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えありすの絵本・Another

ここはmyギャラリー…
わたし視点のDQ・FF…絵物語も……そして時々、イロイロ

Return Of Tarzan 4

2009年08月05日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
ターザンはスクリューに巻き込まれないように咄嗟に船から離れた。
声をあげれば聞こえたかも知れない。が、今までひとりで困難を切り抜けてきた彼には助けを求める発想がなかった。

難破船の板につかまって漂流するターザン。
やがて遠くに見える海岸線。
それは彼の生まれた故郷のジャングル。

亡父の小屋は2年前、ダルノーと出たときのままだった。
浜辺の小屋で彼は身体を休めるのだった。

狩りのための武器が必要になるターザン。
かつて母のカラを殺したクロンガを追い、人食い族の村で武器を調達したターザン。
ターザンは狩りに出た。人間という動物を狩りに。

一人の黒人戦士をみつける。
だが、文明は彼をかえていた。武器を調達する為に殺していいのか。
そんな瞬間、戦士はライオンに襲われる。
彼は縄をライオンにとばす。

戦士は自分の村へ案内し、自分がターザンに救われたことを話す。
村人は彼を歓迎し武器や食べ物を進呈する。殺して奪うことより簡単だった。

彼は勇敢なこのワジリの一族と行動を共にした。
彼の機転は彼らを救い、さらに一族を襲う人狩り族たちとの闘いの中で彼は主導力を発揮し一族を勝利に導く。
やがてワジリの部族はこの白人の男を新しい族長として迎えるのだった。

新しい族長の誕生の宴。戦士たちは炎の周りで飛び跳ね踊る。
その輪に加わるターザン。
このくだりで「オルガを狂おしくさせた美貌の紳士の今のこの姿を彼女はどう思うだろうか。そしてこんな野蛮な男をジェーンはまだ愛したいだろうか。この方がグレイストーク卿だと紹介すると英国上院議員たちは腰を抜かすだろう」という表現がある。
一見自虐的だが、実は自然讃歌なのだ。

豪華ヨットの旅をするジェーンはケープタウンに着いた。
そこで偶然、親友のヘイゼルに会う。
ターザンを海に突き落とし、紳士に変装していたロコフはうまくヘイゼルに近づいていた。
ヘイゼルやロコフはテニングトン卿とのヨットの旅に合流する。

ヨットでジェーンは彼女から見せてもらった写真に驚く。
それは船上でヘイゼルが撮ったターザンの写真だった。そして彼が船から落ちて死んだことを知る。
ジェーンは憔悴しきって起き上がれなかった。
しばらくして、レディアリス号は故障、いくつかのボートに別れて漂流する。

ターザンが族長となり生命と力の象徴のように踊っている時、そこから少ししか離れていない海上で彼の愛する女は漂流する救命ボートの上で衰弱し昏睡状態に陥っていた。

ターザンはワジリ部族の男たちが身につけている装飾物が不思議だった。
聞くと昔、一族が彷徨い込んだ秘境で闘った族から奪ったものらしい。
ターザンは勇敢で屈強な戦士を選びその秘境へと向かう。
20日ほどの旅をし、彼はその秘境の都にたどり着く。

*それにしても壮大だ。ターザンは地中海の北アフリカからアフリカ大陸の西側を通って、亡父の小屋の浜へ。
ジェーンはイギリスから地中海を通りアフリカ大陸の右側をとおり南端のケープタウンを通り、北上してターザンの亡父の小屋付近へ、まじですか。

Return Of Tarzan 3

2009年08月02日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
砂漠の街での任務は仏軍人の一人が贈賄の疑いがあるのを見張ることでターザンにとっては退屈。
だがまたもやロコフがからんでおり、彼は命を狙われることになる。
そんな折り助けたシディ・エッサの踊り子。
彼女は砂漠の民の族長の娘で誘拐され売り飛ばされ踊り子をしている。

