咬合と全身 ホワイトニング

咬合を介して顎関節症と不定愁訴への歯科的アプローチ

歯周病予防・ムシ歯予防・口臭防止を兼ねたMIホワイトニング

TMD:不定愁訴からセルフケアまで

2017-01-30 11:06:25 | MLより

歯科由来の不定愁訴(不快症状)とは、咬合異常が原因で起こるさまざまな不快症状です。
一般的に「顎関節症」と呼ばれているものもこの中に含まれ、肩コリや首筋の痛み、頭痛などさまざまな症状があります。
欧米ではこれらの症状を含む疾患の総称をTMDと呼んでいます。

TMDの原因は、一般的にまだ分からないということになっているので治療法も確立されていません。日本ではTMDで苦しむ人は全人口の20%~40%、つまり5人に1人~2人と言われています。

TMD症状には全く関係が無さそうな症状も含まれる事があります。例えば心身症。
そのために一つ或いは限定した原因に絞り込むことが出来ずに、多因子性疾患であるといことになります。

治療法が確立されていない分、いろんな考え方の治療法がありますが、やはり歯科医師は歯科医学に則った治療が必要ではないでしょうか。
私は「神経筋機構論」という仮説に基づいて治療を行い、それなりの治療効果を上げ、今ではほとんどの症例が解決可能であると考えています。この仮説では、TMDの原因は咬合異常にあると説いています。この場合の咬合異常とは下顎の位置異常です。

下顎の位置異常とは、
顎関節や下顎骨体を動かす筋肉に緊張がない安静な下顎の位置が上下歯牙が機能することによって安静ではない位置にずらされることです。つまり顎関節や筋肉にとって都合が悪い顎の位置で無理に機能させられることによって、思わぬ症状が出てくると考え、それが原因で顎を動かす筋肉や顎関節に緊張と障害がもたらされて顎関節症やさまざまな筋肉症状が引き起こされると考えます。
勿論、歯とその周辺組織への影響、義歯などの不調、本態性歯痛等々、歯の健康そのものにもさまざまな好ましくない影響をもたらします。

TMD症状は以下のように大きく分けられます。
1)筋肉症状を主症状とするもの
2)顎関節に関連した症状
3)自律神経系の異常を思わせる症状
4)精神障害をともなう症状
5)その他の症状
 目の疲れ・難聴・耳鳴り・耳詰まり・睡眠時無呼吸症(SAS)・本態性歯痛

慢性疼痛患者の特徴
疼痛が数日や数週間という短い期間で解決されず、半年やそれ以上長引くようであれば「慢性疼痛症候群」の患者として、失望、落胆、不安感というセラピーが必要なほどのうつ状態に移行します。ほとんどのTMD患者が精神科や心療内科に廻されてしまうのはそのためでしょう。
TMDの原因療法がなされないままに精神障害の患者として扱われることに多くの患者が戸惑っているのが現状で、一部の歯科医や医科では精神障害こそがTMDの主要な原因であると主張していますが賛同しかねる意見です。

TMDは非生理的な下顎の位置で咀嚼などの機能がおこなわれるために引き起こされる。
つまり本来機能をおこなうのには適さない位置で機能がおこなわれるために顎関節や筋肉に無理な負担が強いられています。
つまり習慣性咬合位が顎関節や咀嚼筋が健康な機能を営むために都合のいい生理的下顎安静位と一致していないことが原因と考えます。

昔からよく言われる具体例は、片方の靴に石が入り込み、その石を取らずに歩くためには石による痛みを避ける必要があります。このような靴を履いて長い時間歩くと、足のふくらはぎなどの筋肉が普段より疲れたり、痛んだりします。ひどい場合には筋肉だけでなく、膝の関節までも痛めることになります。

足の筋肉や関節が普段とは異なる無理な動きをしなければならないために負担が増し、筋肉は緊張して疲労が蓄積していき、膝の関節を保護する働きも弱くなり、やがて関節にも無理な負担が加えられるようになる。
これは足の筋肉や関節が本来のかたちではない状態で機能をすることを強いられたからです。

