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ビタミンDが病気の予防になる可能性
感染症、糖尿病、がん、心臓病、うつ、認知症……。骨の発育や筋力増強を促すことで知られるビタミンDが、病気予防にも働くことが最新の研究でわかってきた。特に注目は、2人に1人がかかる、がんの発症リスクを減らす作用だ。
日本人男女約3万4000人を対象にした研究では、血液中のビタミンD濃度(25水酸化ビタミンD濃度)が高い人は、最も欠乏している人に比べて、がんのリスクが約20%低かった(下グラフ)。
ビタミンDはがんのリスクを低減させる
40~69歳の日本人約3万4000人を16~19年追跡調査した結果。血中ビタミンD濃度が最も低い欠乏群(41.2nmol/L(16.5ng/ml)以下)に比べて、43.9nmol/L(約18ng/ml)以上の群はがんの罹患率が約20%低かった。
(データ:国立がん研究センター・多目的コホート研究より。BMJ;360: k671, 2018)
「ビタミンDが足りているとがんのリスクが下がるメカニズムは、はっきりとは解明されていない。ビタミンDが充足すると、免疫システムが調整され、がん細胞を排除する方向へ働く可能性がある」と東京慈恵会医科大学附属柏病院院長の秋葉直志さんは話す。
秋葉さんらの研究では、Dが欠乏していた早期の肺腺がん患者が、手術後1年間Dサプリ1日30μgを摂取した群の5年生存率は91%で、非摂取群(48%)より明らかに高かった。
サプリでのD補充がインフルエンザを予防
さらに注目すべきは、インフルエンザなど急性呼吸器感染症への感染リスクを減らす効果もあることだ。日本の小中学生を対象にした研究では、Dサプリを1日30μg摂取した群のインフルエンザ発症率が、非摂取群の約半分だった(下グラフ)。
ビタミンDは感染症の罹患リスクを下げる
小中学生334人を2群に分け、ビタミンDサプリ摂取群(1日30μgを4カ月間)と非摂取群のインフルエンザ発症率を比較。サプリ摂取群の発症率は10.8%(167人中18人)で、非摂取群の半分近かった。
(データ:Am J Clin Nutr. 91,5,1255-60, 2010)
「新型コロナウイルスへの効果は不明だが、ビタミンDの働きで、細胞の中に入り込んだ病原体などを排除するオートファジーという仕組みが誘導される。Dが糖尿病や認知症、心臓病などを予防するという研究結果も出てきているので、血中ビタミンD濃度を高めておくことに越したことはない」と秋葉さん。
血中ビタミンD濃度を高める方法は、鮭や青魚などの魚介類、天日干しキノコなどの“食品ルート”と、紫外線に当たって皮膚で生成する“紫外線ルート”がある。ビタミンDは肝臓と腎臓で代謝されて活性型ビタミンDになり、骨、筋肉、免疫細胞などに作用する。
「日本人の食事摂取基準2020年版」では、15歳以上の女性のDの1日摂取目安量は8.5μg。紅鮭(100gで33μg※)、サバ水煮缶(同11μg※)などが代表的な供給源だ。
「食事摂取基準は紫外線ルートでビタミンDが合成されることを前提にしているが、過度なUVカットで女性のD不足が加速している」と指摘するのは、杉山産婦人科新宿・難治性不妊診療部長の黒田恵司さんだ。
10代後半~40代の日本人女性(非妊婦)の血中ビタミンD濃度を調べた過去50年の文献を分析した研究では、22グループ中10グループの血中D濃度の平均は、「D欠乏」の基準である20ng/ml未満。残り12のうち11グループの平均は20~30ng/ml未満で「D不足」だった。
「ビタミンDは受精卵の着床と妊娠の維持にも重要な役割を果たすことが国内外の研究でわかってきた」(黒田さん)。
ビタミンDが充足していると妊娠率が上がる
提供卵子による体外受精を受けた99人の女性を対象にした米国の研究結果。ビタミンD 充足群(血中ビタミンD濃度30ng/ml以上)の妊娠率は78%、出産率は59%で、欠乏群(同20ng/ml未満)より明らかに高かった。
(データ:Fertil Steril. ;101,2,447-52,2014)
※ 日本食品標準成分表2015年版(7訂)
免疫を調整して妊娠を維持する働きも
黒田さんによると、妊娠・出産にも、ビタミンDによる免疫システムの調整機能が関わっている。
体を守る免疫細胞のヘルパーT細胞には、病原体を排除するTh1細胞と、異物である胎児を拒絶せず受け入れる方向に働くTh2細胞がある。Dはそのバランスを取っているというのだ。
