想像以上にハードでハイレベルだ。

一体、日本の48グループ、坂グループは何をやっているのか?学芸会か宴会芸か?と

思えるほどレベルの差は激しい。

韓国のファンも取り込んでということになると

もうワンランク上のレベルまで達する必要があるように思える。

 

もっとも、

日本である程度の成功を収められたらそれで良いということであれば

全く問題ないはずだ。

すでにデビュー前から

こんなに成功しているのだから。

ただ、ジニョンの意図が”世界にはばたく”ということなので

そういう形の成功は目指していないだろう。

さあ、これからどうなるのか。

 

と、ここまで書いて

実はNiziUにはそれほど興味がない、と書くと怒られそうだが

実際のところ

自分の感想としては

NiziU全体には普通程度の興味しかなく

今のところ、メンバーの1人ミイヒだけに興味がある。

現時点では、まだ体調不調ということで

メンバーの中で唯一活動停止になっているミイヒだが

なぜ、そのミイヒに興味があるのかといえば

その歌唱が素晴らしいからである。

 

ミイヒの歌唱がどんな風に素晴らしいか、それを語る前に

最近youtubeチャンネルを始めた二宮愛という人について語ることで

その対比としてミイヒの歌唱を考えることにする、

どちらも上手いのだが

その上手さが実に対照的だからだ。

 

☆☆☆

 

二宮愛は、1990年生まれの歌手で

2015年にTBS「UTAGE」に出演したこと以外

目立った経歴は何一つない。

ただ、その「UTAGE」での見事な歌唱をたまたま見ていた自分としては

歌唱力のある女性歌手が居るものだなあと注目していた。

しかし、その後の情報は全くなく

テレ東「カラオケ☆バトル」に出演歴があるらしいのだが

いずれも見逃していた。

それが、昨日、偶然にも彼女が

この6月からyoutubeチャンネルを開設していることを知って

久々に聴いたところ

以前にも増して歌が力強くなっていたので

まだまだこの人はいけるぞと嬉しくなってしまった。

いろいろとカヴァー曲を歌っているのだが

出だしからぐっと心をつかまれる出来映えなら、この曲かな。

 

Everything / MISIA Unplugged cover by Ai Ninomiya

 

全然知らない人が突然このレベルで歌い出したら

思わず「えっ?」と驚いてしまう歌唱ではないだろうか。

 

・・・でも、これだけ歌が上手くても・・・まだまだなのである、

いろいろと彼女のカヴァーを聴いて

それからどうしたわけか無性にオリジナルを聴きたくなり

そのオリジナルの歌唱がそれなりに定評のあるものだったら

やはりオリジナルはいいなと思ったりするのだから。

どうしてだろう?こんなに上手いのに。

いや決して下手なカヴァーではない。それは断言できる。

でもオリジナルのほうが懐かしく思えてくるのだ。

LiSA「炎」、サザン「TSUNAMI」など・・・

 

ここまで書いてきて、一体何がどうなっていたのか

少し分かってきた。

愛さんのカヴァーは、その声質、表現力からして

聴く前からある程度の出来栄えは予測できるのだ。

大抵の場合、その予想通りのレベルで歌い切れる力があるので

聴くほうの意識としては、聴く前と聴く後とで

”歌手・二宮愛”のイメージは何も変わらないのだが

演歌の世界ならともかく、ポップス系の歌唱で

これほど安定した歌唱、綺麗な日本語、きっちりとした盛り上げができる人は

そうそう居ない。

そんなわけで”歌手・二宮愛”のイメージは(良い意味で)どこかへ消え去り

一定の感銘を受けた意識は、もっぱら”曲そのもの”に集中する。

こんなに素晴らしい曲だったのか、と再認識させられ

じゃあオリジナルはどうだったのかと聴きたくなり

そこではオリジナルを歌った歌手の巧さと曲そのものの良さがミックスされ

歌手のイメージが加わった分だけ

オリジナルのほうが良く聴こえるというわけなのだろう。

愛さんは、曲を完璧に再現できても

そこに新しい生命を吹き込むことは完全にはできていない。

(もちろん、これだけの歌唱力なので、ある程度はできている。

 さっきも宇多田ヒカル「First Love」を聴いて、カヴァーならではの表現が

 出来ていると感じたが、でも、やはりヒッキーの歌唱も聴いてみたいと思った)

ただし二宮愛の歌唱としては十分に個性が完成している。

そう思えば何の問題もない。

なかなか評価が難しいところだと思う。

 

☆☆☆

 