これを歯のかみ合わせにあてはめて考えてみると、下顎を動かしている筋肉や顎関節は普段と違った動きを強いられるために筋肉が緊張し、血液の循環が悪くなり、筋肉の中に乳酸などの疲労物質がたまり、痛みを感じるようになる。
やがて下顎がズレて、下顎頭が限界をこえて上方に移動するために、関節内の構造を圧迫するようになる。その結果、クッションの役割を果たしている、関節円板が逸脱していわゆる顎関節症が発症する。これが噛み合わせが原因となるTMDの発症メカニズムになります。

さらに頭部の姿勢にも影響します。下顎のズレは、頭全体の傾きに影響し、頭を支えている筋肉や頸椎などにも影響し、筋肉痛(肩こりや首筋のこり)などの原因になり、その影響が及ぶ範囲は顎の周辺だけにとどまりません。
下顎骨は頭部と体幹部の中間にあって、上下左右から筋肉や靭帯で結ばれ、ものを咀嚼する行為は咀嚼筋だけではなく頭頚肩部の筋肉も参加する協働作業です。そのため顎の筋肉の異常は頭頚部、背腰、胸の方の筋肉にまでその影響が及部のは容易に想像がつきます。
が、日本ではその辺りの研究が不十分で、更に医科からの協力は得られない状況の為に仮説の範疇を超えることが出来ません。

人間の重い頭は7つの骨からなる頸椎の上に微妙なバランスを保って乗っているような構造をしています。ちょうどスイカを腕一本で支えられているような不安定な構造をしています。それを周囲から多くの小さい筋肉で固定しているような状態を想像してみていただくとわかりやすいかもしれません。

頭蓋骨に下顎がぶら下がり、重い頭と体幹部の間で無数の筋肉で上下左右に結ばれています。下顎の位置が少しでもゆがんだり、ずれたりすると、多数の筋肉のうちのどれかが、伸びて或いはゆるんで縮んだりします。それを補うために他の筋肉は伸びたり縮んだりして補正しなければならない。
このように微妙なバランス調整は、筋肉とそれを支配している神経の絶妙な協同作業によっておこなわれていると考えられます。これを神経筋機構(ニューロマスキュラーシステム)と呼びます。

下顎の位置は、頭部と体幹部の位置関係に重大な影響をもたらしますが、残念ながらエビデンスはありません。
その下顎の位置を狂わせるおもな原因は歯の嵌合です。嵌合によって狂わされた下顎の位置は、頭蓋と体幹、頚肩などの位置関係を微妙に狂わせ、結果として筋肉や神経、靭帯などに異常な緊張や痛みをもたらします。
これが咬合異常が全身に波及していくメカニズムだと仮定します。
残念ながら仮定というか仮説の領域をでることが出来ないのが残念です。ところがこの仮説に基づいて下顎の位置異常を修正することで、ほとんどの不快症状は消失するか寛解されます。

このように下顎のわずかな位置の異常が、ドミノ現象のように全身の骨格間の位置異常へと波及していくことで全身の姿勢にも重大な影響が現れます。
そしてそれぞれの骨格の間にある筋肉や神経の機能障害やさまざまな不快症状を引き起こしていきます。それゆえ、TMDは「筋骨格系機能障害(MSD)」または「顎頭蓋機能障害(CMD)」などと呼ばれます。

下顎の位置異常と姿勢の関係は相互に関係し合っています。
あごの位置の異常が原因となって正面から見た状態では左右に傾き、肩の高さが左右で異なります。骨盤も左右に傾きます。側面からは首が前傾して猫背・出腹・出尻になり、お尻と下腹が前後に出た姿勢になります。前後ともS字状にゆがんだ姿勢となり、障害として腰痛などの筋肉症状が出やすくなります。逆に姿勢のゆがみがあごの位置を狂わせます。
それ故
原因を歯性、姿勢及び前者の混合性という風に分類します。
その為に下顎の位置を修正する治療では、全身の姿勢に最大限の注意を払って行う必要があります。

