小平だより

月・火・金・土の午前9時〜11時が通常診療 午後は第三金曜のみ4時から6時です。感染症は11時以降の電話予約制です。 

コロナ後遺症の診断と治療について

2022年08月28日 12時48分24秒 | 重要な医療情報
現時点では「持続性感染」「感染による自己免疫反応」「腸管内細菌叢異常」「特定臓器の破壊によるもの」の4つの候補メカニズムが提唱されています。前3つについては薬物治療・磁気刺激治療が提唱されていますが、国内ではまだ組織的な治験は実施されておらず、治療ガイドラインを作れるような明白なエビデンスはありません。

当院にご相談のケースでは

1. 検査による状況把握。特定の臓器の損傷などが無いかの確認。
2. 一般診療所では見落とす可能性のある特定難病の精査のための高次施設への除外診断依頼。(意外に別の病気の紛れ込みは多いです)
3. 多様な症状に対する対症療法の実施と、後発性のうつ病の予防指導。(睡眠の管理が重要です)
4. 上記4つのメカニズムを考慮しての診断的治療。(計測無しでの亜鉛の大量摂取などハイリスクな自己治療は避けてほしいです)

という手順で実施しています。

幸い、当院受診者は半年ほどで寛解傾向ですが、そのまま治癒に向かうのか?寛解がある程度で止まるのか?はまだ判明していません。

ただし、ワクチンを規定回数接種済みで軽症例は復業出来ている方が圧倒的に多い傾向はあります。
こういう統計もいずれ出てきますのでまた書きます。

コロナ後遺症についての専門医は何科か?という質問もよく受けます。(なぜかお電話だけで(笑))

1.は比較的誰でも出来ますので、かかりつけの先生への相談でいいでしょう。
2.の判定が正確なのは神経内科でしょう。3.のフォローにも長けています。
4.に関する派手な宣伝が増えてくる頃合いですが、まだエビデンスはありません。


コロナ後遺症に関する重要な話

2022年08月27日 17時33分05秒 | 重要な医療情報
NHKで報じられたニュースです。

アメリカの労働人口の1.8%が就労不能で年間30兆円の損失になっています。

この後遺症の特性について初夏にNatureに載った論文です。

概略を理解するには報道を参照してください。

理論的な可能性や臨床報告を経て、公衆衛生的に莫大なインパクトがあることが確定しました。

PAIS(急性感染症後症候群)はCOVID19以前から認められた疾患概念ですが、4つの原因が候補として挙げられ、現在研究が進行しています。

研究者の間では治療候補も出ていますが、現在日本国内ではまだ治験などは開始されていません。

まだ確定ではありませんが、バイデン大統領が短期間に複数回のPCR検査陽性となっており、単なるウイルス破片の残留ではないことが確認されていますので、こういう疾患なのかもしれません。

数ヶ月から数年を経て出現しつつある傾向がアメリカで確認されており、対策としてはワクチン接種と、感染防御、感染時の早期に治療薬を使用することなどが提案されています。

エール大学のAkiko Iwasaki教授の重要なビデオです。

先生の研究内容についてはこちらにまとめられています。

9月分の接種枠を公開しました(28日に重要な追記あり)

2022年08月27日 16時58分01秒 | お知らせ
一番下に極めて重要な記述を追加してあります。

3回目・4回目接種枠を公開しました。
9月2日と9日と16日の金曜 10日と17日と24日の土曜予定です。
スタッフに不顕性感染が生じると危険なため、現在発熱外来はやっていません。
通常診療はリモートもしくはどうしても館内に入る必要がある検査などは玄関でチェックして1名ずつ入れる運用になっています。

60歳未満の方は基礎疾患があっても、市役所に申請をしないと接種券は送られてきません。

3回目接種については、以前に市からクーポンが届いているはずですが、紛失した場合は市役所にて再発行を受けて下さい。

10月から実施の改良型ワクチンですが、例によって年齢別に順番に実施されると予想しています。

3回目接種から5ヶ月過ぎた方が待ってしまった場合、順番が回ってきて接種を受けられるまでかなりの時間がかかり、その間に抗体価が低下して危険と思われます。
(次回は全年齢が対象のため打ち終わるにはかなりの時間がかかります)