NiziUのミイヒはまだ16才である。

30才の二宮愛とは、いろいろな意味で直接の比較にはならない、

ただし、驚くべき可能性を秘めていることも確かなので

あえて、既述の”二宮愛のカヴァー問題”への対比として

その歌唱を取り上げてみたい。

 

ミイヒのこれまでの一番の歌唱は

これはファンであれば誰に訊いても

韓国での最初のレッスンで披露した「NOBODY」と答えるだろう。

NiziU関連の動画は、今のところ抜群の人気を誇っていて

どの動画もあっという間に100万単位で視聴回数を増やしているが

そのなかでも、このミイヒの「NOBODY」の動画は

メンバー個人の動画としてはトップクラスで

すでに累計で1000万回再生を超えている。

 

オリジナルの歌唱を知らない自分としても

この歌唱には感動、感涙した。

15才で、こんなに感情表現ができる人がかつて居ただろうか。

当ブログは、2007年-2010年にかけて凄かった

松浦亜弥に敬意を表して発展したブログだが

その亜弥さんとの対比で言えば

少なくとも15才という時点では

ミイヒは松浦亜弥を上回っていると(私としては)言わざるを得ない。

15才の”あやや”は音程はしっかりしていて

アイドルの歌唱力として何の問題もなかったが

ここまでの感情表現には到達していなかったと思う。

 

ここでは、そこからさらに遡り

東京でのNiziUメンバー候補選抜の際に

15才になったばかりのミイヒが歌った

「雪の華」を引用して

その歌唱の特徴を記すことにする。

(「NOBODY」の動画は、ミイヒの歌唱に対するジニョンの反応が曲の途中に挿入されて

 いて曲の再現という点で不都合なことと、自分がオリジナルを知らない上に、韓国語の

 歌詞ということもあって、正確にはどんなレベルのカヴァーなのか、どういう内容の歌詞

 でそれをどう解釈しているのかなどについて分析し辛いので、ここでは割愛)

 

ちょっと前までわずか14才だった彼女なので

いくら韓国でいくらかレッスンを受けていたとはいえ

いろいろな意味でまだ不十分な箇所が目立つ歌唱なのだが

そこは目をつぶって最後まで聴いてもらいたい映像である。

(「少し大きめの音量で再生」推奨)

 

鈴野未光 - 雪の華

 

1分40秒あたりからのサビの部分で

声質はそのままで力強いニュアンスを出すあたりも上手いが

何よりも2分10秒あたりからのCメロ再現の部分で

一気に声質に潤いを加えて

歌詞の内容に沿った感情表現が巧まずしてできているあたり

その年令を考えれば信じられない歌唱だ。

オリジナルの中島美嘉の歌唱は

これに比べれば実に平坦だ。

もっとも、これは中島美嘉が意図的にそうしているわけで

美嘉さんは、NHKのインタビューに対して

「どうしても、この曲は解釈できなかった。他の曲はそれなりに自分で解釈できるのに

 この曲だけはダメだった。それで何の解釈もせず、曲に身を任せるようにして歌った」

と言っているのを聞いたことがある。

その結果、美嘉さんの独特な声質が全体を覆っていく感じになり

その淡いタッチの歌唱が、この曲の曲想にぴったりになったのだが。

それに対して、ミイヒは真っ向勝負でこの曲に挑み

その時点でできる限りの表現を加えて、この曲を歌い切った。

どちらも素晴らしい。

 

トータルではどう考えても二宮愛の完成度には程遠い。

でも、ミイヒには、二宮愛がどうしても成し遂げられなかった

”オリジナル超え”が奇跡的にできている。

これも、どちらがより素晴らしいということではなく

歌手としての個性の話になると思う。

二宮愛さんはこれからも応援していくつもりだが

ミイヒは、今のところ波乱万丈だ、

現在の体調不調がどのようなものなのか?

そもそも彼女の天才は大きく花開くことになるのか?