下顎はかなり自由に動かすことができますが顎関節や周囲の筋肉に負担かけずに、最適な機能を営むことができる範囲は限定され、その範囲は意外と狭く、その範囲を下顎安静位と言いい、その範囲から外れたところで機能をすることを強いられると障害を起こします。

この下顎安静位ですべての機能が営まれていれば問題がおこらないのですが、咬合異常はこの安静が保てないところで機能が営まれています。そのために、顎関節が障害をうけたり、筋肉が異常に緊張したりして筋肉症状が引き起こされます。
咬頭嵌合位は上下の歯がしっかりと隙間なく噛み合うことで、下顎位を厳密に決定しています。このときの下顎位が下顎安静位の範囲内にあれば問題はないのですが、顎関節症状を持つ患者さんの場合には一致していません。
また、下顎の位置異常がさまざまな不定愁訴を起こしていることは疑いようのない事実です。その証拠に、下顎の位置異常を修正することで、ほとんどの不定愁訴は消失するか軽減されます。

TMDは顎関節の捻挫が慢性化したような疾患で、ものを噛むときの強大な力によってTMJが破壊されていく病気です。
人間がものを噛むときの力は、その人の体重に匹敵するといわれています。体重60kgの人は60kgの力を発揮します。通常、その力はものを噛むために使われ、顎関節には及ばないのが普通ですが歯がその力を受け止めきれない時、顎関節にその力が向います。
顎関節はそのような強大な力に耐えられるような構造には作られていばいので簡単に破壊されてます。

下顎の位置異常がある人は生理的下顎安静位と咬頭嵌合位が一致しません。
筋肉も顎関節も安静状態にあるときの下顎の位置を記録して顆頭安定位を調べると、咬頭嵌合位の位置での下顎頭は顆頭安定位に存しません。

これが顎関節症の実態で、顎の位置異常が原因で起こると考えます。
その位置異常の殆どがクラス?で臼歯の咬合が低いケースが多く、臼歯部のサポートが十分ではなく顎関節に過剰な力が加えられ関節円板が前方に押し出され、或いは関節円板を関節窩に押し続ける為に顎関節内部の構造が破壊されてしまうのでしょう。
そのために口が開きにくくなったり、開閉の度に音がしたり、硬いものを噛むと痛くて噛めなかったりするようになります。やがて関節円板の一部に穴があいてクッションの役目をしなくなり、骨と骨が直接接するようになり、下顎頭の形態そのものも変形してしまう。

このような状態にならないためにも顎の位置異常を改善して顎関節に過剰な力が及ばないようにしなければなりません。それには口の中を覗くだけでは不十分です。また、咬頭嵌合位やその位置からの限界運動をいくら観察しても何もわかりません。
それには正しい診査・診断が不可欠で原因は歯の接触状態とはほとんど関係がないところにあり、下顎の位置異常の有無とその程度を調べることです。
下顎をリラキレーションさせ、その時の安静位を記録することで初めて下顎安静位と咬合位との差を知ることができます。

ほとんどの医療機関で顎関節症を正しく診断して治療することができないのは、このような考え方と技術に対する理解がないと同時に、安易に体表治療に走るからでしょう。
それが結果的に彷徨う患者を更に増やしていくような気がしてなりません。

このような彷徨える患者に対応できるようになったのは神経筋機構理論(ニューロマスキュラー理論:Neuromuscular theory)のお蔭です。
この理論が出現してから40年以上が経過してますが、最近、NM Positionの概念が入るまではスプリントや体表治療に頼る場面も多々ありましたが、今は純粋の歯科医学で対応できるといった気持ちです。
この理論は歯科界はおろか医学界でもあまり知られていません。その理由はこの理論がいまだ科学的な手続きを経て立証されていない、仮説の段階にあるということでしょう。