彼女を父親の族長の元へ連れ感謝される。
自然の中で生きている彼らとターザンは気持ちが近かった。

砂漠の黒いライオン・エラドリアを倒すターザン。
砂漠の民たちの賞賛をあび、信頼を得る。

ロコフの奸計にかかったターザンを助けたのはその踊り子。
砂漠の民の中で生涯暮らせたら幸せかも知れない。
だが、異教徒の彼が受け入れられることもないだろうし、はぐくんだ族長の娘との情もいつか切れるだろう。
彼に部族に留まって欲しいと願う娘。だが彼は砂漠の民の部族を出るのだった。

わたしが思うにターザンはいつも「安住の地」を求めているような。
自分が受け入れられる社会、幸せになれる場所を求め続けている彼。
文明と野生。紳士と野獣。胸が痛い。

本国からの指示は今の任務を打ち切って「ロンドンのコールドウェル」という偽名でケープタウンに向かうこと。
彼はケープタウン行きの船に乗る。

ターザンの物語と平行してオムニバス式にジェーンの動向も語られる。
ジェーンはクレイトンとの結婚を色々いい訳をして延ばしていた。
英国へ渡った彼らはテニングトン卿に彼の豪華ヨットの旅に誘われる。
ジェーンはすすんでそれを受ける。
ヨットは地中海を抜けインド洋へはいりアフリカを回るきままな旅。
クレイトンは結婚がのびることにやきもきする。

北アフリカの港を出たターザンの乗る船とジェーンたちを乗せたレディアリス号はスペインとモロッコの間、ジブラルタル海峡ですれ違う。

豪華ヨットの上でジェーンは胸のペンダントを触りながらあの密林での思い出にふけった。
このペンダントが意味している重大なことなど知り得ない。
またターザンはデッキから豪華ヨットを眺めどんな人が乗っているのかと思いを馳せた。

船上でターザンはヘイゼルという女性客と知り合う。彼女こそジェーンが小屋で書いた手紙の宛てぬしだった。
彼とも知らずヘイゼルはジェーンが本当に愛する人は密林で出会った人であることを話す。
ターザンは面映く、そして心の傷が疼く。

ターザンが乗った船にはロコフがチューランという偽名で乗り込んでいた。
紳士を気どったロコフは莫大な遺産を相続したばかりのヘイゼルに近づく。
機密書類を持ったターザンを狙うロコフ。

ロコフは書類をまんまと盗む。
その夜、デッキにいたターザンはロコフとその手下によって海に投げ出されてしまう。

Return Of Tarzan 2

2009年08月01日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
ロコフはターザンを使ってオルガの男性スキャンダルを引き起こし、ド・クード伯爵を脅そうとしていたが、ターザンの紳士ぶりにいらつく。
ロコフが妹のオルガに向かって言うお下品なセリフがある。
「あんなとっぽい野郎はみたことねえ。おまえがあけすけに誘ってるのによ」

「そんなことはないわ」と言うオルガだがこの気品溢れる美貌の紳士に惹かれている自分に気付く。
年も近く優しいターザンには心が開かれ、夫には言えないことも彼には言える。
ロコフと関わりのある自分を卑下するオルガにこんなことを言うターザン。
「カモシカを襲ったライオンで、カモシカの善し悪しを判断しません」

オルガは花のように美しい。
ターザンは若く孤独だった。
そして女でしか癒せない心の傷があった。

伯爵が不在の夜、ロコフは新聞社員を仕込み、オルガの使用人の名をかたって急用だとターザンを伯爵の邸宅に呼びつける。

おかしいことに気付いた二人。
だが、すでにターザンはニセの召使いによって彼女の私室に通されていた。
明日の新聞にスクープされるであろうスキャンダルに怯えるオルガは無意識に彼の包容力に甘えた。
保護を求め腕の中にしなだれかかってくるオルガ…

