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日本のニンジンとアメリカのニンジン

2007-04-24 23:08:33 | Weblog

http://www3.plala.or.jp/shindofuji/
日本のニンジンとアメリカのニンジン

  「環境拘束性」と農作物(食物)との関係について考えてみrる。

 ところで「環境拘束性」とは、筆者の造語であって、「身土不二」の別名といってよい。つまり、私たちは、環境に支配される存在ということである。
 

 食糧(=農産物)といえば、ともすれば「量」に偏りがちな議論が多いようである。「量」もさることながら「質」もないがしろにできないのが、食物というものである。したがって、食糧を論じるにあたっては、「量」と「質」の両面にわたってみなければならない
 

  食物が安全でなのか不安全なのか、そのいずれかを決定するものが「質」である。この「質」は、いいかえると、食物が身体になじむかどうかということでもある。身体になじむ食物は安全であって、身体になじまない食物は安全でない。
 

  ところで、世界各地は、空気、水、土壌、温度、湿度、気流、海流など、地域によって、すべてが異なっている。したがって、同じ品種のニンジンを、同じように栽培しても、日本列島と北アメリカで収穫されたニンジンは、似てはいるが同じではない。
 
  この二つのニンジンを比べると、味が微妙に、あるいは相当に異なる。味の異なるのは、それぞれのニンジン成分の割合が異なるからである。このように成分比率が異なるのは、栽培条件の相違、つまり、環境(空気、水、土壌、温度、湿度他)が異なるからである。
 
  ニンジンは、環境によって異なる。つまり、日本ならば日本という「ある特定の環境」は、その環境に拘束されるニンジンを生みだすのである。このことは、ニンジンだけでなく、あらゆる農産物に当てはまる。 

  すべての農産物には、例外なく「ある特定の環境」の影響が刻まれている。この「特定の環境」の下で産みだされた「特定の農産物」を食する人間とは、「特定の環境の人間化」である。

 「ある食物の栽培環境」と「その食物を食べる人が住む環境」が同じであれば、その食物は、身体になじみ安全であり、健康をもたらしてくれる。

 このふたつの環境が不一致であれば、その食物は、身体になじまず、安全さも損なわれ健康も損なわれる。(文責 石澤文規)


         
バナナとリンゴ 
 
 
さきに、ニンジンでもって「環境拘束性」を説明した。いま一度、バナナとリンゴでもって、この「環境拘束性」を考えてみよう。

 バナナは、フィリッピン・台湾など、熱帯という環境(地域性・気候性)でのみ育つもので、日本のような温帯の環境では育たない。

 リンゴは、北海道・東北北部・長野県など寒冷な地で育つが、フィリッピン・台湾などの熱帯地域では育たない。このように、作物は、その生育環境に支配されるものである。よく、適地適作とはいわれるが、これなども、環境による農作物への拘束性を示している。

 このように「環境拘束性」が、作物の「種類」と「質」と「量」を決定する。

 
 
岩田進午『土は生命の源』(創森社)には、次のような指摘がある。
 
「現代農業の最大の思想的弱点は、人間の健康とのかかわりで、農業をみていない点にあります。食料は、健康によく、安全でなければならないという、しごく当たり前の論理が欠如しているのです」(194頁)

  ところで、食物の「質」といえば、残留農薬禍とか、化学肥料で栽培される「水ぶくれの栄養価の少ない農産物」がとりあげられる。だが、この食物の「質」は、それだけに止どまるものではない。先に触れた「環境質」も含まれるのである。この「質」は、あまり論じられることが少ないが、きわめて重要なので、抜かすわけにいかない。

 いかなる農作物も、この「環境質」の拘束から逃れられない。岩田進午氏の指摘「食料は、健康によく、安全でなければならない」には、当然のことながら、この「環境拘束性」「環境質」が含まれると考えるべきであろう。

 「環境と食物と人間」は、環境的に一致していなければ、生命と健康を損ねるということを、「身土不二の原則」が教えてくれる。

 日本列島という「特定の環境」にいれば、その環境で取れた特定の農産物(国産農産物)を食することが、「身土不二の原則」に適うことになる。
 したがって、輸入農産物(外国の環境の産物)を食すると、「農産物の生育環境」と「食する人の環境」とが不一致となる。この不一致は、生理機能に負担をかけ、疾病が悪化したり、新たな疾病を呼び込む。

 輸入農産物は、「身土不二の原則」からは「不適食」である。もちろん、輸入農産物が悪いのではない。輸入農産物は、その原産地では、「身土不二の原則」に適う「適食」なのだから。(文責 石澤文規)