しかし立証されていないといっても、この理論が主張していることはそんなに特殊なことではなく、すごく常識的で当たり前なことです。
この理論は『すべての身体の状態を、生理的に楽で安静な状態に保つことが、治療の基本である』と主張しています。また、生理的顎位の獲得という立場からみると、現在ではNM Positionではないか!と考えていま
す。

ニューロマスキュラー理論(神経筋機構理論)などと難しそうな名称がついていますが、この理論は基本的に神経と筋肉、ならびに骨格との関係を論じています。
筋肉は骨格と骨格の間をつないで、身体を動かしていますが、それによって身体は自由な運動ができます。身体を自由にうまく動かすためには、この関係を巧みに制御する仕組みが必要です。そのためには神経と筋肉の協働作業が円滑に行われるようにするために何らかの制御機構が存在しなければなりません。
その制御機構の仕組みのことを「神経筋機構」と名付けて考えを進めています。

この制御機構がうまく機能しないと、神経と筋肉、および骨格系の間に何らかの機能障害が起こるのではないかと考えます。
咀嚼行為は、頭蓋の上顎骨に生えている歯に対して、下顎にある歯をこすりつけるように動かすことによっておこなわれています。これは頭蓋という頭の骨格と下顎という骨格の間にある筋肉の働きによって行われる行為です。

TMD
Temporo Mandibular Disorderという病気は、この二つの骨格の間に起こる機能障害であるというのが基本的な考え方になります。そのためにTMDは、筋骨格系機能障害(MSD:Muscuro Skeletal Disorder)の一種であると考えられています。
あるいは頭蓋と下顎のあいだにおこる機能障害のことでもあるので、顎頭蓋機能障害(CMD:Cranio-Mandibular Disorder)とも呼ばれます。
尚TMDとCMDは同義語です。

この機能障害とは筋肉障害のことで、二つの骨格(頭蓋骨と下顎骨)のあいだの位置関係が生理的な条件を満たしていない時、その間に介在している筋肉に障害がおこるということです。神経筋機構は、神経と筋肉のあいだで絶妙な協働関係がうまく機能出来るようにコントロールし、些細な刺激に対して敏感に反応して敏速に行動を起こすことができます。
行動を起こす原動力は筋肉ですが、そのために筋肉は刺激に対していつも敏感に反応するようにつくられています。
この反応性の良さが筋肉は障害を受けやすいという弱点にもつながります。骨格と骨格のあいだの位置関係に問題があると、その間をつないでその微妙な微調整をしている筋肉は疲労してしまいます。
休むことなく常に微調整をさせられているためです。

TMDの本態は筋肉の障害ですが、その障害は筋肉の過労からおこります。繊細なゆえにわずかな刺激にも反応して疲労状態に陥ります。とくに非生理的な関係が骨格間に存在すると筋肉は容易に緊張状態になり、疲労して不快症状を訴えるようになります。
筋肉が疲労するということは、筋肉内の血液やリンパの循環障害を起こしているということを意味し、筋肉細胞内に乳酸が蓄積され、酸素不足をおこし、その状態が長く続くと自力では回復することが出来なくなります。
この状態を拘縮または攣縮などと呼び、痛みや疲労感など不快感の原因となります。

TMDの不快感や不快症状はこのようにして発生すると考えます。
治療としては、筋の緊張を緩和して疲労を回復させることですが、そのためには筋を安静状態にしなければなりません。さらには、筋を緊張させている原因を取り除かなければなりません。
筋を緊張させているものは、骨格間の非生理的な位置関係ですが歯科では頭蓋と下顎の位置関係で、さらには下顎と体幹の骨格間の位置関係も含んできます。

頭蓋と下顎の位置関係が生理的でない場合には、その間にある筋肉が安静を保てなくなります。
筋肉が安静を保つことができる下顎の位置を生理的下顎安静位といい、この生理的下顎安静位で咀嚼などの機能が行われていればよいのですが、歯の位置や形態、配列などによっては、顎の位置をずらさないと上下の歯を噛み合わせることが出来ないということも起こります。そうすると歯を噛み合わせる度に顎は非生理的な位置、つまり安静を保てない位置にずらされることになり、筋を異常に緊張させて筋肉症状が発生します。
以上のことからニューロマスキュラー理論の考えの中心のテーマは、筋の安静を保つということであり、診断と治療は安静位を基準としておこないます。

