小平だより

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インフルエンザ・熱中症・新型コロナ

2022年09月15日 07時15分23秒 | 重要な医療情報
かねてから高熱による脳症には同じ遺伝子的基盤があるのではないか?という指摘があります。

生物の授業で習ったでしょうけど、ミトコンドリアは細胞内代謝の重要な機能を担っています。

通常は糖代謝と脂質代謝の2経路で機能を維持しています。

ウイルス感染症になると糖代謝が低下し脂質代謝に依存することになります。

HSP遺伝子多型のうちCP-II酵素が普段でも平均より少なめのグループが、高熱になると脂質代謝が低下し、ミトコンドリアの機能が削がれます。

エネルギー代謝がもっとも活発な神経細胞、心筋細胞、血管内皮細胞に症状が現れます。

それぞれ、脳症・心筋炎・多臓器不全などを引き起こします。

特にBBB(血液と脳を隔てて、脳にとって有害な物質が入らず必要な栄養だけを通す境界部位)が損傷し、一気に脳浮腫・脳炎を引き起こします。

そういう遺伝子変異がある場合、インフルエンザだろうが他のウイルス性疾患だろうが、高熱を伴う場合、脳症を引き起こしてしまうでしょう。

上記のメカニズムが新型コロナでも発動している可能性については現在検証中ですが、割と普遍的でシンプルな話なので証明される可能性は高いと考えています。

上記の症例が小児に集中している原因はまだ不明ですが、仮説としては成人期までにインフルエンザなど高熱疾患でお亡くなりになっている可能性があります。

そういう遺伝子群がここ3年間の自粛でインフルエンザの流行が消えたため、新型コロナに引っかかった、と考えています。

新型コロナによる若年死亡例とインフルエンザ脳症の発生数と、かなり近い数字になっているのも傍証かもしれません。

いずれにせよ、重症化阻止には適正な解熱剤の使用が推奨されています。

また、ボルタレンなど一部の解熱剤で死亡率が上がったのは、ミトコンドリア内のこの経路の阻害を加速していたため、と見られています。

小児科でアセトアミノフェンの処方を受けていることで予防できている可能性はあります。

当院は今はワクチンの大規模接種を担っていますため、一切の感染症様症状の方をお断りしています。

ただし、アセトアミノフェンの投与は必要と思われますので、必ずお近くの小児科を受診して下さい。

あと、小児用ワクチンの有効性ですが、やはり高濃度にすると発熱します。

いま出ている低濃度ワクチンはそういうリスクはほとんどないと考えています。

ただし、持続性には問題があり、上記の理由から改良型高濃度ワクチンが出る可能性はほとんどなくなったでしょう。

新型コロナ初期から小児は重症化せず発熱率も低いのでは、という分析は出ています。

現行のmRNAワクチンは、細胞性免疫が重症化阻止をしている反面、抗体価が早期に低下するため、小児の集団での発症阻止効果がなかなか上がらないとも考えられています。

当院医師の見解としては、血族中にインフルエンザ脳症が起きた人、熱性けいれんが起きた人、熱中症の重症化が起きた人は小児の新型コロナワクチンは受けるべきです。

あと、接種が適当とされる気管支喘息や心疾患・肺疾患など基礎疾患のあるグループは受けたほうがいいでしょう。

各小児科で予約可能施設が整備されていますので受けておいて下さい。

なお残念ながら12歳未満の小児は不顕性感染(発熱もなしに経過する例)が非常に多いため、死亡率の高い高齢者・基礎疾患保有の莫大な数の成人を受け入れている当院では小児の接種は困難です。

(前回は部屋と時間帯を分けることで実施しましたが、施設消毒のため会場の機能が著しく低下し、持続は困難なため他の小児科にお願いすることにしました)

他の小児科の先生、よろしくお願いいたします。

追記です)

客観的事実ですが5歳未満の小児人口は428万人。5歳以上20歳未満は1577万人です。

それに対して新型コロナによる死者は5歳未満は14人、5歳以上20歳未満は15人です。

人口比でそれぞれ、0.03%と0.01%です。

最大級のピーク時の数値はこんな感じです。

ワクチン接種可能な5歳以上の死者のうち、未接種が13人、接種後5ヶ月経過が2名でした。

打っていればゼロに出来た、と主張したい向きもあるようですが、正直これだけ数値が微細だと、極めて例外的な事象で、打っても打たなくても結果が一緒だった可能性は否定できません。

残りの大多数に推奨するなら、死亡症例の遺伝子多型の分析結果を見るべきです。

インフルエンザ脳症がクローズアップされた際、予防接種が確率を下げると主張していた先生方が居られましたが、後に確率が変わらなかったという事例があります。

会議より先にまず専門家による遺伝子分析調査を実施するべきでしたし、全死亡例でわずか41名なので、その時間は十分あったはずです。

特に今回は小児用は少ないとはいえ、1〜10%の確率で発熱の副反応が見られます。

上記のリンクの木戸先生の発見したメカニズムを考えると、この辺の処理は誤ると犠牲者が出ます。

コロナ後遺症とワクチン

2022年09月03日 08時46分40秒 | 重要な医療情報
ネットでデマをばらまく人たち(例によって特定アカウント)がいますが、ワクチン後遺症は少なく、ワクチン接種によって後遺症の発症率が下がることは公衆衛生統計で既に決着済みです。

ワクチンが万能の盾ではないことは確かですが、それでも規定回数を打ち終わっていない人は発症率は明らかに高く、ハイリスクです。

改良型ワクチンを待てばいい、というのは完全に間違いです。

5ヶ月以上を経過した抗体価の低下期間は即ち、リスク期間です。

当院医師は発症しないグループを判別できれば、打たなくていいよ、とあっさり言う方ですが、残念ながら誰が当たるのか確定する方法はありません。

ロシアンルーレットです。