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ウナギ注文してアナゴが…北陸新幹線で森元首相

2012-04-08 13:23:02 | 日記

北陸新幹線に対する思いを語る森元首相
 政府は昨年末、北陸新幹線金沢―敦賀(福井県)間の延伸を決め、近く新規着工される見通しだ。
 2014年度末までの金沢開業も控え、新幹線開業に向けた準備は石川県内でも本格化してきた。この問題に尽力してきた森喜朗元首相(74)に、ここまでこぎ着けるまでの苦労や新幹線にかける思いを聞いた。
 ――東京と大阪を北回り(北陸経由)で結ぶ「北陸新幹線」の構想が出たのは1960年代。それから半世紀を振り返ってほしい。
 「東海道新幹線が開通した後、最初に手を挙げたのは北陸だった。しかし、ほかの地域も新幹線が欲しいと言い出し、田中角栄氏が全国新幹線鉄道整備法を作り、日本中の鉄道を新幹線にすると宣言。そのため、北陸は埋没した。『我田引鉄』という言葉があり、東北は鈴木善幸氏、椎名悦三郎氏、上越は田中角栄氏、福田赳夫氏、中曽根康弘氏と、いずれも大物が新幹線のレールを地元に勝手に持って行った。私は『何が何でも北陸新幹線を実現しないといかん』と決意した。他県で新幹線の機運が高まり、沿線自治体が増えたことで、国の大事なプロジェクトに位置付けられた。地元経済界の要望も高まり、責任も感じたしね。北陸新幹線には精力的に取り組んできた」
 ――石油危機やドルショック、国鉄の民営化が大きく立ちはだかり、本格着工は大幅に遅れた。
 「国鉄がJRになり、新幹線に対する抵抗が社内でも強くなった。JRがどうやって恩恵を被るかという条件を考え、在来線を廃止し経営を第3セクターが行う方式を合意させた。先行した新幹線にはそんな条件はないんだが、JRに納得してもらうにネット懸賞は地元に負担が生じる」
 ――首相時代の2000年に、長野と富山の間のフル規格延伸が決まった。富山と金沢間の着工が決まったのはその4年後だった。
 「『総理だけ得することはやめた方が良い』と、自民党の野中広務幹事長(当時)が反対したんだ。その頃、野中さんの選挙区(京都)を通る敦賀以西の小浜・舞鶴ルートの見通しが立たなくなったこともあり、野中さんは内心面白くなかったんだと言う人もいる。野中さんは私に『通りもしないルートが書かれると迷惑なので消してほしい』と言っていたしね。ただ、富山まで来たことで福井と石川を結ぶために力を入れないといけなくなったのは確かだ」
 ――敦賀延伸は25年度。金沢開業から10年以上先だ。
 「福井国体(2018年)までに福井開業を間に合わせたいと思っていたが、政権交代で見直されてしまった。新幹線は、政権が変わったからと言って、大きく転換してはいけない。金沢以西の工事はなぜか敦賀まで一括でやることも決まってしまい、25年度の敦賀完成まで金沢より西の駅には新幹線が走らないことになる。JR西日本が東日本に客を吸い取られないよう、敦賀完成まで営業を遅らせたいという気持ちが出ているのではないか。石川県はしばらくの間、半分(金沢以西)がハッピーではないことになる。この問題で知事も県議も経済界もなぜ黙っているのか。それより、民主の連中はどうしたのか」
 ――敦賀以西、大阪までの全線延伸については。
 「米原(滋賀県)ルートで東海道新幹線に直結させるのが一番簡単だろう。リニア中央新幹線(東京―大阪)が走るようになれば、JR東海の新幹線ダイヤにも余裕が出来る。橋下徹・大阪市長にも話をしたが、米原から京都経由で関西国際空港(大阪府)に入るルートはどうだろうと。そうすれば飛行場のない京都や滋賀の人も関空を使える。滋賀県の知事が新幹線に反対しているため、在来線の湖西線でフリーゲージトレイン(軌間可変電車)を通すと言っているが、これでは金沢からは小型のミニ新幹線になり、ウナギ(フル規格)を注文してアナゴ(フリーゲージトレイン)が出てきたようなものだ。これが半世紀かけて努力した新幹線運動の結論だとすれば、実にさびしいことだ」
 (聞き手 多可政史)
(2012年4月8日12時05分
読売新聞)


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