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えありすの絵本・Another

ここはmyギャラリー…
わたし視点のDQ・FF…絵物語も……そして時々、イロイロ

14.ターザン~形見のペンダント~

2009年07月07日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
フランスの海軍の艦は不審な船を拿捕。
その船はジェーンたちを遺棄した船で事情を知り浜辺の小屋の人たちを発見する。
エスメラルダの目撃した類人猿によるジェーンの拉致を聞き、ダルノー中尉たちを中心に捜索隊を結成しそれにクレイトンも加わりジャングルへと向かう。

だが、人食い族たちの襲撃に合い、激戦が繰り広げられる。
ターザンとジェーンが聞いたのはその発砲の音だった。

ダルノー中尉はその蛮族の村へと連れ去られ、残酷な宴の生け贄になろうとしていた。
連れ去られた者の運命を知るターザンはそっちの救済に向かう。
死の饗宴。

柱のダルノーは少しずつなぶり殺される苦痛にフランス軍人としての誇りを胸に耐えた。
自分を槍で刺していた蛮族が倒され白人の姿が見えた。
その素直で明るい目は信用できた。
身体がすっと持ち上がった瞬間、ダルノーは苦痛と出血で気を失う。

浜辺に引き上げた捜索隊はジェーンの帰還に驚く。
父や皆の心配の仕様にジェーンは自分が野生の男と目で愛を語り合いながら幸せな時を過ごしていたことを後ろめたく思ってしまう。

ジェーンがする救ってくれた男の話しにクレイトンはどこか嫉妬してしまう自分に気付く。

ジェーンはみんなの加勢にいったはずのターザンの行方を聞く。
「彼は来なかったよ。きっと彼は彼の蛮族の仲間のほうに加勢にいってそのごちそうにありつきにいったんだよ」
「あいつは野蛮人なんだ。どこの誰かもわからない獣なのだよ」

クレイトンは嫉妬のあまり今まで幾度もたすけてもらった恩人のことを侮辱してしまうことに自己嫌悪になる。
ジェーンは口を聞いてくれなくなった。

ダルノーの捜索は打ち切られ出立を決意する。
ジェーンは熱心に1週間待ってほしいというがその期限も切れる。

彼はなぜ帰ってこないの。
彼は一体何者なの?彼の素性は?両親は?なぜここにいるの?
名前は?あたしは彼の何も知らないで恋したの?
みんなが言うように彼は蛮族の一員で村には彼の妻が何人もいて混血の子どもがうようよしているかも知れない…

わからない。
あたしは…
「彼は獣なの?じゃ、神様、あたしも獣にして」

彼女は一番最後に小屋を出た。
ひざまずき密林の恋人のペンダントにくちづけながらつぶやく。

「あたしはあなたを愛していると思うわ。きっと愛していた。
今、あなたが戻ってきたらあたしはあなたと一緒にジャングルに行ってしまったでしょう。
永久に…」

*ようはすれ違いドラマ。
今なら「メアド、おしえとって」
「これ、行けん時はメールすっから」
「あ、わかった」
「じゃ」
「じゃ」

オイ!ドラマになんないじゃん!

13.ターザン~別れ~

2009年07月03日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
ターザンは浜辺の小屋へ向かう旅を急がなかった。
愛する女の腕を首にからませゆっくりと木々を渡る甘美な旅行。
途中、小川のほとりで休憩したりして海岸の近くに着いたのは夕暮れ間近だった。

彼は大きな木の下に降り、ジェーンをおろすと深い下草をかきわけ、浜辺の小屋を指さした。
彼女は彼を連れて行こうとした。
死や死よりむごい運命から救ってくれ、親身の世話をしてくれたことを父に語りたかった。