というワケで伯爵は「家で大変なことが」なんて言われて帰ってみたら「大変」だったわけでついカッとなってしまって…

ハデにラブシーンをやっちゃったターザン。
でもいつもあっちから飛び込んでくるんですよね。

すったもんだで伯爵はターザンにかえりうち。
つい野生の本能が出ちゃって。殺されないためにはヤル、って。もちろん加減はしました。

我に返ったターザンはロコフの奸計と知り、彼をしめあげて今夜のことや彼のスパイ活動のことなどあらいざらい文書にさせ証文をとる。

ダルノーは呆れ「オルガを愛しているのか」と聞くがターザンは「いや、嵐のように来て去っていった」と。
やがて伯爵から決闘状が。

何も知らずカラの庇護の元生きていた頃の幸せ。
運命が回りだしてからの自分。
たった20年とちょっとで人類の進化をしてきた自分を哲学し、文明がもたらしたものや過去の自分のしたことなどあれこれ考え生きる価値とか考える彼にちょっと泣けるわたしがいるんです。

決闘はピストルで3発。伯爵は射撃の名手。
ダルノーはターザンが生きる可能性はないと嘆く。
伯爵は合図のもと続けて2発撃つ。
ターザンの身体が揺れる。最後をはずす伯爵。
立会人や医師たちはターザンが「撃たれても致命傷にはならないはず」に賭けたのかとぞっとする。

だが、ターザンは自分のピストルを差し出しこれで撃つように言う。
「ぼくは死んで罪を償いたい」
伯爵は「できない。そもそも君は何も悪いことなどしておらずましてやいろいろ助けてくれたではないか」
ターザンは夫人との過ちをわび、だが自分があの場に来たことは自分や夫人の責任ではないことを言いロコフの供述書を渡す。

伯爵は全てを知り彼の騎士道精神に感激し抱きつく。
ダルノーは胸をなでおろし彼を病院へ運ぶ。
「ゴリラのボルガニにやられた時はこんなぜいたくなベッドはなかった」と退屈な入院生活。

さて、治ったターザンはオルガのことなんぞどこへやら。
政府高官の伯爵の紹介で陸軍省の特務官としてワクワクしてアフリカ北部に向かうのです。

Return Of Tarzan 1

2009年07月31日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
一巻で終わりにしようと思ったけどやっぱりハッピーエンドじゃないと。
ということであとちょっとだけ…

「類猿人ターザン」「ターザンの復讐」この2巻がターザンの成り立ちの物語。
2巻の原題は「Return Of Tarzan」
物語としては「ターザンの帰還」の訳が近いかとも思う。

さてこの第二巻の話しの舞台は船上からパリ、アフリカ北部の砂漠地帯、そして彼の故郷のジャングルと秘境。

「まあ、すてき」
というオルガ・ド・クード伯爵夫人のためいきのような賛嘆の声で始まる第二巻。
ニューヨークからフランスへ向かう客船のデッキにターザンはいた。
あの駅の待合室でジェーンと別れ、彼はひとり車でニューヨークに戻ったのだった。

デッキチェアの長身の青年の横顔にみとれてしまったオルガ。

オルガ・ド・クード伯爵夫人はロシア貴族の出。
家が決めた結婚相手は親子ほど年上のフランスの伯爵。
貞淑な妻ではあるけど熱烈に愛しているとはいえない。
深窓で育つ女性にとって夫を含めた男性は尊敬の対象ではあるけど、おそれの対象でもあった。
だが、ターザンと接するうちに男性観がかわっていく。

「不思議だわ、あなたといるとこわくない」
なんて夫人に言わせてしまうターザンなんです。

ネックは伯爵夫人の兄のニコラス・ロコフ。
これがどうしようもない極道もの。
仏政府高官であるオルガの夫を陥れそれをネタに仏の機密を狙おうと同じ船に乗っている。
客船の遊戯室での伯爵に仕掛けられた罠をターザンが阻止したり妹(オルガ)を強請っているのをターザンが懲らしめたりしたものだから恨み骨髄。
ずっと後まで(第3巻)因縁が。

パリに着いたターザンはダルノーの家に戻りアメリカでの顛末を話す。
ダルノーは彼が権利を放棄することに驚く。
それは爵位や財産の放棄だけではなく自分の生まれさえ否定することだと言う。
「ぼくはカラの息子で満足している…」

ターザンは短い文明生活で地位や金がないと困ることを知り、ジェーンが困らないようにジェーンの夫になる男にそれを譲る形になった。
もし彼が血筋を名乗れば、彼女は名も財産も無くなったクレイトンによけいに義理立てするだろう、とダルノーに言うのだった。

