兵藤恵昭の日記 田舎町の歴史談義

博徒史、博徒の墓巡りに興味があります。博徒、アウトローの本を拾い読みした内容を書いています。

中坊公平元弁護士心不全で死亡。

2013年05月06日 | 経済
整理回収機構の元社長中坊氏が死亡した。

住専問題で不良債権処理に活躍した中公平氏が先日、心不全で死亡した。83歳だった。一時は平成の鬼平にたとえられ、マスコミを賑やかした。当時はバブル崩壊で金融機関の不動産融資が不良債権化して、金融危機に陥っていた。住専機構に多額の公的資金が投入され、この債権回収が国民の税金の無駄使い非難され、回収のための最後の手段として機構が設立された。全国の弁護士、検察、大蔵官僚が集まり、最強の国家権力による回収機関となる住管機構の創設である。そのトップに立ったのが中坊氏だ。豊田商事事件、豊島産業廃棄物事件、森永ヒ素ミルク訴訟など市民派弁護士として有名な中坊氏に登場であった。まさに正義の味方の代表であった。

しかし、10年前に、機構の社長当時の不良債権の回収方法が問題となり、検察から詐欺罪で起訴される寸前までいった。形式上は過度な回収行為をした部下に対する管理者としての責任をとる形で弁護士の廃業を発表した。この住管機構当時の回収は中坊社長直轄の社長案件として大口債権の回収が実施されていた。その意味でこれは実質、中坊社長自身の回収行為であり、直接的な責任は中坊氏にある。

当時、詐欺罪が立件が避けられない状況で、自己の刑事責任と弁護士の地位をはかりにかけて、最終、検察側と司法取引をしたというのが正直な実態であろう。事実、その回収行為に対して本人自身、詐欺の認識が十分あったものと思われる。当時の住管機構では税金投入を極力減らすために、積極的な回収が行なわれた。多くの回収担当者も回収額の最大化を目指し、回収目標のノルマに追われて、違法行為スレスレの回収行為も多く発生していた。

ここで中坊氏が弁護士の職を捨てざるを得なかった詐欺行為が疑われた今回の回収のケースを説明しょう。

(事件の概要)
中坊弁護士の今回の事件は、朝日住建が三井建設に売却した土地に絡んで行われた。旧住宅金融専門会社(以下「住専」と略称)から債権を引き継いだ住管機構 が抵当権を有していた土地と隣接する別の土地に抵当権を設定していた明治生命と横浜銀行に対し、実際には、朝日住建と買主との間で、両方の土地を一括して 43億円で売却することを合意しており、住管機構もそのことを熟知していたにもかかわらず、「約32億円で売却する」と虚偽の説明をし、その結果、錯誤に 陥った明治生命と横浜銀行に、それぞれ9億円を弁済するだけで抵当権を抹消させた。

そして、結果的に、土地の売却額が33億円となったが、住管機構は、明治生命と横浜銀行に支払った18億円との差額である15億円を回収した。
 
もともと、住管機構が抵当権を有していた土地は、明治生命と横浜銀行が抵当権を有していた土地の10分の1程度の面積であり、しかも、利用価値の低い傾 斜地であったにもかかわらず、住管機構は、明治生命と横浜銀行の2社の合計額よりも大きい金額を回収した。そして、住管機構は、朝日住建と一緒になって、 多額の回収を行うために、このようなスキームを考え、明治生命と横浜銀行の2社に対して積極的に虚偽の説明をしていた。
 
朝日住建の子会社の元社長を務めていた増田修造氏が、内部告発という形で、この件について、2002年10月に、東京地検特捜部に詐欺容疑で刑事告発し (刑事告発に至る経緯や事件の内容については、今西憲之『内部告発―権力者に弓を引いた三人の男たち』鹿砦社刊の第1章に詳しい)、それが受理されて捜査 が進められていたのである。
 
この内容からすれば、住管機構は、虚偽の事実を告知して、他の債権者を騙して、本来であれば得られなかったはずの多額の債権回収をして利益を上げているのであるから、詐欺罪が成立することは明らかである。

そして、中坊弁護士は、住管機構の社長時代に、判断が難しい100件以上の債権については、「中坊直轄案件」として、回収方針などを自ら決断していたと され、本件はまさに「中坊直轄案件」であり、中坊弁護士自身が今回の回収の方針を了承していたとされる。そうであれば、中坊弁護士も詐欺の共犯ということ になり、中坊弁護士が緊急会見で述べた「部下が行きすぎた」がその監督責任を取るかのような説明は、全く事実に反していることになる。

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