信州・佐久で、ものづくり

信州・佐久在住の「ものづくり」の裏方である生産技術一筋二十数年。一芸より多芸を求められる人間から見た「ものづくり」論。

歯科用イオン導入装置 開発苦労話 その6

2016年05月26日 19時25分38秒 | 日記

6月の「歯と口の健康週間」を前に、虫歯を予防する歯科用イオン導入装置のお話をしております。

医用電気機器-第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項 JIS T 0601-1(以下、第1部)を前回の投稿で御紹介しましたが、さすがに医療機器を対象としているだけあって「絶縁」については細かく規定しています。使用する絶縁材の耐電圧、耐熱、沿面距離、空間距離などなど。その中で一番厳しい試験を受けるのがトランス(変圧器)です。

トランスは電気的に一次側と二次側の絶縁ができているはず・・・という「できているはず」を細かくチェックされ試験費用も高くなります。またトランス単体、ニスを塗っていないトランス、ボビン単体等々も試験用に提出するのです・・・とは言いながら筆者自身はトランスが試験対象になる製品の経験はないので、トランスの話は終了。

筆者の開発した歯科用イオン導入装置も電池駆動またはACアダプター駆動なのに・・・絶縁には気を遣っています。基本的に電池駆動なら感電することはありません。詳細は企業秘密にさせて戴きますが、とにかく歯科用イオン導入装置は大丈夫!

絶縁ついでに会社と絶縁することになった劇場型絶縁話があります。

社員Aの設計した医療機器ではないが、医療関係者向け製品。この製品で使われている部品の電気的故障がチョコチョコ発生。筆者は部品を1週間休みなしに断続的にON-OFFしたり、数千ボルトのスパークを飛ばしても壊れないことを確認していました。ところが社員Bが、この製品を耐電圧試験機にかけたら壊れた!

そうしたら、総括になりたいけどなれない人と社員Bが、たいそう大喜びで、筆者に対して壊れる原因を見つけられなかった&ネガキャンを展開・・・(総括=総括製造販売責任者)

科学的に説明しますと原因は、今回の「キーワード」+「不良」です。そういう設計になっており、原因を見つけられなかった事実はありますが、何もしない人間が行動する人間を批判・侮辱する(科学的に問題解決しない)体質が許せないので・・・絶縁しました。

ちなみに現在、法改正により総括は経験年数だけで誰でもなれます。(当時、なりたくてもなれない人が多かったようですが、製造販売業のステータスだったのでしょうね。)

「絶縁」の恐ろしさを知らない人達と「絶縁」した、こぼれ話でした。歯科用イオン導入装置の話は続きます。


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