パリでターザンは文明社会に浸った。図書館に通い、オペラや観劇、社交界へと出入りした。
彼は文明社会の醜さも目の当たりにし、残酷なジャングルのほうが優しいのではないかとも思う。
だが、今彼が密林へ帰っても恐れるものがいても歓迎するのは誰もいないだろう。
憶えたばかりの人間の言語での友人たちとの交流は喜びにもなった。
文明は愛する女性やダルノーという親友も与えてくれた。
もう独りになりたくはなかった。

とある日、伯爵夫妻と再会。伯爵は船上での出来事を感謝しダルノーを含めて親しく交流が始まる。
そしてまたロコフも彼の前にあらわれる。

ロコフの奸計と悪巧みが夫妻とターザンに迫るのだった。

20.ターザン~結末~ 最終回

2009年07月29日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
駅に着き、ターザンはジェーンと待合室に二人でいた。
「君は自由の身になった。ぼくは長い原始人の生活を捨て文明人になった。
君のためにはるばる海や大陸を越えてやってきた。
君のために努力をする。
ぼくと結婚してほしい」

ジェーンはこの男の深い愛情と自分の本心に気付く。
そして一瞬の迷いからクレイトンの求婚を受けてしまったことを告白する。

愛し合っていることを確認しあう二人。
だが約束してしまったことを翻すわけにはいかない。
ジェーンは苦悶する。
「ぼくは文明社会の道徳はわからない。だから君の決断にまかせる」

待ち合い室に他の者たちがはいってきて会話は中断される。
彼は夜の窓辺の暗いガラスに目を向ける。
彼の目にうつるのは鬱蒼たる樹木や花。
緑の芝と見上げると赤道の紺碧の空。
そして若い女性が座ってそのとなりに若い巨人が座って目で笑い合いながら果物を食べている。
そこは二人だけの世界だった。

待ち合い室にターザンという紳士は居ないか、という駅長の声にターザンの夢はさめる。
「パリからの電報が回送されてきました」
それはダルノーからの通信でこう書いてあった

「指紋はきみがグレイストーク卿であることを証明した。おめでとう
              ダルノー」

読み終えた時、クレイトンがはいってきた。
彼の爵位と財産と城を持ち、彼と愛し合う女と結婚しようとしている男だった。
クレイトンはターザンに手をさしのべ何度も世話になったことの礼を言う。
「それにしてもあなたはいったいどうしてあんなジャングルの中に住むようになったのですか?」

「ぼくはあそこで生まれたのです」
ターザンは淡々と答えた。
「母は類人猿でしたからぼくが生まれた頃のことを詳しく話せるわけがありません。ですからぼくの父がどんな人だったのか全然わからないのです」

*このターザンのセリフで第一巻は終わります。ハヤカワ文庫の380ページにわたる「類猿人ターザン」を駆け足絵入りで紹介してみました。
なんとウィリアム・セシル・クレイトンはターザンの従兄弟。この偶然もすごいのですけどこのアメリカ娘の勝手ぶりもなかなか。(わたし談)

密林で燃え上がった恋。愛し合いながらも別れた二人。
だが、数奇な運命のもとふたりは再び灼熱の大地で巡り逢うのだった…

19.ターザン~運命の錯綜~

2009年07月28日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
ジェーンは考えていた。
ハンドルを握るこの隣の男について自分はどれだけのことを知っているのか。
生まれは?両親は?
彼は一体何者?名前もないジャングルの野生児と一緒になって幸せになれるのだろうか。
裸で木から木へ飛び回り、血のしたたる肉にかぶりつく夫と共通のものをみつけられるのだろうか。

自分の育った上流社会まで彼があがってこれるのだろうか。
自分が彼のところまで降りていけるのだろうか。
社交界で彼を自分の夫として紹介できるのだろうか。
彼女はターザンの求婚にこたえられなかった。

