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月の裏側〜reprise〜

捻くれ者が音楽を語ったらどうにも収拾がつかなくなった件。マニアックな作品紹介と自分自身の音楽関係の思い出話を中心に。

NO.247 ウラジーミル・ヴィソーツキィ「大地の歌」

2024-04-13 00:26:12 | 隠れた名曲

前前回の「オスカー・ピーターソン」の映画の事で少し触れた差別の問題。

そしてフォロワーさんのブログに出てきたハスキーな声の話題。

そんな中で頭に浮かんできたのが、旧ソビエトの俳優、詩人、歌手である

ウラミジール・ヴィソーツキィの事です。

 

マイブームがワールドミュージックだった頃、その時は自分は

東京に住んでいたのですが、深夜の音楽番組のCMで、何度となく流れてきた

ハスキーな声。歌っている内容はわからなかったけれど、

何かを訴えかけるような歌には、強烈なインパクトがあったものです。

そしてたまたまCDを見つけることが出来たので購入しました。

 

1938年の生まれのヴィソーツキィは、俳優活動の傍らで

詩を書き、作家や知識人の家で歌ってきたそうです。

そこでの交流が、彼を成長させたといいます。

ここで歌った歌はテープに録音され、色々な地域に広がっていきました。

いつしか国民的な詩人へとなっていったといいます。

ただし、反体制と判断されたためか当局にはマークされていたようで、

生前には詩集は1冊も出されなかったといいます。

レコードも内容が無難なものが僅かに出されたのみです。

今聴く事が出来るのは、1977年にフランスで録音されたものです。

彼の最後の妻がフランスでも著名な女優であるマリナ・ヴラディだからか、

恐らくそのルートでフランスで録音できたかもしれませんね。

 

彼の歌は、アコースティックなギターと少々のベースをバックに

歌われるものです。会話調で民衆的なもので、訳すのは難しいようですが、

彼の歌は心を打つようなものかと思います。

 

 

これはCMで流れていた曲。1分ちょっとと短い曲ですが、

迫力のある声に衝撃を受けました。

 

 

自分を狙われる狼に例えたかのような『オオカミ狩り』。

まるで悲痛な叫びのような歌声が心を撃ちます。

 

 

そしてアルバムのタイトルにもなっている「大地の歌」。

ウィキペディアによると、宮崎 駿監督が

「風の谷のナウシカ」のエンディングでこの曲を使いたかったとの事。

版権の都合がつかず実現しませんでしたが、もし使われることになっていたら、

ヴィソーツキィの評価は変わっていたでしょうね。

 

 

ヴィソーツキィは、ジョン・レノンが亡くなった年である1980年、

モスクワオリンピックが行われている最中、42歳の若さで亡くなっています。

葬儀には10万とも20万ともいわれる人たちが集まったといいます。

今は音源が入手しづらいですが、ロシア情勢が不安定なこの時期にこそ

聴かれるべき音楽かもしれませんね。


NO.241 DAVID LEWIS 「SONGS OF DAVID LEWIS」

2024-03-16 22:50:40 | 隠れた名曲

ちょっと別の所で書いている文に時間を取られてしまい、

間が空いてしまいました。

気を取り直して、多分マニアしか聴かないような、とっておきな1枚を。

 

NO.237で紹介したアンドウェラのリーダー的存在のデイブ・ルイス、

彼が1970年頃に、プロモーション用に製作した

ソロアルバムのようなものがありますが、それが非常に出来が良いものでした。

それなのに大した反応が無かったのは、地味過ぎたのかどうかはわかりません。

しかしながら、ピアノをバックに淡々と渋い声で歌われる歌は、

時にはしっとりと、時には感動的なものです。

(後半はバンド形式のものもあり)

一説には50枚程度しか作成されなかったともいわれ、

自分が存在を知った頃でさえ、20万では買えないといわれる位

(というか、まず出回らない)でした。

その時はかなりコアなマニアしか知らない存在でしたでしょうね。

 

しかしながら20年ぐらい前、何と日本のインディーズからCD化されています。

当時はよくぞ出してくれたと思いましたね。

その後、恐らく正規盤としてCD化もされていますが、現在は入手困難です。

こういったマニアの評価の高いものは、廃盤になったら市場に出にくいです。

今回も全曲上がっているものを。でも入手出来るなら、

再発された高音質のCDで聴きたいものです。

特に心が荒んでいる時には沁みますね。

 

 


NO.237 アンドウェラ 「ピープルズピープル」

2024-02-21 00:04:55 | 隠れた名曲

心が落ち着くような曲ですが、女性ボーカル物は結構持ってはいますが、

男性ボーカルものはどうだろうと思ってみたら、

意外と少ない事に気づきました。

誰でも知っているようなアーチストのものばかりじゃ

つまらないだろうなぁと思っていたら、

そうだ、このアルバムがあるじゃないかというのを思い出しました。

昔からマニアの間ではよく知られていたものですが、

一般の人には知名度が無いに等しい、そんなアルバムです。

それがAndwella の「 People's People」です。

 

