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続・切腹ごっこ

~当ブログは更新を終了しました~

「櫻 VOL.2」その弐

2010-07-14 | ★レビュー(本)
 前前回の続き。

 2.切腹を題材にした小説の紹介
 尾中作太郎という人が昭和36年に「白妙」(雑誌?)に発表した「東京女性切腹倶楽部」という作品。

 ―若い娘や未亡人たちが、秘密厳守を前提に集まる倶楽部。毎週1日だけ集まって切腹画を見せ合ったり、切腹フォトを撮り合ったりする。そして会員の中から毎月1人、投票で決まった女性が切腹自殺を遂げる。切腹の場となっている地下室には、今までここで果てていった女性たちの切腹している途中の写真が掲げられている。写真は、セーラー服姿での一文字、和服姿の立ち腹、ブラジャーとパンティ姿の二文字腹など、様々。
 今日は、幸子という18歳の少女が全裸で切腹自殺する。幸子は先月の投票でT字に切腹することが決定し、1ヶ月間の猶予期間を経た後、覚悟が揺らがなかったので予定通り今日切腹することになった。ウイスキーで別れの盃を交わした後、幸子は白鞘の短刀でT字に切腹、最期の瞬間は1枚の写真として残った。

 著者が小学5年の時、仲良しの少女の姉がT字に腹を切って自殺するという事件があったのだという。それ以来、その少女と「お姉さんのように」と下腹を切る遊びをするようになったそうだ。大人になってからその事を思い出したことがこの短編小説を書くきっかけの一つになったのだとか。
 中康氏は、この小説の中では倶楽部の女性たちが切腹する理由について言及されていないことを評価している。

3.論考
 (1)切腹の描写とその用語の解説
 切腹に関する読み物に出てくる単語などの分類と解説。下腹、鳩尾などの腹部の名称。鮮血、細腸などの内臓の名称。切り回す、貫くなど動作の表現。ずぶり、キリキリなど動作の形容。悶える、呻吟など苦痛の表現。悶死、知死期など死の表現。
 (2)大正末期の新聞記事に見る切腹例
 どれぐらいの期間の記事を集めたものか分からないが、切腹という形の自殺方法を選んだ人が多いなという印象。本人は「切腹」と意識せず、ただ錯乱状態の中で刃物を胴体に突き立てただけ、という例もあるだろうけど。
 (3)切腹雑考
 介錯や思い指しなどの論考。文章から、著者は少年(美少年)の切腹が好きなんじゃないかと思えてくる。自分がその部分に特に注目しているだけだろうか?
 (4)アンケート
 切腹に興味ある若い女性にとったアンケート。
 Q.演劇、TVドラマ、映画、文芸で切腹について感動した例は?また史上の人物は?などというアンケートが16問ほど。
 応えとしては…、A.白虎隊の少年たちの切腹場面は感動的。(大学18歳) A.昭和60年12月30日31日の忠臣蔵浅野内匠頭の切腹。切腹ののち、青い画面に白い桜が大きく映り散ってゆくのが象徴的できれい。(高校17歳)などなど。この冊子が発行されたのが1986年らしいので、この時期の高校生ということは現在の40歳ぐらいということか。
 
 いろんな企画があって読み物として面白かった。退屈せずに一気に最後まで読めてしまった。

スカル&ボーンズ―秘密クラブは権力への通路
Alexandra Robbins,太田 龍
成甲書房
NHK「その時歴史が動いた」コミック版 忠臣蔵編 (ホーム社漫画文庫)
NHK「その時歴史が動いた」取材班,谷口 敬,ながい のりあき,小川 おさむ
ホーム社