「現代人は食事だけでDを充足させるのは難しいので、妊活や病気の予防のためにも、サプリも活用して血中ビタミンD濃度を30ng/ml以上に上げておくことが大切」と黒田さんは強調する。
ただし、過剰摂取すると高カルシウム血症などになる弊害があり、厚生労働省は健康被害の出ない上限量を1日100μgに設定している。
「医師の処方薬のD製剤は活性型なので過剰摂取は禁物だが、サプリは天然型なので食品と同じ。肝臓が必要量だけ代謝して活性型に変えるので、過剰摂取の心配は少ない。魚を積極的に食べると同時に、サプリで1日25~50μgくらいとってもいいのでは」と秋葉さんもサプリの活用を薦める。
UVカットをする女性にとっては特に、ビタミンDサプリは必須アイテムになりそうだ。
取材・文/福島安紀
ビタミンDは身体の救世主
吉田貴子
介護福祉士
* 感染症、糖尿病、がん、心臓病、うつ、認知症……。骨の発育や筋力増強を促すことで知られるビタミンDが、病気予防にも働くことが最新の研究でわかってきた。特に注目は、2人に1人がかかる、がんの発症リスクを減らす作用があるなんて凄いです。
血中ビタミンD濃度を高める方法は、鮭や青魚などの魚介類、天日干しキノコなどの“食品ルート”と、紫外線に当たって皮膚で生成する“紫外線ルート”がある。ビタミンDは肝臓と腎臓で代謝されて活性型ビタミンDになり、骨、筋肉、免疫細胞などに作用する。
「日本人の食事摂取基準2020年版」では、15歳以上の女性のDの1日摂取目安量は8.5μg。紅鮭(100gで33μg※)、サバ水煮缶(同11μg※)などが代表的な供給源だ。
食事摂取基準は紫外線ルートでビタミンDが合成されることを前提にしているが、過度なUVカットで女性のD不足が加速している
妊娠・出産にも、ビタミンDによる免疫システムの調整機能が関わっている。
体を守る免疫細胞のヘルパーT細胞には、病原体を排除するTh1細胞と、異物である胎児を拒絶せず受け入れる方向に働くTh2細胞がある。Dはそのバランスを取っているというのだ。
UVカットをする女性にとっては特に、ビタミンDサプリは必須アイテムになりそうだ。わたしも紫外線カットは必須ですがサプリなどを取り入れて上手くビタミンDを摂取したいです。
ビタミンDが病気の予防になる可能性
感染症、糖尿病、がん、心臓病、うつ、認知症……。骨の発育や筋力増強を促すことで知られるビタミンDが、病気予防にも働くことが最新の研究でわかってきた。特に注目は、2人に1人がかかる、がんの発症リスクを減らす作用だ。
日本人男女約3万4000人を対象にした研究では、血液中のビタミンD濃度(25水酸化ビタミンD濃度)が高い人は、最も欠乏している人に比べて、がんのリスクが約20%低かった(下グラフ)。
ビタミンDはがんのリスクを低減させる
40~69歳の日本人約3万4000人を16~19年追跡調査した結果。血中ビタミンD濃度が最も低い欠乏群(41.2nmol/L(16.5ng/ml)以下)に比べて、43.9nmol/L(約18ng/ml)以上の群はがんの罹患率が約20%低かった。
(データ:国立がん研究センター・多目的コホート研究より。BMJ;360: k671, 2018)
「ビタミンDが足りているとがんのリスクが下がるメカニズムは、はっきりとは解明されていない。ビタミンDが充足すると、免疫システムが調整され、がん細胞を排除する方向へ働く可能性がある」と東京慈恵会医科大学附属柏病院院長の秋葉直志さんは話す。
秋葉さんらの研究では、Dが欠乏していた早期の肺腺がん患者が、手術後1年間Dサプリ1日30μgを摂取した群の5年生存率は91%で、非摂取群(48%)より明らかに高かった。
サプリでのD補充がインフルエンザを予防
さらに注目すべきは、インフルエンザなど急性呼吸器感染症への感染リスクを減らす効果もあることだ。日本の小中学生を対象にした研究では、Dサプリを1日30μg摂取した群のインフルエンザ発症率が、非摂取群の約半分だった(下グラフ)。
ビタミンDは感染症の罹患リスクを下げる
小中学生334人を2群に分け、ビタミンDサプリ摂取群(1日30μgを4カ月間)と非摂取群のインフルエンザ発症率を比較。サプリ摂取群の発症率は10.8%(167人中18人)で、非摂取群の半分近かった。
(データ:Am J Clin Nutr. 91,5,1255-60, 2010)
