「岡崎正義のかわら版」

スピリチュアルカウンセラー「岡崎正義」が、日々感じるこの世の事象を綴っていきます。

スピリチュアル的解釈昔ばなし・・・「浦島太郎」

2018年06月30日 13時46分17秒 | 小説・物語

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むかしむかしある漁村に、天涯孤独の若い漁師「太郎」が住んでいました。
太郎は真っ直ぐな性格で、朝早くから漁に出て、一生懸命生きておりました。

そんな村に、太郎とは対照的な性格の老人「亀吉」も住んでいたそうです。

亀吉も若い頃は真面目に働く腕の良い漁師だったそうですが、お酒が大好きで、そのお酒が原因で家族には愛想を尽かされ、しまいには周りの住人にも迷惑を掛ける始末・・。

そんな状態ですから、段々と村人からも相手にされなくなり、若者からもバカにされ、自暴自棄の人生を送っておりました。
太郎とは違う意味で「天涯孤独」だったようです・・。

そんな亀吉ですが、今でも時々身を案じてくれていたのが太郎でした。

「ケッ! どいつもこいつも俺を避けやがって! 若い頃、魚の取り方を教えてやったのは誰だってんだ!!」
「亀吉さん。そのあたりでやめておいた方が良いですよ・・♪」
「飲んでねぇとやってられねえんだよ! お前だけだよ・・、俺を心配してくれるのはよ~(泣)」
「ほら♪ もう休んでください」
「おぅ・・。ちくしょうめ・・・。」

こんな会話がたびたびあったようです。

そして、しばらく経ったある日、日頃の不摂生がたたり、亀吉は病に掛かってしまいました。

そんな亀吉を見て、村人は口々にこう囁いていたそうです。
「ありゃぁ天罰だな。 いい気味だよ!」
「本当にね・・! 太郎が真面目なのを良い事に身の回りの世話をさせて、本人は酒浸りなんだもんなぁ・・」
「太郎も太郎だよ! あんなじいさん、ほっときゃ良いのに・・」
「今も看病しているそうじゃないか・・。 めでたい性格だよ、太郎は・・。」

そんな周りの陰口も気にせず、太郎は一生懸命亀吉を看病しておりました。

「亀吉さん、早く良くなって下さいね♪ 話し相手がいないと私が寂しいですからね♪」
「すまんなぁ、太郎・・ゴホッ!ゴホッ!!」
「咳が止まれば楽になるんですがね・・・。さ!ゆっくり休んでくださいよ♪」
「この年で人の優しさが身に染みるなんてなぁ・・、やっぱり周りが言う通り俺はバカなんだよ・・泣」

太郎の優しさが身に染みた亀吉ですが、日増しに容態は悪化するばかり。
それどころか、日を追うごとに太郎まで高熱が出て咳がひどくなっていったのです・・。

そんな二人の様子を村人たちは知っていたのですが、村中に広がっては大変と、誰一人近付く者はおりませんでした・・。

半月も過ぎた頃でしょうか。
やがて亀吉が息も絶え絶えに太郎に話しかけました。

「太郎・・・、すまんなぁ・・。お前を・・、巻き込んじまった・・・。」
「はぁ、はぁ、何を言うんですか・・・。 私は人として亀吉さんをほっとけなかったんですから・・」
「その・・、気持ちが・・、有難い・・。 きっと俺が先に死ぬから、上でお前を待っているぞ・・。」
「は、はい(笑)、その時は上の案内よろしくお願いしますよ・・・」
「へっ!・・、任せとけ・・・。しっかり・・、案内・・・、す・る・か・ら・よ・・・・。」

そう言うと、亀吉はゆっくり息を吐き、そのまま動かなくなってしまいました。

それから数日後、亀吉の亡骸を葬る気力も無くなった太郎が、亀吉のそばで静かに息を引き取りました。


再び目を開けた太郎の前には、若々しくなった亀吉が立っておりました。
「おぅ!太郎!! 約束通りに迎えに来たぞ!!(笑)」
「亀吉さんですか!? なんか見違えましたね♪」
「だろう?(笑) すっかり人間の心を取り戻したぜぃ! とは言っても死んでるがな! ガハハ!!」
「冗談はよしてくださいよ(笑) でも、元気になってよかった♪」
「おいおい!お前こそ最高の冗談だな!! ガハハ!!」

そんな二人は、仲良く天国に登って行ったのです。

上に登った二人ですが、最初は慌ただしく時間が過ぎていきました。

今まで人生を過ごしてきた感想。
人生を通じて学んだこと。
次の人生をどう過ごすかの目標設定。

そんなことを、上の「受け入れ担当者」と話し、やっとそれぞれの「魂の故郷」へと戻っていきました。

太郎もウキウキしながら戻っていったのですが、
そこでは、太郎の帰りを心待ちにしていた「ソウルメイト」達が、とても歓迎してくれました。

最初に、そこのリーダーである女性のような風貌の魂からの歓迎のあいさつ。
次に、同じソウルメイトたちが繰り広げてくれる踊りや歌の出し物。
地上ではめったに食べる事が出来なかったごちそうの数々。

そんな心穏やかな日々が3日ほど続いたでしょうか。
段々と太郎は、飲めや歌えやの日々が、退屈になってきてしまい、地上に戻りたくなってしまいました。

そこで、太郎はリーダーの女性にこう言ってみたのです。

「すみません・・、大変歓待してくれているのは感謝しているのですが・・、そろそろ下の世界に戻りたくなってしまいました・・。」
「そうですか‥♪ 分かりました♪ では、戻る手続きを致しましょう♪」
「ありがとうございます♪」

