旋律はいつもドリン系

高校時代のマンドリンクラブの話です。
若干、ほんとのことをベースのフィクションです。

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(30)『何やってるんすかね。あの2人』by江本。なのじゃ。

2008年12月18日 01時23分38秒 | 3章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争

目次
〈1章-はじまりは、こんなもん〉の最初から
〈2章-D線の切れる音〉の最初から
〈3 章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争〉の最初から
〈4章-スターウォーズと夏の日の恋〉の最初から



「じゃあワシ、福田先輩に礼を言ってきます」そう言って、
チハルは怒ったような顔で立ち去った。

「なんで、チハルはあんなに不機嫌そうな顔をしてるんすかね。
せっかく、大阪に行けるっていうのに」

「江本。俺がしゃべったって、言うなよ。
チハルなあ、大阪大会に出れると分った時、大泣きしたんだ
それで、恥ずかしいのじゃないか」

八守先輩が教えてくれたが、俺はチハルをバカにする気にはなれない。

「俺も泣けるくらい、練習すればよかったっす」

「…そうだな。ほんとうは、これも内緒なんだが、
お前達2人、日曜日に大阪行きは決まってたんだ」

「どういうことっすか?」

「日曜練習に広島から尾崎先生が来られただろう。
その時、先生に相談したんだ。お前達の事をな」

『2人とも連れて行ったれば、ええじゃにゃーか』

「だとさ。ああいうのを鶴の一声って言うんだろうな。それで決まりだ。
実際お前達2人は俺や福田の1年生の時より、ずっと上手いからな
藤本も含めて今年の1年は当たり年だ」

「それじゃあ何故、テストを?」

「儀式みたいなもんだな。2人の実力を確認する意味もあった。
だから、俺はお前には適当に弾かせたんだ。
福田はバカ正直に、ほとんど全部弾かせてたけどな。
でも、驚いた。チハルがあんなに上手くなってるなんてな」

「はい。俺は毎日合奏の時あれを聞かされてます。もう適わないと思ってました。
どうやったら、あんなに急に上手くなるんすか?」

先輩は「わからん」と言って福田先輩の方を見た。

チハルが福田先輩に礼を言ったようだ。
しばらく、福田先輩の横に立ち尽くしていたが、
何故か楽譜と楽器を持って福田先輩から離れて行った。

どこで練習しようかと練習場の中をウロウロしている。
捨てられた子犬のようだった。時々、福田先輩を見るが無視されている。

「何やってるんすかね。あの2人」

「さあ、わからん」

練習場の引き戸が少し開いて、宮島部長が顔だけのぞかせた。
中を見回して八守先輩を見つけると「合奏するぞ」と言って、
返事も聞かず顔を引っ込めた。

チューニングをしてくれ。という事らしい。

合奏団によって違いがあるかもしれないが、
新市商のチューニングのやり方は、最初に1本のギターをチューニングする。

そのギターを基本にして、
他のパート(マンドリン、ドラ、セロ、ベース)がチューニングされるのだ。

八守先輩がギターのチューニングを始めた。

チューニングしながら時々、福田先輩を見た。
福田先輩は極端に前屈みになって練習していた。

最近、福田先輩とチハルは、ああいう感じで前屈みになっている。
いったい何をしているのかと八守先輩に聞こうとしたが、
たぶん返事は、『わからん』だろうと思ったので止めた。

チハルは福田先輩を遠巻きにして、まだウロウロしていた。

「江本」

「はい」

「福田にチューニングのアシスタントを頼むから、そう言って来てくれ。
音出しを頼むと…」


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