老中の市井日記

理想を失うことなく老いの中を楽しみながら、日々発見、日々刺激、日々出会いを大切にしていきたいと思っています

「勝負脳」の鍛え方 林成之著(前編)

2009-03-26 08:37:54 | 読書
別にWBCを意識して読んだわけではありません。先日の「ケータイ国際
フォーラム」で脳科学者の茂木健一郎氏の話し方に興味を持ち、「脳」が
キーワードになって頭にありました。そして、ふと立ち寄った本屋で
何気なく買いました。

ケータイ国際フォーラム

しかし読んでみるとなかなか面白い。脳外科の第一人者が現場(臨床)を
通じて体験したことを元に「強く、しぶとく戦うための処方箋」を書いて
います。それを、

林氏は、現場の医療に携わることによって人間の考えや行動、あるいは
「心の仕組み」が始めて分かると述べています。

林氏の造語「勝負脳」は、言語を話す知能、数を計算する知能、空間を
認知する知能などと共に、人間の脳に本来備わっている知能の一つで、
「勝負に勝つための戦略を練る知能」です。

「自分は勝負事には関係ない」と思っていましたが、言われれば子供の頃、
指相撲、トランプ、将棋や五目並べで熱くなったことを思い出しました。

勝負に勝ちたいと願い、相手を上回る戦略をあれこれと考えることは本能
の一つです。「勝負脳」は普段の生活、仕事、あるいは勉強などと、必ず
やりとげなくてはならないことに立ち向かう上でも必要なものです。

臨床を通じて、意識には外からの刺激に反応する「外意識」と外からの刺激
をうけとめて脳内で情報を処理する「内意識」の二つあることに仮説を立て、
この「内意識」と「ドーパミン系神経」とが関係あることを突き止め、
「意識」と「「心」と「記憶」の3つを連動して調整する「モジュレーター
神経群」を発見しました。

人間の記憶はすべて「イメージ記憶」で、「記憶」と「心」は連動しています
ので、そのイメージ記憶をうまく呼び出すためには、そのイメージを「心」に
強くもつことが非常に効果的です。

私たちがものを見たり聞いたりすると、その情報に自然に感情の情報が
込みこまれるシステムになっています。よって、記憶を強いものにする
ためにも、意識して記憶と連動する心を働かせるのが良い方法です。

そして、物事を学習することは人間が生き残るために必要な本能です。
だから他のさまざまな本能のように快楽とセットになっているのです。
楽しく心を動かしながら学んだ方が学習効果は上がります。

とはいえ、私たちの脳は直ぐに忘れるように出来ています。出来るだけ、
イメージ記憶を正確に思い出す方法は、私たちがやっている「何度も
繰り返して覚える方法」以外に、

①人の話はできるだけ興味を持って、感動して聞くようにする
②覚える内容にも興味を持ち、好きになるようにする
③長時間の学習は避け、時間を限定して集中して覚える
④覚える内容を自分の得意なものと関連付ける
⑤声を出して覚える
⑥覚える内容について、自分で独自に考え、勉強する
⑦覚えたものは、その日のうちに一度、目を閉じて声を出してみる

人間の知能の獲得に4つの能力段階があります。
①知識を脳に送り込む能力
②知識を脳内で再構築する能力
③表現する多重知能の能力
④独創的な創造能力

知識を詰め込む勉強だけでは頭がよくならないのは、①しか鍛えていない
からです。そして③が運動する知能です。④が「勝負脳」で日本人に最も
欠けている知能です。ものを覚える、運動が上手くなる知能と試合に勝つ
知能とは同じではありません。


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