6月の「歯と口の健康週間」を前に、虫歯を予防する歯科用イオン導入装置のお話をしております。
商用電源、例えば100Vのコンセントにつないで使う医療機器において、基板にも金属ケースにも他の配線にも端子にも操作者・患者どちらにも絶対触れない構造でない限り、100Vの電気を通す電線は皮一枚(!)の被覆つまり基礎絶縁ではダメと言われます。人体に危害のある電気を流す電線やモーター等の構成物は・・・二重絶縁!電気ドリルなど工事現場の電気工具では当たり前に見られますね。
筆者が初めてJIS試験(AC100V機器)を受けた時にバッチリ指摘された内容です。対策は簡単で電源の被覆単線2本に電気絶縁材のチューブをかぶせただけ。筐体も樹脂でしたので、そこは楽にクリア。その他に二重絶縁によるものと同等以上の感電に対する保護を与える単一の絶縁のことを強化絶縁と言います。
医療機器から話が外れますが、水に沈んだり、水を掛けたり、電線をネズミにかじられたでもない限り漏電なんか考えられない、と思うでしょ!
発熱する機器、ヒータやトランス、モーターは冷えた状態で絶縁抵抗OKなのに電気を通すと・・・絶縁抵抗が下がって漏電することがあります。また電線を挟んでネジ締めちゃった!で、漏電。古い建物での漏電箇所探索は嫌ですね。電線引き直しちゃう方が早いって場合もあります。漏電ブレーカーの劣化で、というパターンも・・・自分の家で食らいました。
安全な電圧っていくつなの・・・安全超低電圧:SELV:一般的な電気機器であるクラスI機器の場合には、使用者が触れることのできる部分と安全アースとの電位差が、危険電圧とならない構造で保護してある構造で、線間電圧またはアースとの電位差が尖頭値42.4V、直流60V以下の回路となっています。
電気屋(電気工事する人ね!)では42Vを「死に(しに)ボルト」と言って、これ以上の電圧だと感電して死ぬことがある、と言います。これは身体の表面で乾燥状態の話です。歯科用イオン導入装置では、こんな電圧は恐ろしくて設定できません。次回は歯科用イオン導入装置の電流について、お話ししましょう。全員、中学校からやり直し!って内容ですが、筆者は出力100Vのイオン導入実験機も試作していました・・・生体には使えません!
前回の絶縁話・・・被害妄想?思い込みだろ!と言われそうですが、被害者は他にも数人います!