だが、人間の住まいをみると野生動物の内気な性格が彼を襲う。
首を振ってあとずさりをするターザン。

彼に抱きつき一緒に来て欲しいと切望のまなざしを向けるが、彼は首を横にふる。
ジェーンは彼が独りこの恐ろしいジャングルに帰っていくことを思うと胸が痛んだ。

ターザンは別れにくちづけようと腰をかがめるが、迷う。
ジェーンは彼の首に腕をからませ彼の顔をひきよせる。
「愛してるわあなたを…心から」

その時、遠くジャングルの奥から聞こえる多数の銃声。
顔をあげる二人。
彼は銃声の聞こえた方を指差し、自分の胸に手をあて、またジャングルの方を指差さす。

ジェーンは彼が行こうとしているのがわかった。
彼女の仲間に危険が迫りそれをたすけに行こうとするのがわかった。
「あたしのところに、戻ってきてね」
彼女はささやく。
「待ってるわ…いつまでも」


*何度も何度もこの本は読んだ。
でも今回は挿絵をつけている。挿絵をつけるということはその人の心をより深くさぐろうとするもの。
すると昔はわからなかった二人の心情が胸に突き刺さってくる。
なぜかこのシーンを描いている時、泣けてきた。
「ターザン」を読んでて泣いてしまうのは、きっと心の襞が増えたからなんだ。

12.ターザン~遺伝~

2009年06月26日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
ジェーンは自分の気持ちに微笑みながら少し離れた木に座ってターザンがとってきた果物を指さした。
彼は果物を持ってジェーンの隣に座りナイフで用意する。

だまって二人で食べながら互いを見る。
目があって思わず笑いあう。
「英語を話せればいいのに」
ターザンは首を振った。笑顔が哀しそうに曇る。
ジェーンはフランス語やドイツ語などで話すが無理だった。

ジェーンは彼の首に下がっている豪華なダイヤのペンダントが気になっていた。
それを指さすと彼にとっておもちゃにすぎないペンダントをとって渡した。
ジェーンはペンダントが精巧で高価なものであり、それがロケットであることに気づく。
開くと両面に肖像画があった。
若い男性と美しい女性。
その男性の肖像画はジェーンの隣にいる男とそっくりだった。
驚くターザンはそれが開くことを知らなかった。

ターザンは小屋でみつけた写真を矢筒から出してみせた。
ジェーンはその写真と肖像画が同じであり、なによりこの森の神がその男性と兄弟か親子のように似ているのが驚きだった。

彼女は彼と肖像画を指差し、似ていることを身振りで言うがターザンは広い肩をすくめ首をかしげるだけだった。

ジェーンはこれは非業の最期をとげたグレイストーク卿夫妻であって小屋から彼が持ち出したのだと思いつく。
だがこの男とグレイストーク卿の類似については推測もつかなかった。

ターザンは彼女がペンダントを持って考えているのを見て欲しいのだと思った。
彼は彼女の首にかける。
ジェーンは思いがけない贈り物に返そうとするが彼が手をおさえる。

ジェーンは正式な礼にのっとってそれをもらう。
彼も知らず同じような礼をする。
それは彼の遺伝的な高貴な血のなせるものだった。

簡単な小屋を作ったターザンはナイフをジェーンに渡し安心して眠るように手振りで言う。

ジェーンはこのジャングルの中でこんなに安心して眠ったのは初めてだった。
彼が近づくと心臓の鼓動が高なり目が輝いた。
今までどんな男性が近づいてもそんな経験はなかった。
この密林のパラダイスでやさしい白い巨人に寄り添い幸福を感じる。

彼が彼女を仲間の元へ連れていこうと抱き上げた時、さみしい気持ちがするのだった。

11.ターザン~森の神~

2009年06月26日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
ジェーンは凶悪な類人猿の牙から救ってくれた奇怪な密林の白い巨人によって再び捕虜になったことに気づく。

もがいても無駄だった。
なかば閉じた瞼の間からその男の横顔を見る。
それはたとえようもなく美しかった。

彼女を見て微笑する彼。
その笑顔を見まいと目を閉じる。
だが不思議なことにこの野生の男に抱かれ密林の奥深くに運ばれどんな運命が待っているのかわからないのに、若い生涯の中で一番安堵しているのだった。

