その瞳が一瞬陰った。
そのとき揺らいだ本心は瞳の奥へと隠された。
本当は時を待っていたけれど、花は開くことなく森の奥深くへ紛れてしまった。
そのとき揺らいだ本心は瞳の奥へと隠された。
本当は時を待っていたけれど、花は開くことなく森の奥深くへ紛れてしまった。
___もう探さないで。
ぼくはまた花開くことを、知らず夢見てしまった。
だから肌にさわる風に託したんだ。
遠くまで、ずっと遠く、ここではない場所へ。
森は鬱蒼とぼくを隠し、だけど時々こぼれた彩光がまっすぐにぼくを照らすとき、あの花まつりの夜の賑かな灯りと、君の横顔を思い出すんだ。
花篭を頭に載せ、君はぼくに手を差し出す。
君はやさしくぼくを掬い取ろうとしたけれど、みんなが笑ったその顔は君のそれとは違っていて、ぼくはその手を退けたんだ。
みんなが君のようだったらよかったのに。
ぼんぼりに揺れるいくつもの影が、その罪も知らず踊っていた。
森の胞子がぼくを深く包みこむ。樹海の夢が降り積もる。
月が細く照らす夜、君の花篭に舞う夢を見る。