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パイロット養成講座

多くの機長、副操縦士を育てた坂井優基が、パイロットになろうとする人や訓練生に送るアドバイス

離陸直後の着陸

2011-01-05 | 離陸
kooriさん忙しい中ありがとうございます。
k.mochiさん質問ありがとうございます。
質問にお答えして、
すぐに着陸できるかどうかはその時の状況によります。
全ての航空機には離陸最大重量と着陸最大重量が決まっています。主としてギアの強度によるものです。国内線のような軽い重量の場合には、離陸直後に異常があった場合、滑走路のまわりを1周してきてそのまま着陸することが可能です。
ところが日本からヨーロッパまで飛ぶような場合には何百トンという燃料を積んでいます。そのまますぐに着陸するとギアの強度を超えてしまいます。747や777のような国際専用の機材にはこのような時のために燃料を投棄するシステムがついています。フューエルジェッションシステムと言います。ただ闇雲にそこいらに捨てるわけにはいかないので、人家が無い洋上の空域をもらい、そこで燃料を捨てて機体の重量を軽くします。積んでいる燃料の量にもよりますが、消防車のホースのような勢いで燃料を捨てるのですが、それでも着陸できる重量になるためには30分以上燃料を捨てつづけなければいけないこともあります。
もちろん747や777でも国内線を飛ぶような場合には、ほとんどの場合離陸直後でもそのまま着陸できます。

また現実にはギアの強度だけではなく着陸時の進入速度や、その速度でその時の滑走路の状態で滑走路の中で止まれるのか、タイヤの強度はと様々なことが問題になります。

また程度問題ですが、火災が消えないような場合には、多少の重量なら着陸最大重量より多くてもさっさと降りた方が安全な場合もあり得ます。ケースバイケースであり、その判断のためにパイロットが乗っています。

V1以後に止まらないというのは、加速するのに使ってしまって止まるために使える滑走路があまり残っていないからです。それならば一度浮いてしまって、滑走路がほとんど使える通常の着陸をした方が、停止に使える距離が長くなります。


2 コメント

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Unknown (k.mochi)
2011-01-06 11:40:03
ありがとうございました。
燃料を捨てる作業があったなんて知りませんでした。勉強になりました。
過去にV1を超えて離陸を続行し、事故につながった例をいくつか見てみると、直接的な原因は離陸を続行したことですが、その背景に機長と副操縦士の連携がうまくいってなかったために事故が起きてしまったという例がありました。
大きな事故の背景には小さな原因がいくつか関わってることが多く、機長と副操縦士でさまざまなことに気を配る必要があるんですね。
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Unknown (Yuuki)
2011-01-06 20:39:36
k.mochiさんたぶん言葉のあやで本質は理解されていると思うのですが、V1を超えて離陸を続行するのはノーマルです。過去の事故はV1を越えているにもかかわらず、離陸中止操作をしたことにより多くおきています。
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