超高速ブロードバンドの普及策を検討する総務省の作業部会は22日、NTTに対する規制強化が必要とする最終報告案をまとめる。独占設備を持つNTT東西が知り得た他の通信会社の顧客情報に関する利用規制について、NTT東西の子会社にも拡大するよう求める。ただ、NTTの経営形態は当面維持し、ソフトバンクが求めてきたNTTの光回線設備の分離は見送る方向だ。
NTT東西は国内の電話回線のほぼ100%を保有し、光ファイバーも全国エリアの9割に敷設。これらの回線を他社に貸し出す際、他社の顧客情報を知りうる立場にあるため、電気通信事業法は、NTT東西がこれらの情報を営業活動などに利用することを禁じている。だが、NTT東西は法整備後、規制対象外の子会社を地域ごとに設立し、営業活動などを移していた。
昨年11月には、NTT西の子会社が、他社のサービス利用者の顧客情報を販売代理店に流していたことが発覚。作業部会は、公正な競争が阻害されかねないとみて、NTT東西の子会社への規制が必要と判断した。
一方、ソフトバンクは、NTTの光回線設備を分離して政府や通信各社が出資する新会社に移す案を求めてきたが、作業部会は「実現性に乏しい」として採用しない方向だ。報告案では、NTTが光回線を貸し出す際に受け取る「接続料」の引き下げを求め、サービス価格を下げて普及をめざす姿勢を打ち出す。
NTTの経営形態については、NTT東西の設備部門と営業・販売部門の間の情報管理が徹底されるよう、カンパニー制導入などを念頭に社内改革を促すにとどめる。証券会社のインサイダー取引防止のために部門間の情報遮断のあり方を定めた金融庁ガイドラインなどを参考に、情報管理の厳格化も検討する。(和気真也)
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