老中の市井日記

理想を失うことなく老いの中を楽しみながら、日々発見、日々刺激、日々出会いを大切にしていきたいと思っています

「勝負脳」の鍛え方 林成之著(後編)

2009-03-27 06:33:23 | 読書
さていよいよ「勝負脳」を全開させる9つの秘策は、
1.サイコサイバネティックス理論を応用せよ
 人間が成功するか否かは現象の受け取り方次第であり、成功するイメージ
 さえ持っていれば必ずそこにたどり着くことが出来る という理論

 その実現には、「出来るだけ陽気に振舞う」「他人に好意的に振舞う」
 「そうありたいと思っている自分になったつもりで行動する」「悲観的な
 ことは考えない」・・・といった習慣づけをすることにあります。

 人間の脳は非常にやわらかく機能するように出来ています。あらゆる局面
 や状況変化に対して変幻自在に方向を変えるボールのような性格を持って
 います。そんな人間の脳が作り出しているこの社会は、常に進歩する方向
 にあるので、現状を維持しているままでは、努力を怠っているわけでは
 なくても結果的に取り残されます。つまり私たちは常に下り坂の方向に
 向いて立っています。これはスポーツに限らず仕事においても共通で、
 「現状維持」は衰退の始まりと言われるゆえんです。

 この下り坂にいる私たちが方向を変えて坂道を駆け上がり、目的を達成する
 ためには、何を考え、なにをしたらよいのか、脳の習性を元にその答え
 を導き出そうとするのがサイコサイバネティックス理論です。

 人間が行動を起して目的を達成するためには
 ①目的と目標を明確にする(しっかりと区別して考える)
 ②目標達成の具体的な方法を明らかにして実行する
 ③目的を達成するまで、その実行を中止しない

以下、詳細は省略。
2.最初から100%集中せよ
3.相手攻撃は最大のチャンス
4.相手の長所を打ち砕け
5.相手の立場になって勝ち方のイメージを作れ
6.脳の温度上昇に注意
7.脳の疲労は勝負の大敵
8.勝負の最中にリラックスするな
9.緊張した時の対処法
具体的にプロ野球のイチロー、マラソンの高橋尚子を例に挙げて解説しています。

目的と目標を分けて考えるという勝負脳を使うことが、自分のベストのプレー
を可能にし、ひいては見ている人々にも感動を与えるのです。

人類には、生命の進化の歴史が刻み込まれています。自己保存や種保存の
遺伝子を持つことによって生き延びながら、様々な進化を遂げた結果が
いまの人類の姿です。さらに、人間は同種既存の遺伝子を持っています。

学校に入学するとその学校が好きになる、会社に入るとその会社が好きになる、
日本で生まれると日本が好きになる、これらは同種既存の遺伝子が組み込まれて
いるからです。これも人間の本能として機能しているものです。

私たちはこの本能のお陰で、誰でも、自分が生まれた国のチームを自然に
好きになります。
ところが、これらの本能にも、弱点があります。それは過剰反応です。
その働きが過剰になると自分や人を傷つける性質を持っています。

しかし、脳はこのような人間の弱さを克服する機能的システムを持っています。
過剰反応に気づき、自己保存ばかり考えていた自分を反省する、「心」による
モジュレーター機能です。
私たちには誰でも、人間の尊厳を大切にし、人を愛し、共存しようという
心がそなわっています。

脳は本来、どんな意見や考え方や立場が違っていても、お互いを認め、
共に活きることを望んでいる臓器です。

スポーツによって打ち負かした相手に対しても、自分たちに勝利という
感動を与え、切磋琢磨する気持ちを与えて高めてくれた人であると考える
ことが出来ます。自分が負けた時も同様です。

負かされた相手を認め、尊敬する心を持つには度量がいりますが、
それによって自分も一回り大きく成長することが出来ます。負けた悔しさ
を大切にすることによって、自分の足りない点を学び、そこからさらに
努力というエネルギーをもらい、人はさらに成長するのです。

だから、「勝ち負けを決めるのは教育上よろしくない」などと言って
子供たちに手をつながせてゴールさせる運動会は、脳は悔しさをバネに
育つという脳科学を無視した指導です。

勝負とは、それを通して相手を尊重することを学び、自分が成長するものです


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