「ぼくを愛していないのかい」
「わからない。きっとあなたはこの束縛された社会を疎ましく思って昔の自由な生活を懐かしく思い戻りたくなるでしょう。でもその生活はあたしにとっては適しない…」
「わかった…ぼくはぼく自身の幸せをのぞむより、幸福な君をみるほうが嬉しいから…」

合流したみんなは彼があのジャングルの守護神であったことを知り、またその変貌ぶりに驚く。
ターザンはポーター教授の宝箱が無事である事を話し、求婚者であるキャンラーを退ける。

山火事から完全に逃れるには汽車で移動するしかなく、皆は車に分散して駅に向かうのだった。
フィランダー博士をのせたターザンは小屋の小さい骸骨のことを尋ねる。
「あれは間違いなく類人猿のものです」フィランダーはこたえる。

クレイトンの車に乗っていたジェーンは冷静に自分の心を分析していた。
あの密林の極限状態の時、自分は原始の女だった。
だから原始の男を求めた。
こざっぱりとした服の今日の彼にはあの時の迫力はない。
彼を愛していたと思っていたのは一時的な肉体の接触の興奮によるもので錯覚であった…
肉体的な接触は慣れていくにつれ次第につまらないものになっていく…

横にいるクレイトンは若き英国の貴族。
教養も文化も環境も彼女と同じくし夫とするには申し分のない青年。
社交界の誰もが憧れる存在。端正な顔立ちの寸分の隙もない紳士。
こんな夫を持つと誇らしく思うに違いない…
そう思った瞬間だった。
運命はクレイトンに味方する。

「君がイエスと言ってくれたらぼくは君のために一生を捧げる」
「イエス」

18.ターザン~再会~

2009年07月19日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
ジェーンは父親が借金した求婚者キャンラーからのがれるように母が残したウィスコンシンの田舎の農場の家に行った。
ウィリアム・セシル・クレイトンはグレイストーク卿家を継ぎ、ジェーンの借金の肩代わりをしあらためて求婚するために彼もまたウィスコンシンに来ていた。

散歩に出たジェーンは山火事に巻き込まれて逃げ場を失う。

農場の家にいた父親やフィランダー、エスメラルダ、クレイトンは外に停まる車の音の後、屋敷に飛び込んできた黒い髪の青年に驚く。
彼は山火事が迫っていることと、早く避難をするように言ってジェーンの居所を聞く。

青年が飛び出たあと彼らはその青年が誰だかわからないが、なぜか彼に任せておけばジェーンが安全な気がして車で避難する。

ジェーンは炎の中、最期の時を覚悟する。
その時、樹上から彼女の名前を呼ぶ聞き慣れない声。
煙に巻き込まれた瞬間、彼女は自分が宙に浮くのを感じる。
彼女を抱いた男は木から木へと飛び移っていく。
この男があの日の男であってくれたら…
間近にある男の顔を見た。
彼だ!

「これは死ぬ前の幻覚なのだわ」
彼が微笑する。
「そうだよ、ジェーン。君の知っている原始の野蛮人がかれから逃げ出した女を取戻そうとしてジャングルからやって来たのさ」
「逃げ出したのじゃないわ。待っていたのよ」

山火事からのがれた二人は車で移動しながらいきさつを話し合う。
「あなたをなんて呼べばいいの」
「君がぼくを初めて知った時の名前は猿人ターザンさ」
「じゃ、あのラブレターはあなたが書いたの?」
「ぼくは書けるけどしゃべれなかったのだ。今はダルノーがフランス語を教えたので英語はまだ苦手なんだ。君の手紙で他の人を愛してるとあったがそれはぼくのこと?」
「そう」

ターザンは彼女が今置かれている立場を知った。
あの宝箱があれば求婚者からの借金は返せるはずだが元々、キャンラーはジェーンを狙って金を貸したのだった。
「ターコズみたいなやつだ…」
その口ぶりに彼女はぞっとして彼を見た。
ジェーンはそれがターザンが彼女を救うために殺した類人猿だとわかった。