一次治療と二次治療のこれら治療法も崩壊咬合でない限り、生理的下顎安静位を得て、噛み締め癖がなければ必要ないかもしれません。人間の身体はそれ程うまくできていると考える。
以前はスプリントを使って、不快症状がとれるまでの治療が一次治療でしたが、今ではNMPでスプリントを作製、装着し不快症状の消失或いは寛解を確認するという風になってきています。
二次治療は一次治療で効果が確認された顎の位置を自分の歯で維持できるような嵌合状態に変更する治療のことです。

一次治療はスプリントを使って正しい下顎の位置を試行錯誤しながら症状が緩和する位置を求める治療です。
このような試行錯誤の段階を経たうえではじめて、どのように元の歯を治療すればよいかを決定することができます。そうすることで無駄な治療をしないで済ませることができます。

二次治療でおこなわれる治療は顎の位置関係を作り直す治療なので、咬合再構成といいます。これには次のような方法があります。
1)補綴的咬合再構成
2)矯正的咬合再構成


基本的にはレストポジションを有すれば一次治療や二次治療は考える必要はないでしょう。それがセルフケアとなってきます。

セルフケアの基本形は以下のように考えています。
★就寝時マントラを唱える
 呪文(MANTRA)
  1.唇を閉じる(Lips Together)
  2.上下の歯を離す(Teeth Apart)
  3.顔の筋肉の力を抜く(Face Relax)
★日中のトレーニング
 これはTMDの治療法・予防法にもなります
  1.舌をスポットに持っていく。
  2.下顎をレストポジションに保持。
  3.頬を左右均等に、同時に膨らませる。
     左右前後の閉口筋のリラキレーションと整調
  4.下顎を切端咬合に移動させる。
     外側翼突筋のリラキレーションと整調

この基本形は究極の治療法とも考えていますが、ダイレクトに患者さんに指導してもなかなか理解して貰えず、実行もままならないのが現状でしょう。説明して直ぐに実行して貰えるなら苦労は要りませんが、現実はそう簡単ではありません。
特にドクターショッピングを重ねた患者は猜疑心も強く信頼関係を築くのは難しいです。

また、軽い症状或いは初期の患者は疾病管理方式に慣れているために自分で治していこうという意志というか意欲は少ないです。
そういった患者を相手に基本形を指導して行くには各動作の必要性と効果を理解して貰うための工夫とパフォーマンスが必要となるケースが多々あると思います。

 

MLより


日本人の8割が口呼吸!

2017-01-21 14:37:09 | 四方山話

たまたま目にした通販番組に「日本人の8割は鼻呼吸、口呼吸は2割しか居ない」のキャッチコピーがありました。この8割、2割だけが頭に残り、何の商品の販売だったか覚えていません(苦笑)

口呼吸は医学的にも、生態学的にも良くない結果をもたらします。免疫力を低下させ、活性酸素が増え、代謝が低下し、疲れを残し、身体機能の低下などを起こすと言われています。しかし、24時間100%鼻呼吸にすべきではなく、身体の活動に応じて口呼吸と鼻呼吸を組み合わせるべきものです。例えば、鼻で空気を吸って、口から吐く。運動量の大きいときの身体は大量の空気を必要とするので口呼吸にするとか、、、
一番大切なのは『ポカン口』を止めることでしょう。例えば、無意識なときにポカンと口を開けて口呼吸をしている。これが一番具合が悪いのではないでしょうか!?
要するに口腔筋機能が不良な人が多いと言うことで、口腔筋機能の正常な人が必要に応じて口呼吸になるのに何ら問題が無いです。

