旋律はいつもドリン系

高校時代のマンドリンクラブの話です。
若干、ほんとのことをベースのフィクションです。

(15)『明日できることは、今日やらない』by八守。なのじゃ。

2008年10月20日 22時09分43秒 | 3章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争

目次
〈1章-はじまりは、こんなもん〉の最初から
〈2章-D線の切れる音〉の最初から
〈3 章-ワシと江本の八福(ハチフク)代理戦争〉の最初から
〈4章-スターウォーズと夏の日の恋〉の最初から



『エーゲ海の真珠』の合奏が終わるとクラブも終了した。

ほどなくして、八守先輩がワシと江本のいる所にやってきた。
ワシには、一瞥もくれずに江本に向かって言った。

「江本。ちょっと残って練習しようか」

ワシと江本は驚いた。
八守先輩は部活が終わると、すぐに帰るので有名だったからだ。

八守先輩の口癖は。『明日できることは、今日やらない』

すると居残り練習は、今日、必ずやらないといけないことなのか?
もちろん江本は大喜びだ。
八守先輩は練習を見られるのが嫌なのか、
いつもマンドリンが練習する隣の教室へ行ってしまった。

ワシの方も、すぐに福田先輩との居残り練習が始まったが、
気になってしょうがない。

八守先輩が何故急に江本に練習をつけだしたのか?
そして、どんな練習をしているのか?

そわそわしていると、福田先輩が怒った。

「もっと、集中して練習しろ!」

「はい。ですが、福田先輩。八守先輩と江本が急に練習を始めたんです。
気になってしかたありません」

「気にするな。八守先輩のやることなら、だいたい分かる。
おまえが気にしても、しょうがないんだ」

そう言うと、福田先輩はそこに八守先輩達いるかのように、
壁の向こうをじっと見つめた。

ワシの心配をよそに、隣の教室では案外のんびりとした雰囲気だった。

「じゃあ、練習番号4番から一緒に弾いてみようか。
1、2、3、4、はいっ!」

八守と江本のやっていることは、今までやってきた練習と変わらない。

八守はわかっていたのだ。
何故、江本が『チハル』にここまで追い付かれてしまったのか。

単純に練習量の差だ。
俺には考えられないことだが、
あいつらは本当に他の部員の2倍の練習をしている。

福田がチハルの担当になったは大阪に連れていくためだ。

そう言えば、自分の知らない内にチハルの先生が、
2年の福田に変わっていたのには、少し驚いた。
サボって、いない方が多いのは自覚しているので、抗議はできなかったが。

クラブ全体がチハルを大阪に連れて行こうとしている。
青山先輩の弟なのだから、当然かもしれない。

当然か?

江本だって、俺の後輩だ。しかも、直接教えている弟子なのだ。


↓はげみになりますので、もしよければお願いします。
人気ブログランキングへ

↓お手数でなければこっちも、お願いします。
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベルへ



コメントを投稿