先日あるお客様と会食した際、そのお客さんからとても良いお話を伺った。
その方曰く、「私は両親ともに教師の家庭に育ちました。大学をでて就職する際、今思うと親への反発もあったと思うのですが、“教職”だけには就きたくないと思いました。ただ当時は就職氷河期といわれていて自分の場合も就職先はすぐには決まりませんでした。」
「ある日実家に帰ると父がいたので、なにげなく“先生って、やってて面白いの?”と聞いたのです。すると父はこう言ったのです。“そうだなあ。面白いなあ。何が面白いかっていうと、子供たちと接していると毎日いろいろなことが起こるんだ。それが面白い。子供たちの発想も大人には思いもつかない点を突いていてとても勉強になるんだよ。そうだなあ、毎日子供たちから学ばせてもらっているって感じかなあ。”」
「私はそれを聞いてこう言いました。“えっ?子供たちから学ばせてもらっているって、オヤジが先生だろ?、教えてやってるんだろ?”と。そうしたら父がこう言ったのです。“先生といっても、ただ子供たちよりも先に生きているってことだけで、何かを教えてやるってものじゃない。”と。当時の私にはあのとき父が何を言ったのか、何を言わんとしたのか理解する力はありませんでした。でも今は、ある程度年もとって、あのときの父の気持ちや言葉がなんとなく分かるような気がするのです。」
私にとってはとても胸を打たれる言葉でした。
そのとき心を過ぎったのは弘法大師の次の言葉。
「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに冥し。」
人は生きているあいだ学び続けなければなりません。そして何からでも学ぼうという姿勢と謙虚さを持ち続けなければならない。そのように思った夜でした。Hさん、気づきをありがとう御座いました!