まぢかにある男らしい気品のある顔、凛々しい容貌。
それは騎士道精神を秘めていると確信し自分に危害がないことを知る。

ターザンは初めて経験した激しい恋のほてりから少し冷め考えていた。
女を闘って勝ち取るのはジャングルのきまりだ。
だが、自分は人間ではなかったのか。
人間はどうするのか。わからなかった。
浜辺の小屋の本にあった知識をめぐらしていた。

ターザンは円形広場の芝生の上に軽く飛び降りた。
ひんやりして気持ちがいい芝にジェーンは足をのばして座る。
彼女はまぶたの間から彼を見た。
自分の前に立つ彼を見上げると不思議な安心があった。
彼は広場を横切って樹木の壁のほうに向かった。

美しい笑顔。
堂々たる体躯。完全なシンメトリー。
ジェーンは、神が自分に似せこの世に人間を造った時きっと彼のような男が地上を闊歩したのだろう、と思った。

彼は樹上に消えた。
彼のいないジャングルはこんなに恐怖でいっぱいなのだろうか。
今にも獣の牙がこの肌に迫っているような気がする。
恐怖に怯えて全身の神経を緊張させる。

後ろからした小さな物音にジェーンはとびあがりめまいで倒れそうになる。
ターザンが果物をかかえて立っていた。
ジェーンを抱きとめるターザン。
かつて母親のカラが少年ターザンがライオンにおびえた時抱きしめいたわってくれたように彼も髪をなぜ額にくちづける。

彼女は自分の気持ちを分析しようとも思わなかった。
この力強い腕の中にいる安全感。この不思議な密林の野人を生涯の中で一番信頼している自分。
ため息をつく。
これは恋なのかも知れない。

10.ターザン~本能~

2009年06月25日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
女は木の陰で激しく浮き沈みする胸にあてた手を握りしめてその激しい闘いを見守った。

アメリカ、ボルチモアの良家の子女として生まれ育ち、何世紀もの積み重ねて来た文明と文化のベールは何層にもなる。
だが、その男の肩や背中の筋肉が盛り上がり、それが躍動し相手を窮地に陥れた時にその文明のベールは彼女の前から一気に消し飛んだ。

男のナイフがターコズに何度もくいこみ、その巨大な死骸が地面に転がる。
女のために闘ってその女を勝ち取った原始の男に両手をさしのべ駆け寄ったのはまさしく原始の女だった。

熱い抱擁。

消し飛んだ文明のベールはまた急におろされる。
ジェーンは突然、彼を突き放す。

ターザンは全く理解ができなかった。
遠くから眺めていただけの抽象的な思慕の対象であった彼女が腕に飛び込んできた時はターザンは驚いた。
だが、その女が今度はその腕からのがれようともがき暴れ彼を叩いたりするのも驚いた。


一瞬前には彼は彼女を急いで仲間の元へ送り届けようと思った。

だが、彼女の熱い肌と鼓動を直に自分の肌に感じた時、その一瞬は遥か彼方に消え、彼の善意も一緒に消え去った。

彼は再び女の腕に手をやった。
女は再び、はねつける。
ターザンは遠い先祖がしたことと同じことをした。

自分の女をかかえてジャングルの中に運び去ったのだった。

*この物語は冒険物語。そして自然讃歌でもあるし、恋愛小説でもある。
このアメリカ娘(ジェーン)かなり男を翻弄するのがこまりもん(わたし談)
このアメリカ娘にターザンやクレイトン、他の男は右往左往。
うぶなターザンはあっちいったりこっち行ったり大忙し…
けっこうモテモテなのに。

9.ターザン~野生の魅力~

2009年06月23日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
ターザンは不可解な自分の気持ちにとまどっていた。
なぜあの3人の白人の男をたすけてやっているのか。
でも、あの白人の女性を守ることにはなんら不思議ではなかった。
なぜなら彼女は守られるために造られたのだから。