アンドウェラは、北アイルランド出身のデイブ・ルイスが率いていた

グループです。アンドウェラズ・ドリーム名義の「Love And Poetry」は、

ファズが効いたサイケ風味ですが、アンドウェラ名義となった

「WORLD'S END」は、スワンプ寄りのサウンドになっています。

そして「People's People」は、更にスワンプ色が強くなった感じです。

ザ・バンドに英国の湿り気のある部分を加えたような感じでしょうか。

味わいのあるルイスのボーカルが心地いい、まさに隠れた名作かなと。

ザ・バンドが好きな人には是非、聴いてもらいたいですね。

(米盤と英盤ではジャケットが違います。モノクロな英盤よりは

風景も渋い米盤が好みかなと)

収録時間こそ短いですが、捨て曲もないので、

今回はフルアルバムを上げておきます。

 

 

このアルバムは、6~7年前に高音質でのCD化されているんですが、

もう入手困難になっています。もし見つかれば確保したいですが。

そして、3月の終わりぐらいになるのですが、

「Love And Poetry」、「WORLD'S END」、「People's People」の

3枚セットのLPが発売予定だとか。限定色もあるので、こちらを買おうかなと。

おそらく輸入盤のみとは思います。国内盤出るといいのになぁ。

 

TO DREAM (SHADES OF GREY VINYL 3LP)

 

 


NO.226 クラナド「マジカルリング」

2024-01-06 01:09:38 | 隠れた名曲

元旦の大地震、2日の飛行機事故と、かなり精神的に堪えました。

全てのテレビ局では地震関連の報道番組。早く避難してください、

逃げろの字幕。お正月気分は何処かへと行ってしまいました。

自然の事とはいえ、あまりにも無慈悲な仕打ち。

被害にあわれた人には何て言葉をかけたらいいのかわかりません。

 

そんな状態でも仕事には行かねばなりません。

何か落ち着けるような曲を聴きたいと思い、思いついたのがクラナド。

アイルランドのグループで、エンヤの親類の人で構成されているグループです。

ボーカルのモイアは、エンヤの実の姉です。

NO.221でも1曲取り上げていますが、やはりここは一番のお気に入りである

「ハリーズゲームのテーマ」を聴こうかなと。

 

 

元々はイギリスのテレビドラマのエンディングに使われた曲です。

ドラマ自体は血生臭い部分がありますが、曲はとても荘厳で美しいです。

 

そしてもう1曲印象的な曲が。アイルランドの古い歌で「刈株の緑野」。

「クラナド2」でも録音されていますが、再録音されています。

この曲も心を落ち着かせる名曲だと思いますね。

 

 

このアルバムは、今までゲール語で歌っていたクラナドが、

初めて英語での歌に挑戦したものになりますが、

やはりゲール語の方がしっくりくるかも。

 

本当なら、U2のBONOとデュエットしている

「IN A LIFETIME」も収録されているベスト盤の「パーストプレゼント」を

紹介するつもりでしたが、見つからないのでこのアルバムになりました。

これはこれでいいアルバムですけどね。

 

 

これで少しは心が落ち着いた感じですね。

この手のアルバムはなかなか紹介していなかっただけに、

いい機会ですので、何回かに分けて紹介していこうかなとは思います。

いつもの如く、多少マニアック方面に傾くとは思いますが。

 

 


NO.220 QUATERMASS「QUATERMASS」

2023-12-22 01:08:00 | 隠れた名曲

前回、NO,219の記事で、ちあきさんがカバーした井上陽水さんの事を

書いたのですが、色々調べていくうちに、陽水さんのアルバム

「氷の世界」に参加したセッションミュージシャンが

クォーターマスのメンバーだと知ってびっくりしました。

「氷の世界」はロンドンでも録音されたというのですが、この通好みの

グループと関りがあるとは、ちょっとした驚きです。

昔、音楽誌でこのグループの事を書いてある記事を読んで興味を持ち、

CDを買ったものですが、今回、久々に取り出してみました。

 

クォーターマスは、ディープパープルとの因縁があるグループで、

ドラムのミック・アンダーウッドが、リッチー・ブラックモアと友人との事。

またイアン・ギランとロジャー・グローバーが所属していた

エピソード・シックスというグループにクォーターマスのメンバーも

所属していたとの事です。

ブラックモアがクォーターマスの「黒い羊」という曲を

ディープパープルでカバーしようとしたのですが、他のメンバーが

ブルース色の強い曲を拒否し、それが遠因となったのか、

ブラックモアはパープルを脱退することに。

そしてレインボーのアルバムで「黒い羊」はカバーされることに。

 

 

クオーターマスは、ベース、ドラム、ハモンドオルガンの

ギターレスのバンドで、同時期のナイスとも比較されることがありますが、

結構リズム隊がしっかりしていて骨太なイメージです。

 

 

そしてストリングスを取り入れた曲もあったりするのが、

ナイスと比較される理由かと。骨太だけでなく、実験的な事もやっていますね。

 

 

発売は、EMIのハーベストレーベル。ケヴィン・エアーズやロイ・ハーバー等、

癖のあるミュージシャンがアルバムを出していました。

妙に印象に残るジャケットは、ヒプノシスによるものです。

同時期には、ピンクフロイドの「原子心母」のジャケも手掛けていますね。

しかしながら、アルバム1枚しか残していないのは残念です。

ライブ映像とかないとは思っていましたが、短い時間ながら存在していました。

 

 

ハモンドオルガンに拘る姿勢は嫌いではないです。

ただ一般受けは難しいですね。