小平だより

月・火・金・土の午前9時〜11時が通常診療 午後は第三金曜のみ4時から6時です。感染症は11時以降の電話予約制です。 

小平ぜんそく

2007年09月29日 05時55分38秒 | 重要な医療情報
 ぜんそくは、春秋に多い、夜間に発作が多い、低気圧の接近時に発作が多い、重度になると咳は減って息苦しさだけになる、初期は聴診器だけで聞こえて聴診器なしでも聞こえるようになったら重症、という特徴があります。今、諸条件が重なってぜんそくは非常に多い季節です。

 ところで、神戸からこちらに移動してきて、アトピー・花粉症・ぜんそくの患者数が多いのにびっくりしました。神戸の頃から鼻粘膜の観察はほぼ全員に実施しているのですが、腫脹している方が神戸の数倍います。転勤や帰省で小平から地方に行くと軽快し、小平に戻ると再燃する方が多いのも驚かされました。

 何らかの原因があるな、と思って数年間、観察しておりましたが、何点か気づいたことがあります。

 生活圏での自動車の密度が神戸の数倍あるようです。神戸の住宅地で、これほど大量の自動車が住居のすぐそばを走行している地区というのは、43号線などの国道のそばに限られています。そして、43号線は報道でご存じのように公害訴訟のメッカです。

 神戸では、車をぴかぴかに磨くと、1週間ぐらいはきれいなままです。ところが、小平では1~2日でうっすらと汚れはじめ、1週後にはどろどろになっています。付着物を顕微鏡で見てみると、通常の砂塵ではなく、多孔質の恐らく排気煤煙と思われる物質がびっしりと含まれています。

 この夏、小平中央図書館の屋上に環境省が設置した自動観測機のデータをずっと観察しておりましたが、晴れた日はほとんど連日のように光化学スモッグが発生していました。数時間吸っただけでも正常な方でも息苦しくなるのに、午前から就眠時間までほとんど毎日危険レベルを超えていました。
 
 日本の山野は本来、広葉樹を中心とした多彩な植物種で覆われています。ところが、戦後の植林政策で、杉の単相林が増えたため、杉花粉症が大量発生したのはおわかりと思います。小平の空き地を観察していますと、神戸では考えられないぐらい、植物の種類が偏っており、杉花粉症の発症と同じメカニズムが春秋の雑草の花粉の季節にも起こると思われます。

 東京都、特に交通量が激増した東京中西部では、こうした気道損傷の原因となる現象が広く見られるようです。本来は、問題にならないような弱いアレルギー因子の方が顕著な症状を示してしまうのは、こうした諸現象が原因と考えています。

 近々、東京都は小児のみならず成人に対しても公害病の認定を拡大する予定ですが、こうした背景を解決しない限り、アレルギー性疾患の増加は食い止められないでしょう。


今年のインフルエンザワクチンについて

2007年09月28日 17時46分41秒 | 重要な医療情報
インフルエンザワクチンのシーズンが近づいてきました。インフルエンザワクチンは、毎年、A香港、Aソ連、B型の三種をブレンドして作られています。また、来年流行しそうな新しい株を予測して作られます。

 成人は過去の感染履歴があり、免疫を覚えているので、一回接種で充分な力価(効果)が得られます。それに対して、小児は二回接種しないと、充分な力価が得られない、という特徴があります。

 しかし、小児も同じ株を昨年に引き続き接種する場合、一回接種で充分ではないか、というCDCの提言もあり、今年は一回接種で楽になるかな?(やはり、小児の予防接種は重労働です)と思っていたら、、、

  A/New Caledonia(ニューカレドニア)/20/99(H1N1)
  A/Hiroshima(広島)/52/2005(H3N2)
  B/Malaysia(マレーシア)/2506/2004 

  A/Solomon Islands(ソロモン諸島)/3/2006(H1N1)
  A/Hiroshima(広島)/52/2005(H3N2)
  B/Malaysia(マレーシア)/2506/2004

 肝心のA型インフルエンザの株が入れ替わってしまい、今年も小児は2回接種が必要となりそうです。
 ワクチンの供給自体は豊富にありそうです。また、新型インフルエンザに対するワクチンは来年の春以降に供給となりそうです。

アルツハイマー病は治るはずなのに

2007年09月22日 21時16分04秒 | 混雑情報
国立長寿医療センター研究所長 田平武先生が
アルツハイマー病のワクチンの開発に成功しつつあります。従来テストされてきた注射型では脳炎の副作用がありましたが、口から飲むタイプのワクチンの開発に成功し、国内のメーカー全社に声をかけました。

 ところが、膨大な需要があり、有効性が確認済みで、発売すれば莫大な利益と社会貢献の賞賛を浴びるのは確実であるにも関わらず、国内メーカーは全社、開発参加しませんでした。このブログを見ている皆さんは大体おわかりですね。日本独自の、世界中から笑いものになった最高裁判例があります。骨子は

「科学的事実はさておき、素人が期待する範囲を裏切ったら有罪」

裁判官は任官前に全員、精神科専門医の診察が必要と思います。政府からの余程の要望や保護策が出されない限り、製薬会社は新規のワクチンなど恐ろしくてを出せません。

 先進国では常識のHib(死亡率が高く重度の障害が残る髄膜炎菌)ワクチン、小児の入院を激減させる肺炎球菌ワクチン、毎年一定数の脳炎が発生するロタウイルスを防ぐワクチン、みんな、日本では接種できなかったり、公的援助がゼロで数万円の負担となっていたりします。接種するとしないとで1000倍近く脳炎の発生率が異なるみずぼうそう・おたふくかぜのワクチンも、先進国で公費無料接種できない国を見つける方が大変です。米国産の牛の輸入ごときで大騒ぎしていますが、狂牛病にかかる可能性などとはゼロが三桁ほど違います。狂牛病と違い、限りなくゼロに出来る技術が確立されています。

 結局、アルツハイマーのワクチンの最終認証は米国でなされ、米国製品として世界中に発売されることになりそうです。日本に入るには複雑で高コストの審査が必要で、今いる患者さまに関しては、諦めていただくしかないようです。例え、審査を通ったとしても、費用も倍額ほどを皆さんにご負担いただくことになります。

中国の改善が著しいため、もはやワクチン行政に関して、日本より遅れているのは、アジアでは北朝鮮だけです。日本というのは、この程度の国です。




日本脳炎の予防接種が切れました

2007年09月21日 11時59分04秒 | 混雑情報
 ついに、問屋にも日本脳炎予防接種の在庫がなくなりました。厚労省の不手際により、これから2年間は接種は不可能になります。日本中の馬の血清抗体価を追跡調査した結果、台風が通過するにつれて、感染が広がっていることがわかっています。南の島から飛来する蚊に刺された結果と思われます。

 マスコミ報道でもご存じの通り、未接種児の感染事例が徐々に増加し始めています。その一方で中止の根拠となったADEMという特殊な脳症の発症率は特に減少していません。当時の厚労省関係者の完全な判断ミスです。(もう左遷されましたが)

 2回基本接種をしっかりとやっていれば、一応、抗体価は保たれているので心配はありません。2年後の再供給時に追加接種を忘れないようにしてください。

 全く接種をしていないこどもは、秋の台風の後には、しっかり虫除けを使う。草地など刺されやすいところには入らない。などの注意が必要です。