ミイヒには大きな夢といくらかの不安がつきまとう。

 

(2020.12.4 追記)

その後、youtubeの二宮愛チャンネルに登録されている動画を

くまなくチェックしてみて

そのうちのいくつかは

”オリジナル超え”した名唱であることを認識しました。

それらは時間をかけて歌詞の意味を掘り下げ

その上で試行錯誤を重ねて歌われたものばかりで

そういうプロセスをかける時間さえあれば

”オリジナル超え”はできる歌手であることが分かりました。

ということで

今回の記事については修正の余地があるのですが

そのあたりを厳密に修正していくのは難しいので

また、二宮愛の記事を追記していくことによって

訂正することにします。

今回の記事は

第一印象はこうだった、という風に

読んでいただけれれば幸いです

(2025.3.30追記)

前回の追記で
二宮愛さんの歌唱を再評価しているようなことを書きましたが
実際のところは
その後に当ブログで彼女の歌唱を取り上げていないことからも分かるように
そこまでの再評価をするところまでは行き着きませんでした。
今も最新の動画をチェックしてみて
彼女の歌唱は以前と変わっていませんでした。
上手いのは上手いのです。
このレベルで歌える人はそうそう居ないはずです。

ただ個人的な好みとして
声質の問題があるだけです。
彼女の歌は、地声が綺麗で伸びが抜群なので
逆に細かい工夫が邪魔になるというか
そのままでも多くの人に感銘を与えることができると思います。
ただ個人的な嗜好として
声質に細かい工夫をしている歌手のほうに好みがあるので
こういう「そのままの歌唱」に惹かれないというだけのことです。
「上手いけど熱中して聴くまでには至らない」これが
現時点での個人的な感想です。

久々に、この自分が書いた文章「二宮愛とミイヒ」を読んで
これはこれで成り立っていると思いました(自画自賛?笑)
一方のミイヒはどうかというと
何だかなあ、という感じです。
まあ、これについては
また追記します(長くなったんで)
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 筒美京平(4) 80年代以降 | トップ | 祝・亜弥さん家に第3子誕生 »

2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
いいかげんさがいいかげん (あやマルm(_ _)m)
2020-12-04 14:12:58
素晴らしい歌姫をご紹介いただきありがとうございます。

ミイヒさんはたしかに松浦亜弥さん以来の逸材かもしれませんね。個人的にはソロで行けばいいのにと思ったりしますが時代ですかね。

二宮愛さんは、すごいなと驚き、2曲、3曲と聴いたところでお腹が一杯になってしまいました。どうもこれはうまいけど何度もくり返し聴きたくなる歌ではないなと。

松浦亜弥さんはなぜ飽きないのかと考えてみました。本当のところはわからないのですが、亜弥さんは正確なピッチで隅々まで丁寧に歌いながら、即興性というか、その場のノリで歌うところがあり、そこに惹かれているのかもしれないと考えています。

マニアックライブ2で「悪くいえば適当なライブです。でも手を抜くわけでは全然ないんです」というくだりがありますが、まさにそんな感じで、客席やバンドとの当意即妙なやり取りがあり、その中で「私が歌いたいように歌う」というところにシェフのおまかせ料理のような楽しさがあるような気がしています。

それにつけても生で聴きたい秋晴れの午後。

返信する
Re:いいかげんさがいいかげん (korou)
2020-12-04 22:54:44
>あやマルm(_ _)mさん

さっそくのコメント、ありがとうございます。

>>ミイヒさんは・・・逸材かもしれませんね。・・・ソロで行けばいいのにと
>>思ったりしますが時代ですかね。

そうですね。女性のソロ歌手は芸能事務所側にとって旨味が少ないので
今は難しいようですね。
ただ(遅まきながら)今日知ったのですが
ごっちん(後藤真希)が9年ぶりに復活するみたいですね。
youtubeチャンネルを開始して、その勢いで有料配信ライブをやるようです。
いきなりホールを借りてリサイタルというのは敷居が高いですが
配信ライブなら、何とかなりそうですからね。
コロナ禍がもたらした配信ライブのブームですが
今後の女性ソロ歌手の活躍モデルとなりそうです。
亜弥さんも配信ライブで復活という線もありそう?

>>亜弥さんは・・隅々まで丁寧に歌いながら・・その場のノリで歌うところがあり、
>>そこに惹かれているのかもしれないと考えています。

そういう「ノリで歌う」ことについて好意的にとらえることができたら
もう亜弥さんの思うツボにハマってますね(笑)
私は、アヤまるさんのように一気にハマれないグズグズしたファンなので
ライブではもう少し準備してきちんとしてほしいなあとも思っていますが
それでも、準備しない良さのようなものもあったりするので
なかなか、そのへんは厄介です(^^)

二宮愛さんにしても
準備が十分であれば、凄い歌唱になっています。
「ファイト(中島みゆき)」とか「さよならも言わないままで(MISIA)」などの
カヴァー歌唱は素晴らしいですよ。
ただ準備が十分でないのが感じられる歌唱については
おっしゃる通り、何度も繰り返し聴きたくなる感じではないですね、残念ながら。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

J-POP」カテゴリの最新記事