葛飾・柴又の江戸川を松戸へ渡るのが、唄に聞こえる矢切の渡しです。 農家で作った野菜を、江戸に供給する運搬の役目もあったであろう往復便。 その乗客の中には、ふるさとを捨てねばならない人だっていたのです。 暮れも近く、舟は吹きすさぶ風のなか、対岸へと進んでゆくのです。 連れて逃げてよ ついておいでよ 夕暮れの雨が降る 矢切の渡し 親の心に 背いてまでも 恋に生きたい 二人です あとへ戻ることのできない人がいます。