そう太郎が言い終わると、リーダーの女性は、着ているローブの裾から小さな箱を取り出しました。
「これは、あなたにとって大事な物が入っております。 しかし、本当に困った時以外は決して開けてはいけません。」
「えっ!? 大事な物・・? でも開けてはいけないって・・」
「そうです。 開けてはいけません! 下界に行ったら役に立つかもしれませんが、出来るだけ開けずに新たな人生を過ごしてください」
「分かりました・・。なるべくそうします・・。」

開けてはいけないなら渡さなければ良いのにと思いながらも、太郎はその小さい箱をリーダーから受け取り、下界に通じる光輝くエレベーターで、みんなに見送られながら元いた漁村へと降りて行ったのです。


光に包まれながら降りて行った太郎ですが、途中からまるで海の中にプカプカ浮かんでいるような感覚にとらわれ、しばらくすると、激しい光が身体中を突き刺し、あまりの衝撃に太郎は泣き叫んでしまいました。

「あら~♪ 浦島さん! 元気な男の子ですよ♪ おめでとうございます♪」

そんな声が太郎の耳元で聞え、程なくして、太郎は全身をお湯で洗われ、柔らかい布で包まれた感触を感じつつ、誰かに抱きしめられる感覚を味わっていました。

『なんだ・・? どうなっているんだ・・? 俺は今どこにいるんだ・・?」

目を開けて周りを見ても、ぼやけて何も見えません。
不安になった太郎は、リーダーから貰った小さな箱の存在を思い出しました。

『そうだ!あの箱を開けたら、何か分かるかもしれない! あの箱はどこだ!!」

一生懸命手探りで探したのですが、それらしき物は見当たりません。
「しまった! 途中で落としてしまったのか・・。」

しばらくはどこかに落ちていないか探していた太郎ですが、段々と月日が経つうちにその存在もおぼろげになっていきました。


徐々に周りの状況を認識出来るようになってきた太郎ですが、自分がいつの間にか赤ん坊になっている事、また言葉がうまく話せない事、何より不思議なのは、自分の事を別の名前で呼ぶ大人たちが常にいるという事が不思議でなりませんでした。

早く状況を知りたくて、その大人たちに聞くのですが、出てくる言葉は「バブバブ~」
もどかしくて、泣き叫んでも、やさしく抱っこをされると、なぜか落ち着く自分がいました。

やがて、身体の自由がきくようになり、何かにつかまると歩けるようにもなりました。

そんなある日、食卓台の上に、何となく見覚えのある箱を見つけました。
「あれ~・・? 何となく見た事がある箱だな・・・、!!! あ!」

太郎は、かつて上でリーダーから貰った箱の存在を思い出したのです。
しかし、感覚的にはずいぶん昔に貰ったような感じでした。

「ここにあったのか! よし! 開けるのは今だ! よいしょ!!」

太郎は、小さくなった体を一生懸命伸ばし、台の上の箱を自分に引き寄せ、えい!っと箱のふたを開けたのです。
その瞬間、箱の中から湯気のようなものが立ち、太郎の目の前に不思議な光景が広がりました。

かつての自分の人生。
そして、上での出来事や記憶。
加えて、自分がかつて住んでいた漁村の目まぐるしい変化・・。

見終わった太郎は、すべてを悟りました。

今自分がいる場所は、かつて住んでいた漁村。
ただ違うのは、あれから200年経っているという事・・。
そして、いつもお世話してくれている大人の女性は、新しい母親と同時に「今の亀吉」であると。
亀吉は上の世界で、世話になった太郎を、次の人生では「とことんお世話しよう!」と誓い、生まれ変わって太郎の母親になったという事。

「そうか・・。そういうことか・・。 リーダーは、『新たな気持ちで人生を過ごせ』と言いたかったのか。」

太郎は、静かに再び箱のふたを閉め、元置いてあった場所に戻しました。

「そういいう事なら、今の全てを受け入れて、新たな気持ちで人生を過ごすとするか‥♪」

そう心で呟くと、太郎は静かに目を閉じ、新たな人生を歩む気持ちが固まったのです。

新しい名前。
新しい親。
新しい環境。

全てを受け入れると不思議な事に
、すぐに太郎は言葉をはっきりと話せるようになりました。
かつての記憶も微かに残ってはいたのですが、段々とかすかな夢物語のような感覚になり、やがてすっかり忘れてしまいました。

それから数十年。

「元太郎」は、すっかり新たな人生になじみ、太郎の時と同様に真面目に過ごしました。
でも、時々落ち込んだりすると、無性に見たくなるものがあります。

それは、タンスの中に大事にしまってある「へその緒」です。
そのへその緒が入っている箱を開けて、ぼーっと眺めていると、不思議と気持ちが落ち着くのです。
とても懐かしく、何か大事なことを忘れているような、もどかしい感覚。
でも、その感覚は「元太郎」は嫌いではありません。
むしろ心地よく、大人になった今でも、小さい頃の純粋さを思い出せそうで、つい眺めてしまうのです。

今日も密かに眺めておりました。
今日は、これまで大事に育ててきた娘が嫁ぐ日。

午後には式場に行く予定です。

眺めていると、部屋のドアをノックする音が。
「お父さん、ちょっと良い・・?」
「あ、あぁ・・。」

箱をしまいながら答えた「元太郎」なのでした・・。


終わり。

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