大仏様の美しいお姿に心が洗われる。
かつて勤務していた仕事場で親しかった友人が、東京に訪ねて来てくれた。
月に一度か二度、仕事を終えて、その友人と近くにあった日本庭園のあるレストランで食事をしながらいろんな話をするのを何よりの楽しみにしていたのだ。二人とも人に言えないような悩みを持っていた。何でも話せて聞き合えるいい友人であった。
いつか旅行に行こうね、と話していたが、今回初めて実現した。どこがいい?と訊ねると、鎌倉へ行きたいというのが彼女の希望だ。二人してのんびり屋、はたしてうまく旅立てるやら?
案の定、東京駅構内で待ち合わせたが、新幹線出口が分からず、出会えないまま、行き違い、30分あまり電話でやり取りしながら、ようやく出会うことが出来た。やれやれ。私にとっても東京駅は、1年半たった今でも良く理解できていない。友人にとっては、なおさらのことだったろう。
私は、40年くらい前、鎌倉へ来たことがある。鎌倉は、京都と違って少し落ち着いた街で、歴史も古く、木々に囲まれたお寺は、何となく心休まる雰囲気を持っている。
旅慣れしていない私を気遣って、数日前から夫が北鎌倉はどうだろうかと、丁寧に行程表を考えてくれていた。それを参考に友人と二人、JR北鎌倉駅に降りたった。
北鎌倉の鎌倉五山のお寺を回っている途中、友人が鎌倉の大仏様を見に行きたいと言い出した。大仏様は、南の長谷寺の近くにある。バスに乗って行くことにした。
さすがに人気の大仏様。境内は観光客でにぎやかだ。どっしりとやや下向き加減に座っておられた。友人は「ハンサムな大仏様にお会いできてよかったわ!」ととても喜んでいた。
大仏様の横に入口があり、胎内見学ができる。料金は20円。小さな通路を入ると、中は窓があり、大きな空洞ができていた。たくさんの金属片を張り合わせ巨大な仏像を作った手順を説明してあった。
その近くに、大きな藁草履が飾ってあった。
有志が製作して寄贈したらしい。かなり大きな草履であったが、大仏様は履けるのかな?小さいんじゃないかな?と思ったりした。
大仏様にこんな贈り物を考えるなんて、ほのぼの心温まる気がした。
友人とふたり大仏様の前で記念写真を撮ってもらった。いい思い出ができてよかった。