ジェーンの書いた物は届くあてもない友人へだった。
筆記体の英語にやっと読めたが半分は意味がわからなかった。

父が発掘調査隊のためにいやな求婚者から多額の借金をしたこと。
その発掘で得たスペインの金貨などは船の乗組員たちの叛乱を巻き起こし浜に置き去りにされたこと。
窮地を何度も救ってくれた言葉を話さない謎の森の神の存在。
そして小屋の持ち主である猿人ターザンという英語を書ける男の存在が気味が悪いこと。
食べ物がないこと。

ターザンはその手紙の下に書いた。
「ターザンはおれだ」
ターザンは手紙を元に戻す。

だがジェーンは同一人物だとわからずよけい恐くなっていた。

ターザンは彼らのために狩りをし肉や果物をこっそりドアの前に置いた。
彼らのための狩猟は今までにない喜びとなった。
いつか文字を媒体として話してみたかったが、野獣の内気な性格はそれを実現できないまま過ぎていく。

虫の居所が悪かったターコズはうろついていた。
果物をとりにジャングルに入ったジェーンをみつける。
「この白い毛のない猿人はきっとターザンの女だ」復讐心が燃える。
ターコズはジェーンをさらい密林へ消える。

ターザンは彼らと会う決心をし小屋へ行くが誰もいない。
待つ時間に彼はジェーンへ手紙を書いていた。

その時、聞こえる悲鳴。
彼はジャングルへと急ぐ。

ジェーンの窮地に突然現れた半裸の白人の男。
話しからして父達を救ったのは彼だと確信した。
ならばきっと自分の守護神でもあるはずだ。

恐怖と不安と魅惑と賛嘆で目を見張る。
木の陰で女をわがものにしようとする原始そのものの闘いを、ジェーンは固唾をのんで見守った。

8.ターザン~ジャングルの慕情~

2009年06月19日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
小屋で父達やクレイトンを待つジェーンとエスメラルダ。

物音に窓からのぞくと巨大なメスのライオン。
やがてライオンは脆弱な格子の窓をやぶり侵入しようとする。
ジェーンはクレイトンから渡されたピストルで撃つがそれはかすめただけだった。

ポーター教授たちをさがすクレイトンも迷う。
ライオンに襲われたクレイトンはターザンに救われる。
この突如現れた白人を小屋の持ち主で貼り紙をした人物だと思い、彼は感謝の言葉を示すが通じない。
別人だと思った。

小屋へ近づいた時、聞こえる発砲の音。
まさにメスライオンが窓からはいりこもうとしていた。
謎の裸の白人の男はライオンの尻尾をつかみ壁に足をかけ外に出そうとする。


見知らぬ白人の女性を救おうとすることはこの裸の男にとっては英雄的行為だろう。
だが、クレイトンにとっては別の意味がある。世界で一番愛する女性なのだ。
クレイトンもライオンをひっぱり出すのを手伝う。
後のことなど頭にない。

ターザンは自分が引っ張っている間にこの腰のナイフを使うように言うが通じない。
ライオンをひきずり出したターザンは背後からターコズ戦の時のように首を抑え息の根を止めた。
クレイトンは小屋にはいりジェーンにこの勇気ある男を会わせようとするが、すでに彼はいなかった。

ターザンは教授とフィランダーをさがし小屋の近くに連れて来て去る。
彼らは一同会し、この野獣の王国で出会った言葉の通じない裸の奇怪な守護神のことを語り合うのだった。

