かなり初期の頃、朝食を作るのに6時間かかった子供たちがいたそうです。「いたそうです」と書いたのは、このサマーキャンプの時、私は参加していなかったので伝聞でしか知らないからです。
朝の6時から炊事を始め、火が消え、また着け、また消え…これが繰り返されたそうです。途中から、そのグループの子供たちは諦めてしまい、ボーッとして座っているだけの子が大半になったとか。そんな中、一人だけ着火の努力を続けた子がいて、何とか12時には御飯が炊け、グループ全員が「朝食」を食べる事ができたそうです。
さすがに、これ以後、あまりにも手際の悪いグループには、指導心がアドバイスしたり、ほんの少しだけ手を貸したりするようになりました。
ただ、この経験は単なる苦労では終わりません。一人だけ努力し続けた子は、炊事に関して様々な事を学びました。その結果、次の炊事からは手際が良くなったそうです。また、同じグループで見ていただけの子供たちは、仲間のありがたさを強く感じたようです。この後、このグループは仲間同士の結び付きが強くなったとか。
これは極端な話ですが、子供たちにとって炊事は相当に難しい活動となります。ある種、極限状況と言っても良いでしょう。だからこそ、学び取った事には価値がある…私たち指導員は、そう考えていました。だから、サマーキャンプでは炊事を重視していた訳です。