「新型コロナウイルスへの効果は不明だが、ビタミンDの働きで、細胞の中に入り込んだ病原体などを排除するオートファジーという仕組みが誘導される。Dが糖尿病や認知症、心臓病などを予防するという研究結果も出てきているので、血中ビタミンD濃度を高めておくことに越したことはない」と秋葉さん。
血中ビタミンD濃度を高める方法は、鮭や青魚などの魚介類、天日干しキノコなどの“食品ルート”と、紫外線に当たって皮膚で生成する“紫外線ルート”がある。ビタミンDは肝臓と腎臓で代謝されて活性型ビタミンDになり、骨、筋肉、免疫細胞などに作用する。
「日本人の食事摂取基準2020年版」では、15歳以上の女性のDの1日摂取目安量は8.5μg。紅鮭(100gで33μg※)、サバ水煮缶(同11μg※)などが代表的な供給源だ。
「食事摂取基準は紫外線ルートでビタミンDが合成されることを前提にしているが、過度なUVカットで女性のD不足が加速している」と指摘するのは、杉山産婦人科新宿・難治性不妊診療部長の黒田恵司さんだ。
10代後半~40代の日本人女性(非妊婦)の血中ビタミンD濃度を調べた過去50年の文献を分析した研究では、22グループ中10グループの血中D濃度の平均は、「D欠乏」の基準である20ng/ml未満。残り12のうち11グループの平均は20~30ng/ml未満で「D不足」だった。
「ビタミンDは受精卵の着床と妊娠の維持にも重要な役割を果たすことが国内外の研究でわかってきた」(黒田さん)。
ビタミンDが充足していると妊娠率が上がる
提供卵子による体外受精を受けた99人の女性を対象にした米国の研究結果。ビタミンD 充足群(血中ビタミンD濃度30ng/ml以上)の妊娠率は78%、出産率は59%で、欠乏群(同20ng/ml未満)より明らかに高かった。
(データ:Fertil Steril. ;101,2,447-52,2014)
※ 日本食品標準成分表2015年版(7訂)
免疫を調整して妊娠を維持する働きも
黒田さんによると、妊娠・出産にも、ビタミンDによる免疫システムの調整機能が関わっている。
体を守る免疫細胞のヘルパーT細胞には、病原体を排除するTh1細胞と、異物である胎児を拒絶せず受け入れる方向に働くTh2細胞がある。Dはそのバランスを取っているというのだ。
「現代人は食事だけでDを充足させるのは難しいので、妊活や病気の予防のためにも、サプリも活用して血中ビタミンD濃度を30ng/ml以上に上げておくことが大切」と黒田さんは強調する。
ただし、過剰摂取すると高カルシウム血症などになる弊害があり、厚生労働省は健康被害の出ない上限量を1日100μgに設定している。
「医師の処方薬のD製剤は活性型なので過剰摂取は禁物だが、サプリは天然型なので食品と同じ。肝臓が必要量だけ代謝して活性型に変えるので、過剰摂取の心配は少ない。魚を積極的に食べると同時に、サプリで1日25~50μgくらいとってもいいのでは」と秋葉さんもサプリの活用を薦める。
UVカットをする女性にとっては特に、ビタミンDサプリは必須アイテムになりそうだ。
取材・文/福島安紀
ビタミンDは身体の救世主
吉田貴子
介護福祉士
* 感染症、糖尿病、がん、心臓病、うつ、認知症……。骨の発育や筋力増強を促すことで知られるビタミンDが、病気予防にも働くことが最新の研究でわかってきた。特に注目は、2人に1人がかかる、がんの発症リスクを減らす作用があるなんて凄いです。
血中ビタミンD濃度を高める方法は、鮭や青魚などの魚介類、天日干しキノコなどの“食品ルート”と、紫外線に当たって皮膚で生成する“紫外線ルート”がある。ビタミンDは肝臓と腎臓で代謝されて活性型ビタミンDになり、骨、筋肉、免疫細胞などに作用する。
「日本人の食事摂取基準2020年版」では、15歳以上の女性のDの1日摂取目安量は8.5μg。紅鮭(100gで33μg※)、サバ水煮缶(同11μg※)などが代表的な供給源だ。
食事摂取基準は紫外線ルートでビタミンDが合成されることを前提にしているが、過度なUVカットで女性のD不足が加速している
妊娠・出産にも、ビタミンDによる免疫システムの調整機能が関わっている。
体を守る免疫細胞のヘルパーT細胞には、病原体を排除するTh1細胞と、異物である胎児を拒絶せず受け入れる方向に働くTh2細胞がある。Dはそのバランスを取っているというのだ。
UVカットをする女性にとっては特に、ビタミンDサプリは必須アイテムになりそうだ。わたしも紫外線カットは必須ですがサプリなどを取り入れて上手くビタミンDを摂取したいです。