特に基礎疾患のある方は、4回目接種と改良型ワクチンの手堅いリレーが必要です。

翌日発熱に備えて、金曜土曜に枠を設定しましたので受けて下さい。

追記です)
改良型ワクチンですが、オミクロン用は治験終了しているのですが、BA5用の緊急使用申請がアメリカでなされています。

日本に入ってくるのがどちらのタイプで、いつ頃入ってくるのか?は今のところ不明です。

かなり時間がかかるのかもしれませんので、現行ワクチン3〜4回目を打って待つのが正解と判断しています。

現在準備した枠が埋まるようなら、逐次枠を追加しますが、とりあえず働く方々、通学する方々が受けやすい週末に設定しています。

更に追記)

今までは社会全体で接種率を上げて高齢者と疾患保有者を守ろう、という姿勢がありました。

しかし、コロナ禍が長引き、各種補助が打ち切られるにつれて、経済的損失を受けている若いグループが反抗的な動向を示し始めています。

掛かってみたら自分の場合はただの風邪だった、という無関係な人にとって、休業と所得低下になるワクチンを拒否するのも理解できます。

今後はウイルスへの遭遇率はどうしても上がります。特に社会で活躍する疾患保有者は自己防衛するしかなくなって来ます。

ワクチンで辛うじて安全性が保たれてきたのですが、ピークアウトの兆候がなかなか見られず、一日200〜300名の死者が出始め、増加の一途をたどっています。

年間ですと数万人規模の死者が出る大災害になりつつあります。

社会全体でワクチンの免疫が切れた時、特に疾患保有者がどうなるのかは想像がつきません。

基礎疾患保有者はやはり重症化率と死亡率が高い、という現実だけは確実に存在します。

改良型ワクチンを待って接種を控える行動は致命的な結果になる可能性があります。

終生免疫を獲得できるワクチンが開発されるまで、高齢者と疾患保有者は淡々と5ヶ月おきに接種を繰り返しておいて下さい。

8月26日追記追加)
治癒後1ヶ月時点で2割の人にコロナ後遺症が残る、という結果になっています。

COVID19の基本的な性質として、全身性の炎症反応とそれに対する免疫系の過剰反応が起きます。

ウイルスの排除後も肺機能が低下したり、嗅覚障害やブレインフォグが起きるケースはあります。

COPD(喫煙による肺障害)や管理不良の気管支喘息では、COVID19に限らず激しい感染と炎症の後では肺炎を生じた後にスパイログラムの成績が一段落ちたまま戻ってこない現象はよくあります。

当院の気管支喘息の受診者の皆さんは非常に真面目に管理されているのでそういう例はないのですが、新規で来られる方に目立ちます。

また、高血圧家系や管理状況の悪い生活習慣病の場合、どうしてもウイルスの付着点となるレセプター数が多く、重い後遺障害が出る例は多発します。

ワクチンによって事前に感染時炎症のレベルを下げることと、日常から生活習慣の見直しをしておく事は重要です。

40歳を過ぎてからの生活習慣病の好発年齢で健診を受けてもその後の管理不良なケースはリスクありと考えています。

脳の炎症の反映であるブレインフォグですが、うつ病も脳の炎症が関与する疾患である、というのが近年の研究の示すところです。

この二つは割と連発する傾向があるように感じています。

感染後後遺障害で受診される方々で、うつ病を発症しにくい生活習慣、発症した場合に重症化しにくい注意は大事です。

特に復業や復学を焦ると悪化するケースがありますので、職場や学校の理解が必要です。

治療法ですが、今のところ確実に差が確認できているのはrTMSでしょう。

対症療法を続けていると自然治癒する傾向があるのですが、対症療法で期間が短縮するエビデンスは現時点では出ていません。

治った時に使っていた療法を治療効果と誤認する患者さん(どころか医師も)は多いのですが、残念ながら膠原病の治癒過程と同様、長い時間で自然治癒する以上の効果は見つかっていません。