翌日、彼らは白骨にある「グレイストーク家」の紋章の指輪や書物にある署名をみつける。

この青年ウィリアム・セシル・クレイトンの伯父夫妻だとわかり一同は驚く。
そしてゆりかごの中の白骨。

ポーター教授とフィランダーはこの小さな白骨の異常に気づく。
だが、二人は誰にも言わず過去に封印をし彼らは埋葬をする。

その厳かな儀式を樹上からターザンは見ていた。
彼の視線はジェーンにそそがれていた。

その夜、ターザンは小屋のそばにいた。
ランプの灯りはターザンを驚かせる。
窓から見えるのは何か書き物をしてるあの白人の女性。

顔を縁どる金色の髪。白い肌。
話しかけてみたかった。でもあの男のように言葉は通じないだろうし怖がるかも知れない。

ジェーンが寝静まってから彼女の書いた物をそっと窓から手をのばしジャングルに持ち帰るのだった。

7.ターザン~白人種~

2009年06月18日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
自分と同じ白い肌の人間をさがしたい。
彼は育った群れを抜け浜辺の小屋に戻った。

ある日、小屋のある浜辺がある入り江を囲む岬に船が見えた。
浜には彼と同じ白い肌の男たちがいた。

乗客の積荷を奪った乗組員たちはその分配で仲間割れを起こしピストルを向けていた。

その様子を木の上から見ていたターザンは卑劣な行為に驚き、歓迎しようと出て行かなくてよかったと思った。
初めて見るものばかりだが亡父の小屋の豊富な本で船やピストルの存在も漠然と知ってはいた。
その光る棒から出る大きな音が人を簡単に殺すことを知った。

彼らが船に引き上げたのを見て小屋にはいると中は荒らされていた。
怒りにターコズに裂かれた額の傷跡が赤く燃える。
今度は大勢の人の気配。
ターザンは「ここは猿人ターザンの家だ。荒らしてはいけない。ターザンは見張っているぞ」と貼り紙をし、持てるだけの物を持って密林に戻り様子を見ていた。

大勢の中の5人だけは卑劣な顔つきの乗組員と違っていた。

二人の年配の紳士はポーター教授とその助手のフィランダー。
若く背の高い身なりのいい青年。ウィリアム・セシル・クレイトン。
黒人の大女は世話係のエスメラルダ。
そして若い女性はポーター教授の娘のジェーン・ポーター。

若い男性が船乗りたちの仕打ちに憤慨すると、船乗りは彼にピストルを向ける。
ターザンは、樹上から槍を投げ彼の窮地を救う。
謎の救世主に一行は驚き、船員たちは恐くなり船に引き上げる。

一方、その騒動に目もくれず二人の年配の男性は学術論をかわしながらフラフラとジャングルへと入ってしまう。
二人を連れ戻しに追っていく若い男性。

残されたジェーンとエスメラルダは小屋に入りかんぬきをかけた。
小屋の中には二体の白骨とゆりかごの中の小さな白骨。
過去、この小屋で起きた悲劇を想像すると胸が痛くなるジェーン。

ターザンは一度に起きたたくさんのことにとまどっていた。
言葉はわからなくとも起きていることはなんとなくわかった。
同じ白人種だが、卑劣な行為をする者とそうでない者がいることを知った。

だが、彼が一番心惹かれたのはあの白人の若い女性。
なにかわからない感情が湧きあがってきたのだった。

6.ターザン~人間と野獣~

2009年06月13日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
ターザンは浜辺の小屋でみつけた自分と同じ白い肌を持つ人間の写真が好きだった。
亡父とも知らず。

類人猿の王座についたターザン。
人間の知能を持つターザンは群れを飢えさせることなく指導者ぶりを発揮する。
だが、それは彼の自由を奪い、浜辺の小屋へいくことを妨げる。
探究心旺盛な彼の知能。
それは群れの仲間たちとのギャップを生む。
浜辺の亡父の小屋と自由が懐かしかった。