当院でも小学生くらいの歯列矯正患者さんや顎関節症患者さんには口呼吸から鼻呼吸への習慣化を進める為にOMFTを行うのですが、、、「日本人の8割は鼻呼吸、口呼吸は2割しか居ない」の現実を考えると複雑な思いです。

OMFTの目標は、
普段舌は上顎についていて口唇は楽に閉じ、正しい嚥下、発音ができるようにする事ですが、その為にOMFT(口腔筋機能療法)もしくはパタカラ等の便利グッズを使って患者さんを指導してきました。

便利グッズは、舌はスポットへ、口呼吸から鼻呼吸へと指導する訳なんですが、口唇圧の目標値が15N前後になります。。。
 ・・・口唇圧さえ上がれば、自ずと鼻呼吸に移行すると考えていました。
    しかし、そうでもなさそうです。
 ・・・軽く口が開いても舌と口蓋と口蓋帆で陰圧が維持できれば何ら問題がありません。
OMFTを指導する多くの患者は5〜8N程度で、15N近くまで指導することは至難です。
また、仮に目標Nを達成したとしてもトレーニングを続けないと維持することはできません。
そのいい例がオープンバイトの再治療です。まさにエンドレスになります。
しかし、顎関節症患者や咬合治療を要する患者さんの多くは舌位は低く、口唇圧も低く、口呼吸の傾向にあり、OMFTを強力に勧めなければ歯列矯正と同じで後戻りをすると考えていました。
 
果たしてそれは正解なのか?と常に疑問に思っていました。

最近思うのは口腔内の陰圧を維持できればいい。

その程度(口腔内の陰圧)の筋力さえあれば、6Nでも7Nでも維持できるのではないかと考える次第です。
正常な鼻呼吸の場合、吸気時の口腔内陰圧状態における口唇圧および舌圧の強さは、それぞれ陰圧状態でない時の2.5〜3倍になるそうで、仮に5Nであってもそれは15N前後に相当します。
つまり陰圧と口蓋舌筋をうまく利用すればいいのではと考えると、口唇を閉鎖する力は10N以上の力は必要ないと考える次第です。

鼻の下に人差し指を添え、下方に軽く引っ張ると鼻呼吸は楽になり、舌は上昇していきます。
これは口蓋舌筋が活動し、舌は上に上がり、軟口蓋(口蓋帆)は下がるために鼻咽頭が拡大するためだと思います。。。一種の反射?
口蓋帆張筋は耳管の拡張、収縮に関与し、口蓋帆挙筋で口蓋帆は上昇し、鼻咽頭を閉鎖。
惹いては嚥下運動にも関係する。そして誤嚥を防ぐ。不随意でうまく出来ているなぁ〜と感心します。
 
口呼吸はドライマウスを招き、
•睡眠時無呼吸症候群になりやすくなる ⇒ いびきの原因
•口の中の雑菌が繁殖する ⇒ 口臭・舌苔の原因
•唾液が減り乾燥しやすくなる ⇒ 歯周病・虫歯の原因
•粘膜が乾くので ⇒ 喉の病気や味覚障害の原因
•鼻を使わないので機能が低下し ⇒ 嗅覚に影響
鼻呼吸に変えるだけで、驚くほどの効果がたくさんあります。

口から呼吸する時間が長くなると「生」の空気が直接体内に取り込まれ
•免疫機能の混乱
•免疫力の低下
つまり、口呼吸が常習化し、免疫力の下がると疲労回復力や治癒力が低下するので注意しましょう。『口呼吸』は悪いことがあっても良いことはあまりありません。

虫歯、歯周病、歯の着色、風邪、鼻炎、鼻づまり、気管支炎、ぜん息、花粉症、肺炎、アトピー、アレルギー、腎炎、口腔内乾燥症、いびき、睡眠時無呼吸症候群、リウマチ、虚弱体質の原因となっているのは口呼吸とも言われ、口呼吸は万病の元とも言われています。
逆に鼻呼吸ができれば上記の病気にはなり難い。

鼻呼吸ができることは身体にとって素晴らしいことです。