【第6部(302)】 3月20日(火) 「もどっちゃくれんだろうか」 by 修造
後宮真知子 鈴木京香
後宮春樹 倉田てつを
水沢謙吾 平田満
本間定彦 古舘伊知郎
石上梢 河合美智子
あさ 伊藤嘉奈子
本間和子 羽田美智子
警官 きたろう :数寄屋橋の交番の警官(回想シーン)
鳳プロ
美村蘭子 佐藤友美
加瀬田岸枝 中原ひとみ
加瀬田修造 橋爪功
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★
後宮家
修造は紙芝居をやめると言い出す。
暑さ寒さがこたえて、体力が続かないというのだ。
和子さんがお嫁に行ったり、奥様がいらっしゃらないのが原因では?と訊かれても
昨日今日決めたわけではない、テレビの普及で紙芝居は成り立たないと説明する。
「わたしたちいろいろお手伝いしますから」と真知子
さっそく、加瀬田家へ行き、修造のためた洗濯ものを出すように言う。
押入から洗濯ものを出した修造は、風呂敷に包まれた外套を発見する。
それはかつて、岸枝と和子が闇市で売り、偶然にも蘭子が買ったあの外套だった。
その外套を見た自分が、会いたくて走ったことを 修造は思い出していた。
会いたくて会えなかった絶望を、修造は思い出した。
本間家
定彦と和子は映画を見に行くといい、岸枝を誘うが、留守番がいいと断る岸枝。
二人が出かけようとすると、修造が玄関に立っている。
「定彦君に用事がある」といい、
「ハシモトさんのところに寄ってきたんだが、紙芝居をやめることにした」と報告
そして、ラジオの修理技術を学んで新しい仕事にしたい、家の中でできるし‥と言う。
「じゃ、おじゃましました」と修造は岸枝に声もかけないで帰ろうとする。
「そりゃないんじゃないの?」と和子、定彦と出かけて二人だけにすることに。
岸枝とふたりになった修造は言う。
「もどっちゃくれんだろうか。
定彦君に報告と言うのは口実で、高い敷居を跨いだんだ。
あんたとは見合いで、心ときめかすなんてとないかもしれんが‥」
「あの方はもういいんですか」
「あ、いや。何も‥。 でもオレのような朴念仁と結婚して‥」
「私は幸せでした。若い頃はそれなりにときめきもありました」
えっという表情の修造、窓の桟に座り外を見る。
「でなければ、なんであの人に嫉妬したりするもんですか。
あなたしか私にはいない、あなたを大事に思っているんです。
何かあったら、死水をとってくれるのはあなたでしょう?」
「(逝くのは)私の方が最初だろう」
「死水取るのは、女房の役目。 とりますよ」
(つづく)
後宮真知子 鈴木京香
後宮春樹 倉田てつを
水沢謙吾 平田満
本間定彦 古舘伊知郎
石上梢 河合美智子
あさ 伊藤嘉奈子
本間和子 羽田美智子
警官 きたろう :数寄屋橋の交番の警官(回想シーン)
鳳プロ
美村蘭子 佐藤友美
加瀬田岸枝 中原ひとみ
加瀬田修造 橋爪功
・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

修造は紙芝居をやめると言い出す。
暑さ寒さがこたえて、体力が続かないというのだ。
和子さんがお嫁に行ったり、奥様がいらっしゃらないのが原因では?と訊かれても
昨日今日決めたわけではない、テレビの普及で紙芝居は成り立たないと説明する。
「わたしたちいろいろお手伝いしますから」と真知子
さっそく、加瀬田家へ行き、修造のためた洗濯ものを出すように言う。
押入から洗濯ものを出した修造は、風呂敷に包まれた外套を発見する。
それはかつて、岸枝と和子が闇市で売り、偶然にも蘭子が買ったあの外套だった。
その外套を見た自分が、会いたくて走ったことを 修造は思い出していた。
会いたくて会えなかった絶望を、修造は思い出した。

定彦と和子は映画を見に行くといい、岸枝を誘うが、留守番がいいと断る岸枝。
二人が出かけようとすると、修造が玄関に立っている。
「定彦君に用事がある」といい、
「ハシモトさんのところに寄ってきたんだが、紙芝居をやめることにした」と報告
そして、ラジオの修理技術を学んで新しい仕事にしたい、家の中でできるし‥と言う。
「じゃ、おじゃましました」と修造は岸枝に声もかけないで帰ろうとする。
「そりゃないんじゃないの?」と和子、定彦と出かけて二人だけにすることに。
岸枝とふたりになった修造は言う。
「もどっちゃくれんだろうか。
定彦君に報告と言うのは口実で、高い敷居を跨いだんだ。
あんたとは見合いで、心ときめかすなんてとないかもしれんが‥」
「あの方はもういいんですか」
「あ、いや。何も‥。 でもオレのような朴念仁と結婚して‥」
「私は幸せでした。若い頃はそれなりにときめきもありました」
えっという表情の修造、窓の桟に座り外を見る。
「でなければ、なんであの人に嫉妬したりするもんですか。
あなたしか私にはいない、あなたを大事に思っているんです。
何かあったら、死水をとってくれるのはあなたでしょう?」
「(逝くのは)私の方が最初だろう」
「死水取るのは、女房の役目。 とりますよ」
(つづく)