さまざまな詐欺療法が登場する時期ですので注意して下さい。

8月27日に更に追記)
Natureに載った論文です。

概略を理解するには報道を参照してください。

PAIS(急性感染症後症候群)はCOVID19以前から認められた疾患概念ですが、4つの原因が候補として挙げられ、現在研究が進行しています。

まだ確定ではありませんが、バイデン大統領が短期間に複数回のPCR検査陽性となっており、単なるウイルス破片の残留ではないことが確認されていますので、こういう疾患なのかもしれません。

数ヶ月から数年を経て出現しつつある傾向がアメリカで確認されており、対策としてはワクチン接種と、感染防御、感染時の早期に治療薬を使用することなどが提案されています。

エール大学のAkiko Iwasaki教授の重要なビデオです。

先生の研究内容についてはこちらにまとめられています。

医学ニュース

2022年08月18日 05時53分55秒 | こぼれ話
いくつか出ていますので解説です。

抗原検査キットのネット販売解禁は当院としては大歓迎です。
使用上の注意については薬剤師さんから説明があると思いますが、経験則で追加を。

まず、鼻腔奥深くしっかり差し込まないとウイルスの増殖域である上咽頭に届きません。

差し込んだ後、鼻水の中ではウイルスは補体や抗体で中和されていますので、粘膜細胞を擦過する必要があります。
グリグリと10回くらい回して下さい。

出したサンプルを液にちょんちょんとつけるだけではダメです。
軸をくるくると高速回転させて気泡を作り、最後にサンプルをブラシからしっかり搾り取らないと感度が大きく下がります。

インフルエンザの時に医師がやっていたやり方を覚えていたら真似して下さい。
いい加減な操作だと、結構な確率で偽陰性になるので注意が必要です。


サル痘に関しては、二つの顔があります。

現時点では主にSTD(性的接触による感染症)です。
HIVのときと同じルートで拡大しています。

ただし、患部の皮膚接触や近接での飛沫感染でも伝染ります。
また、成人より小児で強い症状が出る傾向はあります。

従って、保護者経由で保育園などでの流行が起きたら危険です。
このルートをいかに遮断するか?が鍵です。


梅毒の流行は少し前から医療関係者の間では警戒されていました。

渋谷でハロウィンやワールドカップなどSTDに繋がりやすいイベントがあると患者数が増える傾向があります。
HIVはコンドームの適正な使用でほとんど防げるのに対して、梅毒はオーラルセックス経由で咽頭症状から始まる例が多数あることが知られています。
ピルによる避妊の普及も増加要因にはなっています。
新規の性的接触の後、性器や咽頭に妙な病変が出来た場合、一応疑ったほうがいいです。


海外ですがポリオが下水道から検出されて問題になっています。

腸管感染症の流行を下水道から検出する技法は既に一般的で、日本でもコロナウイルスの検出を試みている衛生試験所があります。
ポリオですが、生ワクチンが使用されていない先進国での検出のため、流行国からの流入が推定されます。
日本でも広範に調べたら出るケースはあると思いますが、4種混合ワクチンを規定回数打っていれば問題ないでしょう。
3回目接種が終わっていない乳児に関しては人混みへの外出を避けたほうがいいのでしょう。
おむつ交換コーナーなどでの腸管感染症の流行はしばしばありますので。

現在の当院の体制

2022年08月17日 07時55分57秒 | 重要な告知
まだ感染状況が悪いため、8月いっぱい、一般外来の定期受診はまずお電話下さい。
どうしても検査が延期できない場合、院内での不顕性感染者との至近距離接触が一切ないような体制にしています。

余力がないため、発熱外来の初診は当面受け入れできません。
7月までに受け入れた方々のフォローは続けております。

COVID予防接種は9月末まで週末を中心に続けます。
封筒に記載された方法で、市役所のシステムを通じてお申し込み下さい。

追加接種を新型ワクチンまで待つべきか?ですが、現在の流行状況では待つのは完全に間違いです。
そこまでにやられたらアウトです。
若い人でも稀ではありますが、当たってしまった場合、後遺症はやはり半年の就学就業不能になる例が当院でもあります。

60歳以上と疾患保有者は4回。それ以外は3回。
2回目接種後5ヶ月を過ぎると効力に明白な差が出ていることは統計的に明らかです。