カラが生きていたならすべてを犠牲にしても群れにとどまっていたことだろう。
だがもう群れに未練はなかった。

しかし、王座を狙うならずもののチュブラットの息子ターコズの存在。

ターコズの存在は負けず嫌いの英国人を簡単に群れから離れることを許さなかった。
ターザンが群れを離れれば彼は好き勝手をするに違いない。

ある日のことだった。
わざと挑発するかのようにターザンの目の前で年老いたメスの仲間をいたぶるターコズ。
それを知ったターザンは無言でターコズに体当たりをする。

死闘。
ターコズの鋭い牙で額には深い傷。
ターザンは背後からターコズをフルネルソンで固めた。
力を入れるとターコズの首がきしむ。
殺してもよかった。
だが、彼は考えた。ターコズは群れの大事なファイター。
そして生かしておくことでターザンの偉大さをみんなに憶えておかせることができる。

彼は少し腕に力を入れて言った。
「カ・ゴダ?」(降参するか?)
ターコズが抵抗する。
さらに力を入れる。
「カ・ゴダ?」
「カ・ゴダ」(降参する)

ターザンは彼を離しターコズと部族全員に向かって言う。
自分が偉大なファイターであることを忘れないでいることや二度と乱暴を働かないこと。

そして彼は長老たちを呼んで告げた。
「ターザンは類人猿ではない、考え方もなにもかもおまえたちとは違う。
だから一緒に生きていくことはできない。
ターザンは岸のない大きな湖のそばのねぐらにもどることにする。
おまえたちは新たな指導者を選んでくれ。
ターザンはもう帰らないから」

ターザンは額に受けた深い傷を癒しながら西の浜辺の小屋へと向かう。
こうしてグレイストーク小公子は群れを抜け自分と同じ白人を探す一歩を踏み出した。

やがて彼は運命の女性、ジェーン・ポーターと出会うのだった。

5.ターザン~類人猿の王者へ~

2009年06月08日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
食うために殺す。
つがいを獲得するために殺す。
殺されないために殺す。

闘いと死は日常の平凡な出来事。
ジャングルの掟。

ターザンが生活するカーチャクの類人猿の部族のエリアの近くに人食い一族が移り住んできた。
遠出をした部族の酋長の息子のクロンガはターザンの母のカラと遭遇。
クロンガは容赦なく毒矢をカラに放つ。

類人猿たちの騒動を浜辺の小屋で聞き駆けつけた彼は、カラの死体にすがり号泣する。
本来ならアリス・クレイトンに捧げるはずの母への愛情をカラにおしげもなく捧げた。
毛むくじゃらのけだものにすがり声をあげて泣く18才の英国の貴公子ターザン。

やがて彼はカラを殺したものを追う。
仲間のとぼしい語彙から毛のない黒い自分のような者だと知った。
追いついた彼は初めて自分以外の人間というものを見たのだった。
矢をつがえるクロンガ。

「AはアーチャーのA」
絵本のシーンがターザンの脳裏に浮かんだ。そしてカラを殺したその矢の威力も知った。
人間同士…だが感傷など彼にはない。

彼はカラの復讐を果たし、そしてクロンガの部族の村を盗み見て人間の極めて原始的な生活の営みを知るのだった。
類人猿から原始の人間へ。

村から矢や槍を盗んでは熟練度を高めた。
それらを手に入れたターザンはライオンやヒョウさえ敵ではなくなっていった。
仲間からも一目もおかれる。

ライオンをしとめた彼はその毛皮を持ち帰り誇らかに叫ぶ。
「どうだ、おれの勇姿を。おれほど素晴らしい狩人はいまい。
なぜならおれは類人猿ではなく…」
manと言いたかった。だけど発音できなかった。

仲間からの尊敬のまなざしを浴びるターザン。
前からよく思っていなかったボスのカーチャクは怒りが頂点に達した。
ターザンを殺すことにした。

ターザンとボスのカーチャクの死闘。
やがてターザンは倒したカーチャクの首に足をかけ密林に轟く大声で壮絶な勝利者の雄叫びをあげた。

かくして英国貴族グレイストーク卿ジョン・クレイトンの遺児は類人猿の王座についた。

*これは「ターザンの密林物語」からのワンシーンを描いてみました。
月に向かって矢を放ったシーン。
なぜか、は…