「ここはジャングルではないのよ、もうあなたは野蛮人ではなく紳士なの、紳士は人を殺したりしないの」
「ぼくは、心の中はまだ野獣なんだ…」

「君が自由になったら…ぼくと結婚する…?」
ターザンは聞くのだった。

17.ターザン~血統~

2009年07月17日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
ダルノーは早くアメリカへ行きたいというターザンをパリにつれてきて警察の顔見知りの警部に会いターザンを紹介した。
何気ない会話からダルノーは指紋の話しをする。

ダルノーはターザンの指紋をとってもらう。
ダルノーが取り出したのは亡きグレイストーク卿のあの悲劇の日までが綴られた日記。
ターザンはなぜそんなものを持ってきたのかいぶかしがる。

ある日の日記に、小さな息子が横でインクを小さな手でぺたぺたと押したことが書かれてあった。
「なぜかわからぬが息子がいずれグレイストーク家を継ぎ母国で再興してくれるような気がする」

前からダルノーはターザンはグレイストーク卿の遺児ではないかと想定していた。
その小さな指紋とターザンの指紋の照合の依頼を警部にする。

「おれも自分はあの小屋で生まれたのだと思っていたが、その日記には一人の赤ん坊のことしかない。あの小屋のゆりかごには小さな骸骨があった」
ターザンは言う。
ターザンはダルノーがなぜ警察に彼を連れてきたのかわかった。

「この小さな指紋の持ち主はアフリカのあの西海岸に両親と共に埋葬されているんだ」
「では、ジョン・クレイトンの他に足を踏み入れたことのないあのジャングルで君はどうやって生まれたんだ」
「君はカラのことを忘れている」
「カラなんか問題外だ」

ターザンは警察の窓辺から大通りの見える外をながめ思いに耽った。

明日には船でアメリカに渡るというターザンに結果は電報で知らせることにする、と担当の警部は言うのだった。

*この時の彼は20才という設定。
ジェーンが19才という設定。
それにしても早熟だ…

ポール・ダルノーは軍人だけどとてもお金持ちらしい。年齢は文中にそれについて触れてないのでわからないけど独身。
「君とぼくが一生遊んで暮らしていけるだけの金はある。命をたすけてもらった恩は金では償えないと思っている。ぼくの財産の半分は君のものだ」と言ってるシーンが。
こんな服もあんな服もダルノーが買ってあげたのね。

16.ターザン~文明の中で~

2009年07月09日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
彼らは小屋でしばらく過ごす。
ある時、ターザンは世界地図を持ってくる。
ダルノーは説明する。
「アメリカに行きたい」ターザンは言う。

二人は北へ徒歩で出立する。人間のいる集落までひと月もかかり、そこからまた町まで数ヶ月もかかった。
ダルノーは旅の間、ターザンにフランス語、英語や人間の習慣などさまざまなことを教えた。
ターザンの憶えは早く会話に不自由はしなくなった。

大きな港町に着きダルノーは母国へ無事の電報を打ち、休暇を要請し銀行から送金してもらう。
以前、ターザンは叛乱を起こした船員たちがポーター教授が発掘した金貨の箱を浜辺の小屋の近くに埋めていたのを見ていた。
ターザンはその価値も知らず別の所に埋め変えていた。
ジェーンが小屋で書いた届くあてのない手紙を思い出し、それがないとポーター教授親子が困るのを知り、それをとりにいくことにする。
その船をチャーターするのに一月かかった。

ターザンは街に滞在中、次第に文明に慣れつい数ヶ月前まで裸で生肉にかぶりついていたなどみじんも感じさせないほどになっていた。

ある日、酔っぱらいの荒くれ者がナイフを振り回し暴れていた。
やがて荒くれ者はホテルのバルコニーでくつろぐ長身の身なりのいいフランス青年に目をつける。
誰もがそのおとなしそうな青年が犠牲になるかと思いきや、次の瞬間には荒くれ者のナイフを持つ手はねじあげられていた。

白人たちとの会食で出る話題はハンティングの自慢。
「ムシュー・ターザンはどうですか」
「ぼくは、たくさんの銃を持つ勢子に守られての狩猟より命のやりとりの闘いこそ心が踊ります」
ターザンにライオンの話しをするなど、ダルノーは白人たちに苦笑する。

「賭けをしましょう」と言う白人たち。
ターザンが裸でナイフ一丁でライオンをしとめてくるならば5000フランだそう、と。
ダルノーは笑って1万フランにしろ、という。

ターザンはこの街の話題の的となるのだった。
やがてチャーターした船で二人は金貨の箱を取りまた港へ戻った。
そしてフランス、リヨン行きの客船に乗りパリへと向かうのだった。

*この物語は1800年代の終わり頃。
車がやっと社会に出て来た頃で飛行機などまだ先の話し。
悠長な時代だったのだろうな。
アフリカ植民地の白人社会のホテルというのはラッフルズホテルのようなものだろうと想像。

15.ターザン~失意~

2009年07月09日 | *クロニクル(ターザンの絵物語)
人食い族の饗宴の生け贄から救った仏軍人ダルノーは重傷だった。
ターザンは待っているはずのジェーンが気になりながらも何日も彼の看病をし続ける。


少し回復したダルノーは自分を救ってくれた半裸の白人に感謝する。
文字を媒体としてターザンは初めて同じ人種の人間と意思を交わした。
ダルノーは言葉を教えた。
だが、フランス人のダルノーは仏語を教えてしまいターザンは会話は仏語で、筆記は英語になってしまう。

回復したダルノーを連れて浜辺の小屋に向かう。
ターザンはやっと会える彼女に息が止まるほど胸が高鳴る。
だが、そこには誰もいなかった。

失望のあまりターザンは小屋を飛び出る。
もう人間になど会いたくなかった。
人間になる決心をし生まれ育った類人猿の群れを出てこの小屋に来たのに、裏切られた気がして苦々しく思った。
もう二度と人間になろうなど思わない。
ダルノーなど知ったことではない。

ダルノーも失望する。
机の上のターザンあての2通の手紙を見つけ渡そうとするが彼はすでにいなかった。
恐怖が彼を襲う。ジャングルで彼がいないことは死を意味する。
フランス軍は生きて帰ってくるかも知れないダルノーのためにたくさんの食料や備品、武器を置いていった。
彼は銃に装弾する。
しばらくして扉の音に驚き発砲するがそれはターザンだった。

ターザンは小屋を出てめちゃめちゃに駆け巡った。
頭にあるのは彼の腕の中にあった彼の女のことだった。
俺が知らないだけで単なる人間の風習だったのか。
知らないで有頂天になっていた自分が愚かだった。

ダルノーを見捨てた人間がいたとしても、自分は彼を見捨てていいのか。
類人猿なら仲間など簡単に見捨てる。
でも、人間はどうするのか。
少し冷静になってやはりダルノーが心配になり小屋に帰る。

ダルノーはターザンを撃ってしまったことに驚く。
幸い軽傷だったターザンに事情を書きすまないとわびる。
ターザンはフランス語で「大丈夫だ」と応え、手紙を受け取る。

クレイトンから、ターザン宛にこの小屋を使わせてもらったことの礼ともう一人自分たちを救ってくれた白人の男性への礼を伝えてほしい、ことだった。

ジェーンからの手紙にも小屋主のターザンへの礼と胸にダイヤのペンダントをしていた白人への礼だった。
前、ターザンと名乗る男の求愛の手紙を拾って読んだが会ったこともないのに不思議であることと、自分は別の男性に心を捧げていることが書いてあった。

ターザンが書けてもしゃべることができなかったことで、誰も彼をターザンだと思わなかった。
「別の男性…?」

ターザンは打ちのめされしばらく手紙を持って動かなかった。

*余談だが作者のバロウズはアフリカに一度もいったことがないという。
ジャングルの描写も全て彼の想像の世界だということだ。
読んでてつっこみどころ。
ターザンが彼だとジェーンもわかっていないことはターザンもわかってる。
「ターザンが書いたラブレター(『俺はターザンであなたを愛している。俺のものになってくれ』的。ジェーンがさらわれた時書いてたもの)」に対し「顔も知らないから求婚を断る。すでに別の人を好きだ」と書いてる。
「じゃ、それっておれだ」ってなんでわからん?